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Windows 2000 システム展開ガイド

第 13 章 ‐ サーバーの自動インストールと自動アップグレード

前章までで、Microsoft® Windows® 2000 Server (以下 Windows 2000 Server) および関連アプリケーションの自動インストールを作成し、実行する準備が整いました。このような準備作業は、テスト、パイロット導入、および稼動環境のどの段階での展開を行う場合でも不可欠です。この章では、Windows 2000 で可能な自動インストールの方法について、インストールの前提として必要な準備と設定例などを説明します。インストール プロセスの計画立案に携わるネットワーク エンジニアの方と、Windows 2000 および関連アプリケーションのインストールを行うシステム管理者の方は、この章をよくお読みください。

Windows 2000 Server のインストールには、Windows 2000 にアップグレード可能なオペレーティング システムがインストールされていないコンピュータにクリーン インストールを行う方法と、現在 Microsoft® Windows® 95 (以下 Windows 95)、Microsoft® Windows® 98 (以下 Windows 98)、Microsoft® Windows NT® Workstation Version 3.51 (以下 Windows NT Workstation 3.51)、または Microsoft® Windows NT® Workstation Version 4.0 (以下 Windows NT Workstation 4.0) を実行中のコンピュータをアップグレードする方法の 2 通りの方法があります。この章では、クリーン インストールとアップグレードのどちらを選択するのかを決定するための情報を提供します。

トピック

アップグレードまたはクリーン インストールを選択する
インストールの準備をする
サーバー アプリケーションのインストールを自動化する
Windows 2000 Server のインストールを自動化する
インストール設定例
インストール作業リスト

この章の目的
この章では、次の計画書を作成します。

  • 自動インストール計画

Resource Kit の関連情報

  • 計画の詳細については、このマニュアルの「パート1: 計画の概要」を参照してください。

  • クライアント コンピュータの管理の詳細については、このマニュアルの「第 23 章 クライアントの管理標準や設定標準の決定」を参照してください。

  • クライアントの自動インストールの詳細については、このマニュアルの「第 25 章 クライアントの自動インストールと自動アップグレード」を参照してください。

  • この章で説明している無人セットアップ パラメータの詳細については、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD の「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前、または MS-DOS® では、Extract コマンドを使用してファイルを開きます。

  • サンプル応答ファイルを含む無人セットアップの詳細については、このマニュアルの「付録 C 無人セットアップ用応答ファイルの例」を参照してください。

アップグレードまたはクリーン インストールを選択する

全社規模で Windows 2000 をインストールする場合、各コンピュータで標準的な対話形式のセットアップを行うとコスト高になります。複数のコンピュータで Windows 2000 Server の自動インストールを実行する方法を取れば TCO (コンピュータ所有に関わる総費用) を大幅に削減できます。

 

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重要な決定事項Windows 2000 Server のインストールを自動化する前に、Windows NT からのアップグレードとクリーン インストールのどちらを実行するのかを決定する必要があります。

次の 2 点を考慮に入れて、アップグレードとクリーン インストールのどちらを行うかを判断します。

  • すでに Windows オペレーティング システムを全社的に導入していて、IT 部門で集中管理している場合は、アップグレードをお勧めします。現在のところまだ IT 管理部門がなく、管理環境の構築を検討している段階であり、OS のインストールにより設定環境の標準化を図りたい場合は、クリーン インストールを実行することをお勧めします。

  • 既存のハードウェアおよびソフトウェア アプリケーションを引き続き使用したい場合は、アップグレードを実行する必要があります。逆に、新しいハードウェアを購入し、新しいソフトウェア アプリケーションをインストールする場合は、クリーン インストールを実行する必要があります。

重要な検討事項を解決する

Windows オペレーティング システムがインストールされていないコンピュータに Windows 2000 Server をインストールする場合は、クリーン インストールが唯一の方法です。Windows 95、Windows 98、Windows NT Workstation 3.51、または Windows NT Workstation 4.0 を現在実行中のコンピュータでは、既存のオペレーティング システムのアップグレードとクリーン インストールのどちらがより対費用効果が高いかを判断する必要があります。

13.1 アップクレードまたはクリーン インストールの計画前に検討すべき事項

検討事項

作業

企業の目的

企業の最重要目標を定義します。

地域ごとの必要性

特定の地域ごとのニーズを明らかにし、海外の支部、支社などを計画対象にするかどうかを確認します。

 

 

ユーザー グループ

特定のジョブ カテゴリとそのニーズ、ユーザーのコンピュータに対する知識と経験、セキュリティ要件、ユーザーの作業場所と回線速度を含むネットワーク接続性を考慮に入れて、ユーザー グループを分析します。

 

 

アプリケーション ニーズ

すべてのコンピュータにインストールする製品、特定のサーバーにのみ必要な製品、特定のサーバー カテゴリに所属するコンピュータに配布する製品を決定します。

 

 

ハードウェア

既存のハードウェアのインベントリを調べ、新規導入が必要なハードウェアを確認します。
アップグレードまたはインストールを実行する前のハードウェアの最低必要条件を設定します。
将来のコンピュータ利用計画を立てます。
社内でのコンピュータの使用周期についての計画を立てます。
すべてのコンピュータにブート可能な CD-ROM を装着するかどうかを決めます。

 

 

リスクと問題が発生しやすい領域

Windows 2000 と互換性のないアプリケーション、スケジュール、複数サイト、分散管理にかかる費用、将来企業の再編があった場合の影響など、潜在的なリスクを明らかにします。

 

 

規模拡張の予測

プロジェクトを開始して 1 年後、3 年後、5 年後の規模拡張の予測を明らかにします。企業再編、新規サイト設立、新規マーケットへの進出などが予定されている場合は、発表が行われしだい、それを考慮に入れる必要があります。

 

 

ネットワークの問題

リモート サイトにアプリケーション展開サーバーを置くかどうかを決めます。中央のサイト外にあるサーバーのアップグレード方法を決めます。

 

 

