受信者について

 

どのようなメッセージング システムでも、システムの中心となるのはメッセージを受信する人とリソースです。ユーザーが同僚からのメッセージを受信したり、パブリック フォルダが特定のディスカッションの参加者からメッセージを受信したりします。

メッセージを受信するのは人ですが、"受信者" という用語は Microsoft Active Directory® ディレクトリ サービスのオブジェクトを表し、人を表すものではありません。受信者は、メッセージング機能を持った Active Directory オブジェクトです。ただし、オブジェクト自体はメッセージを受信しません。また、メッセージは Active Directory に格納されません。メッセージは、Exchange サーバーのメールボックス、パブリック フォルダ、またはその他のメッセージング システムに格納されます。

ユーザーはクライアント アプリケーションを使用して、自分宛てに送信されたメッセージにアクセスします。クライアント アプリケーションには、Microsoft Outlook®、Outlook Web Access、Outlook Mobile Access などがあります。これらのクライアントは、新しいメッセージが到着したときに通知を受け取り、メッセージを開いて読めるようにメッセージの場所を指すポインタを受信します。

次のシナリオは、電子メール メッセージを受信するユーザーと Active Directory オブジェクトの違いを示しています。Carole はマーケティング チームのメンバです。彼女が自分のユーザー アカウントを使用して自分のコンピュータや会社のネットワークにログオンする際はユーザー名とパスワードの入力が求められます。ログオン後はいくつかのネットワーク リソースにアクセスできます。その中の 1 つは Exchange メールボックスです。Carole は、電子メール クライアントの Outlook 2002 を使用して自分のメールボックスにアクセスします。Outlook は Exchange メールボックスにクエリを実行し、Carole の受信トレイにメッセージの一覧を表示します。Carole がメッセージのいずれかを開くと、Outlook は彼女のメールボックスが配置されている Exchange サーバーのメッセージ ストアから、メッセージの内容を取得します。

次の図に示すように、carole という名前の Active Directory ユーザー オブジェクトである受信者が存在します。carole 宛てのメールは、Exchange サーバー上の関連付けられたメールボックスに格納されます。ユーザー オブジェクト carole のドメイン コントローラに正しい資格情報が送信されると、電子メール クライアントはメールボックスの内容を使用できるようになります。

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Exchange における "受信者" という用語は、メールボックスまたはメールが有効な Active Directory オブジェクトを表します。メールボックスが有効な受信者は、メッセージを送信、受信、および格納できます。メールが有効な受信者は、メッセージの受信のみ可能です。

次の表は、Exchange 受信者になることができる Active Directory オブジェクトを示しています。

Exchange 受信者オブジェクト

Active Directory オブジェクト 受信者の種類 説明

ユーザー

メールボックスが有効

メールが有効

ユーザーはネットワークにログオンして、ドメインのリソースにアクセスできます。ユーザーをグループに追加して、グローバル アドレス一覧 (GAL) に表示できます。

メールボックスが有効なユーザーは、Exchange サーバーでメッセージを送信、受信、および格納できます。

メールが有効なユーザーは、外部電子メール アドレスでのみメッセージを受信できます。Exchange でメッセージを送信または格納することはできません。

InetOrgPerson

メールボックスが有効

メールが有効

InetOrgPerson オブジェクトを使用するディレクトリ サービスとの互換性を向上させるために、プロパティを拡張したユーザー オブジェクトです。受信者としての InetOrgPerson は、ユーザー オブジェクトと同じ特性を持ちます。

InetOrgPerson オブジェクトのメールまたはメールボックスを有効にするには、Microsoft Windows Server™ 2003 ドメイン コントローラと Exchange 2003 のみの (Exchange 2000 Server や Exchange Server Version 5.5 を実行しているサーバーがない) 環境が必要です。

連絡先

メールが有効

連絡先は、Exchange 組織の外部の人または組織に関する情報を含むオブジェクトです。メールが有効な連絡先は、外部電子メール アドレスで電子メール メッセージを受信できます。配布リストに追加して、グローバル アドレス一覧に表示できます。連絡先は、ネットワーク リソースにはアクセスできません。

グループ

メールが有効

グループは、ユーザー、InetOrgPerson オブジェクト、連絡先、パブリック フォルダ、およびその他のグループを含むオブジェクトです。

クエリ ベース配布グループ

メールが有効

クエリ ベース配布グループは、標準的な配布グループと似ていますが、LDAP クエリを使用してグループ メンバシップを動的に構築する点が異なります。クエリは、クエリ ベース配布グループにメッセージが送信されたときに実行されます。クエリ ベース配布グループを作成するときに、クエリの条件を選択します。

パブリック フォルダ

メールが有効

パブリック フォルダは、メッセージやその他のファイルを格納する、ユーザーがアクセス可能なネットワーク上のリポジトリです。

note注 :
パブリック フォルダは受信者ですが、ここで説明したその他の受信者とは異なります。パブリック フォルダの詳細については、「メールボックス ストアとパブリック フォルダ ストアの管理」を参照してください。