ステップバイステップ ガイド : ユーザー データとユーザー設定
公開日: 2005年1月7日
このドキュメントでは、Windows Server 2003 オペレーティング システムで使用できるユーザー データ管理機能とユーザー設定管理機能について説明します。ユーザー データ管理とユーザー設定管理は、Windows Server 2003 の IntelliMirror® 管理テクノロジの一部です。これらの機能を使用することで、管理者はコンピュータ (PC) の総保有コスト (TCO) を削減できます。
トピック
はじめに
概要
移動ユーザー プロファイル
フォルダ リダイレクト
関連資料
はじめに
ステップバイステップ ガイド
Microsoft Windows Server 2003 展開のステップバイステップ ガイドでは、多くの共通点を持つオペレーティング システム構成における実際上の操作を説明します。これらのガイドでは、Windows Server 2003 をインストールして共通ネットワーク インフラストラクチャを構築することから説明を始めます。そして、Active Directory® の構成、Windows XP Professional ワークステーションのインストールについて説明し、最後にワークステーションをドメインに追加する方法について説明します。これらのステップバイステップ ガイドの各分冊では、この共通ネットワーク インフラストラクチャが構築されていることを前提としています。このガイドで説明するネットワーク インフラストラクチャとは異なるインフラストラクチャを構築する場合は、適宜変更を加えながらガイドを読み進めてください。
共通ネットワーク インフラストラクチャの構築には、以下のガイドで説明する操作を完了する必要があります。
共通ネットワーク インフラストラクチャを構築すると、その他のステップバイステップ ガイドの操作を実行できるようになります。ただし、その他のステップバイステップ ガイドでは、共通ネットワーク インフラストラクチャ構築の要件に加えて、その他の前提条件が必要になる場合があります。詳細については、各ステップバイステップ ガイドの説明を参照してください。
Microsoft Virtual PC
Microsoft Windows Server 2003 展開のステップバイステップ ガイドで説明する内容は、現実のラボ環境で実装することができ、Microsoft Virtual PC 2004 や Microsoft Virtual Server 2005 のような仮想化テクノロジを使って実装することもできます。仮想コンピュータ テクノロジを使用すると、単一の物理サーバー上で複数のオペレーティング システムを並行して稼働させることができます。Virtual PC 2004 と Virtual Server 2005 は、ソフトウェアのテストや開発、レガシ アプリケーションの移行、サーバー統合の各シナリオにおいて、業務効率を高めるように設計されています。
Microsoft Windows Server 2003 展開のステップバイステップ ガイドでは、現実のラボ環境での構成を前提としています。ただし、大部分の構成はそのまま仮想環境に適用できます。
このステップバイステップ ガイドに記載する概念を仮想環境に適用する場合の説明については、ここでは割愛します。
重要
このドキュメントで使用している会社、組織、製品、ドメイン名、電子メール アドレス、ロゴ、人物、場所、イベントなどの名称は架空のものです。実在する会社名、組織名、製品名、ドメイン名、電子メール アドレス、ロゴ、個人名、場所名、イベント名などは一切関係ありません。
この共通インフラストラクチャは、プライベート ネットワークで使用する目的で設計されています。共通インフラストラクチャで使用する架空の企業名と DNS (Domain Name System) 名は、インターネット上で使用するための登録が行われていません。パブリック ネットワークやインターネット上では、この名前を使用しないようにしてください。
この共通インフラストラクチャの Active Directory サービス構造は、Windows Server 2003 の変更と構成管理機能の概要、および Active Directory との関連を示すために設計されたものです。企業で Active Directory を構成する場合を想定して設計されているわけではないことに注意してください。
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概要
