Visio 2000 によるネットワークの図式化

トピック

はじめに
ネットワークの文書化 : 2 種類のサポート
ネットワークのトラブルシューティングと管理を目的とした詳細な文書の作成
特別プロジェクトを推進する
確実に投資効果を上げる
結論

はじめに

今日の企業では日常業務から、システム管理、社内外との連絡、セキュリティ、人的資源のデータに至るまで、ネットワークに依存する割合がますます高まっています。さらに新しいテクノロジーや e-ビジネスの流れによって、規模の拡大、複雑さや監視の手間の増加といった新たな負荷がインフラストラクチャに加わっています。一般に知られている最近の事例でもわかるように、ネットワーク障害による損失は金額面でも信用面でも多大なものとなります。現在のネットワークは、かつての単純な通信構造とは明らかにかけ離れたものになっています。競争力の点で真に優れたものがネットワークに要求されるのが現状です。

本文書では、ネットワーク管理者向けに設計された Visio の機能を利用して、ネットワークの文書化、設計、管理、診断を行う方法を説明します。Visio 2000 を使用してネットワークを図式化することにより、以下に示す作業の効率が向上します。

  • 既存のネットワークの文書化とトラブルシューティング

  • 新しいシステムの設計

  • IT プロジェクトの促進

信頼性の向上と分散システム

IT (情報技術) 部門には、難しい判断を求められる場面や企業の移転、物理的な拡張、システムの更新、合併などの最中でも、シームレスなネットワーク環境を維持することが求められます。ネットワーク技術者は常にトラブルの予測と予防に努めながら、物理的な資産管理、トラフィックの監視、パフォーマンスの最適化を行わなくてはなりません。その一方で、クライアント/サーバー型コンピュータ システムが主流になるにつれて、遠隔地ネットワークの拡大化が進んでいます。ネットワーク技術者は、エンドユーザーが快適に仕事を進めるためのサービスを提供し続けなくてはいけません。しかし、実績があり信頼性もあるシステム管理ツールが存在したかつてのメインフレーム環境と違って、今日のように分散化された環境でのネットワーク管理は容易なことではありません。

皮肉にも、ネットワークの規模と複雑さが拡大するにつれ、作業の自動化やスタッフの削減、予算の抑制を IT 部門が迫られることも少なくありません。ネットワーク管理者が対処していかなければならない課題には次のものが挙げられます。

  • 大規模で複雑なネットワークの維持

  • 中央オペレーション センターによる分散した企業の管理

  • 通信システムの社内イントラネットへの移行

  • 現在、および過去のシステムに関する文書の不足

  • Microsoft Windows 2000 など、オペレーティング システムの大規模なアップグレード

  • VoIP (voice-over-IP) など、進化し続けているテクノロジーへの対応

  • インターネットや e-ビジネスの導入や活用

  • 立地に左右されない世界規模の労働力確保とアウトソーシング

  • 頻繁な人事異動と組織変更

ネットワークの文書化が抱える問題

IT やネットワークの技術者に自社のネットワークに関する文書の品質についてたずねると、次のような答えがよく聞かれます。(1) 手書きのもの、スプレッドシート、テキストファイルとあるが、内容に一貫性がない。(2)他の部署との間で情報を共有できない。(3) CAD を使っているが、実装にはさまざまなコストがかかり、導入コストの割に得られるものが少ない。(4) 文書自体がない。文書を作成する時間そのものがない。

ネットワーク管理者の誰もが、ネットワークに関する正確な文書の重要性を認めています。ネットワーク上で稼働するアプリケーションを活用すれば、ミッション クリティカルな業務を実行できる可能性が生まれます。社内外の通信には、信頼性が高く安定したネットワークが求められます。企業は、新しいテクノロジーやビジネス対象の変化に巧みに対応しつつ、自社のネットワークについて深い認識を持たなければなりません。

しかし、自社のシステムに関する情報を文書化する余裕のあるネットワーク管理者はほとんどいません。むしろ、多くの管理者が、サーバーの障害などの重大なトラブルに対応したり、新しいテクノロジーを導入したりすることにいつも時間を費やしています。ネットワークに変更が加えられて以来 6 か月間文書化が実行に移されていなかったからといって、その時点でネットワークに関する情報の文書化が最優先で着手されることはまずありません。

