メッセージングのポリシーと準拠に関する新機能
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2006-11-13
組織は、増え続ける法規制上の要件や内部のポリシーと準拠の要件に対応するためのアプリケーション固有の方法を必要としています。管理者は、組織内のユーザー間、インターネットとの間、またはパートナー組織間の電子メールのフローにフィルタを適用し、それらの電子メールを処理および格納する必要があります。Microsoft Exchange Server 2007 は、情報フローを保護および制御するために増え続ける要件に対応するために、広範な一連の電子メールに対するポリシーと準拠の機能を提供します。
Exchange 2007 のポリシーと準拠の機能を使用することにより、トランスポート内のメッセージにルールを適用して、格納されるデータの保存要件を設定することができます。トランスポート ベースのポリシーは、ハブ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータおよびエッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータで構成されます。トランスポート エージェントのコレクションを使用すると、メッセージがトランスポート コンポーネントとの間で入出力されるときに適用されるルールと設定を構成できます。組織に適用される規制に対応し、かつ組織の要件に合わせて容易に変更可能なポリシーとルールの設定を作成することができます。ジャーナリング エージェントは、送信中のメッセージに対して機能し、指定された基準を満たすメッセージの保存要件を適用します。メッセージング レコード管理 (MRM) ポリシーは、ユーザーの受信トレイ内の管理フォルダに適用され、メッセージ保存管理を自動化および簡略化します。組織は、ストレージ機能の構成により、組織のポリシーに応じた保存と破棄の効率的なシステムを実現して、これらの法規制上の要件や内部の要件により容易に準拠できるようになります。
このトピックで説明されている機能を、法規制上の要件や内部のポリシーに準拠するための組織の要件をサポートするために使用してください。トランスポート ルールとジャーナリングは、メッセージの分類後にトリガされ、メッセージ、送信者の ID、および受信者の ID に関する情報を使用してどのポリシーを適用するかを判断します。Exchange 組織内で実行される機能は、Exchange 組織管理者によって構成されます。この構成情報は、Active Directory ディレクトリ サービスに格納されます。データを Active Directory に格納すると、このポリシー設定がすべての内部の Exchange サーバーの役割から使用可能になります。これにより、ポリシーを 1 回構成するだけで、そのポリシーが組織全体に一貫して継続的に適用されるようになります。
電子メール ポリシーと準拠の機能
- アドレス書き換え アドレス書き換えエージェントは、受信および送信メッセージに対して SMTP (簡易メール転送プロトコル) アドレスを変更できるようにするために、エッジ トランスポート サーバーの役割で構成します。アドレス書き換えは、特に、複数のドメインがある組織で、Exchange 2007 組織から発信されるメッセージの外部の受信者に対して、電子メール アドレスを一貫した形式で表示したい場合に有効です。詳細については、「アドレス書き換えの計画」を参照してください。
- エッジ トランスポート ルール エッジ ルール エージェントは、インターネットとの間で送受信されるメッセージ フローを制御するルールを作成するために、エッジ トランスポート サーバーの役割で構成します。エッジ トランスポート ルールは、指定された条件に一致するメッセージにアクションを適用することによって、企業ネットワークのリソースとデータを保護するために役立ちます。これらのルールはサーバーごとに構成されます。エッジ トランスポート ルールの条件は各データ、たとえば、メッセージの件名、本文、ヘッダー、または送信元アドレスに含まれている特定の単語またはテキスト パターン、SCL (Spam Confidence Level)、添付ファイルの種類などに基づいています。指定された条件に当てはまる場合のメッセージの処理方法はアクションによって決まります。可能な動作には、メッセージの検疫、メッセージの破棄または拒否、他の受信者の追加、イベントのログ出力などがあります。オプションの例外は、特定のメッセージをアクションの適用対象外にします。