ソフトウェア管理

Microsoft® Systems Management Server (SMS) などのソフトウェア管理システムがインストールされていて、展開スケジュールを立てられるかどうかを判断します。

 

 

接続性

サーバーおよびサーバー間の接続が、全社員に大容量のパッケージを送信できるように構築されているかを確認します。

 

 

インストール方法を選択する

重要な計画事項を解決したら、自動インストールで使用する方法を選択します。表 13.2 に自動インストールの方法をまとめました。また、アップグレードとクリーン インストールのいずれか、または両方で使用できるのかを示します。

13.2 自動インストール メソッド

方法

Windows 2000 Edition

アップグレード

クリーン インストール

Syspart

Server および Professional

No

Yes

Sysprep

Server および Professional

No

Yes

SMS

Server および Professional

Yes

Yes

ブート可能な CD-ROM

Server および Professional

No

Yes

リモート OS インストール

Professional

No

Yes

インストールの準備をする

Windows 2000 Server のクリーン インストールには、以下の準備が必要です。

  • 配布フォルダの作成

  • 応答ファイルの使用方法の習得

  • Windows 2000 設定コマンドの習得

メモ ここで説明する自動インストール実行の基本的な手順は、クリーン インストールとアップグレードの両方に当てはまります。ここではクリーン インストールの際の代表的な例を示します。

図 13.1 はインストール手順のフローチャートです。

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図 13.1: 自動インストールのフローチャート

配布フォルダを作成する

Windows 2000 Server をネットワーク上の複数のコンピュータにインストールする場合は、配布フォルダが最低 1 つは必要です。配布フォルダは通常、配布先のコンピュータから接続可能なサーバーに置かれます。そして、配布先コンピュータで Winnt.exe または Winnt32.exe を実行して Windows 2000 をインストールします。システム構成が異なる複数の応答ファイルを、同じ配布フォルダに入れて使用できます。インストール方法としてディスク イメージを選択する場合でも、配布フォルダから実行すると、種類の異なるシステムにも同じように配布することが可能になります。加えて、配布フォルダを使うと、このフォルダ内のファイルを編集したり応答ファイルを編集するだけで配布用のイメージを更新できます。最初から作り直す必要はありません。

サーバー間の負荷を均等にし、また既存のコンピュータ (Windows 95、Windows 98、Windows NT、または Windows 2000 を実行) に Windows 2000 セットアップ ファイルを短時間でコピーするには、複数のサーバーに配布フォルダを作成します。最大 8 か所にソース ファイルを格納して、Winnt32.exe を実行できるようになります。セットアップ コマンドの詳細については、この章の後の「Windows 2000 セットアップ コマンドの概要」を参照してください。

メモ この章で用いる「Windows NT」は Microsoft® Windows NT® 3.51 と Microsoft® Windows NT® 4.0 の両方を指します。

配布フォルダには、Windows 2000 Server または Microsoft® Windows® 2000 Advanced Server (以下 Windows 2000 Advanced Server) インストール ファイルと、デバイス ドライバ、その他のインストールに必要なファイルが入っています。

セットアップ マネージャは配布フォルダの作成手順を自動化するツールで、Windows 2000 Server CD に収録されています。セットアップ マネージャの詳細については、この章の「応答ファイルを作成する」を参照してください。

メモ この章で用いる「セットアップ」は「Windows 2000 のセットアップ」を指します。

配布フォルダを作成するには

  1. 配布フォルダを作成するネットワーク サーバーに接続します。

  2. ネットワーク サーバーの配布共有ポイントに \i386 フォルダを作成します。

    Windows 2000 の異なるエディション (Windows 2000 Professional、Windows 2000 Server、および Windows 2000 Advanced Server) 用に複数の配布共有ポイントを作成する場合、区別しやすいように異なる名前をフォルダに付けると便利です。また、海外支店で Windows 2000 の現地語版を使用する予定がある場合などは、各言語版ごとに配布共有ポイントを作成できます。

  3. 作成したフォルダに、Windows 2000 Server CD から \i386 フォルダの内容をコピーします。

  4. 作成したフォルダに、\$OEM$ という名前のサブフォルダを作成します。

    \$OEM$ サブフォルダは、セットアップ時にコピーされる多くの補助ファイルを入れるためのフォルダです。このような補助ファイルには、ドライバ、ユーティリティ、アプリケーション、その他の Windows 2000 Server を全社的に展開する際に必要となるファイルなどがあります。

配布フォルダの構造
配布フォルダの構造例を図 13.2 に示します。

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図 13.2: 配布フォルダの構成例

\i386
これは配布フォルダで、Windows 2000 のインストールに必要なファイルがすべて含まれています。配布共有ポイントのルートに作成し、この中に Windows 2000 Server CD から配布フォルダに \i386 フォルダの内容をコピーします。

\$OEM$
\$OEM$ サブフォルダは、\i386 フォルダ直下の配布フォルダに作成します。セットアップ時に、ディレクトリ、標準 8.3 形式のファイル、自動インストールに必要なすべてのツールを、自動的に \$OEM$ サブフォルダにコピーできます。

応答ファイルに OEMFILESPATH キーを指定すると、配布フォルダ以外の位置に \$OEM$ サブフォルダを作成できます。応答ファイルの定義については、この章の「応答ファイルを作成する」を参照してください。応答ファイルのパラメータと構文の詳細については、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD に収録されている「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前のバージョン、または MS-DOS では、Extract コマンドを使用してファイルを抽出します。

\$OEM$ サブフォルダには、ファイル Cmdlines.txt がオプションで含まれている場合があります。このファイルには、セットアップの GUI 処理部で実行されるコマンド リストが入っています。これらのコマンドを使って、ほかのツールをインストールに追加することも可能です。Cmdlines.txt の詳細については、この章の「Cmdlines.txt を使用する」を参照してください。

セットアップでは、配布ポイントのルートに \$OEM$ サブフォルダが見つかると、そのフォルダのファイルをすべて、セットアップのテキスト処理部で作成される一時フォルダにコピーします。

