PowerPoint 2010 での変更点

 

適用先: Office 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-29

この記事では、Microsoft Office PowerPoint 2007 から変更された Microsoft PowerPoint 2010 の機能と、移行時の検討事項について説明します。Microsoft Office PowerPoint 2003 からアップグレードする場合は、「Office PowerPoint 2007 での変更点」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=169005\&clcid=0x411) も参照してください。

この記事の内容

  • 新機能

  • 変更された機能

  • 削除された機能

  • 移行時の検討事項

新機能

ここでは、PowerPoint 2013 での新機能について説明します。

Fluent UI

PowerPoint 2013 のユーザー インターフェイスは、2007 Microsoft Office system で導入された Microsoft Office Fluent ユーザー インターフェイス (UI) を使用するように更新されています。Microsoft Office Fluent UI は、Office アプリケーションが提供する一連の機能をユーザーが容易に探し出して使用できるようにすること、そして一貫性のある作業環境を提供することを目的として設計されています。Fluent UI の詳細については、「Microsoft Office Fluent User Interface Resource Center (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=111045\&clcid=0x411) (英語) のリソースを参照してください。

リボン

Fluent UI の一部であるリボンは、PowerPoint の重要なプレゼンテーション シナリオを最適化して、簡単に使用できるように設計されています。リボンを使用すると、PowerPoint 2013 のすべてのコマンドにすばやくアクセスでき、後からの追加やカスタマイズも容易です。また、リボンをカスタマイズすることもできます。たとえば、カスタム タブやカスタム グループを作成し、よく使うコマンドをまとめることができます。ページのプレゼンテーション編集領域が最大になるように、書き込み中はリボンを非表示にすることもできます。

Backstage ビュー

Microsoft Office Backstage は Fluent UI の一部になっており、リボンに付随する機能です。Backstage ビューには [ファイル] タブからアクセスでき、PowerPoint プレゼンテーション ファイルの管理によく使用する機能が簡単に見つかります ([ファイル] タブは、Microsoft Office の以前のリリースで使用されていた Microsoft Office ボタンと [ファイル] メニューに代わる機能です)。Backstage ビューは、ファイルの作成と保存、非表示のメタデータや個人情報の検査、ファイル オプションの設定など、ファイルおよびファイルに関するデータの管理に使用されます。

ファイル形式

PowerPoint 2013 のファイル形式は、Web での共有、リンクされたプレゼンテーションの共同作成、バージョン管理などの新機能に対応しています。PowerPoint 2013 では、Office PowerPoint 2007 のプレゼンテーションを引き続き使用できます。

保護されたビュー

安全ではない可能性がある場所のファイル (インターネットや電子メールの添付ファイルなど) またはアクティブ コンテンツ (マクロ、データ接続、ActiveX コントロールなど) を含むファイルは、検証し、保護されたビューで開くことができます。保護されたビュー モードでファイルを開くと、編集機能は無効になります。信頼できるソースのファイルは、[編集を有効にする] をクリックして開き、編集できます。また、Backstage ビューでファイルについてのデータを調べることもできます。

グループ作業と共有の機能

PowerPoint 2013 では、共同編集機能がサポートされています。共同編集機能によって、複数のユーザーが互いの作業を妨げたり、互いをロックアウトしたりすることなく、同じプレゼンテーションを生産的に処理できるようになり、グループ作業が簡素化されます。Office 2010 は、Microsoft SharePoint Server 2010 上で PowerPoint 2013、Microsoft Word 2010、Microsoft OneNote 2010 の各ドキュメントの共同編集機能を提供します。新しい共同編集機能は、Microsoft Excel Web アプリケーションおよび Microsoft OneNote Web アプリケーションでもサポートされます。変更点は次のとおりです。

  • 新しいコンテンツが自動的に強調表示されます。

  • 追加または共有されたコンテンツの作成者情報は、作成者のイニシャルが表示されている色分けされたバーで示されます。

  • バージョンのサポートにより、いつ誰がプレゼンテーションを変更したのかを確認でき、プレゼンテーションの以前のバージョンに関連する変更は自動的に強調表示されます。

  • ページの同期がいっそう速くなり、変更はすべての作成者にほぼリアルタイムで表示されます。

現実および仮想の対象ユーザーに対するプレゼンテーション

PowerPoint 2013 が備えるリモート スライド ショー機能を使用すると、現実と仮想の対象ユーザーのどちらか一方または両方に、Web またはネットワーク接続を通してスライド ショーを提供できます。一般的なブロードキャスト シナリオには、次のようなものがあります。

