コンテンツ フィルタ

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-02-08

Microsoft Exchange Server 2007 では、コンテンツ フィルタ エージェントは、Exchange Server 2003 に含まれている次世代の Exchange インテリジェント メッセージ フィルタです。

インテリジェント メッセージ フィルタは、Microsoft Research が開発した特許取得済みのマシン学習テクノロジに基づいています。インテリジェント メッセージ フィルタは、その開発過程において、正当なメッセージと迷惑な商用電子メール (スパム) の特性から、それらを区別する方法を学習しました。それらのメッセージは、Microsoft パートナーによって発信されたもので、正当なメッセージとスパム メッセージのどちらかとして分類されました。

インテリジェント メッセージ フィルタは、受信電子メール メッセージを評価し、受信メッセージが正当なものかスパムであるか、その確率を評価します。他の多くのフィルタリング テクノロジとは異なり、インテリジェント メッセージ フィルタは、統計的に意味のある数の電子メール メッセージのサンプルから得た特性を使用しています。このサンプルには正当なメッセージも含まれているため、誤りが発生する可能性は少なくなっています。インテリジェント メッセージ フィルタが正当なメッセージとスパムの両方の特性を認識していることによって、インテリジェント メッセージ フィルタの精度は向上しています。

インテリジェント メッセージ フィルタのマシン学習は継続的で累積的なプロセスです。インテリジェント メッセージ フィルタの更新版は、Microsoft Update から定期的に入手できます (このサイトは英語の場合があります)。

コンテンツ フィルタ エージェントの使用方法

コンテンツ フィルタ エージェントは、いくつかあるスパム対策エージェントの 1 つです。エッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータにスパム対策エージェントを構成すると、エージェントはメッセージに対して累積的な処理を実行するので、組織に届くスパム メッセージの数を減らすことができます。スパム対策エージェントを計画および展開する方法の詳細については、「スパム対策およびウイルス対策向けの機能」を参照してください。

コンテンツ フィルタ エージェントは、各メッセージに SCL (Spam Confidence Level) レベルを割り当てます。SCL レベルは 0 ~ 9 の数値です。SCL レベルが高いほど、メッセージがスパムである可能性が高いことを示します。

メッセージを、その SCL レベルに従って次のように処理するようにコンテンツ フィルタ エージェントを構成することができます。

  • メッセージを削除する。
  • メッセージを拒否する。
  • メッセージを隔離する。

たとえば、SCL レベルが 7 以上のメッセージは削除し、SCL レベルが 6 のメッセージは拒否し、SCL レベルが 5 のメッセージは検疫場所に移動する必要があると判断したとします。

これらの動作に異なる SCL レベルをそれぞれ割り当て、SCL しきい値の動作を調整することができます。組織の要件に合うように SCL しきい値を調整する方法と受信者ごとの SCL しきい値の詳細については、「Spam Confidence Level のしきい値の調整」を参照してください。

note注 :
11 MB を超えるメッセージは、インテリジェント メッセージ フィルタによってスキャンされません。スキャンされずにコンテンツ フィルタを通過します。ただし、Exchange 2007 受信コネクタで構成される既定の最大メッセージ サイズ制限は 10 MB です。したがって、インテリジェント メッセージ フィルタのしきい値 11 MB は、既定の Exchange 構成では実質的に問題となりません。

許可語句とブロック語句

カスタム単語を構成することによって、コンテンツ フィルタ エージェントがどのように SCL 値を割り当てるかをカスタマイズすることができます。カスタム単語とは、コンテンツ フィルタ エージェントが適切なフィルタ処理に適用するために使用する、個々の単語または語句です。承認した単語や語句は許可語句として構成し、承認しない単語や語句はブロック語句として構成します。コンテンツ フィルタ エージェントは、受信メッセージ内で事前に構成された許可語句を検出すると、自動的にそのメッセージに 0 の SCL 値を割り当てます。また、コンテンツ フィルタ エージェントが受信メッセージ内で構成されたブロック語句を検出すると、9 の SCL レベルを割り当てます。