メモ この章では、セットアップの GUI 処理部を「GUI モード」、テキスト処理部を「テキスト モード」と呼びます。

\$OEM$\textmode
\$OEM$\textmode サブフォルダには、大容量記憶装置デバイス ドライバとハードウェア アブストラクション レイヤ (HAL) をインストールするための、新規または更新されたファイルが入っています。また、SCSI デバイスのドライバである OEM HAL ファイルとそれらのコンポーネントのロードとインストールを指示する Txtsetup.oem ファイルを追加することも可能です。

Txtsetup.oem ファイルは必ず入れてください。\$OEM$\textmode サブフォルダにコピーしたファイル (HAL、ドライバ、および Txtsetup.oem) は、すべて応答ファイルの [OEMBootFiles] セクションに記述されている必要があります。

$OEM$\$$
\$OEM$\$$ サブフォルダは、環境変数 %systemroot% または %windir% に相当します。このサブフォルダには、Windows 2000 インストール ディレクトリのさまざまなサブフォルダにコピーしたい追加ファイルを入れます。このサブフォルダの構造は、Windows 2000 の標準フォルダの構造と一致させる必要があります。たとえば、$OEM$\$$ は %systemroot % または %windir% (例: C:\winnt) と一致させ、\$OEM$\$$\System32 は %windir%\System32 と一致させます。各サブフォルダには、インストール先コンピュータのシステム フォルダにコピーするファイルが入っている必要があります。

\$OEM$\$1
$OEM$\$1 サブフォルダは Windows 2000 から新たに追加されたフォルダで、Windows 2000 がインストールされるドライブを指します。$1 は、%systemdrive% 環境変数に相当します。たとえば、Windows 2000 をドライブ D にインストールする場合、\$OEM$\$1 はドライブ D を指します。

\$OEM$\$1\ pnpdrvrs
\$OEM$\$1\pnpdrvrs サブフォルダは Windows 2000 から新たに追加されたフォルダで、配布フォルダにある新規または更新されたプラグ アンド プレイ デバイス ドライバを入れます。これらのフォルダは、インストール先のコンピュータの %systemdrive%\pnpdrvrs にコピーされます。応答ファイルに OemPnPDriversPath パラメータを追加すると、Windows 2000 は、セットアップ中およびセットアップ後に新規または更新されたプラグ アンド プレイ デバイス ドライバを検索する際に、システムにあらかじめ含まれているフォルダのほか、後から作成したフォルダから探します。pnpdrvrs の部分は、8 文字以内の任意の名前に変更できます。

\$OEM$\$1\Sysprep
\$OEM$\$1\Sysprep サブフォルダはオプションです。このサブフォルダには、Sysprep ツールの実行に必要なファイルが入っています。これらのファイルの詳細については、この章の「Sysprep を使用しディスクを複製する」を参照してください。

\$OEM$\ drive_letter
テキスト モード時に、各 \$OEM$\drive_letter サブフォルダ構造が、インストール先コンピュータの対応するドライブのルートにコピーされます。たとえば、\$OEM$\D サブフォルダにあるファイルは D のルートにコピーされます。これらのサブフォルダ内にサブフォルダを作成することも可能です。たとえば、\$OEM$\E\Misc とすると、セットアップにより、ドライブ E に Misc という名前のサブフォルダが作成されます。

リネームが必要なファイルは、すべて $$Rename.txt に記述されている必要があります。ファイルのリネームの詳細については、この章の「$$Rename.txt を使用してファイル名の長さを変換する」を参照してください。配布フォルダのファイルは、8.3 形式の命名規則にしたがった短いファイル名でなければなりません。 ます。

大容量記憶装置をインストールする
Windows 2000 では、プラグ アンド プレイ機能によりほとんどのハードウェア デバイスを検出しインストールすることが可能で、インストールしたハードウェアをセットアップ時にロードできます。しかし、GUI モード時に完全にプラグ アンド プレイ対応にするためには、ハードディスクなどの大容量記憶装置デバイスが正しくインストールされている必要があります。

メモ あらかじめ Windows 2000 対応であることを確認したデバイスは、改めて指定する必要はありません。

テキスト モード中 (つまり、完全なプラグ アンド プレイ機能が使用できるようになる前) に SCSI デバイスをインストールするには、セットアップでの特定の SCSI デバイスのインストール方法を記述した Txtsetup.oem ファイルが必要です。

重要更新されたドライバを使用する前に、署名の有無を確認してください。署名されていないと、セットアップは失敗します。デバイス マネージャで各ドライバの署名ステータスを確認するか、Sigverif.exe を実行して、%windir% サブフォルダに Sigverif.txt ファイルを生成します。Sigverif.txt には、システム上にあるそれぞれのドライバの署名ステータスが記述されています。

大容量記憶装置デバイスをインストールするには

  1. 配布フォルダの $OEM$ サブフォルダに、Textmode サブフォルダを作成します。

    デバイスの製造元から入手した以下のファイルを Textmode サブフォルダにコピーします (Driver はインストールしたいドライバ名に変更してください)。

    • Driver.sys

    • Driver.dll

    • Driver.inf

    • Txtsetup.oem

    メモ SCSI ミニポート ドライバなど、ドライバによっては .dll ファイルがないものもあります。

  2. 応答ファイルで [MassStorageDrivers] セクションを作成し、そのセクションに追加するドライバを入力します。たとえば、[MassStorageDrivers] セクションには次のような入力が可能です。

                    "Adaptec 2940U" = "OEM"
    

    [MassStorageDrivers] セクションでのドライバの指定は、ハードウェア製造元が提供する Txtsetup.oem ファイルを参照してください。

    応答ファイルのパラメータと構文の詳細については、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD に収録されている「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前のバージョン、または MS-DOS では、Extract コマンドを使用してファイルを抽出します。

  3. 応答ファイルに [OEMBootFiles] セクションを作成し、このセクションに $OEM$\Textmode フォルダにあるファイル名をすべて記述します。たとえば、[OEMBootFiles] セクションには次のように指定します。

