空き時間情報データの公開

 

ユーザーのクライアント アプリケーションから適切な Free/Busy フォルダへ空き時間情報データを公開するプロセスは、ユーザーが所有するクライアントによって多少異なることがあります。このため、Outlook やその他の MAPI ベースのクライアントの機能は、Microsoft Office Outlook Web Access for Exchange Server 2003 や Microsoft Outlook Mobile Access などの Web ベースのクライアントの機能とはいくぶん異なっています。

Outlook での空き時間情報データの公開

既定では、Outlook はユーザーの空き時間情報データを 15 分ごとに公開し、さらにシャットダウン時にも公開します。公開時に、Outlook は、既存のメッセージに変更点だけを追加するのではなく、空き時間情報メッセージ全体を更新します。このメッセージには、現在の月と 2 か月先までの空き時間情報データが含まれます。

Outlook ユーザーは、空き時間情報の設定を以下のようにカスタマイズすることができます。

  • 公開間隔を最短で 1 分まで短くすることができます。
  • 最長で 36 か月先までの情報を公開するように月数を設定できます。

次の図に、Outlook がユーザーの空き時間情報データを公開するしくみを示します。

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Outlook は、公開の必要が生じると、まず、適切な空き時間情報サブフォルダを特定します。Outlook は、Active Directory ディレクトリ サービスのユーザーのアカウントから legacyExchangeDN 属性を取得し、次に、この legacyExchangeDN 値を分割します。この値の最初の部分からユーザーの管理グループを識別し、それによって、適切な空き時間情報サブフォルダを特定することができます。2 番目の部分は、空き時間情報メッセージの件名として使用されます。

note注 :
legacyExchangeDN 値は、常に、ユーザーのメールボックスが最初に作成された管理グループを参照します。

たとえば、legacyExchangeDN 値が /o=Microsoft/ou=APPS-ABC/cn= RECIPIENTS/cn=ASAMPLE となっているユーザーがいるとします。このユーザーの空き時間情報データは、USER-/cn=RECIPIENTS/cn=ASAMPLE という件名のメッセージに格納されます。また、このメッセージは、SCHEDULE+ FREE BUSY フォルダのサブフォルダである EX:/o=Microsoft/ou=APPS-ABC フォルダに投稿されます。

note注 :
一部のエラーやレプリケーションの問題によって、あるユーザーの空き時間情報メッセージが重複して生成される場合があります。重複しているメッセージの件名の末尾には、-2 が付けられます (たとえば、USER-/cn=RECIPIENTS/cn=ASAMPLE-2 となります)。

Outlook は、Free/Busy フォルダを特定すると、メッセージを投稿できるパブリック フォルダ サーバーを選択します。Outlook は、SCHEDULE+ FREE BUSY システム フォルダの適切なサブフォルダのレプリカを備えた、パブリック フォルダ サーバーを見つける必要があります。

Outlook が Free/Busy フォルダを見つけるためのプロセスは、Exchange Server 2003 が Outlook に対して使用する通常のパブリック フォルダ参照プロセスとよく似ています。Outlook は、次の手順を実行して Free/Busy フォルダを見つけます。

  1. Outlook は、ユーザーのメールボックス ストアにアクセスして、関連付けられた (既定の) パブリック フォルダ ストアの場所を確認します。このパブリック フォルダ ストアは、メールボックス ストアと同じサーバー上か、または別の専用パブリック フォルダ サーバー上にあります。

  2. Outlook は、ユーザーの既定のパブリック フォルダ ストアに対し、空き時間情報データの公開を試みます。

  3. 既定のパブリック フォルダ ストアを使用できない場合、Exchange Server 2003 は、既定のパブリック フォルダ ツリーをサポートする別のパブリック フォルダ ストアを参照するよう Outlook に指示します。