上記のような状況に加え、ネットワーク文書の作成には時間と手間のかかる可能性があります。ペンや鉛筆などの筆記用具やシンプルな描画ソフトウェアで文書化する場合、ネットワーク図の作成には時間がかかるとともに、困難な作業になる可能性があります。また、完成した文書を更新するのが容易でない上、すぐに内容が古くなってしまいます。それでも、時間をかけずにネットワーク関連文書の作成や更新を行う必要があるため、ネットワーク管理者は高機能を備えながら、簡単に使いこなせるツールを必要としています。

シンプルで使いやすいネットワーク図作成ツールの必要性

ネットワーク技術者は、最新の情報を集め、その情報に基づいてネットワークのトラブルシューティングや保守、レポート作成にあたる必要があります。ネットワーク技術者が、メリットとデメリットを的確に把握し、提案するシステムが主要な条件を満たしているかを確認するためには、詳細なビジュアル情報が必要になります。ネットワーク資産に関する正確な情報の必要性は以前よりもはるかに大きくなっていますが、ネットワークの設計ツールや文書化ツールの多くは、機能面で非常に制約の多い製図ツールであるか、非常に複雑で高価なハイエンドシステムであるかのどちらかです。

ネットワーク技術者が求めているツールは、ネットワークの図式化に特化した、使いやすく、今日のグローバルで複雑な環境にも十分対応できる洗練されたものです。ここでいうネットワーク技術者は、具体的には以下のような人が該当します。

  • IT 構造の設計と導入を行うネットワーク ソリューション プロバイダやシステム インテグレータ

  • トラブルシューティングや計画作成、障害からの復旧を効率よく行うため、ネットワーク関連情報を文書化する IT/IS 担当者

  • 日常業務を管理したり、ネットワーク設計を他者に説明するネットワーク エンジニア

  • ネットワーク ディレクトリを管理する Novell/Windows ネットワーク管理者

  • 個々の機器の設置場所や詳細について知っておく必要のあるヘルプ デスク スタッフ

  • 販売前および販売後のネットワーク サービス プロバイダやネットワーク サービス会社

ネットワークをビジュアル化することで、ネットワーク技術者は、ネットワークの構築といった複雑な問題に対し、より優れたソリューションを生み出すことができます。ネットワークやディレクトリ構造の設計、開発、販売、文書化、または保守を行う IT 技術者は、構築するシステムの概念的、論理的および物理的な図面を作成する必要があります。こうした技術者が求めるのは、投資に対する見返りが明確な形で得られる、堅牢で効率の良い IT システムです。

Visio 2000 によるネットワークの図式化

設計の見直しがなされた Visio 2000 エンジンを核とする Visio のツールは、部署や枠組みにとらわれずにネットワークを図式化するための標準的なグラフィック テクノロジーを備えており、未加工のデータを視覚的にわかりやすい形で表現することができます。Visio 2000 を使用すれば、ネットワーク技術者は次の内容を実行できるようになります。

  • ネットワーク機器や情報の自動検索

  • インテリジェントなデータ駆動型シェイプを使用した、短時間でのネットワーク図作成

  • 最新の状態を反映した正確なネットワーク文書の作成

  • ネットワーク図と資産データベースのリンクの維持

  • 既存 CAD 図面を流用したネットワークの更新や構築

  • 資産と費用の正確な履歴管理

  • 移行シナリオ作成のためのディレクトリ階層の図式化

ネットワーク図作成ソフトウェアである Visio 2000 は、次に示す 3 種類の業界標準ツールで構成されています。

Visio 2000 Professional Edition プレゼンテーションや提案書作成を目的とした、ハイレベルな論理図面の作成に適しています。小規模、または中規模ネットワークを手動で図式化する場合には Professional Edition を使用します。

