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5. システム自動展開

第 1 章 ‐ 自動インストール方法の選択

公開日: 2004年10月20日

この文書は、『Windows Server 2003 リソースキット 導入編』 の一部を抜粋して掲載しています。
TechNet サブスクリプションでは、本リソースキットの全内容を CD にてご活用いただけます。また、オンラインでも会員様向けサイトにて順次公開を開始しています。
TechNet サブスクリプションに関する詳細は、こちらを参照してください。

自動インストールは、ユーザーや IT 担当者が手動でオペレーティング システムをインストールする場合と比べると、短時間で簡単かつ低コストで行うことができ、しかもより高い一貫性を維持することができます。Windows Server 2003 ファミリでは、自動インストールの設計と展開の方法として、3 とおりの方法があります。どの方法を使用したらよいかは、利用可能なリソース、既存または計画中のインフラストラクチャ、展開する構成の要件を評価して決定します。

トピック

1.1 自動インストールの概要 1.1 自動インストールの概要
1.2 クリーン インストールとアップグレードに関する選択 1.2 クリーン インストールとアップグレードに関する選択
1.3 ソフトウェアに関する検討事項に基づいた選択 1.3 ソフトウェアに関する検討事項に基づいた選択
1.4 ネットワークとハードウェアの構成に基づいた選択 1.4 ネットワークとハードウェアの構成に基づいた選択
1.5 ディレクトリ サービスに関する検討事項に基づいた選択 1.5 ディレクトリ サービスに関する検討事項に基づいた選択
1.6 追加情報 1.6 追加情報

1.1 自動インストールの概要

自動インストールで使用できる自動展開方法は、3種類用意されています。リモートインストールサービス(Remote Installation Services:RIS)、システム準備ツール(sysprep.exe)、無人セットアップツール(WINNT32.EXE)の3種類です。これらの自動インストールツールを使用すると、企業のクライアントやサーバーのオペレーティングシステムの展開を自動化したり、カスタマイズすることができます。特に、多数のコンピュータを使用している組織の場合には、自動インストールを使用する方が、対話型のWindowsセットアッププログラムを使用するより効率的であり、費用効果の点でも優れています。

Windows Server 2003またはWindows XPの自動インストールを行う場合には、組織内に展開するクライアントとサーバーの構成を事前に設計しておく必要があります。この作業には、すべてのネットワーク機能、ディレクトリサービス、およびセキュリティコンポーネントの構成を設計することも含まれます。このようなクライアントとサーバーに関する設計情報は、自動インストールをカスタマイズするためだけでなく、どの自動インストール方法が最適かを決定する際にも参考になります。最適な自動インストール方法を選択するには、組織のネットワークトポロジ、ディレクトリサービス、ハードウェアとソフトウェアインベントリに関する情報を調べて、さらにそのインフラストラクチャ内で自動展開にかかる時間を想定します。これらの検討事項について注意深く比較して、それぞれのインストール方法の長所と短所を検討しなければなりません。たとえ1つの検討事項から特定の方法が最終的に導かれるように思われても、他の方法も考慮に入れて十分に検討する必要があります。また、場合によっては、組織内の個々の環境に対してそれぞれ異なる自動インストール方法を使用した方がよい可能性もあります。

さらに、展開計画の規模が展開に使用するツールと方法の選択に影響を及ぼす可能性もあります。1か所に集中的に設置された数千台のコンピュータに対して非常に大規模なクライアントのリモートインストールを行う場合には、ネットワークの可用性への影響を検討しなければなりません。また、地理的に分散している場所に対して比較的小規模な展開を複数回に分けて行う場合には、オペレーティングシステムと参照イメージを配布してインストールを行う方法もあります。

この章を読み終えるころには、それぞれの組織に最適な自動インストール方法を選択できるようになっているはずです。その後は、選択した方法を解説している章のガイドラインに従って、自分が行うべき自動インストールの設計を行います。

この章で説明する自動インストールに関する検討事項は、展開と配布にのみ適用されます。たとえば、ハードディスクのエラーが発生した後で行う再インストールや、ソフトウェアまたはハードウェアのエラーが原因で行う再インストールなど、日常的な操作に含まれる作業には適用されません。