  4. この新しいパブリック フォルダ ストアに Free/Busy フォルダのレプリカが含まれていない場合 (その可能性が高いのですが)、Exchange Server 2003 は、レプリカを含むサーバーの一覧を返します。この一覧では、各サーバーが、内部アルゴリズムによる優先度の順に表示されます。参照元のサーバーに、照会サーバーの構成済みの一覧が保持されている場合、Exchange Server 2003 はその一覧を使用します。

    note注 :
    複数のサーバーが参照の基準を満たす場合、Exchange Server 2003 はハッシュ アルゴリズムを使用してそのユーザーに対する優先サーバーを 1 台選択します。このアルゴリズムを使用すると、Exchange Server 2003 は、指定されたストアに特定のユーザーを確実に送信しながら、パブリック フォルダ ストア間でユーザーの負荷を分散することができます。
  5. Outlook は、一覧の最初のパブリック フォルダ サーバーに対してデータの公開を試みます。失敗した場合は次のサーバーに移動し、成功するまで公開を試みます。
    この参照プロセスでは、空き時間情報が常に同じパブリック フォルダ ストアに公開される保証はありません。ただし、情報は最終的にはすべてのストアにレプリケートされます。この参照プロセスは、自動的に行われ、無効にすることはできません。

パブリック フォルダの参照の詳細については、Exchange Server 2003 管理ガイドにあるメールボックス ストアとパブリック フォルダ ストアの管理についてのページを参照してください (このサイトは英語の場合があります)。

legacyExchangeDN 属性の詳細については、以下のマイクロソフト サポート技術情報の文書を参照してください。

Outlook Web Access および Outlook Mobile Access での空き時間情報データの公開

Outlook Web Access および Outlook Mobile Access は、空き時間情報データをパブリック フォルダ ストアに直接公開するのではなく、MadFB (MSExchangeFBPublish とも呼ばれます) という名前の空き時間情報公開エージェントを利用して公開します。このエージェントは、Microsoft Exchange System Attendant サービス (MSExchangeSA) の一部として実行されます。MadFB には 2 つの機能、つまり、Outlook Web Access および Outlook Mobile Access に代わって空き時間情報メッセージを公開するという機能と、重複した空き時間情報メッセージを削除するという機能があります。ここでは、公開機能について説明します。

note注 :
Microsoft Entourage for the Macintosh も、この MadFB プロセスを利用して空き時間情報データを公開します。

Outlook Web Access および Outlook Mobile Access は、あらかじめ設定された間隔で公開するのではなく、ユーザーが新しい予定を保存したときや、予定を削除したとき、あるいは予定の開始時刻または終了時刻への変更内容を保存したときに、空き時間情報データを公開します。次の図に、公開プロセスの基本手順を示します。

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公開プロセスの基本手順は、次のとおりです。

  1. Outlook Web Access (または Outlook Mobile Access) が、Outlook Web Access アプリケーションをサポートする Exchange Server 2003 を実行するサーバー (通常はフロントエンド サーバー) に空き時間情報の変更内容を送信します。このサーバーは、変更内容をユーザーのメールボックス サーバーに転送し、ここで変更内容が保存されます。
  2. Exchange Server 2003 が変更内容をコミットすると、空き時間情報メッセージはシステム アテンダント メールボックスに送信されます。
  3. MadFB は、一定間隔 (既定では 5 分) でポーリングを行い、空き時間情報メッセージを取得して、Free/Busy パブリック フォルダに公開します。
    MadFB は、Outlook と同じプロセスを使用して空き時間情報データを公開します。Exchange Server 2003 は、Outlook の場合と同様に、適切なパブリック フォルダ ストアを参照するよう MadFB に指示します。重複している空き時間情報メッセージがあれば、メッセージの件名に -2 が付けられます。
    note注 :
    プロセスのほとんどがクライアントではなく Exchange サーバーによって処理されるため、Outlook Web Access および Outlook Mobile Access を使用すると、Outlook を使用するよりもパフォーマンスおよび信頼性が向上します。