エッジ ルール エージェントは、インターネットとの間で送受信されるメッセージを処理します。同一組織内のユーザー間で送受信されるメッセージにルールを適用するには、トランスポート ルール エージェントを構成する必要があります。詳細については、「トランスポート ルールの概要」を参照してください。 - ハブ トランスポート ルール トランスポート ルール エージェントは、組織内のユーザーの間で送受信されるメッセージに適用するルールを作成するために、ハブ トランスポート サーバーの役割で構成します。ハブ トランスポート ルールは、法規制への準拠や企業ポリシーの要件に影響される通信を制御するために役立ちます。これらのルールは Active Directory ディレクトリ サービスに格納され、すべてのハブ トランスポート サーバーによって適用されます。ハブ トランスポート ルールは、拡張された条件のセットをサポートしており、これを使用することにより、配布グループ、内部または外部の受信者、メッセージの分類、メッセージの重要度などに基づいてメッセージ フローを制御できます。指定された条件に当てはまる場合のメッセージの処理方法はアクションによって決まります。可能な動作には、メッセージの分類の適用、免責事項の追加、別のアドレスへのメッセージのリダイレクト、メッセージ ヘッダーの削除、イベントのログ出力などがあります。オプションの例外は、特定のメッセージをアクションの適用対象外にします。
ハブ トランスポート ルールを使用することにより、利害関係が対立している可能性のある内部の部門間の通信を制限するための法規制の倫理的境界を形成すると共に、企業と顧客をプライバシーの侵害から保護することができます。詳細については、「トランスポート ルールの概要」を参照してください。 - 免責事項 メッセージ本文の最初または最後に免責事項を追加するトランスポート ルールを構成することもできます。Exchange 組織管理者は、組織の要件に応じて免責事項をカスタマイズできます。これらの免責事項には、メッセージのコンテンツ、つまり、所有権情報や機密情報の誤った公開に対処するためのテキストを含めることができます。詳細については、「免責事項の概要」を参照してください。
- ジャーナリング ジャーナル ルールは、ハブ トランスポート サーバーで構成できます。トランスポート ベースのジャーナリングによって、Exchange Server 2003 のストア ベースの構成より高い柔軟性が得られると共に、ジャーナル レポートの重複も削減されます。通信はメッセージの配布範囲に従ってジャーナルされ、ジャーナリング動作をトリガする条件は、個別のユーザーや、送信者または受信者の配布リストのメンバシップを条件として指定することによりその精度を上げることができます。ジャーナル レポートは、Exchange メールボックスまたは任意の有効な SMTP アドレスに配信できます。この柔軟性によって、アーカイブまたはホストされているサービスにジャーナルを行うことができます。詳細については、「ジャーナリングの概要」を参照してください。
- メッセージング レコード管理 管理者は Exchange 2007 の MRM 機能を使用して、ユーザーや組織がビジネス上または法的な理由で必要なメッセージを保存し、不要なメッセージを削除できるように構成できます。それには、保存ポリシーが適用されている受信トレイ フォルダである管理フォルダを構成します。
保存ポリシーは、管理者によって作成されたフォルダと、受信トレイや送信済みアイテム フォルダなどの既定のメールボックス フォルダに適用できます。これらの管理フォルダは、管理者またはユーザーによってユーザーの受信トレイに配置されます。その後、ユーザーは、組織のポリシーに従ってメッセージを並べ替えて管理フォルダ内に格納します。これらのフォルダは、ユーザーごとにユーザーのメールボックスに展開できます。
Exchange にはまた、顧客やサード パーティ ベンダが、ユーザー独自の管理フォルダの選択が可能な "セルフ サービス" インターフェイスを提供する Web ページを構築できるようにするための Web サービスも含まれています。これらの管理フォルダに配置されたメッセージは、保存ポリシーに従って定期的に処理されます。メッセージが保存制限に到達したときは、アーカイブ、削除、ユーザー通知のためのフラグの設定、またはログ出力を行うことができます。詳細については、「メッセージング レコード管理の管理」を参照してください。
詳細情報
電子メール通信および情報ライフ サイクルの集中管理に対する組織の要件を満たすように Exchange 2007 を構成する方法の詳細については、以下のトピックを参照してください。
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。