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サーバー統合の推奨事項

 

サーバー統合の機会を識別する際に、個々の特定の状況に適用できるかもしれないベスト プラクティスを検討することをお勧めします。たとえば、Microsoft® Exchange Server 2003 を実行するサーバーを設計する際は、Windows Server Catalog に記載されるハードウェアを使用することを強くお勧めします。Windows Server Catalog は、Microsoft が Windows Server™ 2003 向けに認定したハードウェアの一覧です。カタログは、https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=17219 で入手できます (英語ページの可能性があります)。Windows クラスタ内で複数のサーバーを展開する場合、ご使用のハードウェアがカタログの「Cluster Solutions」セクションに記載されていることを確認してください。

note注 :
Microsoft では、Windows Server 2003 ファミリの WHQL (Windows Hardware Quality Labs) のテストに合格したハードウェアのみを、Windows Server 2003 クラスタ向けにサポートします。

サーバー統合を計画するときは、以下の推奨事項に留意してください。

  • 余裕を持ってサーバー ハードウェアを設計する   将来の拡張に備えるため、現在および将来の要件に応じてサーバー ハードウェアを設計します。追加のプロセッサ、2 GB 以上のメモリ、およびメッセージング データベースの予測されるサイズの少なくとも 2 倍か 3 倍の容量を持つ信頼性の高い記憶域サブシステムの導入を検討することが望ましい場合もあります。ハードウェア テクノロジは急速に進化していることに注意してください。比較的短期間で、ご使用のサーバー プラットフォームでアップグレード オプションが利用できなくなる場合があるため、たとえば追加のプロセッサが必要な場合など、将来の需要によってシステム パフォーマンスを向上させる必要が生じたときに深刻な問題が発生します。

    note注 :
    Microsoft Exchange Information Store サービスで、1 GB 以上の物理メモリを持つサーバー上で最大 3 GB の仮想アドレス スペースを使用できるようにするために、サーバー上の Boot.ini ファイルを変更して、オペレーティング システムの起動行に /3GB および /USERVA パラメータを追加します。これらのパラメータの詳細については、マイクロソフト サポート技術情報の文書番号 316739「/userva スイッチと /3GB スイッチを使用してユーザー モード領域を 2 ~ 3 GB の間でチューニングする方法」を参照してください。
  • 単一障害点を避ける   サーバーの数を減らすことにより障害点の数も減りますが、障害の及ぼす影響は大きくなります。潜在的な障害点に対処するためには、冗長性を実装します。1 つのコンポーネントに障害が発生した場合に、別のコンポーネントが処理を引き継ぐことができます。停止中一時的にパフォーマンスが低下する可能性がありますが、ユーザーは作業を続行できます。
    以下のコンポーネントに冗長性を持たせる必要があります。

    • 全般的なサーバー コンポーネント   メールボックス サーバーで高可用性が重要な要件である場合は、プロセッサ、メモリ、マザーボード、およびその他のコンポーネントに対して Windows クラスタ化ソリューションを実装することを検討してください。Exchange 2003 は、Windows クラスタ化を実行しているクラスタをサポートします。最大 8 つのノードのうちの 1 つに障害が発生した場合、クラスタ内の別のノードが、元のノードが修復されるまで処理を引き継ぎます。

    • 記憶域サブシステム   Windows クラスタは、記憶域サブシステムに冗長性を提供しません。このため、記憶域サブシステム内に冗長性を持たせることが重要です。たとえば、RAID (Redundant Array of Independent Disks) を実装します。RAID 構成を実装すると、複数のディスクで同時に入出力 (I/O) 操作を実行する場合に、サーバーのパフォーマンスが向上します。次の表は、Exchange 2003 の一般的な RAID 構成の一覧です。

      Exchange 2003 の一般的な RAID 構成

      RAID テクノロジ 説明 使用場所 コメント

      RAID 0

      パリティなしのストライプ化されたディスク アレイ。

      おそらくクライアント コンピュータのディスク ドライブまたはサーバー。RAID 1 と共に使用されます。

      RAID 0 では、すべてのディスクで同時にデータを読み取りまたは書き込みできるため、非常に優れたパフォーマンスを達成できますが、この RAID 構成の欠点は、フォールト トレランスが備わっておらず、ディスク障害の発生するリスクが高いことです。アレイ内の 1 つのディスクが壊れるだけですべてのデータが失われ、バックアップから復元する必要が生じます。このため、RAID 1 を使用せずに RAID 0 のみがサーバー システムで使用されることはほとんどありません。

      RAID 1

      ミラー化されたディスク アレイ。

      オペレーティング システム、ページング ファイル、およびトランザクション ログ。

      RAID 1 では、書き込まれたデータがすべてミラー化され、両方のディスクに完全なデータが含まれるため、非常に優れたパフォーマンスとフォールト トレランスが得られます。この構成は、高度な信頼性を必要とするデータに最適です。この構成の欠点は、コストが高いことです。RAID 1 は、メールボックス サーバーおよびパブリック フォルダ サーバーのトランザクション ログの処理に推奨されるテクノロジです。