    [OEMBootFiles]
    <Driver>.sys
    <Driver>.dll
    <Driver>.inf
    Txtsetup.oem
    
    

    ここで、<Driver> にはドライバ名を指定します。

  4. 接続する大容量記憶装置デバイスがプラグ アンド プレイ デバイスの場合は、Txtsetup.oem ファイルに [HardwareIds.Scsi.yyyyy] という名前のセクションができます。このセクションがない場合は作成し、そのセクションに次のエントリを追加します。

    id = "xxxxx", "yyyyy"

    ここで、xxxxx にはデバイス ID、yyyyy にはデバイスに関連するサービスを指定します。

    たとえば、PCI\VEN_1000&DEV_0001 というデバイス ID を持つ Symc810 ドライバをインストールする場合は、Txtsetup.oem ファイルに次の追加セクションがあることを確認してください。

    [HardwareIds.scsi.symc810]
    id = "PCI\VEN_1000&DEV_0001", "symc810"
    
    

ハードウェア アブストラクション レイヤ (HAL) をインストールする
ハードウェア アブストラクション レイヤ (HAL) を指定するには、ベンダが提供する Txtsetup.oem ファイルと HAL ファイルが必要です。大容量記憶装置デバイス ドライバもインストールする場合は、同じ Txtsetup.oem ファイルを使用してください。Txtsetup.oem ファイルは 1 つだけしか使用できないので、HAL と大容量記憶装置デバイス ドライバの両方をインストールする場合は、両方の項目を 1 つのファイルにまとめる必要があります。

サードパーティ製のドライバを使用する場合は、応答ファイルに適切な変更を加える必要があります。応答ファイルのパラメータと構文の詳細については、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD に収録されている「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前のバージョン、または MS-DOS では、Extract コマンドを使用してファイルを抽出します。

HAL をインストールするには

  1. \$OEM$ フォルダに \Textmode サブフォルダを作成します (未作成の場合のみ)。

  2. デバイスの製造元から入手したファイルを \Textmode サブフォルダにコピーします。

  3. 応答ファイルにある、HAL 用の [Unattend] セクションを編集し、インストールするドライバを追加します。たとえば、次のように指定します。

    [Unattend]
    Computertype = "<HALDescription   >", OEM
    
    

    <HALDescription> に指定する値は、ドライバの販売元が提供する Txtsetup.oem ファイルの [Computer] セクションを参考にしてください。

  4. 応答ファイルに [OEMBootFiles] セクションを作成し、$OEM$\Textmode フォルダにあるすべてのファイル名を指定します。

プラグ アンド プレイ デバイスをインストールする
大容量記憶装置デバイスまたは HAL を除く、Windows 2000 オペレーティング システム CD に含まれていないプラグ アンド プレイ デバイスのインストール方法について説明します。

プラグ アンド プレイ デバイスをインストールするには

  1. 配布フォルダに、特殊なプラグ アンド プレイ ドライバとその .inf ファイルを入れるサブフォルダを作成します。たとえば、PnPDrvs という名前のフォルダを作成します。

    $OEM$\$1\PnPDrvs
    
  2. Unattend.txt ファイルに次の行を追加し、このフォルダへのパスをプラグ アンド プレイ検索ドライブ一覧に追加します。

    OEMPnPDriversPath = "PnPDrvs"
    

    PnPDrvs フォルダにサブフォルダがある場合は、各サブフォルダへのパスも指定する必要があります。各パス間はセミコロンで区切ります。

    将来デバイス ドライバを簡単に追加できるようにフォルダを管理しやすくするには、追加する可能性のあるデバイス ドライバのサブフォルダを作成しておきます。フォルダをサブフォルダに分割すれば、デバイス ドライバ ファイルを 1 つのフォルダにすべて入れるのではなく、デバイス タイプごとにドライバ ファイルを保存できます。Audio、Modem、Net、Print、Video、Other といったサブフォルダを作成しておくと便利です。Other フォルダを作成しておくと、現在発売されていない新しいハードウェア デバイスをインストールする際に便利です。

    たとえば、PnPDrvs フォルダに Audio、Modem、および Net のサブフォルダがある場合は、応答ファイルに次の行を入力します。

    OEMPnPDriversPath = "PnPDrvs\Audio;PnPDrvs\Modem;PnPDrvs\Net"
    

$$Rename.txt を使用してファイル名の長さを変換する
$$Rename.txt ファイルは、セットアップ中に、短いファイル名を長いファイル名に変換します。$$Rename.txt には、特定のフォルダ内にある、名前の変更が必要なすべてのファイルが記述されています。リネームが必要な短いファイル名がある各フォルダには、それぞれ $$Rename.txt が入っている必要があります。

$$Rename.txt を使用するには、ファイル名の変換が必要なフォルダに $$Rename.txt を入れます。$$Rename.txt の構文は以下のとおりです。

[section_name_1]

short_name_1 = "long_name_1"
short_name_2 = "long_name_2"

short_name_x = " long_name_x "

[section_name_2]

short_name_1 = "long_name_1"
short_name_2 = "long_name_2"

short_name_x = " long_name_x "

パラメータは次のように設定します。

section_name_x: ファイルが入っているサブフォルダへのパス。セクションには必ずしも名前を付ける必要はありません。また、円記号 (\) を名前に指定することも可能で、これは、このセクションにドライブ ルートにあるファイルまたはサブフォルダ名が記述されていることを意味します。

short_name_x: リネームするサブフォルダ内にあるファイルまたはサブフォルダ名。名前は二重引用符で囲まないでください。

long_name_x: ファイルまたはサブフォルダの新しい名前。名前にスペースまたはカンマが含まれる場合は、名前全体を二重引用符で囲ってください。

ヒントMS-DOS でインストールを開始し、使用している MS-DOS ベースのツールが 64 文字よりも長いパス名を持つフォルダをコピーできない場合は、フォルダ名に短いファイル名を指定し、後で $$Rename.txt を使って変更してください。

