アップグレードの鍵は、Windows 2000 がもたらすメリットにある

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Giga社の位置づけ

当然のことながら、システムの更新には少なからずコストがかかります。しかし、システムの更新によって得られる効果を正当に評価し、それがコストを上回ると判断できる場合には、Windows 2000(W2K)への移行を進めるべきです。すべての顧客に対して、こうした積極的な方針が当てはまるとは限りませんが、責任ある立場の人間が、そうした可能性を評価せずに無視するのは、あってはならないことです。

移行によってもたらされる効果を評価せずに、それにかかるコストだけに注目したのでは、いつまでたっても最新技術を導入することはできませんし、これは結果的に、私たちの顧客(IT管理者)に対して重大な不利益をもたらすとGiga社では考えています(こうした失敗例としては、最近Gartner Groupが行ったレポートがあるでしょう)。この問題について計画を立てるためには、Windows 2000の導入を検討している顧客に対し、アップグレードのあらゆる局面を想定して、投資回収率(ROI:Return On Investment)を算定しなければなりません。

最新技術を正しく評価するために、Giga社では、Total Economic Impact(TEI)と呼ぶ指標に注目しています。このTEIでは、単純すぎるコスト計算モデルを次の2つの方法で改善しています。

まず第1に、目に見えるものも、見えないものも含め、より現実的な方法で実際のコストを割り出します。たとえば、既存スタッフのトレーニングや再訓練、新しい技術を習得したエンジニアの適所への配置、ネットワークを試験運用するためにかかる余分な工数、新しいシステムの導入に伴う試行錯誤など、あらゆる事柄についてコストを試算します。またこれ以外にも、システムの一時的な停止がユーザーに与える影響や、ユーザーの不慣れから生じる生産性の低下といった不透明な領域もあります。これらに対しTEIでは、新しく導入する製品や技術によってもたらされる効果を評価します。

これによって企業の競争力は向上し、正しい意思決定を行うためのフレームワークが提供されます。もちろん、場合によっては、こうした効果がコストを上回らないケースもあるでしょう。しかしそれは、評価を行う前から分かっていた結論ではありません。私たちのようなコンサルタントにとって、新技術の導入を提案することには、常に危険がつきまといます。これは、新技術を導入しない場合のリスクは、導入を決定した場合に引き起こされる問題よりもはるかに目立たないからです。このように、必要なコストや、予想されるリスク、そしてそれによって得られるROIを分析することにより、最も包括的な見通しが得られます。

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検証/メモ

評価を明確かつ厳密に行うため、Giga社では、Windows 2000 Professional(デスクトップ向けOS)とWindows 2000 Serverの双方に対し、それぞれ独自の特徴とハードルを持ったまったく別個の製品として位置づけています。以下では、具体的な数値などを表記しますが、これらはいずれも経験的に導き出された標準的な値であり、実際のコストは導入する設備によって異なることに注意してください。

Windows 2000 Professional

たとえば、ハードウェア ベンダが推奨する新しいシステムを導入するなど、デスクトップの移行が推奨される方法どおりに進められた場合、(Select 4やEnterprise Agreementなどの一括契約によって)マイクロソフトに対して発生するライセンス料や、設置とテストのためにハードウェア ベンダに支払う追加費用(ほとんどの場合、これはOSの種類とは無関係に必要になります)、技術者の追加トレーニングにかかるコストはいずれも無視できる程度です。ベータ テスターからの報告によれば、Windows 2000のサポート スタッフに対して組織的な追加トレーニングを実施する必要はなく、スタッフ同士で必要に応じて情報交換すればすむ程度だとされています。

Giga社の試算によれば、企業がまったく新規にハードウェアを導入するのに必要なコストは次のようになります(ここでは、減価償却は3年間と仮定しています)。

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原価償却を考えないとしても、システムの価格は、1台あたり1640ドル(ハードウェア代+ライセンス料+作業料)でしかありません(そして新しいシステムを導入すれば、向こう3年間はこれをアップグレードする必要がありません)。