1.1.1  自動インストール方法の選択手順

状況に応じて最適な自動インストール方法を選択するには、インストール環境のさまざまな側面を体系的に評価する必要があります。これらの側面には、実際のインストール時に必要になるもの、インストールに関係するハードウェアとソフトウェア、および組織のネットワークとITインフラストラクチャが含まれます。このような情報を収集するには、組織のハードウェアとソフトウェアのインベントリ、および展開計画を調べます。ハードウェアとソフトウェアのインベントリの詳細については、『Microsoft Windows Server 2003リソースキット導入編1 計画・テスト』の「第1章 導入計画の作成」を参照してください。

自動インストール方法の選択プロセスを図1.1に示します。

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1.1  自動インストール方法の選択
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この章で説明する作業の順序は、選択プロセスの早い段階で選択肢を絞り込み、後に進むに従って決定内容を微調整できるように意図されています。選択プロセスの早い段階で「もう選択するべき方法がわかった」と思われることがあるかもしれませんが、決定内容に影響する可能性のあるすべての要素を注意深く検討して、重要な要素を見落としていないことを確信できるようにすることが重要です。

自動インストール方法を選択するときの参考にするテンプレートについては、本書に付属のCD-ROMの「Choosing a Method for Automated Installation」(ACIOV_01.xls)を参照してください。この章で紹介する情報を読み進めながら、テンプレートに列挙されている質問に答えていくと、自分の環境に最も適した自動インストール方法を簡単に判断することができます。このテンプレートは、オンラインで使用するように設計されています。

1.1.2  自動インストールの基本

インストールを自動化してカスタマイズするには、応答ファイル、スクリプト、およびバッチファイルを使用します。これらのファイルによってオペレーティングシステムとアプリケーションを自動的に構成しますが、その処理には、Windows Server 2003ファミリで提供されているいくつかのインストールツールが使用されます。

自動インストールとカスタムインストールの基本的な概念

「自動インストール」は、ユーザーによる対話的な操作をほとんど、あるいはまったく必要とせずに実行されます。したがって、高速で、一貫性があり、問題が発生しにくいインストールを実現することができます。自動インストールツールでは、次に示す2つの基本的な方法が使用されます。

  • 「ディスクイメージを使用するインストール」は、事前に構成されたオペレーティングシステムとアプリケーションを、マスタコンピュータからインストール先のクライアントやサーバーにコピーする方法です。つまり、システムのクローンを作成することになります。この章では、「ディスクイメージを使用するインストール」は、Sysprepまたは[リモートインストールの準備ウィザード](riprep.exe)というインストールツールを使用したインストール方法を指します。

  • 「応答ファイルを使用するインストール」は、セットアップの指示を記述したテキストファイルを使用する方法です。これらの指示には、次の内容が含まれます。

    • インストール中にWindowsセットアップによって提示される質問に対する応答

    • オペレーティングシステムの設定を構成するための指示

    • ユーザーの操作を介さずにアプリケーションをインストールするための指示

この章では、「応答ファイルを使用するインストール」は、無人インストールと、[リモートインストールサービスのセットアップウィザード](risetup.exe)を使用したインストールを指します。

「カスタムインストール」は、特定のハードウェアやソフトウェアの構成をサポートするように変更したり、個々の組織やユーザーの必要性を満たすように設定したインストールです。自動インストールをカスタマイズするには、既に決定した設計情報を構成、変更します。その対象には、アプリケーション、追加言語のサポート、Service Pack、デバイスドライバなどが含まれます。自動インストールをカスタマイズするには、次のような操作を行います。

