受信者の制限について

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-07-11

Microsoft Exchange Server 2007 では、組織内の受信者に対してさまざまな制限を構成できます。これらの制限によって、組織のポリシーと一貫した方法で受信者を使用することができます。

このトピックでは、次の受信者の制限について説明します。

  • メッセージのサイズ制限
  • メッセージの配信制限
  • メッセージごとの最大受信者数制限
  • メールボックスのサイズ制限

メッセージのサイズ制限

メッセージのサイズ制限は、メッセージング システムで最も一般的に使用される制限です。最大メッセージ サイズを設定すると、メッセージング システムまたは基盤となるネットワーク インフラストラクチャに過剰な負担がかかるのを防ぐことができます。

実現する目的に基づいて、Exchange 2007 では複数のコンポーネントのメッセージ サイズの制限を構成することができます。たとえば、メッセージの合計サイズ、または (メッセージ ヘッダー、添付ファイル、または受信者数などの) 個々のメッセージ コンポーネントのサイズを制限できます。

メッセージ サイズの制限を Exchange 2007 組織全体に適用するか、特定のコネクタまたはユーザー オブジェクトに適用するかどうかを指定することもできますが、ここでは受信者に適用できるメッセージ サイズの制限のみを重点的に説明します。Exchange 2007 組織で構成できるメッセージ サイズの制限の完全なリストについては、「メッセージ サイズの制限の管理」を参照してください。

個々の受信者のメッセージ サイズの制限を構成する際には、組織内に存在する場合があるその他のメッセージ サイズの制限を考慮することが重要です。たとえば、組織内のハブ トランスポート サーバーがメッセージ サイズを 10 MB に制限するように構成されていると仮定します。この場合、外部アドレスを持つメール連絡先の場合、最大受信サイズを 10 MB 以内に設定する必要があります。組織内の送信者はこのメール連絡先に 10 MB を超えるメッセージを送信できますが、メッセージはハブ トランスポート サーバーにより拒否されます。さまざまなメッセージ サイズの制限が相互にどのように影響するか、および優先順位の詳細については、「メッセージ サイズの制限の管理」を参照してください。

すべての受信者の種類のメッセージ サイズの制限

Exchange 2007 は、すべての受信者にメッセージを配信またはルーティングすることができます。そのため、Exchange 組織の受信者の種類に対して最大受信メッセージ サイズの制限を設定できます。ある送信者が、指定されたサイズよりも大きいメッセージの送信を試みると、エラーであることを示すメッセージと共にメッセージが送信者に返されます。

Exchange 管理コンソールでは、受信者のプロパティの [メール フローの設定] を使用して、最大受信メッセージ サイズを設定します。Exchange 管理シェルでは、適切な Set- コマンドレットの MaxReceiveSize パラメータを使用します。受信者の受信メッセージ サイズの制限を構成する方法の例については、「メールボックスまたはメールが有効なパブリック フォルダのメッセージ サイズの制限を構成する方法」を参照してください。

メールボックスおよびメールが有効なパブリック フォルダに固有のメッセージ サイズの制限

メールボックスおよびメールが有効なパブリック フォルダのみが、Exchange 2007 メッセージング システムにメッセージを送信できる受信者の種類です。そのため、受信メッセージ サイズの制限の設定に加えて、送信メッセージ サイズの制限を設定することもできます。

Exchange 管理コンソールでは、メールボックスのプロパティの [メール フローの設定] タブを使用して、メールボックスの最大送信メッセージ サイズを設定します。Exchange 管理シェルでは、Set-Mailbox および Set-MailPublicFolder コマンドレットの MaxSendSize パラメータを使用します。メールボックスおよびメールが有効なパブリック フォルダの送信メッセージ サイズの制限を構成する方法の例については、「メールボックスまたはメールが有効なパブリック フォルダのメッセージ サイズの制限を構成する方法」を参照してください。

important重要 :
メールボックス ユーザーに対して送信メッセージ サイズの制限を実装している場合は、クライアント アクセス サーバーが、構成した送信メッセージ サイズの制限以上のクライアント要求を受け付けるように構成されていることを確認する必要もあります。Microsoft Outlook Web Access は ASP.NET を使用するため、ASP.NET の構成の影響を受けます。ASP.NET には設定 maxRequestLength があり、これは Web ブラウザがクライアント アクセス サーバーに送信できる最大データ量を決定します。この制限が送信メッセージ サイズの制限よりも小さい場合、ユーザーは意味不明なエラーを受信する場合があります。Outlook Web Access での最大メッセージ サイズの管理の詳細については、「Outlook Web Access での最大メッセージ サイズの管理方法」を参照してください。