上記の試算には、業務アプリケーションに対する変更や、業務アプリケーションのテストにかかる費用を組み入れていません。しかしこれらは、全社的にすべてのデスクトップを償却するような場合には、コスト全体に占める割合はたいしたものではないとGiga社は考えます。

一方で、これによって得られる利益は顕著です。全社のコンピュータはWindows OSの中でも最も強固なもので統一され、デスクトップも統一されます。こうして新しいシステムをいったん導入すれば、当面の間、業務アプリケーションをアップグレードする必要はありません。

全社的にデスクトップを統一した企業では、1台のデスクトップあたり、管理コストが年間で300ドル~1000ドル低減されます。またコンピュータに起因するトラブルも減少するために生産性は向上し、IT向けの豊富な機能が用意されていることから、エンドユーザーの満足度が向上します。

以前、「より信頼性が高いデスクトップを得た場合、いくらの価値があるか?」という質問を投げかけたところ、回答はおよそ400ドルから800ドルの間でした。双方の中間をとると、最初の1年間に得られる効果は1350ドル(750+600ドル)となり、ひき続いて1年ごとに750ドルの効果が見込まれます。生産性の向上にだけ注目していると、このような効果は相対的には小さく、見逃しがちです。コンピュータシステムの標準がまったく確立されていない企業が、標準的な環境を設定して、これに移行した場合、従業員の生産性は平均で5~10%程度向上すると報告されています。したがって人件費の総計が10万ドル程度だとすれば、こうした新しい標準を導入することにより、既存のテクノロジ(以前のWindows)を利用している場合に比較して、年間あたり5000~1万ドルの人件費を削減できる計算になります。また当社の試算では、年間の平均人件費が10万ドルクラスなら、生産性の向上はこの数値からさらに3~5%程度大きく、全体では1ユーザーあたり、1年で8000~1万5000ドルの価値がWindows 2000によってもたらされると考えられます。

しかし生産性が向上したかどうかは、コストからではなく、収益の観点から評価すべきです。企業は一般に、人件費の5倍の収益をあげると言われます。となると、どのWindowsプラットフォームを選択するかは別にして、ハードウェア プラットフォームの共通化や、ソフトウェア環境の共通化は避けて通れないポイントであると言えます。これらを正当に評価できないのは、企業が本当の活動に基づいたコスト管理を行っておらず、移行を正当化するために分析すべき数値を把握していないというのが理由でしょう。いったん移行を実施すれば、従業員が解雇されない限り、システムを効率化することによって生産性は向上を続けるでしょう。しかし達成された作業量が飛躍的に増加したとしても、IT部門ではそれを評価するのは困難なままです。

Windows 2000 Server
Windows 2000 Serverへの移行コストや、それによって得られる効果は、Professionalとはまったく異なります。この場合には、ベースとなるサーバー ハードウェアをアップグレードするどうかを検討するよりも、複雑なアップグレード作業そのものによってコストが発生します。とはいえ、サーバー ハードウェアのアップグレードを検討しなくてもよいということではありません。Windows 2000 Serverには、現在のNT 4.0 Serverプラットフォームの実に2倍のプログラム コードが含まれています。従ってWindows 2000 Serverに移行するには、多くの場合、メモリやハードディスクを始め、さまざまなハードウェアを追加する必要に迫られます。さらに多くの企業では、サーバーの強化と、サーバーの長寿命化を目的として、Windows 2000 Serverが必要とするデバイス容量を単純に2倍、3倍にしているところもあります。それでも、サーバー ハードウェアは、デスクトップの入れ替え作業の一環として、2~3年のサイクルでアップグレードされている点を、Giga社では強調しておきます。たとえばさまざまな企業が、西暦2000年問題対応の一環として、サーバー ハードウェアをアップグレードしました。つまり、Windows 2000 Serverのアップグレードに関連する追加コストは、企業内の他プロジェクトの一部に含められるということです。

