直前必修問題集 Windows 2000 Server

第 15 章 ‐ システム回復機能の実行

この文書は株式会社 IDG ジャパンの協力により株式会社 IDG ジャパン発行の書籍「直前必修問題集 MCP/MCSE 試験番号 70-215 Windows 2000 Server」の一部を抜粋したものです。

トピック

システムの保護と障害からの回復  システムの保護と障害からの回復

Windows 2000 の起動プロセスの概要  Windows 2000 の起動プロセスの概要

拡張起動オプションの使用  拡張起動オプションの使用

[起動 / 回復] オプションの使用  [起動 / 回復] オプションの使用

Windows 2000 Server セットアップブートディスクの作成  Windows 2000 Server セットアップブートディスクの作成

バックアップユーティリティの使用  バックアップユーティリティの使用

回復コンソールの使用  回復コンソールの使用

復習問題  復習問題

復習問題の解答  復習問題の解答

試験トピックス

  • システムおよびユーザーデータの復元

    • バックアップによるシステムおよびユーザーデータの復元

    • セーフモード起動によるシステムおよびユーザーデータの復元

    • 回復コンソールによるシステムの回復

  • システム状態データとユーザーデータの利用可能性の管理と最適化

システムの保護と障害からの回復

障害回復に備える第 1 歩は、障害がいつかは発生することを想定して、障害からの回復策を事前に準備しておくことである。次のような準備をしておくとよいだろう。

  • 定期的にシステムをバックアップする。

  • ウィルス対策ソフトを使用する。

  • [イベントビューア] でのログの監視など、定期的な管理作業を実行する。

実際にシステムエラーが発生したときは、いくつかのプロセスを分析し、Windows 2000 のいくつかのユーティリティを利用することで、システムを再び稼動させることができる場合がある。 15.1 のような回復手段が考えられる。

15.1 Windows 2000 Server の回復手段

回復手段 使用するとき

イベントビューア

Windows 2000 を通常どおり、あるいはセーフモードで起動できた場合は、まず最初に [イベントビューア] で問題の原因を探す。[イベントビューア] では、システムログ、セキュリティログ、アプリケーションログが表示できる。

セーフモード

通常、システム回復はここから始まる。セーフモードでは、Windows 2000 の起動に必要な最低限のサービスとドライバだけがロードされる。セーフモードでシステムを起動することができれば、Windows 2000 の正常な起動を妨げているデバイスやサービスのトラブルシューティングが行える。

前回正常起動時の構成

システムに何らかの変更を加えたことで問題が発生した場合は、このオプションを使うとよい。[前回正常起動時の構成] は、起動時に選択できる拡張オプションメニューの 1 つで、システムが最後に正常に起動されたときの構成をロードする。ただし、ハードウェアエラーの場合には役には立たない。

Windows 2000 Server セットアップブートディスク

ブートファイルの消失や破損が原因で Windows 2000 が起動されない場合に使用する。セットアップブートディスクを使うと、Windows 2000 のすべてのブートファイルをロードできる。このディスクから起動できるのであれば、必要なファイルをシステム修復ディスクから復元することができる。

システム修復ディスク (ERD)

構成エラーの修整やシステムファイルの修復が必要な場合に使用する。ERD を使うと、コンピュータの起動を妨げている問題を修復することができる。ERD には、レジストリの一部、システムファイル、パーティションのブートセクタのコピー、起動環境に関する情報が格納されている。

Windows バックアップ

コンピュータのデータを保護する目的で使用する。[バックアップ] ユーティリティからは、ERD の作成、システム全体、または一部のバックアップ、作成したバックアップからのデータ復元などが行える。

回復コンソール

セーフモードでも解決できない場合に使用する。回復コンソールを使うと、Windows 2000 がグラフィカルインターフェイスなしのコマンドラインインターフェイスで起動され、ファイルの追加や入れ替え、サービスの開始や停止といった限られた作業だけが実行できる。

イベントビューアの使用

[イベントビューア] を使うと、ハードウェアやソフトウェアに関する情報の追跡、セキュリティイベントの監視などが可能である。追跡された情報は、次の 3 種類のログファイルに格納される。

  • システムログ Windows 2000 の OS に関するイベントを追跡する。

  • セキュリティログ Windows 2000 の監査に関するイベントを追跡する。

  • アプリケーションログ コンピュータ上で実行されているアプリケーションに関するイベントを追跡する。

[イベントビューア] にアクセスするには、 [スタート] → [プログラム] → [管理ツール] → [イベントビューア] をクリックする。[マイコンピュータ] を右クリックして、ポップアップメニューから [管理] をクリックし、 [システムツール] から [イベントビューア] を選んでアクセスすることもできる。[イベントビューア] を開いて、ログを選択すれば、その内容が表示される。

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図 15.1: [イベントビューア] でシステムログを表示

イベントの種類

[イベントビューア] では、5 種類のイベントが表示され、それらはアイコンで区別できる。 15.2 は、イベントの種類とその内容の説明である。

15.2 [イベントビューア] のイベントの種類

イベントの種類 アイコン 説明

情報

白の吹き出しに青で「i」

システムのシャットダウンや起動など、特定のアクションの発生を通知する。このイベントは、情報の提供の目的で記録されるものである。

警告

黄色の三角に黒で「!」

注意が必要なイベント。致命的なエラーではないが、将来、エラーの原因になる可能性のあるイベントである。

エラー

赤い丸に白で「×」

ドライバのロードの失敗といったエラーの発生を通知する。このイベントには、対処が必要である。

成功の監査

黄色の鍵

セキュリティログにのみ表示され、成功の監査の対象になっているイベントの発生を通知する。

失敗の監査

黄色の錠

セキュリティログにのみ表示され、失敗の監査の対象になっているイベントの発生を通知する。

イベントの詳細情報の確認

[イベントビューア] に表示されているログファイルで、任意のイベントをクリックすると、 [イベントのプロパティ] ダイアログボックスが開き、そのイベントの詳細が表示される。このダイアログボックスでは、 15.3 のような内容が表示されている。

15.3 [イベントのプロパティ] ダイアログボックスの内容

項目 説明

日付

イベントが生成された日付

時刻

イベントが生成された時刻

種類

生成されたイベントの種類。「情報」、「警告」、「エラー」、「成功の監査」、「失敗の監査」のいずれか。

ユーザー

イベントを発生させる要因となったユーザーの名前 (発生の要因がユーザーにある場合)

コンピュータ

イベントが発生したコンピュータの名前

ソース

イベントを発生させたソフトウェア (OS のコンポーネントやドライバ)

分類

イベントが記録されたソース

イベント ID

生成されたイベントの種類を表すイベント番号

説明

イベントの詳細な説明

データ

イベントによって生成されたバイナリデータ (すべてのイベントでバイナリデータが生成されるというわけではない) 。16 進数のバイト形式、または、DWORD 形式で表示される (プログラマならば、この情報を使って、イベントの解析が可能である)

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図 15.2: [イベントのプロパティ] ダイアログボックス

ログファイルの管理

ログファイルは、時間が経過すると大きくなるので、ログファイルが大きくなったときにどう処理するかを決める必要がある。ログファイルは、消去して新しく書き込むように指定することができる。消去の前に、ログファイルを保存して、将来の参考や分析のために使用できるようにすることも可能である。

ログファイルのすべてのイベントを消去するには、消去したいログを右クリックして、ポップアップメニューから [すべてのイベントを消去] をクリックする。消去する前にそのログを保存するかどうかを確認するダイアログボックスが表示される。
ログファイルを保存したければ、ログを右クリックして、 [ログファイルの名前を付けて保存] をクリックし、保存場所とファイル名を指定すればよい。
既存のログファイルを開くには、開きたいログを右クリックして、 [ログファイルを開く] をクリックする。ログファイルの名前と場所を指定して、 [開く] ボタンをクリックすれば、ログファイルが表示される。

