SharePoint 統合モードでの Reporting Services の配置トポロジ

レポート サーバーは、SharePoint 製品の配置内で実行して Microsoft SharePoint Foundation 2010 または SharePoint Server 2010 と Reporting Services のコラボレーション機能や集中ドキュメント管理機能が使用されるように構成できます。

SQL Server 2005 以降のバージョンの Reporting Services と SharePoint 製品を含む配置を計画する際には、1 つのサーバーによる配置から複数のサーバーによるスケーラブルな配置まで、さまざまなトポロジを設計することができます。使用できる配置シナリオを以下にまとめます。

  • すべての SQL Server コンポーネントおよびすべての SharePoint コンポーネントを 1 つのコンピューターに配置するスタンドアロン サーバー配置。

  • サーバー コンポーネントの 1 つのインスタンスをそれぞれ別のコンピューターに配置する分散サーバー配置。たとえば、1 つのコンピューターに Web アプリケーション フロントエンドを配置して、別のコンピューターに Reporting Services とバックエンド データベースを配置する場合などが考えられます。

  • 同じサーバー コンポーネントの複数のインスタンスを使用して多数のユーザーをサポートするスケーラブルな配置構成。たとえば、Web フロントエンドが配置された 2 つのコンピューター、アプリケーション サーバーをホストする第 3 のコンピューター、レポート サーバーのスケールアウトを実行する追加のコンピューター、およびミラー化またはクラスター化されたデータベース サーバーをホストする 2 つのコンピューターから成るサーバー ファームを使用する場合などが考えられます。

このトピックでは、さまざまな配置シナリオについて説明し、各シナリオでどのコンポーネントが必要なのかがわかるようにいくつかの例を紹介します。SharePoint 統合モードの Reporting Services の詳細については、「SharePoint 2010 統合用の Reporting Services の構成」を参照してください。

サポートされている構成とサポートされていない構成の概要

複数インスタンスや複数サーバーの構成がすべてサポートされているわけではありません。配置を計画する際には、以下の構成を調べて、実装しようとしている設計が実現可能かどうかを確認してください。

トポロジ

サポート性

スケールアウト配置とサーバー ファーム。

サポートされています。この構成については、このトピックに記載されています。

インスタンスのバージョンやエディションが同じではないスケールアウト配置とサーバー ファーム。

サポートされていません。スケールアウト配置のレポート サーバー インスタンスのバージョンおよびエディション (SQL Server 2008 R2 Enterprise など) はすべて同じであることが必要です。また、サーバー ファームのインスタンスはすべて同じ SharePoint 製品であることが必要です (すべてが SharePoint Foundation 2010、すべてが SharePoint Server 2010 など)。

Reporting Services と SharePoint 製品およびテクノロジを同じコンピューターにサイド バイ サイドでインストールするが、統合用に構成しない。

サポートされています。ネイティブ モードのレポート サーバーを SharePoint 製品とサイド バイ サイドで実行できます。Web サーバーの URL の構成によっては、Reporting Services サーバー アプリケーションに対して既定以外の URL を選択する必要があります。詳細については、「Reporting Services とインターネット インフォメーション サービスのサイド バイ サイド配置」を参照してください。

Reporting Services の複数のインスタンスを同じコンピューターにインストールして、一方のインスタンスを SharePoint 統合モードで実行し、もう一方のインスタンスをネイティブ モードで実行する。

サポートされています。ただし、すべてのレポート サーバー インスタンスを同じレベルで実行する必要があります。たとえば、SQL Server 2008 R2 を使用している場合は、すべてのレポート サーバー インスタンスが SQL Server 2008 R2 であることが必要です。詳細については、「SharePoint 2010 統合用の Reporting Services の構成」を参照してください。

スケールアウト配置の各レポート サーバー インスタンスを SharePoint 製品の独立したインスタンスと統合する。

サポートされていません。スケールアウト配置に対して SharePoint 統合モードを構成する場合は、スケールアウト全体を、サーバー ファームか、SharePoint 製品の同じ 1 つのインスタンスと統合する必要があります。