Giga社では、アップグレードのコストは、大きく次の3つの分野で発生すると考えます。

  1. サードパーティ製ユーティリティ/ツール : 主にActive Directoryの管理とシステム管理、性能管理に関連して、20~25%増大する。

  2. トレーニング/再教育 : 金額的には、システム管理者1人あたり1500~6000ドル程度かかる。具体的な金額は、受講するコースの数と内容によって変化する。

  3. サーバーの性能向上と整理統合 : メモリ容量とディスク容量の倍増が望まれる。ハードウェアのコストは変動するので一定ではない。

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サードパーティ製ユーティリティ/ツール
主要な4つの製品分野に関して要求される機能に基づいて、中規模から大規模な組織では、サードパーティ製ツールに新たにかかるコストが、NT 4.0で利用している現状の20~25%増になるとGiga社では試算しています。増加分のほとんどは、Active Directoryの基本機能を拡張するユーティリティやツール、たとえばポリシー ベース管理などに使われることになるでしょう。

Windows 2000 Serverの導入を支援し、可用性を向上させるうえで、重要な役割を果たすとGiga社が考えている4つのサードパーティ製ツールの製品分野は次のとおりです。

  1. Active Directory/ユーザー管理

  2. 障害からの復旧

  3. 記憶装置管理

  4. セキュリティ

サードパーティ製ツールにまつわる出費を検討するうえでは、すでに組織がこれらの製品を所有している場合、出費が軽減ないしまったく必要ない場合がある点は重要です。事実、多くの場合、NT 4.0からWindows 2000へのアップグレードは、現在のメンテナンス契約のもとで、無償で行われるケースがほとんどです。アップグレードを実施するユーザーは、契約条件を確認して、アップグレードに関する条項が存在する場合にはこれを利用することを勧めます。

このように、Windows 2000用のサードパーティ製追加パッケージをインストールするために必要なコスト増のほとんどは、新しいWindows 2000 Serverの機能性、主としてActive Directoryの管理能力を拡張するためのものがほとんどだということをGiga社は主張します。

Mission Critical Software社(マイクロソフトの技術パートナー企業)やEntevo社、FastLane Technology社、BMC社、NetIQ社といった企業は、いずれもこの分野のリーダー的な存在です。これらのうち1つだけ例を挙げると、Mission Critical社のシステム管理用スイートであるOnePointの価格は、NTユーザー1アカウントあたり27ドル、NT Server 1台あたり1495ドル、Workstation 1台あたり50ドルです。

このソフトウェアを追加導入することにより、Active Directory だけではサポートされないビジネス

クリティカルなイベントや、アプリケーション管理やポリシー管理が可能になります。イベント管理やアプリケーション管理機能自体は、いずれもActive Directoryの管理用ツールに用意されていますが、OnePointが提供してくれるような機能は利用できません。このソフトウェアでは、すべてがCOM+と3層のDNAアーキテクチャで再構築されており、顧客に対して手早く、かつ継続的にメリットを供与してくれます。中でも最も優れた機能は、NT 4.0とWindows 2000 Serverの双方をサポートしており、両者が混在した環境でも利用可能なことです。このような機能は、Active Directoryを高度に活用しようとするすべての企業にとって必須の存在だと言えます。

この一方では、既存のNT 4.0 Serverの能力を拡張するために、すでに導入されているサードパーティ製ツールは、Windows 2000環境でも引き続き必要になるでしょう。記憶装置管理や障害からの復旧、より高い可用性を実現するためのユーティリティがこれに含まれます。Windows 2000 Server環境に移行するためには、Active Directory管理という新しい分野のサードパーティ製ツールが必要になります。

現状、企業は平均して、NT 4.0ユーザーを管理するために、サードパーティ製ユーティリティに対してクライアントあたり15~20ドル程度の費用を払っていると試算されています。Active Direvtoryは、現状のそれよりもはるかに複雑なため、クライアントあたりの費用はさらに5~15ドル程度増加すると試算されます。

