次の方法で共有


SharePoint Server 2010 でのワークフローのパフォーマンスと容量の計画を見積もる

 

適用先: SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-30

パフォーマンスおよび容量の計画に関するこの記事では、ワークフローの使用が Microsoft SharePoint Server 2010 が実行されているトポロジに対して与える影響についてガイダンスを示します。

SharePoint Server 2010 の容量計画の一般的な情報については、「パフォーマンスと容量の管理 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

内容

  • テスト ファームの諸特性

  • テスト結果

  • 推奨事項

  • トラブルシューティング

テスト ファームの諸特性

テスト ファームの特性として、次の項目について説明します。

  • データセット

  • 負荷

  • ハードウェア、設定、およびトポロジ

データセット

ベンチマークを取得するために、大部分のテストは、ファーム内の単一サイト コレクションの既定のチーム サイトで実行しました。手動開始テストでは、8,000 個のアイテムを含むリストを使用してワークフローを開始しました。

負荷

このシナリオのテストは、次のように、さまざまなファーム構成と各種の変数がどのように関係するかを評価するのに役立ちます。

  • 複数のコンピューターで宣言型ワークフローを手動で開始する場合のスループットに対する、フロントエンド サーバーの台数の影響

  • 複数のコンピューターでアイテムの作成時に宣言型ワークフローを自動的に開始する場合のスループットに対する、フロントエンド サーバーの台数の影響

  • 複数のコンピューターでタスクを完了する場合のスループットに対する、フロントエンド サーバーの台数の影響

この記事で示す特定の処理能力とパフォーマンスの数値は、現実の環境における数値とは異なります。ここで示す数値は、ある一定規模の環境を設計する際の出発点を提供することを目的としています。最初のシステム設計が終了したら、実際の環境におけるさまざまな要素にシステムが対応できるかどうかを判断するために構成をテストしてください。

ここではテスト シナリオを定義し、各シナリオで使用されたテスト プロセスについて説明します。テスト結果、特定のパラメーターなどの詳細情報については、後述のテスト結果に関する説明を参照してください。

テスト名 テストの説明

ワークフローを手動で開始する場合のスループット

  1. 付属の MOSS 承認ワークフローを、1 つのタスクを作成するリストに関連付けます。

  2. リストにリスト アイテムを入力します。

  3. 5 分間、リストのアイテムに対して Workflow.asmx の StartWorkflow Web サービス メソッドを呼び出します。

  4. 進行中のワークフローの数を調べて、スループットを計算します。

アイテムの作成時にワークフローを自動的に開始する場合のスループット

  1. 付属の MOSS 承認ワークフローを、1 つのタスクを作成するリストに関連付けます。このタスクは、アイテムの作成時に自動的に開始するように設定されています。

  2. 5 分間、リストのアイテムを作成します。

  3. 進行中のワークフローの数を調べて、スループットを計算します。

ワークフロー タスクを完了する場合のスループット

  1. 付属の MOSS 承認ワークフローを、1 つのタスクを作成するリストに関連付けます。このタスクは、アイテムの作成時に自動的に開始するように設定されています。

  2. リストのアイテムを作成します。

  3. 開始済みのワークフローによって作成されたタスク リストのアイテムに対して Workflow.asmx の AlterToDo Web サービス メソッドを呼び出します。

  4. 完了済みのワークフローの数を調べて、スループットを計算します。

ハードウェア、設定、およびトポロジ

これらのテストに使用されたトポロジでは、コンテンツ データベース用のコンピューターを 1 台、SharePoint Server 2010 を既定の設定でインストールしたフロントエンド コンピューターを 1 ~ 4 台使用します。これらのテストで使用されたワークフローは Microsoft SharePoint Foundation 2010 では利用できませんが、テスト結果は、このエディションの展開で同様のシナリオを評価する場合にも有効です。これらのテストに使用されたデータセットには、単一のコンテンツ データベース上のチーム サイト テンプレートに基づくサイトを 1 つ含む単一のサイト コレクションが含まれています。