Visio ネットワーク機器シェイプ ライブラリ 精確な 18,000 種類を超えるネットワーク機器シェイプは、ポート レベルまで詳細に表現されています。

Visio 2000 Enterprise Edition 大規模ネットワークや実際のネットワーク トポロジーを自動的に探索し、図式化します。Enterprise Edition には、Professional Edition と Visio Network Equipment も含まれているだけでなく、既存の詳細な文書を自動的に最新の状態に維持する機能が備わっています。

ネットワークの文書化 : 2 種類のサポート

ハイレベルなネットワーク文書は、以下のメリットを生みだします。

  • トラブルシューティングの単純化

  • 提案や予算要求における効果的な支援

  • トレーニングの充実

  • 組織が持つ重要な情報の維持

  • ネットワークの追加や強化に関する計画立案

  • 大規模なアップグレードの準備

  • 障害や中断の予防

  • 障害からの復旧

上に挙げた作業を実行するため、ネットワーク管理者にとって、通常、複数のレベルでネットワーク図式化がサポートされる必要があります。まず、プレゼンテーションや提案には、説得力のある論理図面が必要であり、そうした図面を短時間で作成しなければなりません。ハイレベルなネットワーク図には正確さが不可欠ですが、個々のネットワーク機器に関する詳細を盛り込む必要はありません。

次に、資産管理、トラブルシューティング、レポート作成を効率よく行うため、詳細で一貫性を持った文書が必要です。こうした文書には、デバイスのモデル名やトラッキング番号、ネットワーク アドレスといったネットワーク上の機器に関する詳細な情報も当然記載されていなくてはなりません。

ネットワーク デザインを伝える高度な図面

Visio 2000 Professional Edition を使用すれば、一般的な論理ネットワーク シェイプを図面にドラッグして、プレゼンテーションや提案のためのネットワーク図を作成できます。論理ネットワーク シェイプは不要な詳細情報を省いているため、技術が専門でない人々に設計内容を伝える場合や、さまざまな部署からの合意を獲得したい場合に有効です。ラック、シャーシ、ネットワーク カードといったネットワーク機器シェイプは、図面にドラッグ & ドロップし、それらを結合してネットワークを表現します。論理ネットワーク図のテンプレートを使用すれば、単純な組織図を描くような感覚でネットワーク図を作成できます (図 1)。さらに、作成した図面は、レポートや仕様書、プレゼンテーション、Microsoft Office ドキュメントに貼り付けることもできます。

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1: Visio 2000 Professional Edition を使用すると、ネットワーク技術者はネットワーク機器シェイプをドラッグ & ドロップして図面を作成できます。論理ネットワーク図のテンプレートを使用すると、短時間でネットワーク図を作成できます。

インテリジェント機能を利用して図面を作成する

Visio のネットワーク シェイプは、スマートシェイプ (SmartShapesョ) を使用しています。インテリジェントなスマートシェイプはサイズを変更しても形状がゆがまず、中に文字を挿入することもできます。一方、スマートコネクタ テクノロジーにより、デバイスを追加した場合はデバイス間をつなぐ線が自動的に引き直され、デバイスを移動しても結線が維持されます。

各シェイプには詳細な属性を格納できるので、トラブルシューティングや費用の見積もり、デバイス数の把握に利用できます。ワンクリックするだけで、製造業者、製品名、説明、型番、およびネットワーク シェイプのプロパティを調べることが可能です。フィールドを追加することで、管理するプロパティ情報を追加することもできます。ある製造業者のコンピュータすべてを確認したい場合など、Visio 2000 ではレイヤーを使用して、図面に含まれる特定のコンポーネントを分離できます。

高度なネットワークの計画および設計

ネットワークを正確に図式化することは、ネットワークの計画と開発の初期段階における作業効率の向上につながります。Visio 2000 Professional Edition では、最新のネットワーク技術を表現するシェイプを使って LAN や WAN を設計できます。こうしたシェイプには、シン クライアント、VPN デバイス、ファイアウォール、薄型ディスプレイ モニタ、手のひらサイズの携帯型デバイス、DVD プレーヤー、その他さまざまなネットワーク デバイスがあります。ネットワークの設計者は、提案するネットワークのノードを図面に簡単に組み込むことができ、その新しい構造もすぐに確認できます。また、独自に追加したネットワーク シェイプのプロパティに価格欄を含めることで、新しいネットワーク構造に必要な部品表をすぐに印刷することも可能です。