これは新しい製品分野であり、この分野向けに提供される製品は限られます。しかしNovellとBanyan Systems環境向けのディレクトリ サービス管理ツールを開発したNetPro社は、Windows 2000 Server向けの製品を発表しました。NetPro社のユーティリティは、Active Directoryをモニタし、トラブルの解決を支援するディレクトリ サービス向けの拡張アナライザツールです。このツールは、Active Directoryを再起動し、同期させるのに不可欠のものです。さらに、クライアントあたり14ドル(定価)を追加すれば、ディレクトリの複製やDNS機能、ドメイン コントローラの処理をスキャンし、あらかじめ設定した範囲を越えた時点で警告を送れるようになります。

これ以外の3つの製品分野 -- 障害からの復旧や記憶装置管理、セキュリティについては、企業がすでにそれらの製品を所有しており、現行のメンテナンス契約で無償ないしわずかな金額でアップグレードできるとすれば、Windows 2000を導入する場合でも、大きなコスト増の要因とはならないでしょう。

トータルコスト : 主に、Active Directoryの可用性を向上させるために、サードパーティ製品に20~25%程度の支出の増加が見込まれます。しかしこの結果、管理にかかる時間が短縮されるので、結果的には大幅に経費を圧縮し、導入後半年もたてば、ROIを実感できるようになるでしょう。

トレーニングと再認定

管理者の再認定も、出費が必要とされる分野の1つです。これに関する厳密な数字はありませんが、5000人~1万人程度のユーザーを持つ組織では、おおむね15人から20人ほどのシステム管理者を雇用しています。ただしこの数字は、ネットワークの構造やサーバー ベースのアプリケーション、WAN構成の複雑さによって変化します。また企業内のNT管理スタッフがどれほどの専門知識を持っているかによっても変化します。これは、熟練したITスタッフを獲得するために、企業がさらに追加投資を行う必要があるかを決定づける重要なポイントになります。

トレーニングは、どのようなアップグレード作業でも発生する出費です。しかしWindows 2000 Serverの導入では、独自の新しい問題が発生します。Windows 2000 Serverは、約2000万行からなる新しいコードを含んでいます。したがってこれを導入する企業は、まったく新しいサーバー オペレーティング システムを導入するつもりで取り組まなければなりません。その仕事は大変複雑ですし、さまざまなチャレンジを含んでいます。新たに学習すべき要素が多いことに加え、Windows 2000 Serverの初期バージョンでは、管理機能が十分とは言えないレベルにあると想定します。またWindows 2000の大きな特徴であるActive Directoryにしても、単純なドラッグ アンド ドロップ機能をベータ版では提供されていません。

先ごろマイクロソフトは、MCSE(マイクロソフト認定システム エンジニア)の認定プロセスに一部新しい方式を加えました。現在、Windows NTに関するMCSE認定証を所有している情報担当者は、たとえ自社がWindows 2000へのアップグレード計画を持っていなくても、Windows 2000に関する再認定を受けなければ、ある期間後、資格が喪失することになりました。これによってMCSEのハードルは1段高くなるでしょう。この新しいMCSE認定は、新人を対象とするものではありません。NT管理の経験を少なくとも1年以上は持っていないと、この試験にパスすることは困難でしょう。

Giga社は、マイクロソフトがMCSEの認定とトレーニングの難易度を引き上げたことを評価します。それは実際に必要なことなのでしょう。しかしGiga社は、顧客の移行プランにはおかまいなしで、マイクロソフトがこのような「強制」を行うことには不満があります。これは全体主義の始まりではないでしょうか。現在、NT 4.0の管理を行っている管理者なら、この再認定プログラムで得るものがあるでしょう。しかし再認定は、Windows 2000へのアップグレード時にのみ実施されるべきだとGiga社は考えています。

とはいえ、このために、マイクロソフトが6種類の無料のトレーニング コース(90分間)を提供している点は評価してよいでしょう。これらは、マイクロソフトが'98年秋から開始したWindows 2000向けトレーニングの続きです。最新のトレーニング コースは、全世界250都市で開催され、'99年12月まで続く予定です。このうちTechNetのトレーニング クラスでは、情報管理者や技術者を対象として、Windows 2000 ProfessionalやServer環境を導入し、管理し、移行するための実用的なトレーニングが行われています。