テスト結果の詳細を高いレベルで提供できるように、テストでは複数のファーム構成を使用しました。具体的には、1 ~ 4 台の Web サーバー、および Microsoft SQL Server 2008 が実行されている 1 台のコンピューターでファームを構成しました。テストは 1 台のクライアント コンピューターを使用して実行しました。データベース サーバーおよびすべての Web サーバーは 64 ビットで、クライアント コンピューターは 32 ビットでした。

次の表は、テストで使用されたハードウェアを示しています。

Web サーバー データベース サーバー

プロセッサ

2 プロセッサ x 4 コア、2.33 GHz

4 プロセッサ x 4 コア、2.4 GHz

RAM

4 GB

16 GB

オペレーティング システム

Windows Server 2008 R2 x64

Windows Server 2008 R2 x64

記憶域

680 GB

4.2 テラバイト

ネットワーク アダプターの数

2

2

ネットワーク アダプターの速度

1 ギガビット

1 ギガビット

認証

NTLM

NTLM

ソフトウェアのバージョン

4747

SQL Server 2008 R1

SQL Server インスタンスの数

1

1

ロード バランサーの種類

ロード バランサーなし

ロード バランサーなし

ULS ログ レベル

ワークフロー容量計画トポロジ

ワークフロー計画トポロジ

テスト結果

以下の各表は、SharePoint Server 2010 のワークフローのテスト結果を示しています。テストのグループごとに、特定の変数だけを変えているので、ファームのパフォーマンスに対する漸進的な影響がわかります。

この記事で報告されているすべてのテストは、思考時間 (一連の操作間の自然遅延) なしで実行しました。現実の環境では、ユーザーがタスクの次のステップを実行するので、各操作の後に遅延が発生します。それに対して、このテストでは、各操作の後に次の操作を即座に実行して、ファームに負荷をかけ続けました。このような負荷により、データベース競合など、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性がある要因が発生することもあります。

スループットに対する Web サーバーのスケーリングの影響

以下のスループット テストは、SharePoint Server 2010 に付属する承認ワークフローを使用して実行されました。ワークフローの関連付けによって 1 つのタスクが割り当てられ、すべてのインスタンスが 1 つのリストに対して実行されます。このワークフローの各インスタンスでは、次の要素がコンテンツ データベースに作成されます。

  • ワークフローの状態を格納するワークフロー テーブルの 1 個のエントリ

  • 5 個のセカンダリ リスト アイテム (1 個のタスクと 4 個の履歴アイテム)

  • ワークフローの親アイテムとタスクのイベントを処理する 4 個のイベント レシーバー

ワークフロー操作がキューに入れられることのないように、ワークフローの延期のしきい値を非常に大きい値に設定しました。各テストを 5 回実行し、それぞれ 5 分間実行しました。

手動開始のスループット

次の表のテストは、フロントエンド サーバーを増やすと、Web サービスによってワークフローを同時に開始する場合のスループットにどのように影響するかを示しています。このテストは、Workflow.asmx の StartWorkflow メソッドを同時に 25 人のユーザーが呼び出し続けるユーザー負荷のみをファームにかけて実行されました。ドロップされる Web 要求が発生するまでは、ユーザー負荷は最適負荷でした。リストには最大 8,000 個のアイテムがあらかじめ入力されています。

トポロジ 承認ワークフローの最大 RPS

1x1

14.35

2x1

24.08

3x1

29.7

4x1

30.77

次のグラフはスループットの変化を示しています。フロントエンド サーバーを増やしても、ファームのスループットに比例的に影響するわけではなく、3 台から 4 台のフロントエンド サーバーでほぼ頭打ちになります。つまり、ワークフローを手動で開始する場合の最大スループットは約 30 ワークフロー/秒であり、フロントエンド サーバーを 5 台以上に増やしても大きな効果はないと考えられます。