応答ファイルの概要

応答ファイルとは、ユーザーの介入なしにセットアップに関する質問に応答するためのカスタマイズ可能なスクリプトです。Windows 2000 Server CD には、ユーザーが変更して使用できる応答ファイルのサンプルが入っています。応答ファイルの名前は通常 Unattend.txt ですが、この名前を変更することが可能です。たとえば、Comp1.txt、Install.txt、Setup.txt などの名前を付けることができます。その場合、Setup コマンドでこの応答ファイル名を正しく指定する必要があります。部署ごとに、異なるスクリプトを使ってインストールする必要がある場合などは、応答ファイルの名前を変更して複数の応答ファイルを作成します。このとき、応答ファイルは、オプションの Sysprep.inf ファイルを使用する Sysprep などの別のプログラムでも使われるので注意してください。

応答ファイルには、セットアップの際に、ユーザーが作成した配布フォルダとファイルをどのように使用するかが記述されています。たとえば、応答ファイルの [Unattend] セクションには "OEMPreinstall" という項目があり、$OEM$ サブフォルダを配布フォルダからインストール先のコンピュータにコピーするよう、セットアップに対して指示しています。

応答ファイルにはオプション セクションが複数あり、ユーザーはこのセクションを修正してインストールに必要な情報を指定できます。応答ファイルは、Windows 2000 標準の対話型インストールでユーザーが尋ねられるすべての質問に対する応答をセットアップに送ります。応答ファイルのキーと値の詳細については、Unattend.doc ファイルに記載されています。応答ファイルの各セクションと関連パラメータの詳細については、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD に収録されている「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前のバージョン、または MS-DOS では、Extract コマンドを使用してファイルを抽出します。

Windows 2000 Server の無人インストールを実行するには、応答ファイルを作成し、セットアップ開始時に、ブート可能な方法を実行するか、または Winnt.exe と Winnt32.exe のいずれかを実行して、応答ファイルを指定する必要があります。Winnt.exe を使用したセットアップ コマンド例を示します。

Winnt /S:Z:\I386 /U:Z:\unattend.txt

winnt コマンドで /U: コマンド ライン スイッチを指定すると、無人インストールが実行されます (Winnt32 コマンドの無人インストール モード パラメータは /unattached になります)。 Winnt.exe および Winnt32.exe の詳細については、この章の「Windows 2000 セットアップ コマンドの概要」を参照してください。

応答ファイルを作成する
応答ファイルは、Windows 2000 Server の無人インストールを実行する際に使用するカスタマイズ可能なスクリプトです。応答ファイルの作成には、セットアップ マネージャを使用する方法と手動でファイルを作成する方法の 2 通りの方法があります。

セットアップ マネージャを使用して応答ファイルを作成する
セットアップ マネージャを使うと、応答ファイルを作成したり修正できます。このアプリケーションは、『Microsoft® Windows® 2000 Server Resource Kit』付属 CD の \Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。セットアップ マネージャを使用すると、応答ファイルの作成や更新を同じように行うことができます。

セットアップ マネージャで行うことのできる作業は次のとおりです。セットアップ マネージャは、作業を実行すると、その結果を応答ファイル パラメータとして生成します。

  • 応答ファイルのプラットフォームの指定 (Windows 2000 Professional、Windows 2000 Server、リモート インストール サービス、または Sysprep)

  • 無人セットアップ モードの自動化レベルの指定 (自動化レベルには、[既定値を提供する]、[全自動]、[ページの非表示]、[読み取り専用] および [GUI モード] があります)

  • 既定のユーザー情報の指定

  • 有効なコンピュータ名のファイルにアクセスするための Uniqueness Database File (/UDF) の作成など、コンピュータ名のオプションの定義

  • ネットワークの設定

  • 配布フォルダの作成

  • カスタム ロゴと背景ファイルの追加

  • 配布フォルダへのファイルの追加

  • [GuiRunOnce] セクションへのコマンドの追加

  • Cmdlines.txt ファイルの作成

  • コード ページの指定

  • 地域別オプションの指定

  • タイム ゾーンの指定

  • TAPI 情報の指定

セットアップ マネージャでは、次の作業を行うことができません。

  • システム コンポーネント (IIS など) の指定

  • Txtsetup.oem ファイルの作成

  • 配布フォルダ内のサブフォルダの作成

表 13.3 に、セットアップ マネージャで作成した場合の、最も標準的な応答ファイルの指定項目をいくつか示します。

13.3 セットアップ マネージャで作成した応答ファイルの指定項目

パラメータ

機能

インストール先パス

対象コンピュータに Windows 2000 Server をインストールする先のパスを指定します。

アップグレード オプション

Windows 95 または Windows 98、Windows NT、Windows 2000 からのアップグレードかどうかを指定します。

対象となるコンピュータ名

対象となるコンピュータのユーザー名、会社名、およびコンピュータ名を指定します。

プロダクト ID

製品付属のプロダクト ID 番号を指定します。

ワークグループまたはドメイン

コンピュータが属するワークグループまたはドメイン名を指定します。

タイム ゾーン

コンピュータを使用する地域のタイム ゾーンを指定します。

ネットワーク設定情報

ネットワーク アダプタのタイプとネットワーク プロトコル設定を指定します。

メモ Windows 2000 Server のインストールでは、はじめにドメイン コントローラの作成を要求されません。まずメンバ サーバーを作成しておき、後から Active Directory インストール ウィザード (dcpromo.exe) を使用してドメイン コントローラに昇格できます。

応答ファイルを手動で作成する
応答ファイルを手動で作成するには、メモ帳などのテキスト エディタを使用します。通常は、応答ファイルは、セクションのヘッダー、パラメータ、およびパラメータの値で構成されています。ほとんどのセクション ヘッダーはあらかじめ定義されていますが、セクション ヘッダーを追加することも可能です。応答ファイルには、インストールに必要のないパラメータを指定する必要はありません。

無効なパラメータ値を指定すると、エラーが表示されたり、セットアップが正常に実行されません。

応答ファイルの形式は次のとおりです。

[section1]
;
;  Section contains keys and the corresponding
;  values for those keys/parameters.
;  Keys and values are separated by ' = ' signs.
;  Values that have spaces in them usually require double quotes
;  "" around them.
;
key = value
.
.
[section2]
key = value
.
.
 