このステップバイステップ ガイドでは、ユーザー データ管理とユーザー設定管理のメリットについて、シナリオを挙げながら説明します。IT 環境を全般的に担当するエンジニアが、組織でこの管理機能を利用する方法について理解できることを目的としています。
ユーザーがコンピュータを使用するときの状態には、ネットワークに接続していない状態 (スタンドアロン状態) と、ネットワークに接続している状態 (ネットワーク接続状態) があります。業務遂行中、ユーザーは、この 2 つの状態の間を頻繁に移行します。IntelliMirror 管理テクノロジ、特にユーザー データ管理とユーザー設定管理を使用すると、ユーザーはコンピュータを最大限に活用できます。ユーザーがスタンドアロン状態にあるかネットワーク接続状態にあるかにかかわらず、データと設定はユーザーに追随します。データや設定に関する情報をネットワーク サーバー上とローカル ハード ドライブ上 (同期されるオフラインの場所) に格納することで、ユーザー データの可用性が高まり、利便性の高いユーザー環境を実現します。
ユーザーは、特に意識することなく、任意のコンピュータにログオンし、自分のデータやドキュメント、環境設定、使用するアプリケーションに対してアクセスできます。IntelliMirror 機能は、ユーザーからは見えません (IntelliMirror という項目は [スタート] メニューに表示されません) が、管理者は、特定の構成タスクを実行する必要があります。
このステップバイステップ ガイドでは、IntelliMirror の主な 2 つの機能であるユーザー データ管理とユーザー設定管理を開始する方法について説明します。
変更管理と構成管理 | 機能 | 機能 | メリット | テクノロジ |
変更管理と構成管理 |
IntelliMirror |
ユーザー データ管理 |
データとドキュメントがユーザーに追随。 |
- Active Directory - グループ ポリシー - オフライン フォルダ - 同期マネージャ - Windows シェル - フォルダ リダイレクト - ディスク クォータ |
変更管理と構成管理 |
IntelliMirror |
ソフトウェアのインストールと保守 |
ソフトウェアがユーザーに追随。 |
- Active Directory - グループ ポリシー - Windows インストーラ - プログラムの追加と削除 - Windows シェル |
変更管理と構成管理 |
IntelliMirror |
ユーザー設定管理 |
環境設定がユーザーに追随。 |
- Active Directory - グループ ポリシー - オフライン フォルダ - 移動ユーザー プロファイル - Windows シェル |
変更管理と構成管理 |
|
リモート OS インストール |
管理者は、オンサイトのテクニカル サポートを行わなくても、新しいコンピュータまたは代替のコンピュータに、Windows Server 2003 ベースのオペレーティング システムとデスクトップ イメージをリモート インストールすることができます。 |
- Active Directory - グループ ポリシー - 動的ホスト構成プロトコル (DHCP) - リモート インストール サービス (RIS) |
変更管理と構成管理 |
|
IntelliMirror + リモート OS インストール → コンピュータの交換 |
IntelliMirror + リモート OS インストール → コンピュータの交換 |
IntelliMirror + リモート OS インストール → コンピュータの交換 |
ユーザー データ管理
ユーザー データ管理は、ユーザーが表示できるデータ (主にユーザー ドキュメントと個人ファイル) に関するものです。Windows Server 2003 では、ネットワーク上の場所を指定してデータを格納できるため、ユーザー データは、ユーザーに追随します。ただし、ユーザーには、使用するコンピュータのローカルに格納されているように見えます。
データがユーザーに追随するように設定するには、いくつかの方法があります。管理者は、機能を手動で構成、ユーザーごとにセットアップ、グループ ポリシーによって構成、のいずれかの方法を使用できます。
データがユーザーに追随するような設定では、特定のユーザー データ フォルダ (マイ ドキュメントなど) をネットワーク上の場所にリダイレクトし、その場所をオフラインでも使用できるようにすることが重要になります。
ユーザーがマイ ドキュメント フォルダにファイルを保存すると、ファイルは実際はネットワーク上の場所に保存されます。ローカル コンピュータのコピーが、ネットワーク上にあるそのコピーと同期されます。同期はバックグラウンドで実行され、ユーザーには見えません。