手動開始のスループット

手動起動のスループット

アイテムの作成時にワークフローを自動的に開始する場合のスループット

次の表のテストは、フロントエンド サーバーを増やすと、アイテムの作成時にワークフローを自動的に開始する場合のスループットにどのように影響するかを示しています。このテストは、単一のリストに新しいリスト アイテムを作成するリスト Web サービスを同時に 150 人のユーザーが呼び出し続けるユーザー負荷のみをかけて実行されました。リストは空の状態から始めました。

トポロジ 承認ワークフローの最大 RPS

1x1

13.0

2x1

25.11

3x1

32.11

4x1

32.18

次のグラフはスループットの変化を示しています。スループットは手動開始操作とよく似ています。手動開始テストと同様に、スループットは 3 台または 4 台のフロントエンド サーバーで最大 (約 32 ワークフロー/秒) になっています。フロントエンド サーバーを 4 台以上に増やしても大きな効果はありません。

自動開始ワークフローのスループット

自動起動ワークフローのスループット

タスク完了のスループット

次の表のテストは、フロントエンド サーバーを増やすと、ワークフロー タスクを完了する場合のスループットにどのように影響するかを示しています。タスクを完了するのに使ったリストは、前のテストの自動開始ワークフローで使用したタスク リストです。このテストは、Workflow.asmx の AlterToDo メソッドを同時に 25 人のユーザーが呼び出し続けるユーザー負荷のみをかけて実行されました。リストは空の状態から始めました。

トポロジ 承認ワークフローの最大 RPS

1x1

13.5

2x1

23.86

3x1

27.06

4x1

27.14

次のグラフはスループットの変化を示しています。手動開始テストと同様に、スループットは 3 台または 4 台のフロントエンド サーバーで最大 (約 32 ワークフロー/秒) になっています。フロントエンド サーバーを 4 台以上に増やしても大きな効果はありません。

タスク完了のスループット

タスク完了のスループット

スループットに対するリスト サイズとワークフロー インスタンス数の影響

次の表のテストは、リスト サイズとワークフロー数の増加に応じてスループットがどのように変化するかを示しています。データを生成するために、リスト内に 100 万個のアイテムが作成されるまで自動開始ワークフロー テストを連続して実行しました。その際、主要なスループット テストの場合と同様に、スループットを測定するために各チェックポイントで一時停止しました。テストは 4x1 トポロジで実行しました。

データ生成時の信頼性を維持するために、データベース サーバーの最大接続数に到達しないようにワークフロー キューを有効にしておく必要がありました。使用できる接続がなく、ワークフロー操作がコンテンツ データベースに接続できない場合、その操作は実行できません。ワークフロー キューの詳細については、「推奨事項」を参照してください。

アイテムまたはワークフローの数 ベースライン ソリューションの最大値 (RPS)

0

32.18

10

32

1,000

28.67

10,000

27.16

100,000

16.98

1,000,000

9.27

アイテム数の増加に応じた自動開始のスループット

アイテム数、ワークフローの増加に伴うスループット

単一のリスト、単一のタスク、および履歴リストの場合、アイテム数が 1,000 ~ 100,000 個の間ではスループットが低下し続けます。ただし、それ以降は低下の割合が小さくなります。スループットが低下する要因は複数あります。

1 つの要因は、インスタンスごとにコンテンツ データベース内の多数のテーブルに追加される行の数です。前述のとおり、ワークフローでは、各ワークフロー インスタンスで登録されるイベント レシーバーに加えて複数のリスト アイテムが作成されます。さまざまな領域でテーブル サイズが大きくなるにつれ、行の追加が遅くなり、この追加の遅れが合わさることでリスト アイテムの作成のみに伴う低下よりも低下の割合が大きくなります。