  • 必要に応じて 1 対 1 のブロードキャストを行う。

  • いつでも好きなときにリモートでプレゼンテーションを見るように、複数の閲覧者を招待する。

  • トレーニング セッション、ミーティング、電話会議などの場で、現実と仮想の両方の出席者に対して同時にスライド ショーを提供する。

テストとオブジェクトの使用

PowerPoint 2013 では編集ツールの機能が向上しており、新しい一連の写真効果を使用して画像を変換できます。

  • ビデオとオーディオの編集

  • グラフィックス、遷移、アニメーション

  • ヘルプと翻訳

変更された機能

ここでは、PowerPoint 2013 での変更点についてまとめます。

配置グループ

配置グループは [配置] メニューになっています。

図形の挿入

これまでは、スライドに図形を挿入すると描画ツール ([書式] タブ) が自動的に表示されました。このような自動的な動作は行われなくなりました。タブは表示されますが、自動的には開きません。図形をダブルクリックするとツールが表示されます。

[選択] ウィンドウ

[選択] ウィンドウは、プレゼンテーション内のすべてのオブジェクトを一覧表示する機能です。PowerPoint 2013 では、この機能は [ホーム] タブの [配置] メニューにあります。

削除された機能

ここでは、PowerPoint 2013 で削除された機能について説明します。

最大サウンド ファイル サイズ

最大サウンド ファイル サイズ埋め込み機能は、オーディオ/ビデオのリンクと埋め込み機能に置き換えられています。Microsoft Office PowerPoint 2007 では、この機能は、1) [サウンド ツール] | [オプション] | [サウンド オプション] の [サウンド ファイルの最大サイズ (KB)] と、2) [PowerPoint オプション] の [指定するファイル サイズより大きいサウンドとリンクする] の 2 か所に表示されました。以前は、これら 2 か所のどちらかで指定する特定のサイズより小さい .wav ファイルのみを埋め込むことができたため、この機能が必要でした。PowerPoint 2013 では、任意のサイズの任意のファイルを埋め込むことができるので、これら 2 つの機能は必要なくなりました。

機能はまだありますが、新しいオーディオ/ビデオの挿入動作の一部としてのみ存在します。機能自体は廃止されています。

リボンの [サウンド ファイルの最大サイズ (KB)] と、[PowerPoint オプション] の [指定するファイル サイズより大きいサウンドとリンクする] は表示されません。この機能の代わりに、オーディオ/ビデオのリンクと埋め込み機能を使用します。より少ない制限で同じことを実現でき、メデイア ファイルを挿入するときに直接行うこともできます。

PowerPoint 2013 では、[挿入] ダイアログ ボックスを使用して、ファイルを直接埋め込むかどうかを選択できます。したがって、[サウンド ファイルの最大サイズ] ボックスと [指定するファイル サイズより大きいサウンドとリンクする] ボックスは必要なくなりました。50 MB 未満の .wav ファイルに制限されることなく、任意の種類の任意のサイズのファイルを埋め込むことができます。

Web ページとして保存

[Web ページとして保存] のエントリ ポイントは削除されました。

移行時の検討事項

このセクションでは、Microsoft Office PowerPoint 2007 から Microsoft PowerPoint 2010 に移行するときに管理者が検討すべき 機能と変更点に関する情報を提供します。

PowerPoint プレゼンテーション ファイル (.ppt/.pptx)

PowerPoint 2013 で作成されるプレゼンテーションの既定のファイル形式は、PowerPoint 2007 から変更されていません。これは XML 対応のファイル形式です。PowerPoint 2013 では、PowerPoint 95 (またはそれ以前のバージョン) のファイル形式で保存することも、ドキュメント パック ウィザード (.ppz) ファイル形式で保存することもできません。Office 2010 の新しいファイル形式の詳細については、「PowerPoint 2010 でサポートされるファイル形式」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=184681\&clcid=0x411) を参照してください。

PowerPoint 2013 でのプレゼンテーションを PowerPoint 2003 またはそれ以前のバージョンで確実に表示できるようにするには、PowerPoint 2013 で互換性チェックを実行します。互換性チェックでは、PowerPoint 2013 と以前のバージョンの PowerPoint との間での互換性に関する潜在的な問題が調べられ、問題の解決に役立つレポートが作成されます。

PowerPoint 2013 での新しいメディア機能、写真効果、グラフィックス、および書式設定機能のすべてについて、ファイルを以前のバージョンで開いたときに、それらがどのように変換されるのかを知っておくことが重要です。たとえば、新しい写真効果がファイルにどのように保存されるかというと、そのファイルを PowerPoint 2007 で開いたときに、新しい写真効果を使用した写真の見た目が、PowerPoint 2013 で開いたときとまったく同じになるような方法で保存されます。ただし、PowerPoint 2007 に戻った場合に、その効果に変更を加えることはできません。

新しい画面切り替えは、プレゼンテーションを PowerPoint 2007 で表示したときに、PowerPoint 2007 の切り替えにマップされます。機能強化された画面切り替えは、PowerPoint 2007 での元の見た目に戻されます。埋め込まれたビデオは、PowerPoint 2007 で表示されるように動作します。なぜなら、PowerPoint 2007 Service Pack 2 は、埋め込みビデオをサポートするように更新されているからです。ただし、図形にトリミングする、3-D を適用する、図形を積層にする、デュオトーンを適用するなど、PowerPoint 2013 の一部の効果については、PowerPoint 2013 でビデオに適用した場合、そのビデオは既定のビデオに戻され、それらの特殊効果なしで再生されます。