ネットワークのトラブルシューティングと管理を目的とした詳細な文書の作成

正確で詳細な文書の作成は、どのようなデバイスを所有し、それらをどこに配置しているかを知ることから始まります。ネットワークが、小さな企業内のものでも、複数の大陸にまたがるようなものでも、すべてのデバイスを直接目で確認して文書化することが物理的に不可能なことがよくあります。ネットワーク管理者には、WAN 接続、ポート レベルのデータ リンク、仮想ローカル エリア ネットワーク (VLAN)、スパニング ツリー、プロトコル、サービスなどの詳細な図面が必要になるといえます。Infonetics Research 1 の報告によれば、典型的なネットワーク管理者は、業務時間の 28% をネットワークの資産管理に、27% をトラブルシューティングに費やしています。そうした作業を自動化するツールがあれば、ネットワーク管理者がネットワークの改良に力を注げるようになり、ネットワークのパフォーマンスが大幅に向上するでしょう。

ネットワークの自動探索

Visio 2000 Enterprise Edition では、AutoDiscovery テクノロジーにより、ネットワークの文書化をすばやく簡単に行うことができます。Enterprise Edition は、ある 1 台のルーターを起点として、ローカル レベル、または企業全体レベルでの全デバイスに関する総合的なデータベースを自動的に作成できます。データベースには、レイヤ 2 (データ リンク)、レイヤ 3 (IP ネットワーク)、Cisco VLAN、スパニング ツリー、フレーム リレー情報などが含まれます (図 2)。この独自の SNMP (Simple Network Management Protocol) テクノロジーはネットワークを中断させることなく動作し、IP アドレス、サブネット マスク、MAC アドレス、通信速度などの接続情報やデバイス インターフェイス情報を集めることができます。探索 ウィザードを使用すれば、企業ネットワーク全体の情報を一度に収集することも、特定のサブネットやデバイス タイプについての情報を集めることもできます。指定した時間に無人でネットワークの情報を収集するよう設定することも可能です。探索データは、Enterprise Edition の AutoLayout 機能により自動的に図面に取り込まれます。Visio Network Equipment (Enterprise Edition に付属) は、ポート レベルまで表現された 18,000 を超える精密なネットワーク機器シェイプが含まれています。シェイプは 3Com、Cisco Systems、Hewlett-Packard、Nortel Networks など、370 を超える主要ベンダの最新ネットワーク機器を表現しています。シェイプには、製造元、製品番号、部品番号、形状説明など、各製品固有のプロパティ情報が含まれています。シェイプにスナップし、ラック上で実際にどのように実装されているかを反映します。

Enterprise Edition には、ネットワーク オブジェクト用の データベース ビューア が組み込まれており、データベースに登録されているオブジェクトの削除や名前の変更、DLCI (Data Link Connection Identifier) の設定、インターフェイス速度の設定、およびデバイス クラスの変更が可能です。

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2: AutoDiscovery テクノロジーにより、ネットワークの文書化がすばやく簡単に行うことができます。ある 1 台のルーターを起点と して、レイヤー 3 (IP ネットワーク層 ) におけるすべてのデバイスのデータベースを自動的に作成できます。

インテリジェントな資産管理

既存の資産データベース ツールは導入が難しく、運用するまでには膨大な時間がかかります。そのため、資産データベースの情報がすぐに古くなる傾向があります。Visio 2000 であれば、簡単に更新できる重要な資産文書を作成できます。

ネットワーク シェイプに格納されたデータは、カスタム プロパティ ウィンドウを通じて簡単に管理することができます。このウィンドウは、選択したデバイス固有の情報を表示します。そのため、機器の詳細、資産のトラッキング番号、メンテナンスの履歴、ネットワークの種類やアドレス、ワークステーションの詳細、ケーブルなどといったデータやプロパティを簡単にカスタマイズすることができます。カスタム プロパティ ウィンドウには、自動探索 が実行される過程で自動的に取得された新しいデータが表示されます。