たとえば、2 つの SharePoint Foundation 2010 を個別にインストールし、それぞれをローカルのレポート サーバー インスタンスに統合し、両方のレポート サーバー インスタンスが同じレポート サーバー データベースを共有する、というシナリオはサポートされていません。

複数のレポート サーバー インスタンスが SharePoint Foundation 2010 または SharePoint Server 2010 の異なるスタンドアロン サーバー配置で同じレポート サーバー データベースを共有する場合、それらのレポート サーバー インスタンスを統合することはできません。統合すると、バックエンド レポート サーバー データベースでデータの破損が発生します。

スタンドアロン サーバー配置

Reporting Services および SharePoint の両方のテクノロジに関連するすべてのサーバー コンポーネントとアプリケーション データベースを 1 つのコンピューターにインストールすることができます。この配置構成は、ソフトウェアを評価する場合や、SharePoint 統合モードの Reporting Services を含むカスタム アプリケーションを開発する場合に便利です。

1 コンピューター配置

この配置は、構成が最も簡単です。すべてのコンポーネントを同じコンピューターにインストールするため、使用するライセンスの数も最も少なくなります。具体的には、Reporting Services とデータベース エンジンを SQL Server の 1 つのライセンス コピーとしてインストールできます。さらに、Reporting Services から SharePoint 製品のローカル インスタンスに直接接続できます。この配置構成の詳細については、「方法: スタンドアロン サーバーに SharePoint 統合をインストールして構成する」を参照してください。

分散サーバー配置

分散サーバー配置では、それぞれ 1 つのサーバー コンポーネントをホストする複数のコンピューターを使用します。この配置は、小規模の組織やワークグループで、複雑なレポートや大きなデータセットを処理する際のパフォーマンスを向上させたい場合などに使用できます。

この配置構成では、やや高度な計画が必要になります。個々のサービスに対して使用するアカウントや、接続の構成方法を決定する必要があります。また、サーバー コンポーネントを複数のコンピューターにインストールする場合は、ソフトウェアの追加のコピーの購入が必要になることもあります。

使用するサービス アカウントの詳細については、MSDN の「管理アカウントおよびサービス アカウントの計画についての説明 (Windows SharePoint Services)」と、「Reporting Services のサービス アカウントを構成する方法」を参照してください。分散サーバー配置の構成方法については、「複数のサーバーに SharePoint 統合をインストールして構成する方法」を参照してください。

2 コンピューター配置

2 コンピューター配置のコンポーネントを次の図に示します。

2 コンピューター配置: 例 2

最初のコンピューターは、SharePoint 製品のインスタンスをホストします。このコンピューターには Reporting Services アドインがインストールされています。

第 2 のコンピューターは、SQL Server Reporting Services とデータベース エンジンをホストします。Reporting Services とデータベース エンジンを同じコンピューターにインストールすると、両方のコンポーネントを 1 つのライセンスで実行できます。この利点がパフォーマンスの問題より重視される場合は、この配置構成が役に立ちます。SQL Server のライセンスの詳細については、Microsoft Web サイトの「購入に関する情報」を参照してください。

Reporting Services と SharePoint 製品を別のコンピューターで実行する場合は、レポート サーバーのコンピューターに同じ SharePoint 製品を最小構成でインストールする必要があります。つまり、最初のコンピューターに Microsoft SharePoint Server 2010 をインストールした場合は、第 2 のコンピューターに SharePoint Server 2010 の Web フロントエンドをインストールする必要があります。最小構成のインストールにより、レポート サーバー インスタンスを SharePoint 製品のインスタンスに結合する Web フロントエンドがインストールされます。

2 コンピューター配置の別の例を次の図に示します。

2 コンピューター配置

最初のコンピューターが、SharePoint 製品のインスタンス、Reporting Services アドイン、およびレポート サーバーをホストします。

3 コンピューター配置

3 コンピューター配置のコンポーネントを次の図に示します。

複数コンピューター配置

(1) 最初のコンピューターは、SharePoint 製品のインスタンスをホストします。

(2) 第 2 のコンピューターは、SQL Server Reporting Services をホストします。

(3) 第 3 のコンピューターは、データベース エンジンのインスタンスをホストします。

図からわかるように、データベース エンジンのコンピューターにはレポート サーバーのローカル インストールや SharePoint 製品のインスタンスは必要ありません。