タスク リストのサイズはオーバーヘッドが増加する一因となります。新しいリストに対して実行されるワークフローと新しいタスク リストに対して実行されるワークフローのスループットの比較では、タスク リストの方がパフォーマンスに大きく影響しました。これは、タスク リストでは親リスト アイテムよりも多くのイベント レシーバーが登録されるためです。次の表にこの違いを示します。

リストの構成が異なる場合のスループット (開始されたワークフロー数/秒) 100 万個のアイテムを含むタスク リスト 空のタスク リスト

100 万個のアイテムを含むリスト

9.27

12

空のアイテム リスト

9.3

13

大きなリストに対して多数のワークフローを実行する必要があり、テストで示されている以上のスループットが必要な場合は、ワークフローの関連付けの間でタスク リストを分けることが可能かどうかを検討してください。

推奨事項

ここでは、パフォーマンスおよび容量に関する全般的な推奨事項を説明します。これらの推奨事項から、作成した開始トポロジの容量およびパフォーマンスの特性を確認して、開始トポロジのスケール アウトとスケール アップのどちらが必要かを判断することができます。

システムの最小要件と推奨要件の詳細については、「ハードウェア要件およびソフトウェア要件 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

スケール アウトしたトポロジ

最大 4 台の Web サーバーにスケール アウトすることで、ワークフローのスループットを向上できます。それ以上サーバーを増やしても、大きく向上することはありません。ワークフローのスループットは、パフォーマンス関連のワークフロー設定によって制限できます。これらの設定の詳細については、「ワークフロー キューとパフォーマンス関連の設定」を参照してください。

スループット目標の見積もり

多くの要因がスループットに影響します。たとえば、ユーザー数、ユーザー操作の種類、複雑さ、頻度などが要因として挙げられます。コンテンツ データベースに対して実行する操作が増えたり、登録するイベントが増えたりして、ワークフローが複雑になるほど、他のワークフローよりも実行が遅くなり、消費するリソースが増加します。

このテストで使用されたワークフローでは、タスク アクティビティに組み込まれる複数のエントリがコンテンツ データベースに作成されます。使用するワークフローに含まれるタスクが少数である場合は、同じようなスループットの特性になると予想できます。大部分のワークフローに含まれる操作が非常に軽量である場合は、スループットが向上する可能性があります。ワークフローが多数のタスクや集中的なバックエンド操作で構成される場合や、処理能力を必要とする場合は、スループットが低下すると予想できます。

ワークフローの操作内容を把握するだけでなく、ワークフローの実行場所や、ワークフローの実行対象が大きなリストであるかどうかも考慮してください (大きなリストではスループットが経時的に低下します)。

SharePoint Server 2010 はさまざまな方法で展開および構成できます。そのため、特定のサーバー数でサポートできるユーザー数を簡単に見積もる方法はありません。したがって、SharePoint Server 2010 を運用環境に展開する前に必ず独自の環境でテストを実施してください。

ワークフロー キューとパフォーマンス関連の設定

ワークフローでは、キュー システムを使用して、ファーム リソースおよびコンテンツ データベースに対するワークフロー関連の負荷を制御します。このシステムを使用すると、データベースに対して実行中のワークフロー数が管理者により構成されたしきい値に達した場合に、後続のワークフロー操作が Workflow Timer Service によって実行されるようにキューに追加されます。既定では、このサービスは、1 分間隔でタイマー ジョブを通じてワークフローの作業アイテムのバッチを受け取ります。

キューのメカニズムに直接的および間接的に関連する複数のファーム管理者設定が、ワークフローのパフォーマンスおよびスケーリングに影響します。この後では、これらの設定の動作およびパフォーマンス要件に合わせて設定を調整する方法について説明します。

基本的なキュー設定について

ファーム管理者は、次の設定を調整してキュー システムの基本的な特性を構成できます。

  • ワークフローの延期のしきい値 (Set-SPFarmConfig –WorkflowPostponeThreshold <整数値>)