資産管理を自動化するため、ODBC を介してネットワーク機器シェイプと ODBC 互換の資産データベースとをリンクさせることができます。プロパティ レポート ウィザードは、ネットワーク機器シェイプのデータ資産関連フィールドに含まれるデータを利用して、機器目録や部品表、その他の重要なレポートの作成を行います。さらに、そのデータを Microsoftョ Excel のスプレッドシートの形式で保存して、より詳細な分析を行うこともできます。また、ネットワーク データベース ウィザードでは、ネットワーク図から Microsoft Access のデータベースを作成することも可能です。ネットワーク図の変更はデータベースにも反映され、その逆も同様です。

ネットワークのトラブル シューティング

ネットワーク技術者がトラブルシューティングに要する時間の 80 % を問題の特定に費やしているというのは珍しいことではありません。不十分な文書を頼りにスループット、待機時間、パケットの流れ、プロトコルなど問題の絞り込みに取り組むことで貴重な時間が失われていきます。詳細で正確なネットワーク文書があれば、短時間で問題を特定でき、トラブルシューティングの時間も短縮できます。さらに、文書が整備されていれば、ネットワーク上のデータ経路の予測に役立ち、早期に危険な兆候を認識し、障害を予防することが可能になります。

トラブルシューティングを効率よく行うために、シェイプにはルーターの種類やルーターを管理するオペレーティング システムは何かといった情報が含まれています。シェイプに関連付けられたプロパティから資産番号、購入日、ベンダの電話番号といったデータに簡単にアクセスできます。さらに、Visio 2000 のネットワーク機器シェイプは精密に表現されているため、シャーシ内に実際のモジュールを表示した状態でラックの拡大図を見ることもできます (図 3)。

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3: Visio 2000 のネットワーク機器シェイプは精密に表現されているため、シャーシ内に実際のモジュールを表示しながら、ラックの拡大図を確認できます。

図面の自動更新

ほとんどのネットワークで、変更は日常茶飯事です。図面の正確な更新を簡単に行えるということは、最初に図式化することと同様に重要です。Visio 2000 Enterprise Edition には、変更の追跡と文書化を効率よく行う 2 つの強力なツールがあります。

ガイド付きの更新ガイド付き更新機能を使用して、ネットワークを自動的に再探索して、前回の探索以降に加えられた変更を自動的に表示することができます。ガイド付きの更新ウィンドウは、前回の探索以降に追加、変更、または削除されたネットワーク コンポーネントのリストを表示します。表示されるネットワーク コンポーネントは、デバイス、インターフェイス、ネットワーク オブジェクト、データ リンク接続などです。また、以前の図面を上書きする代わりに、レイアウトを変えず、以前に設定したオプションを反映させながら、図面の閲覧および更新を選択して実行することができます。

新しい AutoLayout サポートVisio 2000 では、自動探索 を実行して収集した情報を元に、わかりやすい図面を自動的に作成することができます。図面の作成にあたって、図面の起点 (ネットワーク バックボーンやルーターなど) と図面に含むルーターのホップ数を指定できます。Enterprise Edition では、新しい AutoLayoutョ テクノロジーを利用して図面を作成します。

カスタム レポートの作成

Visio 2000 Enterprise Edition は、探索したデータを元に専門的な文書を自動的に作成する高機能なレポート作成モジュールを備えています。プロパティの各フィールドは、重要なデータを格納したり、そのデータについてのレポートを自動的に作成する場合に使用されます。IP アドレスのリスト作成、フレーム リレー データの要約、ネットワーク トポロジーの変更の追跡も簡単に実行できます。トラブルシューティングの担当者は、ネットワーク上で検索されたすべてのサーバー、スイッチ、ルーター、およびその他のハードウェアの総合的なレポートを簡単に閲覧することができます (図 4)。高速なデータ収集と設定したスケジュールに基づく自動探索により、レポートの作成速度と精度が向上します。データは、そのまま提案書として使用可能で、プレゼンテーション レベルの品質を持つ 20 種類のレポートとして表示することが可能です。企業のロゴの追加やフォントの変更など、レポートをカスタマイズしたり、目次付きの製本用レポートを作成することもできます。