PowerPoint 2003 またはそれ以前のバージョンとの書式の互換性については、「PowerPoint 2010 のプレゼンテーションを PowerPoint 2003 以前で開くと変更される機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=184658\&clcid=0x411) を参照してください。

ファイルを格納または共有する

PowerPoint 2013 では、ファイルを PowerPoint 2007 および OpenDocumentation プレゼンテーションにあった以前のすべてのファイル形式にエクスポートできます。Microsoft Office Backstage ビューには、プレゼンテーションを電子メールの添付ファイルとして、または Web サーバー上のプレゼンテーションへのリンクとして、あるいは .pdf or .xps のコピーとして送信するためのクイック クリック共有機能があります。また、インスタント メッセージ、プレゼンテーション ウィンドウ、またはインターネット FAX によって、あるいは Microsoft SharePoint 2010 製品や特定の場所に公開したり、CD 用にパッケージ化することによっても、プレゼンテーションを共有できます。

プレゼンテーションのセキュリティ

Office PowerPoint 2007 では、新しいセキュリティ機能が導入され、プレゼンテーションがユーザーの手を離れた後も安全に管理されるようになりました。PowerPoint 2013 では、これらの権限を引き続き設定できますが、Backstage ビューで行うようになっています。セキュリティ機能としては次のものがあります。

  • [最終版にする] コマンドを使用することで、ドキュメントの最終バージョンが誤って変更されるのを防ぎます。

  • デジタル署名を付加することで、プレゼンテーションの信頼性、整合性、作成元についての保証を提供します。

  • 要件に固有のアクセス レベルを選択することで、プレゼンテーションが他のユーザーによってコピー、印刷、または編集されるのを防止する権限を割り当てます。

  • Backstage ビューでドキュメントのプロパティを管理します。

PowerPoint Viewer

Viewer は Office のインストールに含まれていません。そのため、PPT/PPTX プレゼンテーションをオフラインで表示する必要のあるユーザーのために、新しい PowerPoint Viewer がオンラインで提供されています。Viewer を使用すると、Microsoft PowerPoint 2000、PowerPoint 2002、PowerPoint 2003、PowerPoint 2007、および PowerPoint 2013 で作成されたプレゼンテーションを表示できます。Viewer では、パスワードで保護された PowerPoint のプレゼンテーションを開くこともできます。

Viewer を 64 ビットの Microsoft Office と並行してインストールすることはできません。また、PowerPoint 95 またはそれ以前のバージョンで作成されたファイルを Viewer で開くことはできません。サポートは、Windows XP、Windows Server 2003、Windows Vista、および Windows 7 に限られます。Windows 2000 と Windows 98 はサポートされません。以前のビューアーと異なり、ユーザーは [閲覧] モードまたは [フル スクリーン スライド ショー] モードを使用できます。

マクロ記録

マクロ記録は頻繁に実行するタスクを自動化するための機能ですが、PowerPoint 2013 では利用できません。代わりに、Microsoft Visual Basic for Applications (VBA) を使用して、マクロを作成したり構成したりできます。マクロ記録を使用して PowerPoint 2007 より前のバージョンの PowerPoint で作成したマクロは、VBA で構成してください。

開発コントロールにアクセスしたり、コードを書いたり、マクロを作成したりする必要がある場合は、次の手順に従って [開発] タブを表示してください。

  1. [ファイル] タブをクリックします。

  2. [オプション] をクリックします。

  3. [PowerPoint のオプション] ダイアログ ボックスで、[リボンのユーザー設定] をクリックします。

  4. [リボンのユーザー設定] の [メイン タブ] の一覧で、[開発] タブを選択し、[追加] をクリックしてから [OK] をクリックします。

VBA の設定の移行

Office 2010 では、Visual Basic for Applications (VBA) 6.0 から VBA 7.0 に更新されました。VBA 7.0 の設定は、移行後には既定の設定にリセットされ、元の設定は自動的には再設定されません。このようになるのは、以下の表に示すように、VBA 用のレジストリ設定が Office 2010 では異なるハイブにあるからです。

バージョン レジストリ サブキー

Office 2000 ~ Office 2007

HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\VBA\6.0\Common

Office 2010

HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\VBA\7.0\Common

この問題を修正するには、VBA 6.0 のレジストリ キーを 6.0 のハイブから 7.0 のハイブにコピーします。

詳細については、「Office 2010 に移行するユーザー レジストリ設定」および「Office 2010 の 32 ビット バージョンと 64 ビット バージョンとの互換性」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=185841\&clcid=0x411) を参照してください。