    1 つのコンテンツ データベースに対して実行できるワークフローの最大数。この値を超えた場合、追加の要求および操作はキューに入れられます。キューに入れられたワークフローの状態は "開始処理中" になります。これはファーム全体の設定で、既定値は 15 です。この値が示すのは、一度に処理されるワークフロー操作の数であり、進行中にすることができるワークフローの最大数ではありません。ワークフロー操作が完了すると、後続の操作を実行できるようになります。

  • ワークフローのイベント配信のバッチ サイズ (Set-SPWorkflow –BatchSize <整数値>)

    Workflow Timer Service は延期のしきい値の対象外であり、キューからアイテムのバッチを取得し、それらのバッチを 1 つずつ実行します。バッチは延期のしきい値よりも大きくすることができます。このサービスが受け取る実行あたりの作業アイテム数は BatchSize プロパティで設定します。BatchSize プロパティはサービス インスタンスごとに 1 回設定でき、既定値は 100 です。フロントエンド サーバーとして構成されていないアプリケーション サーバーで実行する場合、Workflow Timer Service を使用するには、Web.config のワークフロー構成設定を構成データベースに設定する必要があります。これを行うには、Web.config 設定をフロントエンド サーバーからコピーする SPWebApplication オブジェクトの UpdateWorkflowConfigurationSettings() を呼び出すスクリプトを使用する必要があります。

  • ワークフロー タイマー ジョブの頻度 (Set-SPTimerJob job-workflow –schedule <文字列>)

    Workflow Timer Service の実行頻度はタイマー ジョブ設定によって調整できます。既定では、5 分間隔で実行するように設定されています。つまり、既定値の場合、キューの先頭にある作業アイテムが処理されるまでに 5 分間の遅延が発生する可能性があります。

    注意

    タスクの有効期限など、スケジュールされた作業アイテムも同じタイマー メカニズムによって処理されます。したがって、同じ間隔で遅延が発生します。

Workflow Timer Service は、サーバーの全体管理の共有サービス管理を使用してサーバーごとに無効にすることができます。既定では、ファーム内のすべてのフロントエンド サーバーで実行されます。各ジョブは、ファーム内のすべての Web アプリケーションおよびコンテンツ データベースの繰り返し処理を行います。

延期のしきい値、バッチ サイズ、およびタイマーの頻度を組み合わせて使用することで、データベースに対するワークフロー操作を制限できます。最大スループットに対しては、操作がキューに入れられてキューから処理されるのにかかる時間が影響します。

たとえば、既定の設定、単一のタイマー サービス、単一のコンテンツ データベースでは、1,000 個のアイテムがキューにある場合、それらをすべて実行するには 10 個のタイマー ジョブが必要であり、実行には 50 分かかります。しかし、バッチ サイズを 1,000 に設定し、1 分間隔で実行するようにタイマー ジョブを設定すると、1 分後にはすべての操作の実行が開始されます。延期のしきい値を大きくすると、同時に実行できる操作が増え、キューに入れられる要求数が減り、それらのワークフローの処理にかかる合計時間が短くなります。

注意

同時ワークフロー インスタンスはそれぞれ個別のスレッドで実行され、新しい SQL Server 接続を開くので、時間が経過するとデータベース サーバーの最大接続数に達する可能性があります。そのため、延期のしきい値は 200 以下に設定することをお勧めします。

ワークフローをフロントエンド サーバーでは実行せず、操作を直ちに処理する必要もない場合には、指定したアプリケーション サーバーのみで Workflow Timer Service を実行するようにし、延期のしきい値を非常に小さい数に設定してワークフローが通常はタイマー サービスで実行されるようにし、バッチ サイズを大きい値に設定してアイテムをより迅速かつ短い間隔で受け取るようにすることができます。システムで同時に実行されるワークフロー数を増やす必要がある場合は、延期のしきい値をより大きい値に設定します。これにより、ワークフローが延期される頻度が減り、より迅速に反映されるようになります。