ユーザーはスタンドアロン状態でもネットワーク接続状態でも、同様に操作できます。ネットワークが一時的に停止しても、ユーザーに影響は及びません。便宜上またはネットワーク障害が理由でオフラインで作業する場合、ユーザー データの修正と変更は、すべてローカル コピーに対して行われます。コンピュータがネットワークに再接続されると、自動的にネットワーク コピーと同期されます。
ネットワーク コピーとローカル コピーの両方が変更された場合は、同期マネージャにより、両方のコピーを保存するか、一方のコピーをもう一方に同期するかを確認するメッセージが表示されます。
ユーザー設定管理
ユーザー データと同様に、ユーザー設定は、ユーザーがどのコンピュータからログオンするかにかかわらず、ユーザーに追随するように設定できます。IntelliMirror では、グループ ポリシーと Active Directory サービスを使用して、重要なユーザー設定をすべて格納できるため、ユーザー設定がユーザーに追随します。
管理者は、設定によって、ユーザーのコンピュータ環境をカスタマイズして制御し、ユーザーが自分のコンピュータ環境をカスタマイズすることを許可または拒否することができます。ユーザーに許可を与えると、多くの場合、ユーザーは必要性や業務上の利便性に応じて、コンピュータ環境のスタイルや既定の設定内容をカスタマイズします。
設定には、次に示す 3 種類の情報があります。
- 重要情報 (個人情報と管理情報)
- 一時的な情報
- ローカル コンピュータ固有のデータ
複数のコンピュータを同時に使用する許可をユーザーに与える場合、一時的な情報とローカル コンピュータの情報は移動しないようにしてください。不要なオーバーヘッドが発生し、コンピュータ間の相違によって移動機能が混乱する可能性があります。
オペレーティング システムで、グループ ポリシーや適切に動作するアプリケーションを使ってユーザー設定を管理する場合、重要情報のみを保持するようにします。"適切に動作するアプリケーション" とは、Windows 認定の仕様に適合するアプリケーション、またはユーザーとコンピュータの状態を分離するベスト プラクティスに適合するアプリケーションをいいます。一時的な設定とローカル コンピュータの設定は、必要に応じて動的かつ適切に再生成されます。そのため、ユーザーはどのコンピュータを使用しても、同様の操作が可能です。
ユーザー データ管理とユーザー設定管理のテクノロジ
ユーザー データ管理とユーザー設定管理を可能にするテクノロジは類似しています。2 つのテクノロジの主な違いは、ユーザーはデータについては熟知していますが、設定についてはよく知らない可能性がある、ということです。
このステップバイステップ ガイドでは、次のテクノロジについて説明します。
- 移動ユーザー プロファイル
- フォルダ リダイレクト
- オフライン ファイル
前提条件
本ガイドでの要件
必須ではありませんが、「ステップバイステップ ガイド : Windows Server 2003 のグループ ポリシー機能」を読み、説明に従って手順を実行することをお勧めします。このガイドを参照すると、グループ ポリシーの機能と、リモート インストール時にグループ ポリシーを適用する方法について、より明確に理解できます。また、このガイドで説明する手順では、グループ ポリシー管理コンソール (GPMC) を使用して、フォルダ リダイレクトのグループ ポリシー オブジェクト (GPO) を構築します。また、必須ではありませんが、「ステップバイステップ ガイド : グループ ポリシー管理コンソールの使用」を読み、説明に従って手順を実行することをお勧めします。このガイドで説明する手順を完了していない場合、GPMC をインストールする必要があります。
メモ このガイドの手順を実行するのは、上記のグループ ポリシー ガイドの手順を実行する前でも後でもかまいません。グループ ポリシー ガイドの手順を先に実行すると、ポリシーの一部 (特に Loopback Policies GPO) を元に戻すことが必要になる場合があります。
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移動ユーザー プロファイル
移動ユーザー プロファイルを使用すると、ユーザーは会社のネットワーク内にあるコンピュータ間で移動できます。移動ユーザー プロファイルを持つユーザーは、任意のコンピュータにログオンし、アプリケーションの実行、ドキュメントの編集、ログオフを行うことができます。ログオフすると、そのユーザー プロファイルはサーバーにコピーされます。ユーザーが別のコンピュータにログオンすると、[スタート] メニューのカスタマイズやマイ ドキュメント フォルダのコンテンツなどのプロファイル情報は、ログオンしたコンピュータにコピーされます。