応答ファイルを使用してパスワードを設定する
セットアップで応答ファイルを使用すると、以下のパスワード コマンドのパラメータを設定することができます。

  • AdminPassword

  • UserPassword

  • DefaultPassword

  • DomainAdminPassword

  • AdminstratorPassword

  • Password

これらのコマンドについては、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD に収録されている「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前のバージョン、または MS-DOS では、Extract コマンドを使用してファイルを抽出します。

また、これらのパラメータのいくつかを使用した応答ファイル例が、このマニュアルの「付録 C 無人セットアップ用応答ファイルの例」にあります。

メモ パスワードは最大 127 文字です。127 文字を超えるパスワードを指定した場合は、パスワードが無効になり、システムにログオンできなくなります。

インストールが完了すると、コンピュータの設定に使用した応答ファイルの設定項目はすべてコンピュータに残ります。しかし、セキュリティ保護のため、パスワード情報はすべて応答ファイルのローカル コピーから削除されます。

注意ただし、セットアップ プロセス中は、応答ファイルはハードディスクにあります。セキュリティが確保できない可能性がある場合は、無人インストール用に作成した応答ファイルにパスワード情報を記述しないでください。

ローカル応答ファイルを使用すると、セットアップで使用したオリジナルの応答ファイルに指定されているパラメータ付きのコマンドを実行して、オプションのコンポーネントを自動的にセットアップできます。これらのコンポーネントでは、サーバーをドメイン コントローラとして、またはクラスタ サーバーとして設定したり、メッセージ キューを有効にすることができます。

ハード ディスクのパーティションを拡張する
Windows 2000 セットアップ プロセスで応答ファイルの ExtendOEMPartition パラメータを使用すれば、大容量ディスク上にある 1GB 程度の小さいパーティション上にインストールを開始してから、そのパーティションを拡張することができます。ExtendOEMPartition パラメータは NTFS ファイル システムのパーティションでのみ有効で、標準の応答ファイルでも Sysprep ベースのインストール用ファイルでも使用できます。

Sysprep および Sysprep.inf ファイルの詳細については、この章の「Sysprep を使用しディスクを複製する」を参照してください。

メモ ExtendOEMPartition は、アクティブなシステム パーティションでのみ有効です。同じコンピュータ上の別のパーティション、またはほかのハードディスクでは動作しません。また、ExtendOemPartition=1 とすると、最後のシリンダをブランクに残す以外は、ハードディスク上の残りの全領域まで拡張します。最後のシリンダをブランクにするのは、ダイナミック ボリュームを有効にするオプションのための仕様の理由からです。

無人インストール中に FAT パーティションで ExtendOEMPartition を使用する場合は、応答ファイルの [Unattended] セクションで FileSystem=ConvertNTFS と指定し、先にパーティションを NTFS に変換しておく必要があります。Sysprep ベースのインストールで ExtendOEMPartition を使用する方法については、この章の「Sysprep を使用しディスクのパーティションを拡張する」を参照してください。

ExtendOemPartition の使用法の詳細については、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD に収録されている「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前のバージョン、または MS-DOS では、Extract コマンドを使用してファイルを抽出します。

Active Directory インストール ウィザードで応答ファイルを使用する
Windows 2000 Server インストール後に、Active Directory のインストール ウィザードを使用してドメイン コントローラの作成を自動化できます。次の 2 つの方法があります。

  • Unattend.txt 応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションに次のコマンドを記述します。

    dcpromo.exe

  • 「付録 C 無人セットアップ用応答ファイルの例」の [DCInstall] セクションで定義されているコマンドを使用た、特別な応答ファイルを作成し、次のコマンドを記述します。

    dcpromo.exe /answer: answer_file_name

Active Directory のインストール ウィザードの詳細については、このマニュアルの「第 10 章 ドメイン移行方針の決定」を参照してください。

Windows 2000 セットアップ コマンドの概要

Windows 2000 をインストールするには、Winnt.exe または Winnt32.exe のいずれかの適切な Windows 2000 セットアップ プログラムを実行します。この章では、Winnt.exe と Winnt32.exe のいずれもセットアップと呼びます。どちらのセットアップを実行するかは、次のように決定します。

  • MS-DOS または Microsoft® Windows® 3.x を実行中のコンピュータでクリーン インストールを行う場合は、MS-DOS プロンプトから Winnt.exe を実行します。

  • Windows NT、Windows 95、または Windows 98 からクリーン インストールまたはアップグレードを行う場合は、Winnt32.exe を実行します。

Windows 2000 Server CD に付属しているブート フロッピー ディスクから、標準の対話的セットアップを直接開始することが可能です。

注意
Windows 2000 へのアップグレードの前にアプリケーションをアップデートした場合は、セットアップを開始する前に、必ずコンピュータを再起動してください。

インストール方法の詳細については、この章の「Windows 2000 Server のインストールを自動化する」を参照してください。

Winnt.exe
Winnt.exe コマンドと自動インストール パラメータは次のとおりです。 winnt [/S[:sourcepath]][/T[:tempdrive]]/U[:answer_file]][/R[x]**:folder][/E:**command]

各パラメータの詳細については、このマニュアルの「付録 B セットアップ コマンド」を参照してください。

複数のパーティションを持つハードディスクでは、アクティブ パーティションに十分な領域がある場合は、Winnt.exe のセットアップにより、そのパーティションに Windows 2000 がインストールされます。十分な領域がない場合は、セットアップによりインストール可能なパーティションが検索され、その中からインストール先パーティションを選択するように求めるプロンプトが表示されます。自動インストールでインストール先パーティション自動的に指定する /T パラメータを付けてセットアップを実行すれば、プロンプトを表示しなくなります。例を示します。

winnt [/unattend] [:<path>\answer.txt] [/T[:d]]