これら無料のトレーニング コースには、ぜひとも参加すべきです。ただしこれらは、MCSEトレーニング コースを完全に置き換えるものではないことに注意してください(マイクロソフトも、このような意図でトレーニングを開催しているわけではありません)。しかしこの90分間のセミナーは、Windows 2000への円滑な移行を真剣に検討しているすべての企業にとって、重要なトレーニングになるでしょう。

トータルコスト : Windows 2000 Serverプラットフォーム向けの情報技術者の訓練費用(時間、お金、教材)としては、1500ドルから6000ドル程度の出費が見込まれます。具体的な金額は、履修するコースと、さらに高度なMCSE認定を受けるために、管理者がどれだけのコースを必要とするかによって変わります。

通信教育や週末のコースを選択すれば、料金は比較的安価です。しかし、上級の管理者に対してはお勧めできません。Windows NT Magazineなどの主要な商業誌に掲載された広告によれば、一般的な2週間のMCSEコースの値段は、6000ドル弱です。

Giga社は、規模の大小にかかわらず、すべての企業に対し、Microsoft TechNetの購読を強く推奨します。Knowledge Baseや各種のホワイト ペーパーを含む年間基本購読料は299ドルです。これに加え、Windows 2000やBack Office製品の毎月のアップデートを含め、開発途中段階のすべてのソフトウェアを入手できるTechNet Plusパッケージの値段は449ドルです。圧倒的な情報量を考えると、この値段は極めて安価です。最初の1~2カ月で、充分元が取れるほどでしょう。Windows 2000 Professional/Server環境に円滑に移行するための道のりは一方通行ではなく、双方向です。マイクロソフトは、信頼性が高く、安定した高品質の製品を提供する責任を負います。これに対し企業側では、必要とされる適正な訓練を行う責任を負います。

サーバーの整理統合
OSのサイズが増大し、その上で、より大規模なデータ量のアプリケーションを実行するようになると、当然のことながら、より強固なサーバー環境が求められるようになります。しかしだからといって、不必要な費用を無駄に使うことはないという点をGiga社は改めて強調します。サーバをスケールアップするなら、性能や信頼性が向上し、その結果、ROIが実感できるようなものであるべきでしょう。

サーバ システムを購入する場合には、将来のこともよく考え、そして、できるだけ安価なものを手に入れましょう。しかしこれは簡単なことではありません。
それではここで、Windows 2000 Serverに必要なシステムの構成要素について検討してみましょう。Windows 2000 Serverのベータ テスト サイト24社からのフィードバックに基づき、NT 4.0サーバーの2倍のからなる規模の新しいサーバーOSプラットフォームには、少なくとも現状の2倍のメモリが必要になると仮定しました。ベータ テスターなら、この仮定を納得するはずです。東海岸にあるある大企業のシステム管理者は、Windows 2000 Serverの導入当初、75MBのメモリを搭載したと報告しています。この値は、彼が最初にNT 4.0 Serverを導入したときに搭載していた34MB~38MBの約2倍に当たります。ただしこの管理者は、「中規模から大規模なビジネス環境でWindows 2000 Serverを利用するなら、メモリは最低256MBは必要であり、可能なら512MB搭載することを推奨する」と付け加えています。

別の企業によれば、Windows 2000 Server用の当初の構成として、128MBのメモリと9GBのSCSIドライブを搭載したPentium-166MHzを用意したという報告もあります。その一方では、ハードウェアに対する追加投資を抑えるため、「可能なかぎり大きい器を用意する」というアプローチを選んだところもあります。この企業は、Windows 2000 Serverへの移行を見越して、可能なかぎりハイスペックなシステムを用意しました。具体的には、512MB~1GBのメモリ、9GB/18GBのSCSIドライブ×6台、デュアル/クァッドPentium II/III のXeon-400、450、500MHzを搭載したシステムだと報告しています。

そこでGiga社は、サーバーのサイズ変更に伴うコストを見積もるために、次の2通りのシステム構成を想定しました。マイクロソフトが発表したWindows 2000 Server用システムの最小構成によれば、Pentium-133MHz(または相当する互換CPU)搭載システムにインストールすることが可能だとしています。しかしGiga社が多くのIT部門の担当者から意見を聞いたところ、今後は以下のようなシステム構成が一般的になるだろうと見られています。