ログファイルのプロパティの設定

[イベントビューア] の各ログには、次の 2 種類のプロパティが割り当てられている。

  • [全般] プロパティ ログファイル名、ログサイズの最大値、最大値に達したときの操作など

  • [フィルタ] プロパティ 表示されるイベントの指定

ログの [プロパティ] ダイアログボックスを開くには、目的のログを右クリックして、ポップアップメニューで [プロパティ] をクリックすればよい。

[全般] プロパティ

ログの [プロパティ] ダイアログボックスの [全般] タブには、そのログファイルについての情報が表示される。ログファイルのサイズを制御するためのオプションもある。 15.4 は、 [全般] タブの内容である。

15.4 [全般] プロパティの内容

プロパティ 説明

表示名

ログファイルの名前。変更が可能である。複数のコンピュータを管理している場合は、各コンピュータのログを区別するために分かりやすい名前を付けるとよいだろう。

ログの名前

ログファイルのパスとファイル名

サイズ

ログファイルの現在のファイルサイズ

作成日時

ログファイルが作成された日付と時刻

修正日時

ログファイルが最後に更新された日付と時刻

アクセス日

ログファイルが最後にアクセスされた日付と時刻

最大ログサイズ

ログファイルのサイズの上限。ログファイルでディスク領域が占有されないようにするために指定する。

ログサイズが最大値に達したときの操作

ログサイズの最大値が指定されている場合、ログファイルのサイズが上限に達したときの対処方法を指定する。必要に応じて、イベントを上書きする (古いものから順に上書きして消去する)、指定した日数を超えたイベントを上書きする、イベントを上書きしない (この場合、手動でイベントを消去する) のいずれかを選ぶ。

低速回線接続を使用する

リモートコンピュータのログファイルを監視するときに、低速回線で接続するように指定する。

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図 15.3: [システムログのプロパティ] ダイアログボックスの [全般] タブ

[フィルタ] プロパティ

ダイアログボックスの [フィルタ] タブでは、ログに表示するイベントが指定できる。ログイベントのフィルタ処理には、イベントの種類、ソース、分類、ID、ユーザー、コンピュータ、特定の期間などが指定できる。 15.5 は、 [フィルタ] タブの内容の一覧である。

15.5 [フィルタ] プロパティの内容

プロパティ 説明

イベントの種類

定した種類のイベント (警告、エラー、成功の監査、失敗の監査) だけを表示する。

イベントソース

イベントをログに記録したソフトウェアによって、イベントをフィルタ処理する。ドロップダウンリストから、イベントを生成する可能性のあるソフトウェア (Application Popup や DHCP など) が選択できる。

分類

類に従ってフィルタ処理する。分類は、ドロップダウンリストから選択できる。イベントソースによって選択できる分類が決まる。

イベント ID

イベント番号でイベントをフィルタ処理する。

ユーザー

イベントを発生させる原因となったユーザーのユーザー名に従って、イベントをフィルタ処理する。

コンピュータ

イベントを生成したコンピュータの名前に従って、イベントをフィルタ処理する。

開始 - 終了

イベントが生成された日付と時刻に従って、イベントをフィルタ処理する。特定の日付と時刻を指定するには、ドロップダウンリストから [次の日時] を選んで、日付と時刻を選択する。

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Windows 2000 の起動プロセスの概要

システムエラーを引き起こす原因には、Windows 2000 起動プロセスに関係するものがある。起動プロセスとは、コンピュータの電源を入れたときに開始して、Windows 2000 にログオンしたときに終わる一連の処理のことである。

起動プロセスに起因する問題を見分けるには、このプロセスがどのような段階で実行されるのか、そして、BOOT.INI ファイルがどのようにプロセスを制御しているのかを理解する必要がある。起動プロセスで障害が発生したときに、OS が起動できるように、Windows 2000 Server ブートディスクを作成しておくことも必要である。

標準の起動プロセス

Windows 2000 の起動プロセスは、プレブートシーケンス、ブートシーケンス、カーネルのロード、カーネルの初期化、ログオンの 5 段階に分けられる。各段階では、それぞれ多くのファイルが使用される。

プレブートシーケンス

標準の起動プロセスは、プレブートシーケンスで始まる。この段階では、コンピュータが起動され、OS を起動するための準備が行われる。

プレブートシーケンスで使用されるファイル
プレブートシーケンスでは、NTLDR ファイルが使用される。起動プロセスがブートシーケンスの NTOSKRNL.EXE ファイルに渡されるまで、このファイルが起動プロセスの制御に使用される。NTLDR ファイルは、システムパーティションのルートに格納されていて、システム、隠しファイル、読み取り専用という属性が設定されている。

プレブートシーケンスの段階
プレブートシーケンスは、次のようなステップで実行される。

  • コンピュータに電源が投入されると、自己診断テスト (POST) が実行される。この段階で、使用するプロセッサ、メモリ容量、インストールされているハードウェア、標準的な BIOS (Basic Input/Output System) であるか、プラグアンドプレイに対応しているかなどが検出される。ハードウェアデバイスのチェックと構成もこの時点で行われる。

  • BIOS がブートデバイスにアクセスして、マスターブートレコード (MBR) をロードする。

  • MBR がアクティブパーティションにアクセスする。アクティブパーティションとは、OS の起動に使用するパーティションのことで、C ドライブが指定されている場合が多い。MBR がアクティブパーティションを発見すると、ブートセクタがメモリにロードされて、実行される。

  • Windows 2000 のインストールプロセスで、NTLDR ファイルがアクティブパーティションにコピーされる。ブートセクタは、この NTLDR ファイルにアクセスして、このファイルを実行する。NTLDR ファイルは、Windows 2000 起動プロセスの初期化と開始を行う。

プレブートシーケンスで発生するエラー
プレブートシーケンスでエラーが発生する場合は、Windows 2000 Server 以外に問題があると考えることができる。この段階では、OS はまだ起動されていないからである。 15.6 は、プレブートシーケンスで発生するエラーの原因とその対応策をまとめたものである。

15.6 プレブートシーケンスで発生するエラー

原因 対応策

ハードウェアの構成が不適切

POST がハードドライブを認識できないと、プレブート段階でエラーになる。このエラーは、まだ初期の構成段階にあるコンピュータで発生することが多い。正常に動作していたコンピュータが、特に変更を加えていないのに起動しなくなった場合は、ハードウェアが故障している可能性が高い。

MBR の破損

MBR に感染するウィルスが原因で、MBR が破壊されている場合がある。ウィルス対策ソフトを使えば、この種のエラーからシステムを保護することが可能である。感染した MBR の修復も行うには、最新のアンチウイルスプログラムを使用するか、もしくは、Windows 2000 CD-ROM の \VALUE\3RDPARTY\CA_ANTIV フォルダにある AVBoot を使用する。

パーティションがアクティブでない

FDISK ユーティリティを使って、空き領域全体をパーティションの作成に使用しなかった場合に発生する。パーティションがベーシックディスク上に FAT16、あるいは FAT32 で作成されている場合は、ブートディスクを使って、DOS や Windows 9x を起動することで、FDISK を実行してパーティションをアクティブにすることが可能である。Windows 2000 のインストールでパーティションを作成して、インストールした場合は、インストール中にパーティションがアクティブにされるので、このエラーが発生することはない。

NTLDR ファイルの破損、または紛失

NTLDR ファイルが実行されない場合は、ファイルが破損しているか、あるいはウィルスや故意の操作でこのファイルが削除されている可能性がある。このファイルは、ERD を使って、復元することができる。

Windows 2000 インストール後の DOS や Windows 9x の SYS プログラムを実行した

Windows 2000 のインストール後に、DOS や Windows 9x から SYS プログラムが実行されると、MBR の情報が上書きされ、NTLDR ファイルが実行できくなってしまう。この場合は、Windows 2000 を再インストールする必要がある。