管理タスク
移動ユーザー プロファイルを構築する場合、一部のタスクは管理者権限を持つユーザーが実行する必要があります。
共有フォルダを作成して移動ユーザー プロファイルを格納するには
HQ-CON-DC-01 に Administrator としてログオンします。
[スタート] を右クリックし、[エクスプローラ] をクリックします。
左側のペインで、[ローカル ディスク (C:)] をクリックします。右側のペインで、空白部分を右クリックします。コンテキスト メニューの [新規作成] をクリックし、[フォルダ] をクリックします。
「Profiles」と入力し、Enter キーを押します。
Profiles フォルダを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
[Profilesのプロパティ] ダイアログ ボックスで、[共有] タブをクリックします。
図 1 に示すように、[このフォルダを共有する] をクリックします。
図 1. Profiles のプロパティ
[アクセス許可] をクリックし、[フル コントロール] の横にある [許可] をクリックして、[OK] をクリックします。
[セキュリティ] タブをクリックし、[グループ名またはユーザー名] の [Users (CONTOSO\Users)] をクリックします。
[書き込み] の横にある [許可] チェック ボックスをオンにします。
[OK] をクリックし、[Profiles のプロパティ] ウィンドウを閉じて、エクスプローラを閉じます。
移動ユーザーを構成するには
[スタート] メニューの [すべてのプログラム] をポイントします。次に、[管理ツール] をポイントし、[Active Directory ユーザーとコンピュータ] をクリックします。
[contoso.com] の横にあるプラス記号 (+) をクリックし、ツリーを展開します (ツリーが展開されていない場合)。
[Accounts] の横にあるプラス記号 (+) をクリックします。
[Production] をクリックします。
[Clair Hector] をダブルクリックします。メモ 手順 6 は、ユーザー Clair がドメイン コントローラと標準的なデスクトップにログオンする場合にのみ必要です。テスト環境に複数のデスクトップがある場合、手順 6 は飛ばして手順 7 に進んでください。
[所属するグループ] タブをクリックし、[追加] をクリックして、「Administrators」と入力します。次に、[OK] をクリックします。
[プロファイル] タブをクリックします。
図 2 に示すように、[プロファイル パス] に「\\HQ-CON-DC-01\Profiles\%username%」を入力します。
図 2. 移動プロファイル パスの設定
メモ \\HQ-CON-DC-01 は、この手順で使用しているサーバー名です。% username% は、環境変数です。この場合、%username% は、Clair Hector のユーザー名である "Clair" にマップされます。Clair Hector がコンピュータにログオンすると、HQ-CON-DC-01 の Profiles 共有フォルダに "Clair" ディレクトリが作成されます。[OK] をクリックし、[Active Directory ユーザーとコンピュータ] スナップインを閉じます。
エンド ユーザー エクスペリエンス
移動ユーザー プロファイルのシナリオでは、エンド ユーザーが直接操作することなく、すべてのユーザー設定が作成、修正、削除されます。次に、Clair が Windows XP Professional ワークステーションにログオンし、デスクトップに何らかの修正を加えた場合について説明します。この場合、HQ-CON-DC-01 の Profiles 共有フォルダの下に、新しいフォルダが自動的に作成されます。
移動ユーザー プロファイルを作成するには
- HQ-WRK-CON-01 に Clair@contoso.com としてログオンします。
メモ Clair のパスワードをまだ変更していない場合、変更するようにプロンプトが表示される場合があります。 - [スタート] を右クリックし、[プロパティ] をクリックして、[クラシック [スタート] メニュー] をクリックします。