ここでは、「エントリ構成」と「エントリ/ミッドレンジ構成」の2つの構成を示しています。以下の記述からわかるとおり、ここでは個別具体的な機種名や価格を表記するのではなく、典型的な価格水準を示しています。システムの価格設定方法はインテグレータによってもまちまちですが、ここではたとえば、サーバー

システムをメーカーから直接購入するなど、最も安価な方法で入手した場合の価格水準を示します。また全体の価格を抑えるために、マイクロプロセッサとしては、高価なPentium III Xeonではなく、Pentium IIベースのPCサーバー モデルを選択しています。

エントリ構成 : シングル プロセッサ - 基本価格:7120ドル

  • Pentium II-400MHz/512KBキャッシュ、2重化電源ユニット

  • 512MBメモリ、1×512MB SDRAM DIMM

  • 9GB Ultra-2/LVD SCSI 7200 RPMハードディスク

  • RAIDコントローラ、シングル チャネル、16MBキャッシュ

  • 1.44MB、3.5インチ フロッピー ドライブ

  • Intel Pro 100+ Ethernet NIC(アダプティブ ロード バランシング機能付き)×2

  • CD-ROM: 17~40x SCSI

  • ドキュメント:ユーザー ガイド、インストール/トラブルシューティングガイド

  • サポート:365日、4時間以内のレスポンス サービス、3年間 タワーケース

  • インストール サービスは含まず

  • OSのプレインストールはなし(Windows 2000 Serverの価格も加算)

エントリ/ミッドレンジ構成、 2 ウェイ対称型マルチプロセッサ- 基本価格:1万289ドル

  • Pentium II-400MHz/512KBキャッシュ、2重化電源ユニット

  • セカンド プロセッサ(Pentium IIプロセッサ、512KBキャッシュ)

  • 512MBメモリ、1×512MB SDRAM DIMM

  • 9GB Ultra-2/LVD SCSI 7200 RPMハードディスク

  • RAIDコントローラ、クァッド チャネル、64MBキャッシュ

  • 1.44MB、3.5インチ フロッピー ドライブ

  • Intel Pro 100+ Ethernet NIC(アダプティブ ロード バランシング機能付き)×2

  • CD-ROM: 17~40x SCSI

  • ドキュメント: :ユーザー ガイド、インストール/トラブルシューティングガイド

  • サポート: 365日、4時間以内のレスポンス サービス、3年間

  • インストールサービスは含まず

  • OSのプレインストールはなし(Windows 2000 Serverの価格も加算)

Windows 2000 Serverが大容量/高性能のシステム構成を要求しますが、これはサーバーの統合化も後押します。Giga社が話を聞いた企業の中にも、現状では10台ほど存在しているNT 4.0 Serverを、3、4台程度のWindows 2000 Serverサーバーに統合する計画があるというところがありました。しかしGiga社は、サーバーの統合にはさらなるコストがかかると考えています。これを実行するには、サーバーを移行するためのサードパーティ製ツールが必要になるからです。というのは、データやユーザー、グループなどのアカウント情報を移行しなければなりませんが、これらのオブジェクトはすべて異なるACL(Access Control List:資源に対するアクセス権を記録したデータ)を持っているからです。これらの情報は、あるサーバーから別のサーバーへ単純にコピーすることはできません。単純にコピーしても、重要なACL情報のすべてはコピーされないからです。これを実行するために、別途ユーティリティが必要となりますが、このようなユーティリティはそれほど一般的ではありません。

フロリダ州オーランドにあるSmall Wonders社は、低価格の管理ツールを開発しており、1クライアントあたり約300ドルの価格で販売しています。管理者向けユーティリティの開発元として著名なFastLane社やEntevo社、Mission Critical Software社は、現時点ではこのような管理ツールは販売していません。ただしいずれのべンダも製品を開発中です。