      RAID 0+1

      パリティなしの、ミラー化されたディスクのストライプ化されたアレイ。

      高度な入出力 (I/O) パフォーマンスとフォールト トレランスを必要とする Exchange データベース。

      この構成は、RAID 0 ドライブに含まれるミラー化されたディスクを組み合わせたものです。アレイ内の各ディスクはミラー化されるため、非常に高レベルのフォールト トレランスが保証されます。この RAID 構成は、多くの組織で選択される構成となりつつあります。個々のディスク サイズが 18 GB より大きい場合、RAID 5 の代わりに RAID 0+1 を使用する必要があります。RAID 0+1 では、きわめて優れたパフォーマンスと高い信頼性が得られます。

      RAID 5

      パリティを使用するストライプ化されたディスク アレイ。

      中程度のパフォーマンスとフォールト トレランスを必要とする Exchange データベース。

      RAID 5 の動作は RAID 0 と似ていますが、ディスクの 1 つに各ストライプ上のデータのチェックサムを書き込むメカニズムが含まれます。アレイ内の 1 つのディスクでエラーが発生した場合、システムは残りのハード ディスクからデータを再構築できます。RAID 5 アレイでは、小容量のディスクを多数使用する方が、大容量のディスクを少数使用するよりもパフォーマンスが優れていることに注意してください。たとえば、27 GB のディスクを 3 台使用する場合、使用可能な記憶域は 54 GB のみです。代わりに 9 GB のディスクを 9 台使用すると、72 GB の記憶域が使用可能となります。ただし、アレイにより多くのディスクを含めると、2 つのディスクが同時に壊れる可能性が高くなります。この場合、RAID ドライブを再度作成して、バックアップからデータを復元することが必要になります。小容量のディスクを多数使用するよりも、大容量のディスクを少数使用する方が安全であると言えます。前に説明したように、大容量のディスクを使用する場合は、RAID 5 の代わりに RAID 0+1 が推奨されます。

  • 強力なバックアップ ソリューションを実装する   大容量のデータを格納するサーバーでは、複数のバックアップ操作を同時に処理する高性能のバックアップ ソリューションを実装します。現在のバックアップ ソリューションでは、1 時間あたり 100 GB 以上のデータ転送速度を実現できます。ご使用のバックアップ ソリューションがそれほど高速でない場合、Exchange 2003 を迅速にバックアップする同時操作の実行を検討してください。個別のバックアップ セッションで、複数のストレージ グループを同時にバックアップできます。
    Exchange 2003 のバックアップ ソリューションを実装する場合は、Windows Server 2003 に含まれるバックアップ ツールに依存しないでください。これは、この基本的なツールでは、ボリューム シャドウ コピー サービスを使用できないためです。代わりに、Exchange 2003 ボリューム シャドウ コピー サービス リクエスタを含む、Microsoft 製品以外のバックアップ ソリューションの使用を検討してください。ボリューム シャドウ コピー サービスでは、リクエスタを使用して、Exchange 2003 データベースのシャドウ コピーを作成します。これらのシャドウ コピーによって、Windows Server 2003 のボリューム シャドウ コピー サービスは Exchange 2003 のバックアップと復元にかかる時間を大幅に削減できます。ボリューム シャドウ コピー サービスのインフラストラクチャに基づいた Microsoft 製品以外のソリューションでも、シャドウ コピーを使用して 1 つまたは複数のデータベースをほとんど瞬時に復元できます。

ボリューム シャドウ コピー サービスを使用して Exchange 2003 をバックアップする場合、次の一連の処理が実行されます。

  1. バックアップ プログラムが、手動のバックアップ プロセスまたはスケジュールされたバックアップ プロセスを開始します。
  2. バックアップ プログラム内のボリューム シャドウ コピー サービス リクエスタが、選択された Exchange 2003 ストレージ グループのシャドウ コピーを作成するためのコマンドをボリューム シャドウ コピー サービスに送信します。
  3. ボリューム シャドウ コピー サービスが、Exchange 2003 のボリューム シャドウ コピー ライタ コンポーネントと通信して、新しいトランザクションを一時停止し、現在のトランザクションを完了し、すべてのキャッシュされたデータをディスクにフラッシュします。
  4. ボリューム シャドウ コピー サービスが適切なストレージ プロバイダと通信して、Exchange 2003 ストレージ グループを含むストレージ ボリュームのシャドウ コピーを作成します。
  5. ボリューム シャドウ コピー サービスが、通常の動作を再開するように Exchange 2003 に通知します。
  6. バックアップ プログラムは、ストレージ グループ データベースおよびログのシャドウ コピーを、テープ バックアップ デバイスにコピーします。
  7. テープ コピーが完了すると、バックアップ プログラムのボリューム シャドウ コピー サービス リクエスタが、シャドウ コピーを削除するために、ボリューム シャドウ コピー サービスと通信します。