- [タスク バー] タブをクリックし、[時計を表示する] チェック ボックスをオフにして、[OK] をクリックします。すべてのデスクトップが変更されることに注意してください。
ここまでの手順で、HQ-WRK-CON-01 からログオフし、別のコンピュータにログオンできるようになりました。前述の手順で修正したデスクトップの設定は、新しいコンピュータの Clair に追随します。
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フォルダ リダイレクト
グループ ポリシーとフォルダ リダイレクトを使用すると、特別なフォルダをネットワーク上の場所にリダイレクトできます。"特別なフォルダ" とは、Documents and Settings フォルダの下にあるマイ ドキュメント、マイ ピクチャなどのフォルダをいいます。グループ ポリシーの場合、フォルダ リダイレクトは、グループ ポリシー オブジェクト エディタのコンソール ツリーにある [ユーザーの構成] の下にあります。
フォルダ リダイレクトには、いくつかの基本オプションがあります。基本オプションごとに、詳細オプションがあります。詳細オプションを指定すると、セキュリティ グループ メンバシップに基づいてリダイレクトできるため、より細かい制御が可能になります。
フォルダ リダイレクトの各オプションについて、次の表に示します。
特別なフォルダ | 説明 |
Application Data |
クライアント側でキャッシュが有効な場合、グループ ポリシー設定によって、Application Data の動作を制御します。グループ ポリシー オブジェクト エディタのコンソール ツリーで、"ユーザーの構成\管理用テンプレート\ネットワーク\オフライン ファイル" を検索します。 |
デスクトップ |
デスクトップは、他の特別なフォルダとは別に、リダイレクトできます。 |
マイ ドキュメント |
「マイ ドキュメント フォルダをリダイレクトするメリット」を参照してください。 |
My Documents\ |
マイ ピクチャは、マイ ドキュメントとは別にリダイレクトするか、マイ ドキュメントに追随 (既定の動作) して常にマイ ドキュメントのサブフォルダとしてリダイレクトするように設定できます。マイ ドキュメントとマイ ピクチャを分離する特別な理由 (サーバーのスケーラビリティなど) がなければ、既定の動作に設定することをお勧めします。この 2 つのフォルダを分離すると、マイ ドキュメント フォルダに、マイ ピクチャ フォルダへのショートカットが作成されます。 |
スタート メニュー |
スタート メニューをリダイレクトすると、サブフォルダも常に追随します。 |
マイ ドキュメント フォルダをリダイレクトするメリット
どのフォルダをリダイレクトしても次のようなメリットがありますが、マイ ドキュメント フォルダのリダイレクトは特に有効な場合があります。これは、マイ ドキュメントは時間の経過につれてサイズが大きくなることが多いためです。
移動ユーザー プロファイルを使用すると、マイ ドキュメント フォルダではなく、マイ ドキュメント フォルダへのネットワーク パスのみが移動ユーザー プロファイルに格納されます。そのため、ユーザーがログオンまたはログオフするたびに、プロファイルをクライアント コンピュータとサーバー間でコピーする必要がありません。また、ログオンまたはログオフのプロセスは、Windows NT 4.0 よりも大幅に高速化されています。
ユーザーは、ネットワーク上のどのコンピュータにログオンしても、常に自分のドキュメントを使用できます。
オフライン ファイル テクノロジによって、ユーザーがネットワークに接続していない場合でも、マイ ドキュメントにアクセスできます。このテクノロジは、ポータブル コンピュータを使用するユーザーの場合、特に便利です。
共有ネットワーク フォルダに格納されているデータは、定期的なシステム管理の一環としてバックアップできます。この方法は、ユーザー側で操作する必要がないため、より安全です。
管理者は、グループ ポリシーでディスク クォータを設定し、ユーザーの特別なフォルダに使用できるディスク容量を制限できます。
ユーザー固有のデータは、オペレーティング システム ファイルが保存されているハード ディスクから、ユーザーのローカル コンピュータにある異なるハード ディスクにリダイレクトできます。これによって、オペレーティング システムがインストールされた場合でも、ユーザー データは保護されます。