Exchange 2007 Service Pack 1 (SP1) の新機能

Exchange 2007 の RTM (Release To Manufacturing) 版では、メールが有効なパブリック フォルダのメッセージ サイズの制限を構成するには、Set-MailPublicFolder コマンドレットを使用するしかありませんでした。Exchange 2007 SP1 には、Microsoft 管理コンソール (MMC) 3.0 ベースのインターフェイスであり、パブリック フォルダを作成、構成、および管理するためのグラフィカル ユーザー インターフェイス (GUI) を Exchange の管理者に提供する、パブリック フォルダ管理コンソールが導入されています。Exchange 2007 SP1 では、パブリック フォルダ管理コンソールにあるパブリック フォルダのプロパティの [メール フローの設定] タブで [メッセージのサイズ制限] オプションを使用することで、メールが有効なパブリック フォルダのメッセージ サイズの制限を構成することもできます。パブリック フォルダ管理コンソールの詳細については、「パブリック フォルダ管理コンソールの使用」を参照してください。

メッセージの配信制限

Exchange 2007 では、個々の受信者にメッセージを配信する方法に対して制限を設定できます。メッセージの配信制限は、すべての受信者の種類に適用され、また Exchange 2007 組織の特定の受信者へのアクセスを制御するのに便利なことがあります。たとえば、複数の組織では、一連の少数のユーザーのみが大きな配布グループにメッセージを送信できることを指定します。

受信者に対する次のメッセージの配信制限を構成できます。

  • [特定の送信者の一覧からのメッセージを受け付ける]   メッセージを受け付ける送信者の一覧を指定した場合、受信者はそれらの送信者からのメッセージのみを受信します。既定では、すべての受信者がすべての送信者からのメッセージを受け付けるように構成されています。
    認証された少数の送信者のみがメッセージを送信できるようにする受信者には、この制限を使用します。たとえば、組織の全従業員が含まれる配布グループを、企業全体の通信を担当する人事部の特定の従業員からのメッセージのみを受け付けるように構成できます。この制限を使用できる別のシナリオの対象には、小売業の組織の納入業者を表すメール連絡先があります。これらの各メール連絡先を、それらの納入業者と直接取引する購買担当者からのメッセージのみを受信するように構成できます。

  • [特定の送信者の一覧からのメッセージを拒否する]   メッセージを拒否する送信者の一覧を指定した場合、受信者はそれらの送信者からのメッセージを拒否します。既定では、すべての受信者がどの送信者からのメッセージも拒否しないように構成されています。

    note注 :
    この制限は、[特定の送信者の一覧からのメッセージを受け付ける] の制限よりも優先されます。ある送信者が両方のリストにある場合、その送信者により送信されるメッセージは拒否されます。

    特定のユーザーが特定の受信者にメッセージを送信することを禁止するには、この制限を使用します。この制限がどのように有用であるかに関する例について、次のシナリオを考えます。"全従業員" という名前の配布グループを作成します。この配布グループを、人事部の配布グループのメンバである送信者からのメッセージのみを受け付けるように構成します。ただし、人事部の配布グループには、"全従業員" 配布グループへのアクセスを許可したくないインターンのメールボックスも含まれています。そのため、インターンのメールボックスから "全従業員" 配布グループにメッセージを送信できないようにするため、"全従業員" グループの [特定の送信者の一覧からのメッセージを拒否する] の制限を構成する際にインターンのメールボックスを指定することができます。

  • [すべての送信者の認証を要求する]   ある受信者を、すべての送信者の認証を要求するように構成する場合、組織の有効なログオン資格情報を持たない送信者からのメッセージは拒否されます。既定では、新しい配布グループと動的配布グループのみが、すべての送信者の認証を要求するように構成されています。

    note注 :
    Exchange の旧バージョンでは、既定で、すべての送信者の認証を要求するように構成されている受信者はありませんでした。そのため、Exchange の旧バージョンから移行したどの配布グループにも、この制限は構成されません。

    正常に認証された内部の送信者からのメッセージのみを受信者が受信するように指定するには、この制限を使用します。たとえば、Exchange 組織の外部から発信されたメッセージが、内部通信用に使用される配布グループに配信されないようにするために、送信者の認証を要求するようにこれらのグループを構成することができます。

受信者のメッセージの配信制限を構成する方法の詳細については、「メッセージの配信制限を構成する方法」を参照してください。

Exchange 2007 SP1 の新機能

Exchange 2007 RTM では、メールが有効なパブリック フォルダのメッセージの配信制限を構成するには、Set-MailPublicFolder コマンドレットを使用するしかありませんでした。Exchange 2007 SP1 には、Microsoft 管理コンソール (MMC) 3.0 ベースのインターフェイスであり、パブリック フォルダを作成、構成、および維持するためのグラフィカル ユーザー インターフェイスを Exchange の管理者に提供する、パブリック フォルダ管理コンソールが導入されています。Exchange 2007 SP1 では、[配信オプション] ダイアログ ボックスを使用して、メールが有効なパブリック フォルダのメッセージの配信制限を構成することもできます。このダイアログ ボックスは、パブリック フォルダ管理コンソールにあるパブリック フォルダのプロパティの [メール フローの設定] タブから使用できます。パブリック フォルダ管理コンソールの詳細については、「パブリック フォルダ管理コンソールの使用」を参照してください。