Winnt32.exe
Winnt32.exe コマンドと自動インストール パラメータは次のとおりです。

winnt32 [/s:sourcepath] [/tempdrive:drive_letter]
[/unattend[num][:answer_file]] [/copydir:folder_name]
[/copysource:folder_name] [/cmd:command_line] [/debug[level][:filename]]
[/udf:id[,UDB_file]] [/syspart:drive_letter] [/noreboot]
[/makelocalsource] [/checkupgradeonly] [/m:folder_name]
  

各パラメータの詳細については、このマニュアルの「付録 B セットアップ コマンド」を参照してください。

複数のパーティションを持つハードディスクでは、アクティブ パーティションに十分な領域がある場合は、Winnt32.exe のセットアップにより、そのパーティションに Windows 2000 がインストールされます。十分な領域がない場合は、セットアップによりインストール可能なパーティションが検索され、その中からインストール先パーティションを選択するように求めるプロンプトが表示されます。自動インストールを実行するには、インストール先パーティション自動的に指定する /tempdrive パラメータを付けてセットアップを実行すれば、プロンプトを表示しなくなります。例を示します。

winnt32 [/unattend] [:<path>\answer.txt] [/tempdrive:d]

Windows 2000 では、インストール元位置としてほかの配布サーバーを指定する /s スイッチを 8 つまで使用できます。この機能を使用すると、セットアップを開始する配布サーバー間の負荷を均等にし、セットアップ ファイルのコピーを高速化できます。例を示します。

<path to distribution folder 1>\winnt32 [/unattend]
[:<path>\answer.txt] [/s:<path to distribution folder 2>] [/s:<path
to distribution folder 3>] [/s:<path to distribution folder 4]
 

表 13.4 にWindows 2000 のセットアップ コマンドと使用法をまとめます。

13.4 セットアップ コマンドの使用

セットアップ コマンド

Windows 2000 のエディション

アップグレード

クリーン インストール

Winnt.exe

Server および Professional

No

Yes

Winnt32.exe

Server および Professional

Yes

Yes

サーバー アプリケーションのインストールを自動化する

重要な検討事項を解決したら、サーバー アプリケーションの自動インストール方法を決定します。ほとんどの場合は、アプリケーションの無人インストール機能によるインストール方法を選択するのが便利でしょう。

次の 2 通りの方法があります。

  • Cmdlines.txt を使用する。

  • アプリケーションのインストール プログラムを実行するか、応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションに指定したバッチ ファイルを実行する。

Cmdlines.txt を使用する

Cmdlines.txt ファイルには、Windows 2000 Server のインストール直後にセットアップする必要のあるアプリケーションなど、オプションのコンポーネントをインストールするために GUI モードで実行するコマンドを記述します。Cmdlines.txt を使用する場合は、このファイルを配布フォルダの \$OEM$ サブフォルダに入れます。Sysprep を使用する場合は、Cmdlines.txt を \$OEM$\$1\Sysprep サブフォルダに入れます。

次の場合には、Cmdlines.txt を使用します。

  • 配布フォルダの \$OEM$ サブフォルダからインストールする場合

  • 以下のアプリケーションをインストールする場合

    複数ユーザーをサポートしていないアプリケーション (Microsoft® Office 95 など)

    または

    単独のユーザー用にインストールされ、ユーザー固有の情報を複製するアプリケーション

Cmdlines.txt の構文は次のとおりです。

[Commands]
"<command_1>"
"<command_2>"
.
.
"<command_x>"
  

パラメータは次のように指定します。

  • "<command_1>" "<command_2>" U "<command_x>" に、GUI モードが Cmdlines.txt を呼び出すときに実行させるコマンドを指定します。指定順は自由です。コマンドはすべて二重引用符で囲んでください。

Cmdlines.txt を使用するときは、次の点に注意してください。

  • セットアップで Cmdlines.txt 内のコマンドを実行すると、ログオン ユーザーの情報は認識されず、ネットワーク接続は保証されません。このため、ユーザー固有の情報はデフォルトのユーザー レジストリに書き込まれ、この情報は後から作成するユーザーすべてに付与されます。

  • Cmdlines.txt を使用する場合、アプリケーションまたはツールの実行に必要なファイルを、ハードディスクに格納して、そのディレクトリがセットアップ中にアクセスできるようにしてください。

応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションを使用する

応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションには、セットアップの実行後、ユーザーがコンピュータに最初にログオンしたとき実行するコマンドの一覧を記述します。たとえば、次の行を [GuiRunOnce] セクションに記述すると、アプリケーションのインストール プログラムが自動的に開始します。

[GuiRunOnce]
"%systemdrive%\appfolder\appinstall -quiet"
  

[GuiRunOnce] セクションを使用してインストールを開始する場合は、いくつか考慮すべき点があります。

**アプリケーションが強制的に再起動を要求する場合は、再起動を抑止する方法がないか確認します。**システムが再起動すると、[GuiRunOnce] セクションにある項目がすべて失われてしまうので、再起動はできるだけ避ける必要があります。[GuiRunOnce] セクションに記述されているすべてのコマンドの実行を完了する前にシステムが再起動すると、残りのコマンドは実行されません。アプリケーション自体に再起動を抑止する方法がなければ、アプリケーションを Windows インストーラ パッケージの中にパッケージ化する方法を取ります。この機能を持つサードパーティ製品が市販されています。

Windows 2000 には、Windows インストーラ用再パッケージ ツールとして WinINSTALL Limited Edition (LE) が付属しています。WinINSTALL LE を使うと、Windows インストーラに対応していない古いアプリケーションを、Windows インストーラ形式で配布できるように効率的に再パッケージできます。WinINSTALL LE の詳細については、Windows 2000 オペレーティング システム CD の \Valueadd\3rdparty\Mgmt\Winstle フォルダを参照してください。