メモ 共有フォルダのリダイレクト ディレクトリを作成するときは、アクセスを必要とするユーザーにのみアクセス権を制限します。リダイレクトされるフォルダには、機密ドキュメントや EFS (暗号化ファイル システム) 証明書などの個人情報が含まれる可能性があるため、共有フォルダのアクセス権は十分に注意して保護する必要があります。アクセスを必要とするユーザーにのみ、共有フォルダへのアクセスを制限してください。また、特定の共有フォルダに対する許可が必要なユーザーのセキュリティ グループを作成し、そのユーザーのみにアクセス権を制限することもできます。
メモ 共有フォルダを作成する場合、共有名の末尾にドル記号 ($) を付けて隠します。こうすると、共有フォルダは通常のブラウザでは表示されず、マイ ネットワークに表示されません。
フォルダ リダイレクトとオフライン ファイル
オフライン ファイル テクノロジは、ユーザーがオフラインで使用する可能性のあるドキュメントやデータを含む、マウントまたはマップされたドライブに適用されます。オフライン ファイルは、フォルダ リダイレクトとは独立しています。フォルダ リダイレクト スナップインとは別に、共有ネットワーク サーバーでセットアップされ、構成されます。オフライン ファイルによって、ポータブル コンピュータを使用しているときやルーターに障害が発生したときなど、ネットワークに接続していない状態でも有効な作業が可能です。
いずれかのリダイレクト フォルダを使用する場合、次の表に挙げた内容に従ってオフライン ファイルをセットアップすることをお勧めします。
特別なフォルダ | オフライン ファイルの構成 |
マイ ドキュメント |
ドキュメントの自動キャッシュ (または、オフラインで使用できるファイルとフォルダをユーザーが手動で作成できるようにする場合は、ドキュメントの手動キャッシュ) |
マイ ピクチャ |
ドキュメントの自動キャッシュ (または、オフラインで使用できるファイルとフォルダをユーザーが手動で作成できるようにする場合は、ドキュメントの手動キャッシュ) |
Application Data |
プログラムの自動キャッシュ |
デスクトップ |
デスクトップが読み取り専用の場合はプログラムの自動キャッシュ |
スタート メニュー |
プログラムの自動キャッシュ |
管理タスク
フォルダ リダイレクトとオフライン ファイルを構築する場合、一部のタスクは管理者権限を持つユーザーが実行する必要があります。
マイ ドキュメント フォルダの共有フォルダを作成するには
HQ-CON-DC-01 に Administrator としてログオンします。
[スタート] を右クリックし、[エクスプローラ] をクリックします。
左側のペインで、[ローカル ディスク (C:)] をクリックします。右側のペインで、空白部分を右クリックします。コンテキスト メニューの [新規作成] をクリックし、[フォルダ] をクリックします。
「User Data」と入力し、Enter キーを押します。
User Data フォルダを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
[User Dataのプロパティ] ダイアログ ボックスで、[共有] タブをクリックします。
図 3 に示すように、[このフォルダを共有する] をクリックし、[共有名] に「User Data$」を入力します。
図 3. 隠し共有フォルダの作成
[オフラインの設定] をクリックします。
図 4 に示すように、[共有からユーザーが開いたファイルとプログラムは、すべて自動的にオフラインで利用可能にする] をオンにし、[OK] をクリックします。
図 4. オフラインでの使用方法の構成
[アクセス許可] をクリックし、[フル コントロール] の横にある [許可] をクリックして、[OK] をクリックします。
[セキュリティ] タブをクリックし、[グループ名またはユーザー名] の [Users (CONTOSO\Users)] をクリックします。
[書き込み] の横にある [許可] チェック ボックスをオンにします。
[OK] をクリックし、[User Dataのプロパティ] ウィンドウを閉じて、エクスプローラを閉じます。
グループ ポリシーが指定されたユーザー フォルダをリダイレクトするには
[スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム] をポイントします。次に、[管理ツール] をポイントし、[グループ ポリシーの管理] をクリックします。
メモ 次に説明する手順では、GPMC がインストール済みであることを前提としています。GPMC がインストールされていない場合、「ステップバイステップ ガイド : グループ ポリシー管理コンソールの使用」で説明する手順に従って、GPMC のインストールと構成を行ってください。GPMC で、Production/Accounts/Contoso.com ツリーが表示されるまで contoso フォレストを展開します。