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4: ネットワーク上で探索されたすべてのサーバー、スイッチ、ルーターなどのハードウェアについて総合的なレポートが 作成されるため、ネットワークのトラブルシューティングをより簡単で、的確に進めることができます。

図面を共有する

図面は、壁一杯に貼るようなネットワーク全体を表す大きなものから、単独のラックの内容だけを表すものまですべて印刷可能です。Visio 2000 の全エディション共通のファイル フォーマットであれば、組織間でのファイル交換が簡単にできます。ネットワーク図は、Microsoft Office ドキュメントや電子メールに貼り付けることも簡単です。

拡張されたインターネット サポー ネットワーク図式化ツールの Visio 2000 には、ネットワーク図を HTML 形式または VML 形式で保存することが可能で、これらの形式で保存したデータをイントラネットやインターネットで提供することができます。特定のデバイスに関する詳細を確認できるよう、ハイパーリンクを使用した複数のページを含む図面を作成することもできます。図面やレポートにハイパーリンクを埋め込み、イントラネットで提供するようにすれば、管理職やエンジニア、コンサルタント、ベンダ間の連絡を密に保つことができます。

特別プロジェクトを推進する

IT 担当者は日々ネットワークの保守にあたる一方で、特別プロジェクトを指揮して、推進しなければならないことがよくあります。特別プロジェクトの具体例には、音声ネットワークとデータ ネットワークの融合、Windowsョ 2000 の導入、e-コマースの導入などが挙げられます。Visio のネットワーク図を使用すれば、プロジェクトの進行過程を明確にし、シナリオを作成し、意志決定者の合意を得る作業をスムーズにすることができます。新しいテクノロジーの導入に必要な過程を把握してビジュアル化すれば、コンサルタント、IT 担当者、管理職、重役らの同意をより迅速に獲得することができます。

VoIP (Voice-over-IP) を導入する

VoIP テクノロジーの登場によって、音声ネットワークとデータ ネットワークが統合されつつあります。また、無線電話通信と CTI (computer telephony integration) はビジネスにおけるコミュニケーションのあり方を変えつつあります。こうした大幅な変更に対する計画を作成し実行に移すには、ソフト面とハード面の IT インフラストラクチャに重大な変更を加えなければなりません。企業は、こうした新しいテクノロジーの恩恵を確実に享受できる計画を必要とします。Visio の AutoDiscovery・テクノロジーを使用すれば、組織に存在するレイヤー 2、レイヤー 3 およびフレーム リレーのネットワークを文書化でき、VoIP の導入に先駆けてネットワークの変更に関する設計を綿密に行うことができます (図 5)。その後は、計画作成チームが、ネットワークや電話通信関連の主要なベンダが提供する何千もの機器を表すシェイプを使用して計画を細部にわたって練り上げていきます。新しい機器を導入する場合、ガイド付き更新機能を使用し、必要に応じて図面を更新することも可能です。

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5: Visio 2000 は、 VoIP のような新しいテクノロジーの導入に必要な過程を図式化して、コンサルタント、管理職、ネットワーク管理者、重役からの同意を得やすくします。

Windows 2000 の導入

今日、IT 部門が抱える最も複雑な課題の 1 つに、Windows 2000 と Active Directory への移行が挙げられます。この 2 つの新しいテクノロジーは、まったく新しい形でネットワークを構成し管理する方法を提案しています。ユーザーが現行のディレクトリ構造を理解できる優れた設計ツールがあれば、アップグレードを成功させる大きな力となるでしょう。管理の行き届いた組織であれば、Visio 2000 の強力な AutoDiscovery テクノロジーで、既存のディレクトリ構造とドメイン構造を表す総合的な図面を作成できます (図 6)。また、Visio 2000 は、その図面の情報をエクスポートして、ディレクトリ サービス データベースを Active Directory に作成することができます。これにより、Windows 2000 の管理者は Visio の図面を使用して、新しいテクノロジーの実装における共同作業、情報の更新、管理を行うことができます。