スケーラブルなサーバー配置

スケーラブルなサーバー配置とは、レポート サーバーのスケールアウトと SharePoint ファームの組み合わせです。SharePoint サイト上のレポートに何千人ものユーザーがアクセスする可能性がある非常に大規模な組織では、レポート サーバーのスケールアウト配置とサーバー ファームを組み合わせることを検討する必要があります。

このシナリオの目的は、対話型レポートの配置の最適化にあります。多数のユーザーがレポートに同時にアクセスしない場合や、レポートの処理の大半を制御可能な間隔でスケジュールできる場合は、分散サーバー配置の方が適している可能性があります。分散サーバー配置は、配置や管理が比較的容易です。必要な処理能力の見積もりに関するベスト プラクティスについては、「Planning for Scalability and Performance with Reporting Services (Reporting Services でのスケーラビリティおよびパフォーマンスの計画)」を参照してください。

レポート サーバー スケールアウト配置とは

レポート サーバーのスケールアウト配置は、1 つのレポート サーバー データベースを共有する複数のレポート サーバーで構成されます。スケールアウト配置を次の図に示します。

Reporting Services 用のスケールアウト配置

対話型レポート処理の能力を増強するためにスケールアウト配置を構成する場合は、ハードウェアまたはソフトウェアの負荷分散ソリューションを使用して、処理を両方のサーバーに分散する必要があります。また、両方のサーバーに対して 1 つのエントリ ポイントを使用できるように、仮想サーバー URL をドメインに登録する必要もあります。これらのタスクの実行方法は、使用する負荷分散ソリューションによって異なります。仮想サーバー名を登録する方法については、ネットワーク管理者に問い合わせてください。

データの損失を防ぎ、サーバーの可用性を最大限に高めるには、レポート サーバー データベースをフェールオーバー クラスターで実行します。フェールオーバー クラスターは、レポート サーバー データベースを作成する前にインストールする必要があります。フェールオーバー クラスターを使用するには、レポート サーバー データベースを作成するときにデータベース サーバーとしてそのクラスターの名前を選択します。

SharePoint サーバー ファームとは

SharePoint ファームには、SharePoint のサーバー コンポーネントを複数のコンピューターに配置できる機能が含まれています。次の図は、2 つのフロントエンド Web サーバー、Excel Services とサーバーの全体管理のために使用される 1 つのアプリケーション サーバー、およびバックエンド データベースをホストする 2 つのデータベース サーバーを示しています。

サーバー ファームの配置

サーバー ファームをスケールアウト配置と組み合わせた場合、結果の構成はたとえば次のようになります。

サーバー ファームとスケールアウト配置

次の図は、配置をさらに多くのサーバーで大きくする方法を示しています。

多数のサーバーを使用する配置の例

スケールアウト配置の負荷を分散し、1 つのエントリ ポイントを提供する仮想サーバー URL を通じてアクセスできるようにする必要があります。これにより、SharePoint サーバーの全体管理でサーバー統合機能を構成するときに、レポート サーバー インスタンスへの 1 つの URL を指定できるようになります。

ハードウェアまたはソフトウェアの負荷分散ソリューションを別途使用する必要があります。Reporting Services には、負荷分散機能や、仮想サーバー URL を構成する機能は用意されていません。

スケールアウト配置の各レポート サーバー インスタンスを異なるサービス アカウントで実行する場合は、SharePoint 構成データベースにアクセスする権限が各サービス アカウントに必要です。アクセスを確保するには、各サービス アカウントに対して [データベース アクセスの許可] コマンドを繰り返す必要があります。詳細については、「複数のサーバーに SharePoint 統合をインストールして構成する方法」を参照してください。

変更履歴

変更内容

図を更新し、2 サーバー インストールの別の例と 1-N サーバー図を追加しました。