[Production] 組織単位を右クリックし、[GPO の作成およびリンク] をクリックします。
[新しい GPO] ウィンドウで、[名前] に「Folder Redirection」を入力し、[OK] をクリックします。
[Production] 組織単位を展開し、[Folder Redirection] を右クリックして、[編集] をクリックします。
グループ ポリシー オブジェクト エディタで、[Windows の設定] を展開し、[フォルダ リダイレクト] を展開します。
マイ ドキュメントを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
[設定] ボックスの一覧から [基本 – 全員のフォルダを同じ場所にリダイレクトする] を選択します。
[対象のフォルダの場所] が [ルート パスの下に各ユーザーのフォルダを作成する] になっていることを確認し、[ルート パス] に「\\HQ-CON-DC-01\User Data$」を入力します。操作が完了すると、図 5 に示すような設定が表示されます。
図 5. マイ ドキュメントのフォルダ リダイレクト
[設定] タブをクリックし、既定の設定を確認して、[OK] をクリックします。
エンド ユーザー エクスペリエンス
- HQ-CON-WRK-01 に Clair (clair@contoso.com) としてログオンします。
- [スタート] ボタンをクリックし、[プログラム] をポイントします。次に、[アクセサリ] をポイントし、[メモ帳] をクリックします。
- メモ帳で、「金曜日にプレゼンテーションのレビュー」と入力します。
- [ファイル] メニューの [名前を付けて保存] をクリックします。[名前を付けて保存] ダイアログ ボックスの保存先が、マイ ドキュメント フォルダであることを確認します。[ファイルの名前] ボックスに、「Review」と入力します。
- [保存] をクリックし、メモ帳を閉じます。
ネットワークの接続を解除するには – オフライン使用のシミュレーション
HQ-CON-WRK-01 からネットワーク ケーブルの接続を外します。
メモ 接続を外すと、システム トレイのコンピュータ アイコンで、オフライン ファイルが使用中であることが表示されます。[マイ ドキュメント] をダブルクリックします。図 6 に示すように、マイ ドキュメント フォルダの各フォルダまたは各ドキュメントの横に [オフライン ファイル] アイコンが表示されます。
図 6. マイ ドキュメント フォルダ
拡大表示する
オフライン時にドキュメントを編集するには
- マイ ドキュメント フォルダの [Review] をダブルクリックします。
- 新しい行に、「金曜日までに結果を Teresa Atkinson に渡す」と入力します。
- [ファイル] メニューの [上書き保存] をクリックします。
- [ファイル] メニューの [終了] をクリックします。
- マイ ドキュメント フォルダを閉じます。
オフライン ドキュメントをサーバーと同期するには
- ネットワーク ケーブルを接続し直します。変更内容は、ネットワーク共有と自動的に同期されます。
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関連資料
詳細については、次の資料を参照してください。
- 移動ユーザー プロファイルの構成については http://technet2.microsoft.com/windowsserver/en/library/b41402c2-c982-4bfb-891e-91b47f211e181033.mspx (英語) を参照してください。
- ユーザーの状態管理の実装については http://technet2.microsoft.com/windowsserver/en/library/f12634de-a2bc-4912-adae-6bedd4ff14831033.mspx (英語) を参照してください。
- Windows Server 2003 に関する最新情報 (Windows Server 2003 Web サイト)
https://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/
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