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6: 企業は、 Visio 2000 の強力な AutoDiscovery ・テクノロジーを使用して、既存のディレクトリ構造とドメイ ンの構造の総合的な図面を作成し、その図面の情報をエクスポートして、ディレクトリ サービス データベースを Active Directory に作成することができます。

e-ビジネスの達成をサポート

ほとんどの企業が長期的戦略に e-コマース ビジネスを取り入れています。e-ビジネスを効果的なものにすることを迫られる IT 部門は、e-ビジネスに必要なものを集め、それらを e-ビジネスをサポートする技術的なインフラストラクチャとして構築しなくてはなりません。e-コマースの基本的なインフラストラクチャでさえ、顧客向けの Web ベース アプリケーション、取引管理アプリケーション、データベースの連携、ファイアウォールなどが必要になるほか、ビジネスの動きを管理するハードウェアを追加する必要があります。こうした本質的にまったく新しいビジネス プロセスをビジュアル化するには、関連するネットワーク サービスとディレクトリ サービスの構造を簡単に描くことができるツールが必要であり、そうしたツールは e-ビジネス システムのサポートに必要なハードウェアの導入設計に役立てることができます。

ネットワーク図式化ツールである Visio 2000 を使用すれば、e-コマースの取引や Web へのアクセスを専門に処理するネットワークを設計できます。導入を担当するチームがある場合は、e-ビジネスをサポートする Web サイト、データベース、ソフトウェア、そしてネットワーク アーキテクチャの詳細な図面を簡単に作成できます (図 7)。e-コマースの担当者は、ハードウェアに負荷がかかりすぎたり、システムがクラッシュすることを防ぐために、重要なポイントごとに活動を確認することができます。また、リンク切れをすばやく発見したり、フォルダ構造による表示といったレイアウト拡張オプションを使用し、Web サイトをコンセプト レベルで設計したりすることも可能です。Visio 2000 Professional Edition には、すばやく試作データが作れるよう、Web サイトのシェイプを使用して柔軟に Web を図式化する機能が備わっています。

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7: Visio 2000 を利用することにより、 IT 技術者は e- コマース上の取引や Web へのアクセスを専門に処理するネットワークを設計できます。導入を担当するチー ムがある場合は e- ビジネスをサポートする Web サイト、データベース、ソフトウェア、そしてネットワーク アーキテクチャの詳細な図面を作成できます。

確実に投資効果を上げる

コンピュータ リソースの運用ミスや誤った管理による企業の負担は、毎年数十億ドルにのぼります。また、資産管理を効率よく行えば、コンピュータ 1 台あたりの平均的な年間含み費用である 7,000 ドルのうち最大 2,800 ドルは削減できます。ネットワークが中断すれば、数百万ドルの取引とともに顧客の信頼も失い、企業の評価を下げることになります。組織の情報インストラクチャについて正確に記録しておくことが経済的に重要なのは間違いありません。

複雑なネットワーク用の管理ツールは 50,000 ドル以上します。こうしたツールは、大規模ネットワークにとって重要かつ不可欠なものであるものの、機能が不十分な図式化ツールしか備わっておらず、導入や保守が難しく、汎用性の低いものも珍しくありません。Visio 2000 は、複雑なネットワークに導入する場合であってもネットワークの運用を中断せず、シームレスに導入することが可能です。ネットワーク ソリューション プロバイダは、ラップトップ コンピュータに Enterprise Edition をインストールして、新しいデザインの検査や評価、導入を簡単に行うことも可能です。Visio 2000 は、ネットワーク管理システムを補助する理想的なツールです。

Visio 2000 は大きな規模の企業でも、簡単に費用をかけずに展開できるよう設計されています。また、Visio で作成したネットワーク図は Visio 2000 シリーズ全体で共有が可能です。Visio 2000 は Microsoft BackOfficeョ と統合しており、既存の企業データにリンクしたインテリジェントな図面を作成できます。この統合により、ネットワーク図を企業全体で利用できるようになるだけでなく、図面に含まれるデータを有益な企業資産へと転換することができます。

