Outlook Web Access の Web パーツを構成する方法

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2009-10-29

ここでは、Microsoft Office Outlook Web Access の Web パーツについて、およびそれを使用して特定のフォルダを開く方法について説明します。Outlook Web Access の Web パーツを使用して、開くメールボックス、そのメールボックスの中で開くフォルダ、および使用するコンテンツ ビューを指定できます。

Outlook Web Access の Web パーツを使用すると、URL から Outlook Web Access のコンテンツに直接アクセスできます。URL は、Web ブラウザで入力するか、アプリケーションに埋め込むことができます。一般に、Web パーツは手動では作成しません。ユーザー インターフェイス (UI) での選択に基づいてプログラムで作成するか、または Microsoft Office SharePoint Server 2007 ページなどのアプリケーションに直接埋め込みます。UI の背後にあるコードが、URL を作成します。Outlook Web Access の Web パーツの用途の 1 つは、Office SharePoint Server 2007 ページにユーザーの受信トレイまたは予定表を表示することです。

note注 :
Outlook Web Access の Web パーツを使用するには、ユーザーのメールボックスおよび Web パーツを使用して開くメールボックスの両方が Active Directory フォレスト内にある必要があります。

Outlook Web Access の Web パーツを使用するためのアクセス許可

Outlook Web Access の Web パーツを使用するには、少なくとも、開くコンテンツに対する "参照者" アクセスを委任される必要があります。認証が必要な Outlook Web Access Web パーツをアプリケーションに埋め込む場合は、Web パーツに対する要求と共に認証情報を渡す必要があります。そのための方法の 1 つは、Outlook Web Access 仮想ディレクトリを構成して統合 Windows 認証を使用するものです。統合 Windows 認証を使用すると、Active Directory アカウントを使用して既にログオンしているユーザーは、資格情報を再度入力しなくても Outlook Web Access を使用できます。

Outlook Web Access の Web パーツの構文

Exchange 2007 Outlook Web Access は、/owa 仮想ディレクトリに対する要求について新しい URL 形式を使用します。このような要求は、Web ブラウザに URL を直接入力することで、または Office SharePoint Server ページなどの Web アプリケーションに URL を埋め込むことで、行うことができます。

Outlook Web Access の Web パーツを使用すると、いろいろな複雑さの URL を作成できます。メールボックスの受信トレイを開くには、簡単な Web パーツ URL を使用できます。開くメールボックス、そのメールボックスの中で開くフォルダ、および使用するコンテンツ ビューを指定するには、さらに複雑な Web パーツ URL を使用する場合があります。

たとえば、簡単な Web パーツ URL https://<サーバー名>/owa/?cmd=contents は、ユーザーのログオンによって決まるメールボックスの受信トレイを開きます。さらに複雑な Web パーツ URL https://<サーバー名>/owa/<SMTP アドレス>/?cmd=contents&f=inbox%2fProjects&view=by%20subject は、サブフォルダ Projects に対する SMTP アドレスで指定されるメールボックスを、件名で並べ替えて開きます。

ネットワークに適用されているセキュリティ手段によっては、Web パーツ URL のエンコーディングの構成が必要になる場合があります。エンコーディングを構成すると、UI の背後にあるコードが、URL エンコード パラメータを使用して URL を作成します。URL エンコード パラメータでは、空白の代わりに %20 が、またパス区切り文字 "/" の代わりに %2f が使用されます。このトピックのすべての例では、エンコードされたパラメータを使用します。

サポートされている Microsoft Exchange 2000 および Exchange 2003 の Web パーツは、自動的に Exchange 2007 の Web パーツに変換されます。

表 1 は、Web パーツのパラメータとその使用例の一覧です。

Table 1   Web パーツのパラメータとその使用方法

URL パラメータ 説明 値と例

サーバー名とディレクトリ (必須)

Outlook Web Access 仮想ディレクトリの URL。

これは、ユーザーが Outlook Web Access へのログオンに使用するもとの同じ URL の場合があります。次はその例です。

https://<サーバー名>/owa

Exchange 2007 の明示的なログオン メールボックス ID (省略可能)

開くメールボックスに関連付けられている任意の SMTP アドレス。

URL のこのセクションがないと、認証されたユーザーの既定のメールボックスが開かされます。

他のパラメータが指定されていない場合は、既定の動作として受信トレイが開かれます。

SMTP アドレス tsmith@fourthcoffee.com のメールボックスを開くには、次の構文を使用します。

https://<server name>/owa/tsmith@fourthcoffee.com

cmd (明示的なログオン メールボックス ID 以外のパラメータを指定する場合は必須)