ブートシーケンス

プレブートシーケンスが完了すると、ブートシーケンスが開始する。ブートシーケンスは、初期ブートローダー、OS の選択、ハードウェア検出という段階で実行される。

ブートシーケンスに使用されるファイル
ブートシーケンスでは、NTLDR ファイル以外に次のファイルが使用される。

  • BOOT.INI 起動プロセス中に表示される OS 選択メニューの構築とブートパーティションの指定に使用される。

  • BOOTSECT.DOS Windows 2000 以外の OS を選択した場合にロードされる。デュアルブート、あるいは、マルチブート環境で使用される。

  • NTDETECT.COM インストールされているすべてのハードウェアを検出して、その情報をレジストリに追加する。

  • NTBOOTDD.SYS アダプタの SCSI (Small Computer Standard Interface) BIOS を使用しない特殊な SCSI アダプタを使用している場合に必要なファイルである (通常のSCSIアダプタでは使用されない) 。

  • NTOSKRNL.EXE Windows 2000 OS のロードに使用される。

ブートシーケンスの段階

ブートシーケンスは、次のような段階で実行される。

  • 初期ブートローダーでは、NTLDR がプロセッサをリアルモードから 32 ビットフラットメモリモードに切り替え、適切なミニファイルシステムドライバを開始する。ミニファイルシステムドライバでは、ファイルシステム (FAT16、FAT32、NTFS) がサポートされている。

  • 次の OS の選択では、BOOT.INI ファイルが読み込まれる。デュアルブート、あるいは、マルチブートに構成している場合は、Windows 2000 は OS の選択肢があることを認識して、使用可能な OS の選択メニューを構築し、表示する。Windows 2000 以外の OS を選ぶと、BOOTSECT.DOS ファイルによってその OS がロードされ、Windows 2000 の起動プロセスは終了する。Windows 2000 を選ぶと、Windows 2000 起動プロセスが続行される。

  • Windows 2000 を選択すると、NTDETECT.COM ファイルによるハードウェアの検出が行われる。検出されたハードウェアのリストは NTLDR に戻され、この後のカーネルの初期化のときに、レジストリの HKEY_LOCAL_MACHINE\HARDWARE キーに追加される。NTDETECT.COM では、通信、パラレルポート、キーボード、フロッピーディスクドライブ、マウス、SCSI アダプタ、ビデオアダプタなどのハードウェアが認識される。

  • 起動プロセスの制御は、NTOSKRNL.EXE に移行して、カーネルのロードが開始される。

ブートシーケンスで発生するエラー
ブートシーケンスで発生するエラーの原因とその対策を 15.7 にまとめる。

15.7 ブートシーケンスで発生するエラー

原因 対応策

ブートファイルの破損、または、紛失

NTLDR、BOOT.INI、BOOTSECT.DOS、NTDETECT.COM、NTOSKRNL.EXE のいずれかのファイルが破損している場合、あるいはウィルスや故意の操作で削除されている場合は、ブートシーケンスでエラーが発生する。この場合は、破損、あるいは紛失しているファイルを示すエラーメッセージが表示される。

BOOT.INI ファイルの構成が不適切

ディスク構成の変更後にコンピュータが再起動しなくなったら、BOOT.INI ファイルの構成が適切でないことが考えられる。

ハードウェアが認識できない、あるいは構成が適切でない

NTDETECT.COM の実行中にエラーが発生する場合は、ハードウェアの問題である。多数のハードウェアを使用している場合は、起動に必要でないものをすべて取り外し、1 つずつ取り付けてコンピュータを起動する、という方法を繰り返す。この操作を繰り返すことで、問題のあるハードウェアやリソースが競合しているハードウェアを探すことができる。

カーネルロードシーケンス

カーネルロードシーケンスでは、ハードウェア抽象化レイヤ (HAL)、コントロールセット、低水準のデバイスドライバがロードされる。ここでは NTOSKRNL.EXE ファイルが使用される。

カーネルロードシーケンスは、次のような段階で実行される。

  • NTOSKRNL.EXE ファイルがロード、初期化される。

  • HAL がロードされる。

  • OS が使用するコントロールセットがロードされる。コントロールセットは、システム構成情報の制御に使用される。

  • ディスクドライバなど低水準のデバイスドライバがロードされる。

Windows 2000 カーネルの読み込みで問題が発生する場合は、OS の再インストールが必要である可能性が高い。

カーネルの初期化シーケンス

カーネルの初期化シーケンスでは、レジストリの HKEY_LOCAL_MACHINE \HARDWARE キーとコントロールセットの複製が作成されて、デバイスドライバが初期化され、高水準のサブシステムとサービスがロードされる。

カーネルの初期化シーケンスは、次のような段階で実行される。

  • カーネルの初期化が成功すると、HKEY_LOCAL_MACHINE\HARDWARE キーが作成される。このキーは、コンピュータの起動時にハードウェアコンポーネントのハードウェア構成を指定するために使用される。

  • コントロールセットの複製が作成される。これは、コンピュータの構成用データがまったく同じように複製されたもので、起動プロセスによる変更は含まれない。

  • カーネルのロードシーケンスでロードされたデバイスドライバが初期化される。

  • 高水準のサブシステムとサービスがロードされる。

カーネルの初期化シーケンスで問題が発生する場合は、 [前回正常起動時の構成] で起動すると、起動できる可能性がある。

ログオンシーケンス

ログオンシーケンスでは、ユーザーが Windows 2000 にログオンするとともに、残りのサービスがロードされる。 ログオンシーケンスは、次のような段階で実行される。

  • カーネルの初期化が完了すると、Windows 2000 サブシステムによって自動的に Winlogon.exe が起動され、Winlogon.exe が Lsass.exe (ローカルセキュリティ機関) を起動して、 [Windows へログオン] ダイアログボックスが表示される。ここで、有効な Windows 2000 のユーザー名とパスワードを入力する。

  • Service Controller (Screg.exe) が実行され、レジストリの HKEY_LOCAL_ MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services サブキーの最終スキャンを行い、ロードすべきサービスを確認する (サービスは依存関係に従って並行でロードされる) 。

ログオンエラーが発生する場合は、まず、ユーザー名とパスワードを確認する。コンピュータがドメインのメンバの場合は、ログオンを認証するドメインコントローラが使用できなくなっている可能性も考えられる。 また、サービスがロードできないときもエラーになる。その場合は、 [イベントビューア] を利用するとメッセージが確認できる。

BOOT.INI ファイルの編集

BOOT.INI ファイルは、アクティブパーティションに格納され、ブートローダーメニューの構築と Windows 2000 ブートパーティションの場所の指定に使用される。また、特定の時間内に OS の選択が行われない場合にロードするデフォルトの OS も BOOT.INI ファイルに指定されている。このファイルを開いて編集することで、OSのロードを制御することができる。

ARC 名前付け規則

BOOT.INI ファイルでは、ディスクチャネル内のブートパーティションの場所の指定に ARC パスが使用される。ARC 名は、 15.8 のような情報で構成されている。

15.8 ARC 名前付け規則

ARC パスオプション 説明

multi(w) あるいは scsi(w)

システムが使用するディスクコントローラの種類を指定する。multi オプションは、IDE コントローラとSCSI BIOS を使用する SCSI アダプタの場合に使用する。scsi オプションは、SCSI BIOS を使用しない SCSI アダプタに使う。(w) 内には、起動に使用するハードウェアアダプタの番号を数字で指定する。multi の場合は常に 0 である。

disk(x)

scsi オプションを使用する場合、起動する SCSI アダプタを指定する。multi では使用されないので常に 0 である。

rdisk(y)

multi オプションを使用する物理ディスクの番号を指定する。IDE 環境ではコントローラに接続されたディスクの番号で、0 または 1 である。SCSI システムでは、ドライブの SCSI の ID 番号を指定する。

Partition(z)

ブートパーティション (システムファイルが格納されているパーティション) の番号を指定する。最初のパーティションが 1 になる。

BOOT.INI スイッチ

BOOT.INI ファイルを編集するときに、OS のロード方法を制御するためにスイッチを追加することもできる。BOOT.INI では、 15.9 のようなスイッチが利用できる。