  • 応答ファイルを変更して、特定の応答や指示をセットアッププログラムに指定

  • 独自のファイル、アプリケーション、およびプログラムの配布フォルダへの追加

  • マスタコンピュータの構成の変更

Windows Server 2003 の自動インストールツール

Windows Server 2003ファミリには3種類の自動インストールツールが含まれています。それぞれについて簡単に説明します。

icon_memo メモ インストール先のコンピュータは、Windows PE(Windows Preinstallation Environment:Windowsプレインストール環境)のCD-ROMを使用して起動し、diskpartコマンドを使用してディスクのパーティションを設定した後で、formatコマンドを使用してディスクをフォーマットすることができます。WinPEは起動可能なオペレーティングシステムですが、オペレーティングシステムとしての機能はプレインストール処理を実行することに制限されています。なお、Windows PEを利用できるのは、Enterprise Agreement 6.0、Enterprise Subscription Agreement 6.0、またはSoftware Assurance(SA)と共にSelect License 6.0のいずれかを購入した場合に限られます。Windows PEとWindows PEのライセンスプランの詳細については、「Microsoft Windows プレインストール環境(WinPE)」(http://www.microsoft.com/japan/licensing/sa/tool.mspx)を参照してください。

リモートインストールサービス

RIS(Remote Installation Services:リモートインストールサービス)は、ネットワーク接続を介してリモートマスタサーバーコンピュータから複数のクライアントコンピュータに、クリーンインストール、事前構成済みインストール、ファイルシステムイメージを使用したインストール、またはスクリプトを使用したインストールなどの方法で自動インストールを行えるように設計することができます。RISでは、サーバー上でディスクイメージを作成して保存することができ、インストールはインストール先のコンピュータで開始されます。これは、管理者がそれぞれのコンピュータに触れずにオペレーティングシステムをインストールできる唯一の方法になります。

RISには、[リモートインストールサービスのセットアップウィザード](risetup.exe)と[リモートインストールの準備ウィザード](riprep.exe)という2つのコンポーネントが含まれています。これらを使用すると、それぞれ異なる方法でリモートインストールを実行することができます。次に、その違いを簡単にまとめて紹介します。

  • risetup.exe ─ RISサーバーのセットアップを行い、インストール対象のオペレーティングシステムとソフトウェアのファイルを保存する配布フォルダを作成します。

  • riprep.exe ─ Windows XP Professionalなどのオペレーティングシステムのカスタムイメージを作成できます。このコンポーネントは、マスタコンピュータ上にインストールされた既存のオペレーティングシステムに基づいてイメージを準備し、ネットワーク上の利用可能なRISサーバーにそのイメージをレプリケートします。イメージには、既定のパラメータを適用したオペレーティングシステムか、または事前構成済みのデスクトップやローカルにインストールしたアプリケーション、ドライバなどが設定されているオペレーティングシステムを含めることができます。

RISは、専用のサーバーを必要とするサービスです。したがって、RISを使用するようにネットワークとドメインも構成しなければなりません。詳細については、本書の「第4章 RISインストールの設計」を参照してください。

Sysprep

システム準備ツール(Sysprep)は、初期セットアップ設定が終わったマスタコンピュータをディスクイメージ用に使用します。Sysprepでは、インストール先のコンピュータが初めて再起動されたときに、それぞれのコンピュータに一意のセキュリティ識別子(Security Identifier:SID)を割り当てます。Sysprepを使用する方法は、インストール方法の中で最も高速です。Sysprepディスクイメージをインストール先のコンピュータに適用するのに、ほんの数分しかかかりません。

サードパーティのディスクイメージツールを使用すると、マスタコンピュータのハードディスクの内容(Sysprepディスクイメージ)をリムーバブルメディアにコピーできます。そこで、このディスクイメージを使用すれば、組織内でインストールが必要なコンピュータのハードディスクに、マスタコンピュータとまったく同じコピーをすばやくインストールすることができます。

Sysprep(sysprep.exe)は、Windows XP ProfessionalまたはWindows Server 2003セットアップCD-ROMの[SUPPORT\TOOLS]フォルダのDEPLOY.CABファイルに含まれています。詳細については、本書の「第3章 Sysprepを使用したディスクイメージによるインストールの設計」を参照してください。