使いやすさの向上した機能を使用して時間を節約する

Visio 2000 はこれまでのバージョンの Visio 以上にスケーラビリティが強化されています。設計段階から見直しがなされた Visio 2000 の描画エンジンにより、大規模な IT システムでも図式化できます。

Visio 2000 が提供する無駄のない作業環境は、カスタマイズ可能なツールバー、複数ページにわたる図面の切り替えを簡単にする Microsoft Excel 風のページ タブ、シェイプ情報のポップアップ式のヒント表示、シングル クリックでの色変更、リアルタイムの編集フィードバックなどによって構成されており、より効率的に作業を進めることができます。また、再編成されたステンシルにより、特定のシェイプをより簡単に探すことができます。動的なページ サイズ調節機能によって、作業しながらページを拡大できます。さらに、より大きな図面にも対応したことで、数千のシェイプを含む非常に複雑なネットワークでも文書化が可能になりました。

自動的に隠れる 4 つのアンカー ウィンドウは、必要頻度の高い主な機能をシェイプの近くに配置します。カスタム プロパティ ウィンドウは、シェイプに格納された資産タグ、型番、およびその他のデータをその場で編集できます。ドローイング エクスプローラ ウィンドウでは、図面を簡単に閲覧できます。パン/ズーム ウィンドウでは、大きな図面のハンドリングを容易にします。

既存のネットワーク図を流用する

多くの組織では、過去に電子データ化された図面ファイルのライブラリを構築しているはずです。Visio 2000 は、Autodesk AutoCAD DWG ファイルと DXF ファイル、Bentley MicroStation DGN ファイルに加え、Corel CMX や CorelFLOW、CorelDraw 3-7、Micrografix、および Windows Draw のファイルをインポートできます。また、Visio 製品は AF2、AF3、AI、BMP、CDR、CFL、CGM、CMX、CSV、DIB、DRW、DSF、DWG、DXF、EMF、EPS、GIF、IGS、JPG、PCT、PCX、PNG、PS、TIF、および WMF といった一般的なグラフィック フォーマットのデータのインポートおよびエクスポートが可能です。

Visio 2000 が提供するソリューションによって、ネットワーク管理者は次のことが可能になります。

  • 既存の Windows ワークステーションと知識の流用

  • 特殊なグラフィック ハードウェアや取り扱いが難しいドロー ツール パッケージの購入の回避

  • インテリジェントなドロー ツールと自動化機能による生産性の向上

  • 別のシステム管理ソフトウェアとのリンクを介したデータ収集の促進

  • Visual Basicョ for Applications 6.0 の機能を使用した独自の自動化ツールの作成

Visio 2000 はユーロ通貨に対応しています。Visio 製品は習得が簡単なため、IT チームは簡単な演習をうけるか、または何も準備をしなくてもネットワークの設計や文書化に取りかかることができます。

結論

Visio が提供するソリューションは受賞実績もあり、その機能はネットワークの図式化にとどまるものではありません。Visio によって、IT 技術者は既存のネットワークを自動的に文書化したり、ネットワークの拡張案を設計したりすることができます。また、説得力のある図面による提案の裏付け、ネットワーク パフォーマンスの監視、そして従来にない操作性によるトラブルシューティングやメンテナンスの負担軽減が可能になります。Visio のテクノロジーは世界中でネットワークの図式化における標準となりつつあります。実際、NetWorld + Interop のネットワーク オペレーション チームがトレードショーのネットワークを文書化するために Visio テクノロジーを採用しています。

この文書で述べたネットワーク文書化とレポート作成の機能に加えて、Visio 2000 を使用することにより、ディレクトリ構造を表すわかりやすい階層図を作成して、ディレクトリ構造が重要な意味を持つネットワークの設計と管理を効率化することができます。

参考資料

Visio 2000 Professional Edition、Visio 2000 Enterprise Edition、Visio Network Equipment、

および Real-Time Statistics for Visio 2000 Enterprise Edition の詳細については、https://office.microsoft.com/ja-jp/visio/default.aspx にアクセスしてください。

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