15.9 BOOT.INI スイッチ

スイッチ 説明

/basevideo

標準の VGA ビデオドライバで起動する。ビデオドライバ変更後にコンピュータが正常に動作しなくなったような場合にこのオプションを使う。

/fastdetect=comx

NTDETECT.COM によって、指定したシリアルポートに接続されたシリアルマウスを自動検出しないようにする。COM ポートを指定しない場合は、すべてのシリアルポートでのシリアルマウスの検出が無効になる。

/maxmem:n

RAM の最大容量を指定する。メモリの容量を変えてパフォーマンスを分析したいときなど、テスト環境で使用される場合もある。

/noguiboot

GUI を読み込まずに起動する。このオプションを使うと、起動プロセス終了後にコマンドプロンプトが表示される。

BOOT.INI ファイルへのアクセス

BOOT.INI ファイルは、システム属性と隠しファイル属性が与えられているため、 [エクスプローラ] や DOS の DIR コマンドでは表示されない。編集するには、 [エクスプローラ] や DOS の ATTRIB コマンドでその属性を変更する必要がある。

エクスプローラで変更する場合は、 [ツール] メニューで [フォルダオプション] をクリックして、 [フォルダのオプション] ダイアログボックスを開き、その [表示] タブで [すべてのファイルとフォルダを表示する] をオンにして、 [保護されたオペレーティングシステムファイルを表示しない (推奨)] をオフにする。そうすると、隠しファイルやシステムファイルもエクスプローラに表示されるようになる。こうなれば、ファイルを選択して、プロパティで属性を変更することができる。

Windows 2000 起動ディスクの作成

Windows 2000 起動ディスクを作成しておけば、Windows 2000 Server の起動障害が発生したときでも、このディスクを使って Windows 2000 Server が起動できる。Windows 2000 起動ディスクは、次の手順で作成することができる。

  • フロッピーディスクを Windows 2000 が稼動しているコンピュータでフォーマットする。

  • Windows 2000 Server のシステムパーティションから、次のファイルをフロッピーディスクへコピーする。

    NTLDR
    NTDETECT.COM
    NTBOOTDD.SYS (BIOS を無効にして SCSI コントローラを使用している場合)
    BOOT.INI

  • 作成した起動ディスクで Windows 2000 Server を起動できるかどうかテストする。

BOOT.INI ファイルを編集した場合は、Windows 2000 起動ディスクの BOOT.INI ファイルの更新も必要である。

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拡張起動オプションの使用

Windows 2000 拡張起動オプションは、Windows 2000 Server の起動障害の解決に利用できる。Windows 2000 の拡張起動オプションにアクセスするには、Windows 2000 Server の起動プロセスが開始して、OS を選択する画面が出たところで F8 キーを押す。そうすると、Windows 2000 拡張オプションメニューが表示され、次のいずれかのオプションで Windows 2000 を起動できる。

  • セーフモード

  • セーフモードとネットワーク

  • セーフモードとコマンドプロンプト

  • ブートのログ作成を有効にする

  • VGA モードを有効にする

  • 前回正常起動時の構成

  • ディレクトリサービス復元モード

  • デバッグモード

  • 通常起動する

Windows 2000 Server がロードされないときは、セーフモードでロードを試してみる。Windows 2000 Serverをセーフモードで実行すると、Windows構成が可能な限り簡素化され、コンピュータをとりあえず動かすのに必要なドライバとサービスだけしかロードされない。セーフモードでロードされるのは、基本的なファイルとドライバ (マウス、モニタ、キーボード、ハードディスク)、基本的なビデオドライバ、デフォルトのシステムサービスなどである。セーフモードは、診断用のモードなので、通常の起動で利用できるWindows 2000 Server の機能や装置のすべてにアクセスできるわけではない。

セーフモードで起動すると、デスクトップの四隅に「セーフモード」と表示される。

セーフモードでの起動が可能ならば、 [コントロールパネル] ですべてのハードウェアとソフトウェアの設定を確認して、Windows 2000 Server が正常に起動しない原因を調査する。問題が修正できたら、Windows 2000 Server を通常どおりに起動する。

ブートのログ作成を有効にする

ブートログは、ドライバとサービスのロード状況が記録されたログファイルである。拡張オプションメニューで [ブートのログ作成を有効にする] を選ぶと、Windows 2000 Server は、セーフモードではなく、通常起動され、通常のブートシーケンスで起こるすべてのプロセスが記録できる。

このログファイルを使えば、起動プロセスのトラブルシューティングを行うことができる。ログ収集を有効にすると、ログファイルは \<windir>\ntbtlog.txt に記録される。

その他の拡張オプションの使用

拡張オプションメニューにあるその他のオプションは、次のように機能する。

  • [セーフモードとネットワーク] オプションは、ネットワーク機能が追加されるほかは、セーフモードオプションと同じである。ドライバや Service Pack をネットワーク上からダウンロードする必要がある場合に使用する。

  • [セーフモードとコマンドプロンプト] オプションは、セーフモードで起動するが、Windows 2000 のグラフィックユーザーインターフェイスではなく、コマンドプロンプトが表示される。熟練した管理者ならば、このモードでトラブルシューティングを行うことができる。

  • [VGA モードを有効にする] オプションでは、セーフモードではないが、基本的な VGA ドライバがロードされる。このオプションは、ビデオドライバの変更後、そのドライバの問題で Windows 2000 が起動できなかったような場合に使用する。

  • [前回正常起動時の構成] オプションでは、システムが最後に正常に起動できたときに保存されたレジストリ情報を使って、Windows 2000 を起動する。コンピュータの構成を変更したために起動できなくなった場合は、このオプションを使って構成情報を復元するとよい。このオプションを使うと、前回正常起動時以降にシステムに対して行った変更はすべて消失する。

  • [ディレクトリサービス復元モード] オプションは、 ドメインコントローラとして構成されている Windows 2000 Server で Active Directory を復元する目的で使用する。このオプションは、メンバサーバー上では利用できない。

  • [デバッグモード] オプションは、カーネルデバッガがインストールされている場合、これを実行する。カーネルデバッガは、高度なトラブルシューティングで利用されるユーティリティである。

  • [通常起動する] オプションでは、Windows 2000 が通常の方法で起動される。このオプションは、起動プロセス中に誤って F8 を押してしまったときのために用意されている。

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[起動 / 回復] オプションの使用

[起動 / 回復] オプションは、デフォルトでロードする OS を指定して、システムエラーが発生したときの対処を指定するために指定する。[起動 / 回復] オプションにアクセスするには、デスクトップ上の [マイコンピュータ] を右クリックし、ポップアップメニューから [プロパティ] をクリックして、 [詳細] タブの [起動 / 回復] ボタンをクリックする。[スタート] → [設定] → [コントロールパネル] → [システム] → [詳細] タブで [起動 / 回復] をクリックしてアクセスすることもできる。

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図 15.4: [起動 / 回復] ダイアログボックス

15.10 は、 [起動 / 回復] ダイアログボックスで指定可能なオプションである。

15.10 [起動 / 回復] オプション

オプション 説明

既定のオペレーティングシステム

OS の選択メニューで特に OS が選択されなかった場合に、デフォルトでロードするOSを指定する。

オペレーティングシステムの一覧を表示する

OS の選択メニューを表示するときはオンにする。メニューを表示してから、デフォルトの OS をロードするまでの時間 (秒) も指定できる。Boot.ini ファイルの [Operating System] セクションの値が 1 つだけの場合は、このオプションは表示されない。

システムログにイベントを書き込む

システムエラーが発生したときは、システムログにイベントを記録する。

管理警告を送信する

システムエラーが発生したときは、Administrator に警告を送信する。

自動的に再起動する

システムエラーが発生したら、コンピュータを自動的に再起動する。エラーを分析するためにブルースクリーンの表示を確認したいときは、このオプションを無効にする。

デバッグ情報の書き込み

デバッグ情報 (メモリダンプ) をファイルに書き込む。ダンプファイルの種類は、「 (なし) 」 (ダンプファイルを作成しない)、「最小メモリダンプ (64KB) 」 (ファイルサイズが 64KB のメモリダンプファイルを作成する)、「カーネルメモリダンプ」、「完全メモリダンプ」から選択する。完全メモリダンプファイルの作成には、RAM 容量とページファイルのサイズの合計に、少なくとも 2MB を加えたサイズの空きディスク領域がブートパーティションに必要である。