これらの設定を変更してワークフローの運用方法に合わせて最適化します。さまざまな設定をテストして、環境や要件に合うように最適化することをお勧めします。

キュー設定の調整

ファームで大規模のワークフローを長時間にわたって処理する場合や、システムにおいてワークフローからキューに入れられる遅延イベントが多数ある場合は、キューに入れられるワークフロー操作の数が増加します。キューを正常な状態に保つためには、基本的なキュー設定に加えて、次の設定を調整することが必要になる場合があります。

  • 作業アイテムのイベント配信のバッチ サイズ

    キューに入れられたイベント用にワークフローで使用されるテーブルは、SharePoint Server 2010 のワークフロー以外の他の機能 と共有する汎用の作業アイテム テーブルです。そのため、ワークフロー以外の作業アイテムをキューから削除する別のタイマー ジョブがあります。ワークフローのイベント配信のバッチ サイズと同様に、作業アイテムのイベント配信のバッチ サイズは、一度にキューから削除されるワークフロー以外の作業アイテム数を指定します。

  • ワークフロー フェールオーバー タイマー ジョブの頻度

    まれですが、ワークフロー イベントをワークフロー インスタンスに配信できない場合、イベント配信は、後で再試行するためにフェールオーバー作業アイテムとしてキューにスケジュールされます (最初は 5 分後、再度失敗した場合は 10 分後、その次は 20 分後のようになります)。ワークフロー フェールオーバー タイマー ジョブはフェールオーバー作業アイテムをキューから削除します。この設定はフェールオーバー タイマーの実行頻度を調整します。既定では、15 分間隔で実行されます。

  • ワークフロー フェールオーバーのバッチ サイズ

    ワークフローのバッチ サイズ設定および作業アイテムのバッチ サイズ設定と同様に、この設定は、各フェールオーバー タイマー ジョブによってキューから削除されるフェールオーバー イベント数を制御します。

    同じテーブル上で動作するタイマー ジョブが多数あるため、キューに入れられた大量のアイテムによってデータベース競合が発生し、スループットや信頼性が低下する場合があります。競合を減らすためには、次のことを推奨します。

    • 延期のしきい値とワークフローのバッチ サイズを調整します。具体的には、完了できずに並行して実行されるタイマー ジョブが増え続けるのを避けるために、次のタイマー ジョブが開始される前にタイマー ジョブを完了できるようにバッチ サイズを小さくするか、タイマー ジョブの頻度を上げます。

    • テーブル ロックを避けるには、両方のバッチ サイズの設定を 5,000 以下にしてください。

ヒント

ワークフロー、作業アイテム、およびフェールオーバーのタイマー ジョブの頻度を調整して、できるだけこれらの処理が同時に実行されないようにしてください。ワークフローを含む大きなリストを取得する場合には、ワークフロー タイマー ジョブの間隔を 4 分、フェールオーバーの間隔を 6 分にすると、テストで使用したデータ生成スクリプトでは効果的に機能しました。

タスク リストと履歴リストのスケーリングの強化

ワークフローでは、インスタンスごとに多数のタスクと履歴アイテムが生成されます。既定では、スケーリングに役立つようにこれらのリストにはインデックスが設定されますが、リストが大きくなると、必ずパフォーマンスも低下します。低下の割合を小さくするには、ワークフローの関連付けごとに別々の履歴リストとタスク リストを保持し、リストの増大に合わせてワークフローの関連付け設定でリストを定期的に変更します。

ワークフローには、ワークフロー インスタンスと完了後 60 日経過したインスタンスのタスクを自動的に削除する日次タイマー ジョブ (job-workflow-autoclean) もあります。タスク リストとタスク リスト上のイベントについてできる限り不要なデータがない状態に保つには、このタイマー ジョブを有効にしておきます。データを維持する必要がある場合は、他のリストやアーカイブ用の場所にデータを書き込んでください。このタイマー ジョブでは、ワークフローの履歴アイテムは削除されません。これらのデータをクリーンアップする必要がある場合は、スクリプトで実行するか、リスト ユーザー インターフェイスから手動で実行する必要があります。