無人インストール

Windowsセットアップによって通常の方法でインストールを行う場合にはユーザーに対して多くの質問が提示されますが、無人インストール(無人セットアップ)では、応答ファイルを使用することによって、これらの質問に自動的に応答します。また、応答ファイルには、ユーザーの操作を必要とせずにオペレーティングシステムの設定を構成したり、アプリケーションをインストールしたりする指示を含めることもできます。応答ファイル以外にも、インストールをカスタマイズするために必要なデバイスドライバやその他のファイルは、配布共有や配布メディアを介して配布することができます。無人インストールではすべてのファイルがインストール先のコンピュータにコピーされるので、終了するまでに比較的長い時間がかかります。

無人インストールは、次に示す2つのコマンドラインユーティリティを使用して実行します。

  • WINNT32.EXE ─ Windows 95、Windows 98、Windows NT、Windows 2000の各オペレーティングシステムからインストールを開始する場合に使用します。

  • WINNT.EXE ─ Windows 3.1、Windows for Workgroups、およびMS-DOSの各オペレーティングシステムからインストールを開始する場合に使用します。

これらのツールは、Windows XP ProfessionalまたはWindows Server 2003セットアップCD-ROMの[I386]フォルダに格納されています。詳細については、本書の「第2章 無人インストールの設計」を参照してください。

1.2 クリーン インストールとアップグレードに関する選択

オペレーティングシステムのクリーンインストールか、それともアップグレードのどちらを実行するかという決断は、最適な自動インストール方法を判断する際に重要な意味を持ちます。新しいオペレーティングシステムに移行する場合、大半の組織は、クリーンインストールを選択します。その方が統一性を簡単に維持でき、特にクライアントコンピュータにとって企業のインストール基準の設定がしやすいからです。しかし、新しいオペレーティングシステムに移行した後も、現在使用している比較的古い一連のビジネスアプリケーションや周辺機器を組織内で使用し続ける場合には、それらのアプリケーションやデバイスドライバを使用し続けられるようにするために、アップグレードを実行しなければならないこともあります。

Windows XP ProfessionalまたはWindows Server 2003のクリーンインストールを展開する場合には、どの自動インストール方法でも使用できます。クリーンインストールまたはアップグレードを実行するときには、その前に古いソフトウェアとデバイスドライバのインストールをテストして、それらが新しいオペレーティングシステムでも正常に動作することを確認する必要があります。アップグレード、クリーンインストール、およびアップグレードパスに関する詳細については、『Microsoft Windows Server 2003リソースキット導入編1 計画・テスト』の「第1章 導入計画の作成」を参照してください。

自動インストール方法の選択プロセスの中でこの段階が占める位置を図1.2に示します。

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1.2  クリーンインストールとアップグレードに関する選択
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アップグレードのためのインストールツール

オペレーティングシステムのアップグレードを実行するときには、RISやSysprepを使用することができません。アップグレードを実行するときに使用できる自動インストール方法は、WINNT32.EXEによる無人インストールだけです。WINNT.EXEは、アップグレードを実行するときには使用できません。

アップグレードを実行した場合には、一部のレジストリ設定やシステムファイルが古い状態のままで残されることがあります。したがって、実働環境にシステムを展開する前に、テスト用の環境でアップグレードのプロセス全体を完全にテストする必要があります。アップグレードのテストを行うことによって、必要なデータや構成が予想外に失われることを防止できる場合もあります。無人インストールの設計に関する詳細については、本書の「第2章 無人インストールの設計」を参照してください。

クリーンインス トールのためのインストールツール

オペレーティングシステムのクリーンインストールを実行するときには、どの自動インストールツールでも使用できます。クライアントにクリーンインストールを展開する場合は、自動インストールを行う前にユーザーの設定とデータを保存しておく必要があるかもしれません。そのような場合、USMT(User State Migration Tool:ユーザー状態移行ツール)というツールを使用できます。この章を読み進めていけば、自分の組織でクリーンインストールを行うときに、どの自動インストールツールが最適かを判断できるようになります。

icon_memo メモ USMTツールは、Windows Server 2003セットアップCD-ROMの[VALUEADD\ MSFT\USMT]フォルダに格納されています。