既存のファイルに上書きする

ダンプファイルを作成する場合、新しいダンプファイルを古いダンプファイルに上書きする。システムエラーが発生するたびに、作成されたダンプファイルを別のファイルとして保存する場合は、このオプションを無効にする。

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Windows 2000 Server セットアップブートディスクの作成

Windows 2000 Server を起動できるフロッピーディスクを作成しておくと、システムが起動できないときに利用することができる。CD-ROM ドライブから起動できないコンピュータの場合は特に有用である。このディスクを Windows 2000 Server セットアップブートディスクと呼んでいる。

このセットアップブートディスクを利用すると、次のような作業が可能である。

  • Windows 2000 Server の再インストール (CD-ROM ドライブにアクセスできない場合)

  • 回復コンソールの使用

  • システム修復ディスク (ERD) を使用したシステム修復作業

Windows 2000 Server セットアップブートディスクは、コンピュータごとに固有のものではない。Windows 2000 Server を実行しているどのコンピュータにも使用できる。

Windows 2000 Server セットアップブートディスクを作成するには、4 枚の高密度 (2HD) フロッピーディスクを用意し、それぞれに次のようにラベルを貼っておく。

  • Windows 2000 Server セットアップブートディスク

  • Windows 2000 Server セットアップディスク #2

  • Windows 2000 Server セットアップディスク #3

  • Windows 2000 Server セットアップディスク #4

Windows 2000、または Windows NT 4.0、Windows NT 3.51、Windows 9x からブートディスクを作成するときは、MAKEBT32.EXE (32 ビット版) コマンドを利用する。MS-DOS などの場合は、MAKEBOOT.EXE (16 ビット版) コマンドを使う。

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バックアップユーティリティの使用

Windows 2000 の「Windows バックアップ」と呼ばれるバックアップユーティリティを使うと、バックアップデータの作成と復元、システム修復ディスク (ERD) の作成が行える。バックアップを実行して、データを他のメディア (別のハードディスクやテープなど) に保存しておけば、システムエラーからデータを保護することができる。元のデータが破損したり、削除やメディアの破損などによって、消失してしまったような場合には、バックアップからデータを復元すればよい。ERD はバックアップのサブセットで、構成情報をすばやく復元したい場合に使用するものである。

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図 15.5: [バックアップ] ウィンドウ
拡大表示する

[バックアップ] にアクセスするには、 [スタート] → [プログラム] → [アクセサリ] → [システムツール] → [バックアップ] をクリックして、 [バックアップ] ウィンドウを開く。 このウィンドウから、 [バックアップウィザード] の開始、 [復元ウィザード] の開始、ERD の作成が実行できる。

ERD の作成と使用

ERD を使うと、コンピュータが起動しないときやシステムファイルが破損して、セーフモードでも回復コンソールを使用しても問題が解決できないときなどに、Windows 2000 Server を修復して再起動することができる。ERD は、コンピュータをインストールしたときに作成し、システムの構成に変更を加えたときに更新する必要がある。ERD には常に最新の構成情報が保存されていなければならない。ただし、ERD を作成しても、レジストリやデータ、プログラムは保存されない。システムデータのバックアップの代わりに利用できるものでもない。 ERD では、次のようなデータの修復が可能である。

  • システムファイルの確認

  • パーティションブートセクタの検査

  • スタートアップ環境

  • レジストリの検証と修復 (高速修復のオプションを選択したとき)

ERD の準備

ERD を作成するには、まず [バックアップ] を起動する。[バックアップ] ウィンドウが表示されたら、 [ウィザード] タブの [システム修復ディスク] ボタンをクリックする。そうすると、 [システム修復ディスク] ダイアログボックスが開いて、フォーマット済みの空のフロッピーディスクをドライブに挿入する旨のメッセージが表示される。レジストリをバックアップする場合は、 [修復ディレクトリのレジストリのバックアップも作成する] オプションを指定する。[OK] をクリックすると、システムデータが ERD にコピーされる。

ただし、このオプションを選択しても、ERD にレジストリファイルが保存されるわけではない。OS をインストールしたときに、systemroot\repair フォルダに初期状態のレジストリファイルの予備が作成される。ERD を作成するときにレジストリのバックアップを指定すると、現在のレジストリ情報が修復ディレクトリの systemroot\repair\RegBack フォルダにコピーされる。システム修復処理で [高速修復] オプションを選択すると、systemroot\repair フォルダにアクセスして、レジストリの検証が行われ、systemroot\repair\RegBack フォルダのレジストリファイルを使用して修復が行われる。

ERD の使用

ERD は、起動可能なディスクではない。そのため、利用するには、Windows 2000 Server のセットアップCD-ROM、あるいは、CD から作成した Windows 2000 Server セットアップブートディスクが必要である。

バックアップウィザードの使用

[バックアップウィザード] を利用すると、その指示に従って操作していくだけで、バックアップが実行できる。ただし、ウィザードを利用するには、Administrator、あるいは、Backup Operators グループのメンバとしてログオンする必要がある。

[バックアップウィザード] を開始するには、 [バックアップ] ウィンドウを開いて [バックアップウィザード] をクリックすればよい。[バックアップウィザード] のウィンドウが表示されるので、その指示に従って、 [バックアップを作成する項目]、 [バックアップを保存する場所] などを指定していけば、バックアップが実行される。

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図 15.6: [バックアップウィザード]

システム状態データのバックアップ

「システム状態データ」とは、システム固有の構成情報である。[バックアップ] を使って、この情報を定期的にバックアップしておけば、有効なシステム状態データを保管しておくことができる。

システム状態データには、レジストリ、COM+ クラス登録データベース、システムブートファイルなどが含まれている。Windows 2000 Server では、さらに、証明書サービスデータベース (証明書サーバーとして構成されている場合) も記録されている。ドメインコントローラとして構成された Windows 2000 Server では、Active Directory ディレクトリサービスデータベースと SYSVOL ディレクトリ (ドメインのグループポリシーのコピーが格納された共有ディレクトリ) も記録される。

バックアップオプションの構成

バックアップオプションを設定することで、バックアップ方法をより詳細に構成することができる。バックアップオプションにアクセスするには、 [バックアップ] ウィンドウを開き、 [ツール] → [オプション] をクリックする。すると [オプション] ダイアログボックスが開く。このダイアログボックスでは、バックアップと復元のプロセスを制限するためのオプションが、 [全般]、 [復元オプション]、 [バックアップの種類]、 [バックアップのログ]、 [除外するファイル] の 5 つのタブに分類されている。

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図 15.7: [オプション] ダイアログボックスの [全般] タブ

バックアップの [全般] オプションの構成

[全般] タブでは、バックアップセッションの構成オプションが選択できる。 15.11 は、そのオプションの一覧である。

15.11 バックアップの [全般] オプション

オプション 説明

バックアップと復元の操作の前に、選択した情報を見積もる

バックアップされるファイルの数とバイト数を見積もり、バックアップ開始前にその情報を表示する。

ディスクのカタログの復元速度を向上させるため、メディアのカタログを使う

メディア上のカタログを使用して、ディスクのカタログを構築する。ディスクのカタログは、復元するファイルとフォルダの選択に使用される。

バックアップの完了後データを検証する

バックアップの完了後に、すべてのデータが適切にバックアップされていることを確認する処理を実行する。

マウントされたドライブの内容のバックアップを作成する

マウントされたドライブのデータがバックアップされるように指定する。これを指定しないと、マウントされたドライブのパス情報だけがバックアップされる。

バックアップの起動時とリムーバブル記憶域が実行中でないときに警告メッセージを表示する

テープなどのリムーバブルメディアにバックアップする場合、リムーバブル記憶域が利用できないときは、警告を表示する。

バックアップの起動時、互換性のあるインポートメディアが利用可能な場合、警告メッセージを表示する

バックアップを開始しようとするときに、リムーバブル記憶域のインポートプールに新しいメディアが追加されている場合に、メッセージを表示する。

リムーバブル記憶域に新しいメディアが挿入された場合、警告メッセージを表示する

テープなどのリムーバブルメディアが新しいものであることが検出された場合、メッセージを表示する。

常に新しいインポートメディアをバックアッププールに移動する

リムーバブル記憶域に新しいメディアが検出されたら、そのメディアをバックアップメディアプールに自動的に移動する。

[復元オプション] の構成

[オプション] ダイアログボックスの [復元オプション] タブには、ファイルがすでにコンピュータ上に存在する場合の復元方法に関する 3 種類のオプションがある。

  • ディスク上のファイルを置き換えない (推奨)