その他の考慮事項

リストの列を削除すると、リスト内のアイテム数に比例してデータベース操作が発生します。ワークフローの関連付けを削除すると、リストからワークフローの状態列が削除されます。したがって、大きなリストでは多数の操作が発生します。リストに大量のアイテムがあるとわかっている場合は、ワークフローを削除するのではなく、ワークフローを [新しいインスタンスの開始を許可しない] に設定してください。

トラブルシューティング

ボトルネック 原因 解決方法

データベース競合 (ロック)

データベース ロックは、複数のユーザーが特定のデータのセットに対して競合する変更を加えることを禁止します。データのセットがユーザーまたはプロセスによってロックされている場合、そのユーザーまたはプロセスがデータの変更とロックの解除を完了するまで、他のユーザーまたはプロセスはその同じデータのセットを変更することはできません。

データベース ロックの発生を減らすには、次の方法があります。

  • ワークフローをより多くのドキュメント ライブラリに分散します。

  • データベース サーバーをスケールアップします。

  • データベース サーバーのハード ディスクを読み取り/書き込みに最適化します。

NOLOCK パラメーターなど、SQL Server 2005 にはデータベース ロックを回避する方法があります。ただし、データが破損する可能性があるため、この方法の使用は非推奨またはサポート対象外です。

データベース サーバーのディスク I/O

ハード ディスクに対する I/O 要求の数がディスクの I/O 容量を超えると、要求はキューに入れられます。その結果、各要求が完了するまでの時間が増加します。

複数の物理ドライブにデータ ファイルを分散すると、並列 I/O が可能になります。ディスク I/O に関する問題の解決に役立つ情報については、ブログ「SharePoint Disk Allocation and Disk I/O (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=129557&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

Web サーバーの CPU 利用率

Web サーバーがユーザー要求で過負荷になると、平均 CPU 利用率が 100% 近くになります。これにより、Web サーバーが要求にすぐに応答できなくなり、タイムアウトが発生してクライアント コンピューターにエラー メッセージが表示される場合があります。

この問題を解決する方法は 2 つあります。1 つは、Web サーバーをファームに追加してユーザー負荷を分散する方法で、もう 1 つは、より高速なプロセッサを追加して Web サーバーをスケール アップする方法です。

Web サーバー

次の表に、ファーム内の Web サーバーを監視するためのパフォーマンス カウンターおよびプロセスを示します。

パフォーマンス カウンター 対象のオブジェクト メモ

プロセッサ時間

合計

このスレッドが手順を実行するためにプロセッサを使用した経過時間の比率を表します。

メモリ使用率

アプリケーション プール

アプリケーション プールのシステム メモリの平均使用率を表します。監視するために適切なアプリケーション プールを指定する必要があります。

基本的なガイドラインとしては、特定の Web アプリケーションの最大メモリ使用率を確認し、その数に 10 を加えた値を関連付けられているアプリケーション プールに割り当てます。

データベース サーバー

次の表に、ファーム内のデータベース サーバーを監視するためのパフォーマンス カウンターおよびプロセスを示します。

パフォーマンス カウンター 対象のオブジェクト メモ

平均ディスク キュー長

SharedServices.mdf を格納するハード ディスク

平均値が 1.5/スピンドルを上回っている場合はハード ディスクの書き込み速度が不十分です。

プロセッサ時間

SQL Server プロセス

平均値が 80% を上回っている場合はデータベース サーバーのプロセッサ容量が不十分です。

プロセッサ時間

合計

このスレッドが手順を実行するためにプロセッサを使用した経過時間の比率を表します。

メモリ使用率

合計

システム メモリの平均使用率を表します。

See Also

Other Resources

Workflow Scalability and Performance in Windows SharePoint Services 3.0 (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=207353&clcid=0x411) (英語)