1.3 ソフトウェアに関する検討事項に基づいた選択

この段階で考慮に入れることは、サーバーとクライアントのどちらのオペレーティングシステムを展開するのか、オペレーティングシステムと一緒にどのような種類のアプリケーションを展開するのか、どのような構成のサーバーを展開するのか、などの点です。自動インストール方法の選択プロセスの中でこの段階が占める位置を図1.3に示します。

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1.3  ソフトウェアに関する検討事項に基づいた選択
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1.3.1  オペレーティングシステムに基づいた選択

自動インストール方法を選択するときの重要な検討事項の1つは、クライアントとサーバーのどちらのオペレーティングシステムを展開する予定なのか、という点です。サーバーを展開する場合には、応答ファイルを使用すると、必要な構成を細かな点まで微調整することが可能になります。また、多くのクライアントコンピュータに共通したデスクトップ環境を展開する場合には、処理が速いという理由から、ディスクイメージが理想的です。

クライアントコンピュータへのインストール

クライアントコンピュータに標準的な構成をなるべく速く展開するには、ディスクイメージによる自動インストールが理想的です。標準的なデスクトップ型とノート型のコンピュータの大半のプラグアンドプレイデバイスに対応するデバイスドライバがWindows XP Professionalには含まれているので、組織内でこれらのデバイスが異なっていたとしても、それらに対応するための別の構成を追加する必要はありません。

ただし、使用しているハードウェアのインベントリを作成し、それらに対応するデバイスドライバがインストールに含まれていることを確認する作業は必要です。特殊なデバイスドライバやWindows XPに含まれていないドライバをいくつも使用しているデスクトップ型やノート型のコンピュータが数多くある場合には、適切なドライバを含めてインストールを再構成するために、応答ファイルを使用します。

icon_memo メモ RISを使用して既存の環境に多数のクライアントコンピュータを追加する場合には、展開の計画を立てるときに、使用する容量の予測も行い、インストール中にも十分なレベルのサービスを利用できることが保証されるようにする必要があります。

サーバーへのインストール

組織の中でさまざまな役割を果たしている個々のサーバーへのインストールと、サーバーファームのメンバへのインストールについては、それぞれに異なる項目を検討しなければなりません。したがって、個々のサーバーとサーバーファームに対して異なるインストール方法を選択する可能性もあります。

個々のサーバーへのインストール

サーバーのオペレーティングシステムをインストールするときには、多くの場合、構成のカスタマイズが必要になります。特に、1回のインストールで複数の異なる役割を展開しようとする場合には、その必要性が大きくなります。したがって、応答ファイルが理想的です。

サーバーファームへのインストール

サーバーファーム、特に負荷分散が行われるように設定されているサーバーファームでは、多くの場合、同じファームのサーバーに同じ構成を適用することが必要です。そのような状況では、複数のサーバーを同じ構成ですばやくセットアップするためにSysprepを使用するのが最も効率的な選択になります。ただし、負荷分散ソリューションとしてNLB(Network Load Balancing:ネットワーク負荷分散)を使用している場合には、Sysprepを使用してオペレーティングシステムのインストールを行った後で、スクリプトを使ってNLBのインストールと構成を行う必要があります。

1.3.2  アプリケーションに基づいた選択

オペレーティングシステムと一緒にアプリケーションをインストールする場合には、自動インストール方法の選択に影響する検討事項として、そのアプリケーションとインストール方法の互換性を考慮に入れます。

アプリケーションのインストールの互換性テスト

ディスクイメージによるインストールを行う場合、オペレーティングシステムと一緒にアプリケーションをインストールする予定なら、インストールに関するテストを完全に行う必要があります。大半のアプリケーションは正しくコピーされますが、アプリケーションの構成、設定、その他の特性の一部が原因となって、ディスクイメージのインストールの後でアプリケーションが予想外の動作を示すことがあります。アプリケーションがディスクイメージによって正しくインストールされない場合には、その代わりに無人セットアップを使用すれば、正しくインストールすることができます。