  • ディスク上のファイルが古い場合のみ置き換える

  • 常にディスク上のファイルを置き換える

[バックアップの種類] オプション

[バックアップの種類] タブでは、デフォルトのバックアップの種類を指定する。バックアップの種類は、次のような条件に基づいて決めるとよいだろう。

  • バックアップするデータの量

  • バックアップ作業をどのくらいの時間で行いたいか

  • 復元を実行するときに使用するテープの数

バックアップの種類として、 15.12 のようなオプションが選択できる。

15.12 [バックアップの種類] オプション

オプション 説明

通常

すべてのファイルをバックアップして、バックアップしたファイルにバックアップ済みの印を付ける。このバックアップを利用すると、バックアップファイルが 1 回の操作で復元できるので、ファイルの復元作業が簡単になる。

コピー

すべてのファイルをバックアップするが、バックアップしたファイルにバックアップ済みの印は付けない。通常バックアップと増分バックアップの間にファイルをバックアップしたいときなどにコピーバックアップを利用すると便利である。

差分

バックアップ済みの印が付いていないファイルだけをバックアップするが、バックアップしたファイルにはバックアップ済みの印を付けない。復元には、最新の通常バックアップと最新の差分バックアップが必要である。

増分

バックアップ済みの印が付いていないファイルだけをバックアップして、バックアップしたファイルにバックアップ済みの印を付ける。復元には、最新の通常バックアップとそれ以降に作成されたすべての増分バックアップが必要となる。

毎日

バックアップの実行日に更新されたファイルだけをバックアップするが、バックアップしたファイルにはバックアップ済みの印を付けない。復元には、最新の通常バックアップとそれ以降に作成されたすべての毎日バックアップが必要である。

[バックアップのログ] オプション

[バックアップのログ] タブでは、バックアップ処理中にログを収集する情報が指定できる。次のオプションから選択する。

  • [詳細] バックアップされたフォルダやファイルの名前など、すべての情報のログが収集される。

  • [概要] バックアップの開始など、重要な操作のログだけが収集される。

  • [なし] ログファイルは作成されない。

[除外するファイル] オプション

[オプション] ダイアログボックスの [除外するファイル] タブでは、バックアップ処理から特定のファイルを除外するように指定できる。

復元ウィザードの使用

完全なバックアップがあっても、そこからきちんとデータを復元することができなければ、システムエラーが発生したときには、役に立たない。データを確実に復元できることを確かめるために、エラーが発生する前に復元テストしておくとよいだろう。テストの場合でも、実際にバックアップからの復元が必要になった場合でも、 [復元ウィザード] を使用する。

[復元ウィザード] を開始するには、 [バックアップ] ウィンドウを開いて、 [復元ウィザード] をクリックする。ウィザードの指示に従って、操作していけば、復元の処理が完了する。NTFS ボリュームからバックアップした場合は、NTFS ボリュームに復元すれば、アクセス許可、暗号化ファイルシステムの設定、ディスククォータの情報、マウントドライブ情報なども復元することができる。

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図 15.8: [復元ウィザード]

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回復コンソールの使用

コンピュータが起動しない場合、 セーフモードでも起動できないときは、もう 1 つ残された手段がある。それは、管理者や上級ユーザー向けに設計された、「回復コンソール」を使用することである。回復コンソールでは、Windows 2000 Server がグラフィカルインターフェイスなしで起動され、FAT16、FAT32、NTFS ボリュームに限られた範囲でアクセスすることができる。

回復コンソールでは、次のような作業が可能である。

  • ファイルやフォルダのコピー、置き換え、名前の変更 ファイルの紛失や破損が原因で起動障害が発生しているときに必要な操作である。

  • 再起動のときにサービスのロードを有効、または、無効にする 特定のサービスが OS の起動の障害となっていると考えられる場合は、そのサービスを無効にする。正常な起動に必要なサービスがある場合は、そのサービスのロードが有効であることを確認する。

  • ファイルシステムのブートセクタ、あるいは、MBR を修復する MBR がウイルスに感染していた場合は、回復コンソールを実行する前にウイルス除去プログラム (アンチウイルスプログラム) を実行する。

  • パーティションの作成とフォーマット ディスクユーティリティでは、Windows 2000 パーティションの削除や作成ができないときに使用する。通常は、こういった作業には、ディスクパーティション用のユーティリティを使用する。

回復コンソールの開始

Windows 2000 の CD-ROM から起動できない場合でも、Windows 2000 Server セットアップブートディスクを作成しておけば、そこから回復コンソールを開始することができる。Windows 2000 の [スタートアップ] フォルダに回復コンソールを追加することも可能だが、その場合は、回復コンソールをローカルディスクにインストールして、構成しておく必要がある。

Windows 2000 Server セットアップブートディスクからの回復コンソールの開始

Windows 2000 Server セットアップブートディスクから回復コンソールを開始する場合は、次の順に操作すればよい。

  • まず、Windows 2000 Server セットアップブートディスクをドライブにセットして、コンピュータを再起動する。

  • 指示に従って、Windows Server セットアップディスクを差し替える。

  • [セットアップへようこそ] ダイアログボックスが表示されたら、R キーを押して、Windows 2000 修復オプションを選択する。

  • Windows 2000 修復オプションメニューで C キーを押して、Windows 2000 回復コンソールを開始する。

回復コンソールのインストール

回復コンソールを Windows 2000 Server の [スタートアップ] フォルダに追加しておけば、システムエラーが発生したときに利用することができる。このように構成した場合、CMDCONS フォルダとファイルの格納に約 7MB のディスク領域が必要である。この構成をセットアップするには、Windows 2000 Server CD-ROM をドライブにセットし、CD-ROM が読み込まれるとき Shift キーを押して、自動再生機能を無効にする。そして、コマンドプロンプトから、「WINNT32 /CMDCONS」と入力する。このコマンドを入力するとコンピュータが再起動され、Microsoft Windows 2000 回復コンソールのオプションが表示される。

回復コンソールの使用

回復コンソールを [スタートアップ] フォルダへ追加すると、コンピュータを起動したときアクセスできるようになる。OS の選択メニューに、Microsoft Windows 2000 回復コンソールのオプションが表示されるので、これを選択すれば回復コンソールが開始できる。回復コンソールを使用するときは、ローカルの Administrator アカウントのパスワードが必要である。

回復コンソールではコマンドプロンプトの利用が可能で、非常に限られた範囲でシステムリソースへアクセスできる。アクセスが制限されているのは、承認されていないユーザーが回復コンソールを利用して重要なデータにアクセスすることを防止するためである。回復コンソールからアクセスできるのは、次のフォルダだけである。

  • ルートフォルダ

  • Windir フォルダと Windows 2000 Server がインストールされているフォルダ、およびそのサブフォルダ

  • CMDCONS フォルダ

  • CD-ROM ドライブなどのリムーバブルメディアドライブ

これ以外のフォルダにアクセスしようとすると、「アクセスが拒否されました」というエラーメッセージが表示される。

回復コンソールでは、ハードディスクへのアクセスが制限されていて、ローカルハードディスクからフロッピーディスクへのファイルのコピーはできない。フロッピーディスクや CD からハードディスクへのコピー、および、ハードディスク間でのコピーは可能である。
回復コンソールでは、 15.13 のコマンドが使用できる。