?cmd=contents は、完全な Outlook Web Access ユーザー インターフェイスの代わりにパラメータで指定されている Outlook Web Access Web パーツを表示します。

メールボックスを指定しない場合は、サーバー ディレクトリの後でこのパラメータを指定します。

https://<サーバー名>/owa/?cmd=contents

メールボックスを指定する場合は、明示的なメールボックス ID の後でこのパラメータを指定します。

https://<サーバー名>/owa/<SMTP アドレス>/?cmd=contents

他のパラメータが指定されていない場合は、既定の動作として受信トレイが開かれます。

id (省略可能)

Web パーツがコンテンツを表示するフォルダのフォルダ ID。この値は Web サービスを使用して取得でき、アプリケーション内で使用して開くフォルダを動的に選択できます。

フォルダ ID は、フォルダの Base64 エンコードの PR_ENTRY_ID です。

https://<サーバー名>/owa/?cmd=contents&id=<PR_ENTRY_ID>

f (省略可能)

Web パーツで表示するメールボックス フォルダを指定する文字列。Web パーツの URL は、ファイアウォールを通過できるように、URL エンコーディングを使用して記述することが必要になる場合があります。

URL エンコーディングを使用するときは、空白は %20 になり、パス区切り文字 (/) は %2f になります。

フォルダの階層は、メールボックス ルートから開始する必要があります。

このフォルダ パスは、通常のフォルダまたは検索フォルダを示すことができます。

受信トレイのサブフォルダ Projects を開くには、次の構文を使用します。

https://<サーバー名>/owa/?cmd=contents&f= inbox%2fprojects

module (省略可能)

このパラメータを使用すると、ローカライズされた名前を知らなくても、4 つの既定フォルダを指定できます。

module パラメータの値では大文字と小文字は区別されず、次の値を使用できます。

  • Inbox
  • Calendar
  • Contacts
  • Tasks
  • Publicfolders

ローカライズに関係なくメールボックスの予定表を開くには、次の構文を使用します。

https://<サーバー名>/owa/?cmd=contents&module=calendar

view (省略可能)

このパラメータは、フォルダに対して表示するビューを指定します。

このパラメータを指定しない場合の既定のビューは次のとおりです。

  • Calendar   Daily
  • Messages   Messages
  • Contacts   Two%20Line
  • Tasks   By%20Due%20Date
note注 :
既定のビューの文字列は、自動的に URL でエンコードされます。

ビューの既定の並べ替えは、フォルダが Outlook Web Access クライアントで開かれる場合の並べ替え方法です。

次に示す Exchange 2003 の Web パーツ ビューは、Exchange 2007 ではサポートされていません。

  • Contacts   連絡先カードおよび連絡先カード (詳細)
  • Messages   テーマ別および宛先別の未読

ビューを識別する文字列はローカライズされず、大文字と小文字は区別されません。

使用できるビューは、フォルダの種類によって異なります。

Calendar のビュー :

  • Daily   日単位の予定表のビュー
  • Weekly   週単位の予定表のビュー
  • Monthly   月単位の予定表のビュー

Message のビュー :

  • Messages   1 行のメッセージ ビュー、既定の並べ替え
  • By%20Sender   1 行のメッセージ ビュー、送信元で並べ替えられ、先頭に "a" で始まる送信者名を付加
  • By%20Subject   1 行のメッセージ ビュー、件名で並べ替えられ、先頭に "a" で始まる件名を付加
  • By%20Conversation%20Topic   テーマ別ビュー、Outlook Web Access Premium でのみ使用可能
  • Two%20Line   2 行のメッセージ ビュー、既定の並べ替え、Outlook Web Access Premium でのみ使用可能

Contact のビュー :

  • Phone%20List   1 行の連絡先ビュー、既定の並べ替え
  • Two%20Line   2 行の連絡先ビュー、既定の並べ替え、Outlook Web Access Premium でのみ使用可能

Tasks のビュー :

  • By%20Due%20Date   1 行の連絡先タスク ビュー、既定の並べ替え
  • By%20Subject   1 行の連絡先ビュー、件名で並べ替えられ、先頭に

https://<server name>/owa/?cmd=contents&f=Calendar&view=Weekly は、要求した予定表を Weekly ビューで表示します。

d、m、y (省略可能)