1.3.3  サーバーの構成に基づいた選択

サーバーのオペレーティングシステムをインストールする場合には、オペレーティングシステムをどのように構成するかに基づいてインストール方法を選択します。

証明書サービスを構成する場合

応答ファイルを使用する場合には、証明書サービスをインストールして構成することができます。ディスクイメージを使用する場合には、オペレーティングシステムのインストールが完了した後で証明書サービスをインストールして構成しなければなりません。

クラスタサービスを構成する場合

応答ファイルを使用する場合には、クラスタサービスをインストールして構成することができます。ディスクイメージを使用する場合には、オペレーティングシステムのインストールが完了した後でクラスタサービスをインストールして構成しなければなりません。

ドメインコントローラを構成する場合

応答ファイルを使用する場合には、[Active Directoryのインストールウィザード](dcpromo.exe)を開始してサーバーをドメインコントローラとして構成するためのスクリプトを含めることができます。ディスクイメージを使用する場合には、オペレーティングシステムのインストールが完了した後でサーバーをドメインコントローラとして構成しなければなりません。

IIS を構成する場合

IIS(Internet Information Services:インターネットインフォメーションサービス)の構成の設定は、無人インストールとRisetupで使用する応答ファイルに組み込むことができます。したがって、IISサーバーを展開する場合には、これらの方法が最も効率的です。ただし、IISサーバーのディスクイメージのインストールも完全にサポートされています。

1.4 ネットワークとハードウェアの構成に基づいた選択

自動インストール方法を選択するときには、ネットワークトポロジとハードウェアに関する検討事項も、考慮に入れなければなりません。自動インストール方法の選択プロセスの中でこの段階が占める位置を図1.4に示します。

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1.4  ネットワークとハードウェアの構成に基づいた選択
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1.4.1  ネットワークトポロジに基づいた選択

ネットワーク帯域幅と既存のネットワークプロトコルは、どの自動インストール方法を使用するかを決定する際に、重要な要因になります。たとえば、ネットワークサーバーとの間で高帯域幅の接続を利用できない場合には、RISを使用して自動インストールを行うより、CD-ROMやDVDなどのメディアを使用してインストールを行う方が一般に適切です。

ネットワークの接続性の確認

RISを使用する場合、あるいは無人インストールやSysprepを使用して共有フォルダからインストールを実行する場合には、信頼性の高い高帯域幅のネットワーク接続を利用する必要があります。また、RISでは、TCP/IPネットワークを利用できることが必要です(無人インストールとSysprepでは、必要ありません)。

自動インストールの対象となるコンピュータが低帯域幅の接続によってネットワークに接続されていることもあります。たとえば、クライアントが遠隔地に設置されているような場合です。そのような場合には、無人インストールやSysprepなどのようにディスクからインストールする自動インストール方法の方が、RISより適切です。RISでは、堅牢なネットワークを利用できることが要求されます。それに対して、無人インストールやSysprepでは、コンピュータ上でローカルに行われます。したがって、ネットワークを介して何も伝送する必要がありません。

icon_memo メモ RISを使用して自動インストールを行うには、PXE(Pre-Boot eXecution Environment:ブート前実行環境)テクノロジをサポートしているネットワークカードが必要です。ワイヤレスネットワークカードと多くのトークンリング型ネットワークカードは、PXEをサポートしていません。詳細については、「1.4.2 ハードウェアインベントリに基づいた選択」を参照してください。

IP アドレスの割り当ての確認

SysprepまたはRiprepを使用して作成されたイメージがインストール先のコンピュータにコピーされたら、その後で静的IPアドレスの設定を構成しなければなりません。ディスクイメージがインストール先のコンピュータにコピーされると、インストール先のコンピュータのネットワークアダプタは、既定の設定に初期化されます。これらの既定の設定には、IPアドレスの動的割り当てが含まれています。そのため、静的IPアドレスを構成する必要がある場合には、応答ファイルを使用する方が便利です。Sysprepがネットワークの設定に及ぼす影響の詳細については、Microsoftサポート技術情報の文書番号271369「Statically-Entered TCP/IP Settings Are Not Present After Sysprep」を参照してください。この文書を検索するには、Microsoftの「サポート技術情報検索」ページ(http://support.microsoft.com/kb/271369/ja)を参照してください。