メッセージごとの最大受信者数制限

ハブ トランスポート サーバーが、多数の受信者に送信されるメッセージをルーティングするには、長い時間を要する可能性があります。その結果、ハブ トランスポート サーバーのパフォーマンスに影響し、Exchange 組織でのメッセージ配信全体に影響する場合があります。

このリスクをなくすため、メッセージごとに許可される受信者の数を制限することができます。この制限はメールボックスのレベルで構成できますが、組織のレベル、コネクタのレベル (受信コネクタのみ)、およびハブ トランスポート サーバーのレベルなどのより高いレベルで構成することもできます。一般的には、より高いレベルでこの設定を構成し、例外に対してのみメールボックスのレベルでの構成を使用することをお勧めします。この制限を構成できるさまざまなレベル、および既定値の一覧については、「メッセージ サイズの制限の管理」を参照してください。

メールボックスのメッセージごとの最大受信者数制限を構成する方法の詳細については、「メッセージあたりの受信者数を制限する方法」を参照してください。

メールボックスのサイズ制限

Exchange 2007 では、メールボックスの格納域の制限を構成できます。格納域の制限を使用することで、メールボックスのサイズを制御し、メールボックス データベースの増大を管理することができます。メールボックスの格納域の制限を構成する方法の詳細については、「メールボックスの格納域の制限を構成する方法」を参照してください。

note注 :
また、メールボックス データベースのレベルで格納域の制限を構成することもできます。メールボックス データベースに対して構成される制限は、メールボックスがメールボックス データベースの既定値を使用しないように構成されていない限り、データベース内のすべてのメールボックスに適用されます。一般的には、メールボックス データベースのレベルで格納域の制限を構成し、例外に対してのみメールボックスのレベルでの構成を使用することをお勧めします。メールボックス データベースの格納域の制限を構成する方法の詳細については、「メールボックス データベースの格納域の制限を構成する方法」を参照してください。

格納域の制限は格納域の容量計画に直接影響するため、格納域の制限の計画には注意が必要です。格納域の制限、メールボックス データベースごとのメールボックスの数、各メールボックス データベースをホストする記憶域サブシステムはすべて、展開を計画する際に考慮する必要がある要素です。これらの各要素が展開計画にどのように影響するかについては、「ディスク記憶域の計画」を参照してください。

Exchange 組織にユニファイド メッセージング (UM) を展開する前には、構成した既存の格納域の制限を確認する必要があります。各音声メッセージには Windows Media オーディオ (.wma) ファイルおよび Waveform オーディオ (.wav) ファイルが添付されるため、音声メッセージは電子メール メッセージよりも大きくなる場合があります。その結果、音声メッセージにより、添付ファイルのない電子メール メッセージよりも早く、ユーザーのメールボックスが制限を超える場合があります。UM の格納域の制限への影響については、「格納域の制限とボイス メールについて」を参照してください。

メールボックスの格納域の制限を構成する方法の詳細については、「メールボックスの格納域の制限を構成する方法」を参照してください。

メッセージング レコード管理

Exchange 2007 には、メッセージング レコード管理 (MRM) と呼ばれる新機能が導入されています。MRM は、メールボックスに設定される別の格納域の制限ではありません。ただし、MRM ポリシーは組織でのメールボックスのサイズの管理に役立つため、ここでこの機能について説明します。

特に、MRM は次の機能により、メールボックスのサイズの管理に役立ちます。

  • 企業ポリシー、政府規制、または法的要件への準拠に必要な状態を容易に維持できるようにすることにより、電子メールやその他の通信に関連したリスクを軽減する。
  • 法的な価値またはビジネス上の価値がないコンテンツを削除する。

MRM の詳細については、「メッセージング レコード管理について」を参照してください。

パブリック フォルダのサイズ制限

メールボックスと同様に、メールが有効なパブリック フォルダの格納域の制限を構成できます。格納域の制限を使用することで、メールが有効なパブリック フォルダのサイズを制御し、パブリック フォルダ データベースの増大を管理できます。

格納域の制限に加えて、パブリック フォルダの保存期間を定義することもできます。パブリック フォルダの保存期間を指定すると、変更されることなく保存期間を過ぎたパブリック フォルダ内のすべてのアイテムは、パブリック フォルダから自動的に削除されます。これは、パブリック フォルダ データベースの増大を制御するための追加オプションを管理者に提供します。パブリック フォルダの格納域の制限と保存期間を構成する方法の詳細については、「メールが有効なパブリック フォルダの設定を表示または構成する方法」を参照してください。

note注 :
格納域の制限と保存期間は、メールが有効ではないパブリック フォルダにも適用されます。

詳細情報

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。