忙しい IT エンジニアのための Visio 2007

自動作図、そして調査・分析

ここまで、Visio 2007 の作図機能とその表現力について書いてきました。しかし、システムによってはすぐに構成が変わってしまうものもあるでしょうし、今の状況を知りたいという場面に出くわすことも多いはずです。そこでここからは、Visio 2007 の標準機能やダウンロードして利用していただけるツールを紹介します。これらを機能やツールを使うことで、リアルタイムな自動作図と、作図された情報をもとに調査や分析をすることができるので、Visio 2007 の新しい利用方法と言ってもよいでしょう。

トピック
  1. Webサイトマップの自動作成とリンク切れチェック
  2. ピボットダイアグラム による階層的なデータ表示と分析
  3. フォルダ アクセス権マップ
  4. Active Directory Topology Diagrammer (ADTD)

1. Webサイトマップの自動作成とリンク切れチェック

まずは、Visio の標準機能として組み込まれている Web サイトマップという機能です。以下の図のように、トップの URL を指定するだけで、Web サイトの階層構造を自動描画してくれますし、リンク切れサイトのチェックなども可能になっています。

Web サイトマップの自動生成

Web サイトマップの 自動生成

2. ピボットダイアグラム による階層的なデータ表示と分析

専用のデータ分析ツールや Excel の機能を利用したデータ分析は多くの会社でも行われていることと思いますが、情報量が増えてくると分析そのものも難しくなっていきます。難しいから分析できないでは済まされない時代になったとはいえ、せっかくの情報やデータを生かしきれずに終わってしまうのでは意味がありません。今回紹介するピボットダイアグラムは、階層構造や図による直観的な表現力を分析画面に持ち込むものです。

ログ データの分析

ログ データの分析

3. フォルダ アクセス権マップ

このツールは、ダウンロードして利用していただくツールで、UNC パスを指定するだけで、ファイルサーバーのフォルダ構造を自動描画すると同時に、各フォルダに設定されているアクセス権情報を Visio の図が持つプロパティに書き込んでくれるツールです。ファイルサーバー上のフォルダ構造がいつどのように変わるかは、よほど細かく厳正なルールのもとで運用していない限りどこにも控えていない情報でしょう。このような対象であるからこそ、管理者がいなくなってしまった、もしくは長年使ってきたファイルサーバーの見直しを検討したいなどのタイミングで、今の状況を確実に把握したいという要望は多いため、現場で使えるツールとして多くの方にご利用いただいています。

また、このツールは Visio に出力することで現在のフォルダ構造を直観的に把握できるだけでなく、セキュリティ上好ましくない権限設定を探し出すことにも利用可能です。たとえば、Everyone に対してフルコントロールを与えるという設定を安易に利用するのはセキュアとは言えませんが、一時的に設定したつもりが残ってしまっていたり、意図的に誰かが設定したりという状況はありうる話しです。そのような場合などに、このツールを利用すれば、検索機能によって該当フォルダを赤く表示することも可能になっています。以下の図は、自動描画されたフォルダ構造と、アクティブになっているフォルダのアクセス権情報が表示され、Everyone フルコントロール権が与えられているフォルダを検索して赤く表示したところです。

フォルダ アクセス権マップ

フォルダ アクセス権マップ

4. Active Directory Topology Diagrammer (ADTD)

このツールもダウンロードして利用していただくもので、Active Directory の構成を自動描画するツールです。現在の Active Directory の環境をドメイン、サイト、組織単位 (OU) の構造からドメインの機能レベル、Active Directory と統合されて動作している Exchange の構成情報まで自動で情報収集し、自動で作図してくれる便利なものです。

Active Directory Topology Diagrammer (ADTD)

Active Directory Topology Diagrammer (ADTD)

Active Directory は社内の認証基盤として多くの企業に利用されていますが、導入して終わりというものでなく、複数のツールを駆使してユーザーやグループの追加・削除、所属するグループの管理などが行われています。また、Active Directory が有効活用されればされる程、他のシステムとの連携も検討されるため、導入したベンダーだけでなく、複数のITベンダーが 1 つの Active Directory の情報を必要とする場面もあるでしょう。Active Directory の管理ツールで調査もできますが、人手も時間も必要ですし、漏れがあるかもしれません。自動化できるところはしていくというのは時代の流れですから、是非有効に活用していただきたいツールの 1 つでもあります。

著者

著者 : 高添 修

高添 修
複雑で難しくみえる技術をわかりやすく伝える噛み砕き系エバンジェリスト。イベントやセミナーでのスピーカーはもちろんのこと、情報サイトやニュースレターで記事を執筆中。マイクロソフトが持つ数多くの製品を網羅的にカバーし、時には仮想化・自動化の戦略的なセッションも担当しているが、一番の興味は人の成長を手助けすることにある。