トータルコスト : 高機能なサーバ統合ツールのために、クライアント1台あたり、10~15ドルの費用がかかると想定すべきです。現状のNT 3.51やNT 4.0では、サーバー移行ツールがサポートされていないので、こうしたツールを導入することによるROIは明らかです。このため多くの企業では、従来のサーバーを移行させるのではなく、システムをゼロから再構成しています。サーバーやディスクの内容を移行する処理を自動化できれば、より少ない人数の管理者で、また少ない作業時間で多くの成果をあげることができるようになります。

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別の視点から

相当数の企業は、Windows 2000 Professional/Serverにアップグレードするために必要な追加の費用や資源を、すんなりとは受け入れられないでしょう。一般に、システムの更新は困難で、安上がりなものではありません。これはWindows 2000 Professional/Serverへの移行においても例外ではありません。これは、企業や部門、そしてエンド ユーザーに対して根本的な変革を引き起こすということを十分に理解すべきです。

こうした抜本的な変革を起こすための予算も資産も専門知識も持っていないのなら、既存の環境を使い続けるべきでしょう。新しいWindows 2000環境に向こう見ずに飛び込むということは、しかるべき準備もなしに、吹雪のエベレストを登頂するようなものです。企業はまず、Windows 2000 ProfessionalとServerへの移行によって引き起こされるあらゆる局面を慎重に検討することをGiga社はお勧めします。移行を実施するかどうかは、既存のデスクトップやサーバー プラットフォームが老朽化しているとか、デスクトップ/サーバー アプリケーションが現状のインフラでは十分に動かないとか、新しい機能性を作業環境に追加したいとかという、業務上の強い必要性や要望によって決断しなければなりません。具体的には、Webサイトの公開や電子商取引の導入、ビジネス パートナーや顧客が企業のネットワークにアクセスできるようにするエクストラネットの構築などが理由として挙げられるでしょう。

マイクロソフトのマーケティング戦略は無視して、既存のUnixやLinux、NetWareの基盤を拡張する場合もあるでしょう。たとえばUnixは、十分に成熟したサーバーOSであり、信頼できる企業向けのプラットフォームであることが実証されています。またNetWareは、あたかも過去の遺物のようなファイル/プリントサーバーとして片付けられていますが、実際にはまだ十分使いものになります。Novell社は、同社のディレクトリ サービスであるNDS(Novell Directory Service)を進化させてきました。Giga社は、Active Directory が安定するまでの少なくとも向こう12~14カ月の間は、Novellがディレクトリ サービスで技術的なリードを保つだろうと確信しています。NDSはすでに6年の実績を持つ成熟したディレクトリ サービスで、安定性に優れ、Active Directoryよりも革新的で、豊富な管理機能を備えています。こうした状況は、すぐには変化しないでしょう。

最後に、向こう12~16カ月間は、NT 4.0 Serverを変更せずに現状を維持する理由はたくさんあります。なかでも最高の裏付けは、ほかでもないマイクロソフト自身によるもので、同社によれば、NT 4.0 Serverはまだ有用であり、寿命もつきていないと認めています。マイクロソフトは、NT 4.0を2001年までサポートすることを保証しています。

Windows 2000 Serverの導入を12カ月遅らせれば、その間にマイクロソフトは、明らかになったバグを修正できるでしょう。またこれだけの時間があれば、企業のIT管理者は、Windows 2000 Serverの導入計画を練り、必要なテストを行い、移行時に発生する可能性がある障害に備えることができるでしょう。

Windows 2000 Professionalの場合は、移行はそれほど困難ではありません。それでもなお、予算的な理由から、顧客は延期を選ぶかもしれません。ある種の環境によっては、すでに十分な標準化が達成されており、WindowsやOfficeプラットフォームによる効果を必要としていない場合もあります。こうした環境にいるユーザーは、移行によって得られる効果よりも、コストのほうが高価だと感じるでしょう。こうした企業では、どうしても移行が必要だと感じるまでは、現状の技術に留まるべきです。

本格的な移行の代案としては、シン(軽量)クライアントの導入を検討する手もあります。ハードウェアの更新が不可避なら、より強固で信頼性が高いモデルのほうが好ましいことは言うまでもありません。しかし残念なこと、現状のモデルは未成熟で、2001年か2002年ごろまでは広く推奨できるようにはならないでしょう。