RISを使用するときには、クライアントコンピュータと同じネットワーク上にアクティブなDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol:動的ホスト構成プロトコル)サーバーが存在していることが必要です。リモートブートが可能なクライアントコンピュータは、RISサーバーと接続する前に、DHCPサーバーからIPアドレスを受け取ります。マルチサブネットネットワークに設置されているルーターは、クライアントとRISサーバーの間のDHCPパケットを転送するように構成されています。さらに、ルーティングが行われているネットワークでは、DHCPパケットをDHCPサーバーだけでなくRISサーバーにも転送しなければなりません。詳細については、本書の「第4章 RISインストールの設計」を参照してください。

1.4.2  ハードウェアインベントリに基づいた選択

自動インストール方法を選択するときには、インストール先のコンピュータとマスタコンピュータの両方のハードウェアに関する多くの検討事項が影響を与える可能性があります。これらの検討事項には、互換性に関するものと構成に関するものの2種類があります。一般的に言えば、同一機種のハードウェア群の場合には、ディスクイメージが最適です。しかし、異機種のハードウェア群、たとえば、展開するオペレーティングシステムに含まれていないドライバが使用されている旧型のハードウェア群の場合には、応答ファイルが最適です。

HAL の互換性の確認

SysprepまたはRiprepを使用してディスクイメージによるインストールを実行できるのは、ディスクイメージのHAL(Hardware Abstraction Layer:ハードウェアアブストラクションレイヤ)とインストール先のコンピュータのハードウェアとの間に互換性がある場合だけです。たとえば、SysprepまたはRiprepを実行したマスタコンピュータでACPI(Advanced Configuration and Power Interface) HALが使用されている場合には、イメージを受け取るインストール先のコンピュータでもACPI HALが使用可能でなければなりません。場合によっては、ディスクイメージに含まれているHALをアップグレードして、インストール先のコンピュータのHALの要件に適応させることもできます。ただし、そのような種類のアップグレードに対してHALに互換性があることを確認しなければなりません。マスタコンピュータとインストール先のコンピュータのHALに互換性がない場合には、応答ファイルの方が便利です。

PXE のサポートの評価

RISによるインストールを開始するには、ネットワークを介してRISサーバーに接続することによってRISクライアントでリモートネットワークブートを実行する必要があります。リモートブートを可能にするには、インストール先のコンピュータで、ネットワークアダプタとROM BIOSの両方がPXEをサポートしている必要があります。

PCI(Peripheral Component Interconnect)のネットワークアダプタの場合、RISブートフロッピーディスクからブートすれば、PXEがなくても対応できます。RISブートフロッピーディスクは、リモートブート可能なBIOSが欠如しているコンピュータでPXE起動プロセスを行う起動ディスクです。Microsoft Windowsリモートブートディスクジェネレータ(rbfg.exe)というユーティリティがRISサーバーの[RemoteInstall\Admin\i386]フォルダに格納されているので、このユーティリティを使用して、PXEに対応していないRISクライアントで使用するためのRISブートフロッピーディスクを生成することができます。ただし、rbfg.exeは、限られた種類のPCIカードしかサポートしておらず、サポートされていないカードのサポートを追加することは不可能です。rbfg.exeユーティリティを実行して、[アダプタの一覧]をクリックすると、サポートされているネットワークカードの一覧を表示することができます。

インストール先のコンピュータでネットワークアダプタとROM BIOSでPXEがサポートされていない場合には、無人インストールまたはSysprepを使用する方が便利です。

大容量記憶 装置コントローラの評価

組織内で使用されている大容量記憶装置コントローラを調べます。デバイス情報(.inf)ファイル、たとえばmachine.inf、scsi.inf、pnpscsi.inf、mshdc.infなどのファイルを照合し、どのファイルにも記載されていない大容量記憶装置コントローラが見つかった場合には、ディスクイメージによるインストールでMini-Setup段階を特別に構成する必要があります。この場合、オーバーヘッドが生じたら、無人インストールまたはRisetupを使用した方が適切な可能性があります。