15.13 回復コンソールで使用可能なコマンド

コマンド 説明

ATTRIB

ファイル属性を設定する。ファイル属性には、読み取り専用 (R)、システム (S)、隠しファイル (H)、圧縮 (C) がある。

BATCH

指定されたファイル内のコマンドを順次実行する。

CHDIR (CD)

ディレクトリの移動に使用する。ディレクトリ名を指定しないで、このコマンドを実行すると、カレントディレクトリが表示される (CHDIR と CD は同じコマンドである)。

CLS

コンソールに表示されているすべての文字を消去する。

CHKDSK

ディスクをチェックして、ディスクの状態のレポートを表示する。

COPY

1 つのファイルをある場所から別の場所へコピーする。ワイルドカードは使用できない。フロッピーディスクなどのリムーバブルメディアへコピーすることもできない。

DELETE (DEL)

1 つのファイルを削除する。ワイルドカードは使用できない。DELETE と DEL は同じコマンドである。

DIR

カレントディレクトリ内のファイルやサブディレクトリの一覧を表示する。

DISABLE

Windows 2000 のシステムサービスやドライバを無効にする。

DISKPART

ディスクパーティションを管理する。引数なしで実行すると、ユーザーインターフェイスが表示される。

ENABLE

Windows 2000 のシステムサービスやドライバを有効にする。

EXIT

回復コンソールを終了して、コンピュータを再起動する。

EXPAND

圧縮ファイルを解凍する。

FIXBOOT

新しいブートセクタをコンピュータのシステムパーティションに書き込む。

FIXMBR

ブートパーティションの MBR を修復する。

FORMAT

Windows 2000 で使用するディスクをFAT16、FAT32、NTFS でフォーマットする。

HELP

回復コンソールコマンドのヘルプを表示する。

LISTSVC

コンピュータ上の使用可能なすべてのサービスとドライバ、および、その状態を一覧で表示する。

LOGON

デュアルブート、またはマルチブート環境でローカルな管理者として、他の OS へログオンする。

MAP

現在のドライブ文字の割り当てを表示する。

MKDIR (MD)

新しいディレクトリを作成する。MKDIR と MD は、同じコマンドである。

MORE (TYPE)

コンソールにテキストファイルを表示する (TYPE と同じ)。

RENAME (REN)

ファイルの名前を変更する。RENAME と REN は同じコマンドである。

RMDIR (RD)

ディレクトリを削除する。RMDIR と RD は同じコマンドである。

SYSTEMROOT

カレントディレクトリが %systemroot% に指定される。

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復習問題

  1. Windows 2000 バックアップで実行できる作業はどれか。(あてはまるものをすべて選択)

    1. システム修復ディスクの作成

    2. Windows 2000 Server セットアップディスクの作成

    3. コンピュータのバックアップ

    4. コンピュータの復元

  2. 回復コンソールに関する次の説明で正しいものはどれか。(あてはまるものをすべて選択)

    1. 回復コンソールには、Windows 2000 Server セットアップディスクを使ってアクセスする

    2. 回復コンソールには、システム修復ディスクを使ってアクセスする

    3. 回復コンソールには、WINNT32 /CMDCONS コマンドを使って、このオプションを構成している場合に、アクセスできる

    4. 回復コンソールには、Windows 2000 Server 起動プロセスの途中でF8キーを押すことによってアクセスできる

  3. サーバーが正常に起動しないので、起動時にロードされるドライバとサービスの一覧を確認したい。それにはどのようにすればよいか。

    1. [起動 / 回復] ダイアログボックスのオプションでブートのログ作成を有効にする

    2. 起動プロセスの途中で F5 キーを押すと、ロードされるドライバとサービスが表示される

    3. BOOT.INI ファイルに /enablelog スイッチを追加して、コンピュータを再起動する

    4. 起動プロセスの拡張オプションメニューの [ブートのログ作成を有効にする] を選ぶ

  4. サーバーに定期的に障害が発生する。ハングアップしたときには、ユーザーが介入しなくてもサーバーが自動的に再起動されるように構成したい。それにはどうすればよいか。

    1. BOOT.INI ファイルに /autoboot スイッチを追加する

    2. BOOT.INI ファイルに /autostart スイッチを追加する

    3. [起動 / 回復] ダイアログボックスでサーバーを自動的に再起動するように構成する

    4. サーバーを自動的に再起動する AUTOEXEC.BAT ファイルを作成する

  5. Windows 2000 Server 起動ディスクに含まれないファイルはどれか。

    1. NTLDR

    2. NTOSKRNL.EXE

    3. NTDETECT.COM

    4. BOOT.INI

  6. サーバーのコンソール上にエラーメッセージが表示されたが、メッセージを読む前に、この画面を消してしまった。このような場合はどうすればよいか。

    1. ログファイル <windir>\nterrors.txt を確認する

    2. ログファイル <windir>\errors.txtを 確認する

    3. イベントビューアのログファイルを確認する

    4. Windows 診断のログファイルを確認する

  7. Windows 2000 Server をロードしようとすると、起動プロセスの途中でコンピュータがハングアップする。この原因を突き止めるためには、まず何をすればよいか。

    1. Windows 2000 をセーフモードで起動する

    2. Windows 2000 をシステム修復ディスクで起動する

    3. Windows 2000 Server セットアップディスクで起動する

    4. 最新のシステムバックアップを使ってサーバーを復元する

  8. ドライバを更新したところ、コンピュータが再起動できなくなった。前回正常起動時の構成にアクセスするにはどうすればよいか。

    1. 起動中にプロンプトが表示されたところでスペースバーを押す

    2. 起動中にプロンプトが表示されたところで F8 キーを押して、拡張オプションメニューを表示する

    3. 起動中にプロンプトが表示されたところで F6 キーを押して、拡張オプションメニューを表示する

    4. Windows 2000 には、前回正常起動時の構成オプションはない

    ss

  9. バックアップユーティリティにアクセスするにはどのように操作すればよいか。

    1. [スタート] → [プログラム] → [管理ツール] → [バックアップ] をクリック

    2. [スタート] → [設定] → [コントロールパネル] → [バックアップ] をクリック

    3. [スタート] → [設定] → [管理ツール] → [バックアップ] をクリック

    4. [スタート] → [プログラム] → [アクセサリ] → [システムツール] → [バックアップ] をクリック

  10. バックアップユーティリティで Windows 2000 メンバサーバー上のすべての Windows 2000 ファイルのバックアップが可能なアクセス許可が与えられているグループはどれか。(あてはまるものをすべて選択)

    1. Administrators

    2. Server Operators

    3. Account Operators

    4. Backup Operators

  11. Windows 2000 ドメインコントローラのシステム状態を復元しなければならない。このドメインコントローラのデータは、同じドメイン内のほかのドメインコントローラに複製されている。この場合の復元処理に必要な手順はどれか。(あてはまるものをすべて選択)

    1. 回復コンソールモードでサーバーを起動する

    2. ディレクトリサービス復元モードでサーバーを起動する

    3. Windows バックアップを使ってシステム状態データを復元する

    4. Ntdsutil.exe ユーティリティを実行する

  12. 証明書サーバーとして構成されたWindows 2000 サーバーがある。すべての証明書サーバーファイルが適切にバックアップされるようにするには、バックアップユーティリティでどのオプションを構成すればよいか。