予定表を表示する日付を指定します。これらのパラメータは、任意の順序で指定でき、単独でも複数を組み合わせても使用できます。

これらのパラメータを指定しない場合の既定値は、当日の年、月、日の値です。たとえば、当日が 2007 年 5 月 3 日で、月の値に 9 月を示す "9" を指定すると、表示される日付は 2007 年 9 月 3 日になります。

日付パラメータの有効な値は次のとおりです。

d=[1 ~ 31]

m=[1 ~ 12]

y=[4 桁の年]

2007 年 5 月 3 日の予定表を開くには、https://<server name>/owa/?cmd=content&f=calendar&view=daily&d=3&m=5&y=2007 と指定します。

part (省略可能)

小さい Web パーツを表示するよう Outlook Web Access に指定します。

Web パーツを使用して Outlook Web Access のコンテンツにアクセスするとき、表示される UI は、完全な Outlook Web Access UI より小さくなります。part パラメータは、UI をさらに小さくします。次の例では、最小の Web パーツ形式で仕事の一覧を表示しています。

https://<サーバー名>/owa/?cmd=contents&f=tasks&part=1

図 1 と 2 は、Tasks Web パーツに part=1 を適用した場合としない場合に Outlook Web Access が表示する UI を示しています。

図 1 は、part=1 パラメータを指定しない場合の Outlook Web Access Tasks Web パーツです。

Part=1 を指定しない場合の Web

図 2 は、part=1 パラメータを指定した場合の Outlook Web Access Tasks Web パーツです。

Part=1 を指定した場合の Web

複数のパラメータを使用して、表示するフォルダを指定し、表示の書式を設定できます。複数のフォルダ パラメータを使用した場合の優先順位は、idf、そして module です。これらのどのパラメータも指定しないと、既定で受信トレイが表示されます。

note注 :
セグメンテーションを使用して機能をオフにしてある場合、その機能は Web パーツとして使用できません。たとえば、Outlook Web Access の予定表を無効にしてある場合は、Outlook Web Access の Web パーツを使用して予定表にアクセスすることはできません。

Outlook Web Access の Web パーツの手動での使用

Outlook Web Access の Web パーツは、Web ブラウザで手入力することもできます。たとえば、ユーザーは、Outlook Web Access Web パーツの URL を使用して、別のユーザーの予定表を開くことができます。

Weekly ビューで特定の予定表を開くには、次の手順を使用します。

  1. Web ブラウザ ウィンドウを開きます。
  2. Outlook Web Access の URL を入力し、URL の最後に <メールボックスの SMTP アドレス>/?cmd=contents&f=calendar&view=weekly という文字列を追加します。
  3. 要求された場合は、ログオン資格情報を入力します。

たとえば、Outlook Web Access の URL が https://email.fourthcoffee.com/owa の場合は、次の URL にアクセスすると、ユーザー tsmith の予定表が Weekly ビューで開きます。

https://email.fourthcoffee.com/owa/tsmith@fourthcoffee.com/?cmd=contents\&f=calendar\&view=weekly

パブリック フォルダ内の特定のフォルダに直接アクセスするには、文字列 &f=<フォルダ名> を URL /owa/?cmd=contents&module=PublicFolders に追加します。たとえば、パブリック フォルダ内の特定のフォルダにアクセスする完全な URL は次のようになります。

https://cas.contoso.com/owa/?cmd=contents\&module=PublicFolders\&f=\<フォルダ名>

このレベルより下のレベルのフォルダにアクセスする場合、そのレベルごとに文字列 %2f<フォルダ名> を追加する必要があります。たとえば、パブリック フォルダのフォルダ階層で次のレベルにあるフォルダにアクセスする場合、完全な URL は次のようになります。

https://cas.contoso.com/owa/?cmd=contents\&module=PublicFolders\&f=\<フォルダ名>%2f<フォルダ名>

アクセスするフォルダ レベルごとに、文字列 %2f<フォルダ名> を追加します。たとえば、パブリック フォルダ内で 4 レベルの深さのフォルダにアクセスするには、次のような URL を使用します。

https://cas.contoso.com/owa/?cmd=contents\&module=PublicFolders\&f=\<フォルダ名>%2f<フォルダ名>%2f<フォルダ名>%2f<フォルダ名>

詳細情報

Web パーツの詳細、および Web ページの計画方法の詳細については、以下のトピックを参照してください。

Outlook Web Access の認証の詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。