Outlook 電子メールの消印の検証

コンテンツ フィルタ エージェントには、Microsoft Office Outlook 電子メールの消印の検証も含まれています。これは、Outlook が送信メッセージに適用して、受信者のメッセージング システムで正当な電子メールを迷惑メールから区別しやすいようにする演算検証です。この機能によって、誤検知の可能性を減らすことができます。スパム フィルタ処理には、スパム フィルタが正当な送信者からのメッセージを誤ってスパムとして識別する誤検知が存在します。Outlook 電子メールの消印の検証が有効になっていると、コンテンツ フィルタ エージェントは受信メッセージの演算用消印ヘッダーを解析します。メッセージ内に解決済みの有効な演算用消印ヘッダーが存在することは、そのメッセージを生成したクライアント コンピュータが演算用消印を解決したことを示しています。

コンピュータが個々の演算用消印を解決するために必要な処理時間はそれほど長くはありません。ただし、悪意のある送信者にとって、多くのメッセージに対する消印を処理することはかなりの負担になり得ます。数百万通ものスパム メッセージを送信する者が、送信スパムすべての演算用消印を解決するために必要な処理能力に投資する可能性は高くありません。送信者の電子メールに解決済みの有効な演算用消印が含まれている場合、その送信者が悪意のある送信者であることはまれです。この場合は、コンテンツ フィルタ エージェントは SCL レベルを下げます。消印の検証機能が有効で、受信メッセージに演算用消印ヘッダーが含まれていないか、演算用消印ヘッダーが有効でない場合は、コンテンツ フィルタ エージェントはそのメッセージの SCL レベルを変更しません。

受信者、送信者、および送信側ドメインの省略

組織の中には、特定のエイリアス宛ての電子メールをすべて受け付ける必要がある組織もあります。組織が膨大な量のスパムを管理するような業界に属する場合、このシナリオは問題となる場合があります。

たとえば、Woodgrove Bank という企業が、外部の融資先に電子メール ベースのサポートを提供するための customerloans@woodgrovebank.com というエイリアスを持っているとします。Exchange 管理者は、悪意のある金融業者によって送信されるスパムで典型的に使用される単語や語句をフィルタ処理する、ブロック語句を設定するようにコンテンツ フィルタ エージェントを構成します。管理者は、正当なメッセージである可能性が高いメッセージが拒否されないようにするために、コンテンツ フィルタ エージェントの構成に SMTP 電子メール受信者アドレスの一覧を入力することによって、コンテンツ フィルタに例外を設定します。

コンテンツ フィルタ エージェントのブロック対象外にする送信者と送信側ドメインを指定することもできます。

セーフ リスト集約機能

Exchange Server 2007 では、エッジ トランスポート サーバーのコンテンツ フィルタ エージェントは、Outlook から Microsoft Office Outlook 2003 の [差出人セーフ リスト]、[宛先セーフ リスト]、および信頼できる連絡先を使用して、スパム フィルタ処理を最適化します。セーフ リスト集約機能は、Outlook と Exchange Server 2007 にわたって共有される一連のスパム対策機能です。その名前が示すように、この機能は Outlook ユーザーが構成したスパム対策のセーフ リストからデータを収集して、このデータをエッジ トランスポート サーバーのスパム対策エージェントが使用できるようにします。Exchange 管理者がセーフ リスト集約機能を有効にして正しく構成すると、コンテンツ フィルタ エージェントは、エンタープライズ メールボックスに追加処理なしで安全な電子メール メッセージを渡します。Outlook ユーザーが、自身の Outlook の [宛先セーフ リスト]、[差出人セーフ リスト]、または信頼できる連絡先に追加した相手から受信した電子メール メッセージは、コンテンツ フィルタ エージェントによって安全と識別されます。詳細については、「セーフ リスト集約機能」を参照してください。

コンテンツ フィルタ エージェントの構成

Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用して、コンテンツ フィルタ エージェントを構成します。

important重要 :
Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用してコンテンツ フィルタ エージェントに加えた構成の変更は、エッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているローカル コンピュータに対してのみ適用されます。組織内でエッジ トランスポート サーバーの役割のインスタンスを複数実行している場合は、各コンピュータのコンテンツ フィルタの構成を変更する必要があります。

コンテンツ フィルタを構成する方法の詳細については、「コンテンツ フィルタの構成」を参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。