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発見したこと/推奨

最終的な出荷に向けた品質テストにパスするまでは、どのような製品も導入を推奨することはできません。特に影響の大きいサーバーの分野では、導入の推奨には数カ月がかかるでしょう。Windows 2000に関しては、とうてい安価とは言えないものの、多くの企業で、1年以内に導入コストを超える効果を得ることができるでしょう。

Windows 2000 ProfessionalとWindows 2000 Serverは、今後12カ月の間、多くの企業にとって、デスクトップおよびサーバー プラットフォームの選択肢になるでしょう。新しいシステムにアップグレードするには、多大なコストがかかります。

しかしこうした出費によって、得られるものは少なくありません。いずれにしても、コンピュータのハードウェアは、2~3年程度のサイクルでアップグレードしなければなりません。このアップグレードによって、クライアントの側では、非常に強固なデスクトップ プラットフォームを手に入れることができ、構成が共通しているので管理が容易になり、少なくとも2年間はハードウェアのアップグレードについて頭を痛める必要はありません。

一方のサーバー側では、性能が向上してサーバーとしての処理能力が向上し、電子商取引やWebページの公開、企業エクストラネットの構築など、よりデータ集約的なアプリケーション環境を構築するための基礎を築くことができます。

サーバ側にこのような機能を追加するには、コストは20~30%程度増加します。これは、サードパーティ製のシステム管理/ディレクトリ管理パッケージの購入と、Windows 2000に関する技術者認定を受けるのに必要なトレーニング/再訓練の費用が追加されるためです。ネットワークの規模やアプリケーション環境にもよりますが、サーバーを1台追加するための平均的なコストは約7000ドルです。しかしActive Directoryの管理や、管理者の訓練にかかる追加コストは、顧客がそれらの新しい環境に馴れるに従って、おそらく半年から1年程度で回収できるでしょう。優れたものは、タダでは手に入らないということです。

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参照事項

Contributing Giga Analysts
Brad Day
Rob Enderle
Aileen Monahan

Giga Research

IdeaByte, Windows 2000 Professional Update, [434232-RE99], Rob Enderle

IdeaByte, Windows 2000 Certification Concerns Addressed, [012780-RE99], Rob Enderle

IdeaByte, Why Desktops Need to Be Windows 2000 Certified, [012765-RE99], Rob Enderle

IdeaByte, Windows 2000 Professional Update, [434323-RE99], Rob Enderle

IdeaByte, Windows 2000 Application Compatibility: Microsoft Lifts Veil and Gives Us a Preview, [934821-LD99], Laura DiDio

IdeaByte, Microsoft Steps Up to the Plate With Free Windows 2000 Training Initiatives, [845114-LD99], Laura DiDio

IdeaByte, Forecast: As Windows 2000 Server Ship Date Nears, Compatibility, Confusion Issues Cloud Picture, [670578-LD99], Laura DiDio

IdeaByte, Windows 2000 Gearing Up for the Web, [020292-LD99], Laura DiDio

IdeaByte, Windows 2000 Data Center Version: Worthy High-End Contender to Unix? [016907-LD99], Laura DiDio

IdeaByte, Scaling the Enterprise: Windows 2000 Grows Up, [012629-LD99], Laura DiDio

IdeaByte, Windows 2000 Gets More Muscle: Microsoft Doubles Processor Support, [255298-LD99], Laura DiDio

IdeaByte, From GigaWorld US: Reality Bites: Giga World Attendees Say They'll Hold Off on Windows 2000 Server Deployments, [463709-LD99], Laura DiDio

IdeaByte, Windows 2000 Update: Things Are Moving Along --- Slowly, [988181-LD99], Laura DiDio

Relevant Links and Other Sources

Windows 2000 web サイト: https://www.microsoft.com/japan/windows2000/

The above article is courtesy of Giga Information Group Inc., copyright 1999.

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また、この文書の中で言及されている製品の価格、構成に関しては予告なく変更されます。

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