1.5 ディレクトリ サービスに関する検討事項に基づいた選択

自動インストール方法を選択するときには、自分の組織で実際に使用しているディレクトリサービスについて検討する必要があります。自動インストール方法の選択プロセスの中でこの段階が占める位置を図1.5に示します。

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1.5  ディレクトリサービスに関する検討事項に基づいた選択
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ディレクトリサービスの計画の確認

RISを使用して自動インストールを行う場合には、ディレクトリサービスとしてActive Directoryを使用しなければなりません。これは、セキュリティとコンピュータアカウントの割り当てがActive Directoryに依存しているからです。さらに、RISクライアントとRISサーバーを識別するときにも、Active Directoryが使用されます。

Active Directory に依存しているアプリケーションの識別

自動インストールに含める予定のアプリケーションの中で、Active Directoryに依存しているアプリケーションをすべて洗い出します。たとえば、人事や組織専用のデータなどにアクセスするクライアントアプリケーションなどです。これらのアプリケーションは、Sysprepによってインストールして構成することができません。これらのアプリケーションは、ディスクイメージがインストール先のコンピュータにコピーされ、そのコンピュータが再起動された後で、インストールして構成しなければなりません。したがって、この場合には、無人インストールの方が適切であると言えます。無人インストールなら、Active Directoryに依存しているアプリケーションも、その他のインストールファイルと共に含めることができます。

ドメインコントローラの計画の確認

自動インストールを使用してドメインコントローラを作成する場合には、特別な検討事項があります。第一に、Sysprepのマスタコンピュータをドメインコントローラとして構成することはできません。最初にしなければならないのは、マスタコンピュータをスタンドアロンサーバーとして構成することです。次に、ディスクイメージがインストール先のコンピュータにコピーされた後で、[Active Directoryのインストールウィザード](dcpromo.exe)を使用してActive Directoryをインストールします。ただし、dcpromo.exeを起動するように応答ファイルに記述することもできるので、応答ファイルの中で[GuiRunOnce]セクションを使用すれば、無人インストールの終了時に自動的にdcpromo.exeを開始することができます。この方法は、事前に構成されているドメインコントローラをインストールする場合の選択肢として、比較的有効です。

1.6 追加情報

この章の内容に関係する追加情報とツールを次に示します。

関連情報

  • 本書の「第2章 無人インストールの設計」

  • 本書の「第3章 Sysprepによるディスクイメージを使用したインストールの設計」

  • 本書の「第4章 RISインストールの設計」

  • Windows Server 2003ファミリおよびWindows XPと互換性のあるハードウェアおよびソフトウェアに関する情報は、「Microsoft Windowsオペレーティングシステム向け仕様の製品」(http://www.microsoft.com/japan/whdc/hcl/default.mspx)。

関連ツール

  • DEPLOY.CAB

    DEPLOY.CABファイルには、Sysprepツールやセットアップマネージャツールなど、さまざまな関連する自動インストールツールが含まれています。また、DEPLOY.CABファイルには、「Microsoft Windows Preinstallation Reference」(ref.chm)というドキュメントも含まれています。このドキュメントには、応答ファイルのセクション、エントリ、および値に関する情報が記述されています。さらに、DEPLOY.CABファイルには、「Microsoft Windowsコーポレート展開ツールユーザーズガイド」(deploy. chm)というドキュメントも含まれています。このドキュメントには、自動インストールの実行に関する詳細な説明が記述されています。DEPLOY.CABファイルは、Windows XP ProfessionalとWindows Server 2003のセットアップCD-ROMの[SUPPORT\TOOLS]フォルダに格納されています。Windowsエクスプローラを使用するか、expand.exeを実行すると、ref.chmおよびdeploy.chmファイルを取り出して表示することができます。

関連ヘルプトピック

  • Windows Server 2003の[ヘルプとサポートセンター]の「無人セットアップを計画する」。

  • RISのインストールと管理の詳細については、Windows Server 2003の[ヘルプとサポートセンター]の「リモートインストールサービス」。

関連テンプレート

  • 本書に付属のCD-ROMの「Choosing an Automated Installation Method」(ACIOV_01.xls)



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