    1. \<windir>\Certificate のバックアップ

    2. \<windir>\System32 のバックアップ

    3. \<windir>\CertServices のバックアップ

    4. システム状態のバックアップ

  13. システム状態データに含まれないものは次のどれか。

    1. レジストリ

    2. ブートパーティション

    3. COM+ クラス登録データベース

    4. システムブートファイル

  14. Windows 2000 ドメインコントローラのシステム状態をバックアップすると、Windows 2000 メンバサーバーの場合に比べて追加でバックアップされるものがある。それはどれか。(あてはまるものをすべて選択)

    1. <windir> ディレクトリ

    2. SYSVOL ディレクトリ

    3. Active Directory サービスディレクトリデータベース

    4. XCOM+クラス登録データベース

  15. ハードディスクに新しいパーティションを追加したところ、Windows 2000 を再起動したとき、NTOSKRNL.EXE が紛失、または、破損しているという旨のエラーが表示された。このエラーの原因である可能性が高く、更新が必要だと考えられるファイルはどれか。

    1. NTOSKRNL.EXE

    2. BOOT.INI

    3. NTBOOTDD.SYS

    4. BOOTSECT.DOS

  16. BIOS が無効になっている SCSI アダプタがインストールされている。この構成をサポートするために追加しなければならないブートファイルはどれか。

    1. SCSI.SYS

    2. NTBOOT.SYS

    3. SCSIBOOT.SYS

    4. NTBOOTDD.SYS

  17. BIOS が有効な SCSI アダプタがある。これは、このコンピュータの唯一のアダプタで、2 台の物理ドライブが接続されている。2 台目のドライブの最初のパーティションにシステムのブートパーティションが格納されている。このブートパーティションの ARC パスはどのようになるか。

    1. scsi(0)disk(1)rdisk(0)partition(1)

    2. scsi(1)disk(0)rdisk(1)partition(1)

    3. multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)

    4. multi(0)disk(1)rdisk(0)partition(1)

  18. 16 ビットのオペレーティングシステムから Windows 2000 Server セットアップディスクを作成するには、どのコマンドを使えばよいか。

    1. BOOTDISK

    2. MAKEDISK

    3. MAKEBOOT

    4. DISKBOOT

  19. バックアップ済みでないファイルだけをバックアップして、バックアップしたファイルにバックアップ済みの印を付けるには、次のどの種類のバックアップを実行すればよいか。

    1. コピー

    2. 差分

    3. 増分

    4. 4.

  20. 復元処理に 1 本のテープ (メディア) しか必要ないバックアップの種類は、次のどれか。

    1. コピー

    2. 差分

    3. 増分

    4. 通常

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復習問題の解答

  1. A、C、D

    Windows 2000 バックアップでは、システム修復ディスクの作成、コンピュータのバックアップ、コンピュータの復元が可能である。Windows 2000 Server セットアップディスクを作成するには、MAKEBOOT、または、MAKBT32 コマンドを使用する。

  2. A、C

    回復コンソールは、Windows 2000 Server セットアップディスクからアクセスできる。また、障害が発生する前に WINNT32 /CMDCONS コマンドを実行して、回復コンソールが構成されていれば、起動時に回復コンソールを選ぶことができる。起動プロセスの途中で F8 キーを押すと拡張オプションメニューが表示されるが、回復コンソールはこのメニューにはない。

  3. D

    コンピュータを再起動して、起動プロセスの途中でプロンプトが表示されたら F8 キーを押し、拡張オプションメニューから [ブートのログ作成] を選ぶ。ログは、\<windir>\nbtlog.txt ファイルに書き込まれ、起動プロセス中にロードされたすべてのドライバやサービスの情報が記録される。

  4. C

    システムに障害が発生したとき、コンピュータを自動的に再起動するように設定するには、 [起動 / 回復] ダイアログボックスで [自動的に再起動する] を選ぶ。BOOT.INI ファイルにどのようなスイッチを追加しても、自動的に再起動することはできない。AUTOEXEC.BAT ファイルからは、Windows 2000 を起動することはできない。

  5. B

    Windows 2000 Server ブートディスクに格納されるのは、NTLDR、NTDETECT.COM、BOOT.INI ファイル (ブートファイルを作成したコンピュータのファイル) である。NTOSKRNL.EXE は含まれない。

  6. C

    Windows 2000 でエラーが表示されたら、イベントビューアで確認するとよい。イベントビューアでは、コンピュータに関する重要な情報 (エラーメッセージの詳細など) を確認することができる。

  7. A

    コンピュータのトラブルシューティングを行うときには、できるだけシンプルな解決手段から試してみるとよい。この場合は、「セーフモードで起動する」というのがそれに当たる。セーフモードでは、最低限必要なサービスとドライバのみでサーバーが起動される。セーフモードで起動することができるのであれば、トラブルシューティングを行うことができる。この方法で起動できないときは、より抜本的な手段を試せばよい。

  8. B

    Windows NT 4.0 では、起動プロセスの途中でプロンプトが表示されたときにスペースバーを押すと、 [前回正常起動時の構成] にアクセスすることができたが、Windows 2000 では、このオプションは拡張オプションメニューにある。起動プロセスの途中で F8 キーを押すと、拡張オプションメニューが表示される。

  9. D

    Windows 2000 のバックアップユーティリティは、 [スタート] → [プログラム] → [アクセサリ] → [システムツール] → [バックアップ] でアクセスできる。

  10. A、D

    デフォルトでは、Windows 2000 メンバサーバーには、Server Operators と Account Operators というグループはない。Windows 2000 コンピュータをバックアップできるのは、Administrators と Backup Operators である。

  11. B、C、D

    ドメインコントローラのシステム状態を復元するには、拡張オプションメニューの [ディレクトリサービス復元モード] でコンピュータを再起動する。これによって、Active Directory ディレクトリサービスと SYSVOL ディレクトリが復元される。さらに、そのドメインコントローラが、複数のドメインコントローラのあるドメインに所属するもので、データが他のドメインコントローラに複製されている場合は、復元データがすべてのドメインコントローラに複製されるように、Athoritative Restoreを実行する必要がある。Athoritative Restore を実行するには Ntdsutil.exe コマンドユーティリティを利用する。コマンドの実行後に、コンピュータを再起動する。

  12. D

    Windows 2000 Server が証明書サーバーとして構成されている場合、システム状態に証明書サービスデータベースが含まれる。

  13. B

    Window 2000 コンピュータに共通のシステム状態のコンポーネントは、レジストリ、COM+ クラス登録データベース、システムブートファイルである。

  14. B、C

    Windows 2000 ドメインコントローラの場合は、通常のコンポーネントに加えて、Active Directory サービスディレクトリデータベースと SYSVOL ディレクトリもシステム状態としてバックアップされる。

  15. B

    BOOT.INI ファイルは、Windows 2000 のブートパーティションの場所の指定に使用される。NTOSKRNL.EXE はブートパーティションに格納されている。パーティションを変更した場合は、ブートパーティションへの ARC パスを更新する必要があると考えることができる。

  16. D

    BIOS が無効な SCSI アダプタを使用している場合は、NTBOOTDD.SYS ファイルを追加で使用する。

  17. C

    この場合は、アダプタが BIOS を使用する SCSI なので、multi を使用する。scsi を使用するのは、BIOS が無効な SCSI アダプタの場合である。multi の場合、ディスクは常に 0 となる。rdisk は、使用するドライブの番号でこの番号は 0 から始まる (最初のドライブが 0、2 番目のドライブが1) 。partition は、物理ドライブ内のパーティションを表すもので、この番号は 1 から始まる (最初のパーティションが 1) 。

  18. C

    16 ビットの OS で Windows 2000 Server セットアップディスクを作成するには、MAKEBOOT コマンドを使う。MAKEBT32 コマンドは、32 ビットの OS で Windows 2000 Server セットアップディスクを作成するときに使用される。

  19. C

    バックアップ済みでないファイルだけをバックアップして、バックアップしたファイルにバックアップ済みの印を付けるには、バックアップを「増分」で実行する。このバックアップ方法を選ぶと、復元処理には、最近実行した通常のバックアップとそれ以降に実行した増分バックアップで作成されたすべてのテープ (メディア) が必要となる。

  20. D

    通常のバックアップでは、すべてのファイルをバックアップして、バックアップしたファイルにバックアップ済みの印を付ける。そのため、1 本のテープだけで復元処理が行える。

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