Windows インストーラ パッケージの詳細については、この章の「第 25 章 クライアントの自動セットアップと自動インストール」を参照してください。

重要Windows 2000 の複数の言語版にアプリケーションをインストールする場合は、各言語版で再パッケージしたアプリケーションをテストして、ファイルが正しい位置にコピーされ、必要なレジストリ エントリが正しく記述されるか確認します。

インストールの際に Windows エクスプローラ シェルを必要とするアプリケーションでは、 [GuiRunOnce] セクションは利用できません。これは Run および RunOnce **コマンドの実行時にはシェルがロードされていないからです。**セットアップ時にこの問題を解決するためのアップデートまたはパッチが入手できるかを、アプリケーション開発元に問い合わせてください。これらが入手できない場合は、アプリケーションを Windows インストーラ パッケージとして再パッケージするか、ほかの配布方法を使用してください。

複数のアプリケーションが同じタイプのインストール メカニズムを使用している場合、 /wait **コマンドを使用しないと正常に動作しないことがあります。**これは、1 つのアプリケーションのインストールを実行中に別のプロセスを開始した場合に発生します。セットアップ ルーチンがまだ実行中に、別のプロセスを開始してアクティブなプロセスを閉じると、RunOnce レジストリに記載されている次のルーチンを開始させてしまう可能性があります。通常は、インストール メカニズムで複数のインスタンスを実行すると、2 番目のアプリケーションは失敗してしまいます。この問題に対するバッチ ファイルを使った方法については、この章の「バッチ ファイルで複数アプリケーションのインストールを制御する」を参照してください。

アプリケーション インストール プログラムを使用する
アプリケーションのプレインストール方式としては、アプリケーション付属のインストール ルーチンを使用する方法を推奨します。quiet モード (つまりユーザー介入が必要ない) で実行できるアプリケーションならば、/q または /s コマンド ライン スイッチを使用してプレインストールすることが可能です。このインストール方法で使用できるコマンド ライン パラメータの一覧については、アプリケーションのヘルプ ファイルまたはマニュアルを参照してください。

次に、アプリケーション独自のセットアップ プログラムを使用して無人インストールを開始する場合の [GuiRunOnce] セクションに指定する行の例を示します。

<path to setup>\Setup.exe /q
 

セットアップ パラメータはアプリケーションによって異なります。たとえば、一部のアプリケーションが持つ /l パラメータは、ログファイルを作成し、インストール状況をモニタするのに便利です。アプリケーションによっては自動再起動を抑止できるコマンドを持つものがあります。このようなコマンドは、再起動を最小限に抑えるためアプリケーションのインストールを制御できるので便利です。

アプリケーションのプレインストールを行う前に、アプリケーションに関する情報、操作方法、ツール、注意事項を必ず開発元に確認してください。

重要インストール方法にかかわらず、インストールするアプリケーションのライセンス条件を満たしている必要があります。

バッチ ファイルで複数アプリケーションのインストールを制御する
複数のアプリケーションのインストールを制御するには、すべての対象アプリケーションのインストール コマンドを記述したバッチ ファイルを作成し、/wait コマンド ライン スイッチを付けて Start コマンドを実行します。この方法を使用すると、アプリケーションを連続してインストールでき、1 つのアプリケーションが完全にインストールされてから次のインストール ルーチンが開始されます。バッチ ファイルは [GuiRunOnce] セクションから実行されます。

次に、バッチ ファイルの作成方法と、アプリケーションのインストール方法、インストール完了後にバッチ ファイルへの参照をすべて削除する方法を説明します。

バッチ ファイルを使ってアプリケーションのインストールするには

  1. 次のような行を記述したバッチ ファイルを作成します。

    Start /wait <path to 1st application>\<Setup> <command line parameters>
    Start /wait <path to 2nd application>\<Setup> <command line parameters>
    Exit
    
    

    各パラメータの説明

    • <path> は、インストールを開始する実行可能ファイルへのパス。このパスは、セットアップ時にアクセス可能でなければなりません。

    • <Setup> は、インストールを開始する実行可能ファイル名。

    • <command line parameters> は、インストールするアプリケーション用の使用可能な quiet モード パラメータ。

  2. このバッチ ファイルを配布フォルダ、またはセットアップ時にアクセス可能なその他の位置にコピーします。

  3. <filename>.bat にバッチ ファイルの名前を指定し、次の例のように実行させるバッチ ファイルを応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションに記述します。この例では、バッチ ファイルがローカル ハードディスク ドライブの Sysprep フォルダにコピーされているものとしますが、インストール中にセットアップからアクセス可能であれば、バッチ ファイルはどこにでも置けます。

    [GuiRunOnce]
    "%systemdrive%\sysprep\<filename>.bat"
    "<path-1>\<Command-1>.exe"
    "<path-n>\<Command-n>.exe"
    "%systemdrive%\sysprep\sysprep.exe -quiet"
    

    各パラメータの説明

    <path-1>\<Command-1.exe> と <path-n>\<Command-n.exe> は、追加アプリケーション、インストール ツール、または設定ツールへの完全修飾パスです。ほかのバッチ ファイルへのパスを指定することもできます。これらパスは、セットアップ時にアクセス可能でなければなりません。

Windows 2000 Server のインストールを自動化する

全社規模で Windows 2000 をインストールする場合、各コンピュータで標準的な対話形式のセットアップを行うとコスト高になります。TCO (コンピュータ システム所有に必要な総費用) を大幅に削減するには、複数台のコンピュータで Windows 2000 Server の自動インストールを実行する方法があります。

次のインストールを自動化できます。

  • Windows 2000 Server コア オペレーティング システム

  • サービス以外のアプリケーション

  • 各種言語パックのインストールによる Windows 2000 Server の追加言語サポート

  • Windows 2000 Server の Service Pack

Windows 2000 Server の自動インストールには、セットアップで応答ファイルを使用する必要があります。この場合、無人セットアップを実行することも可能です。無人セットアップでは、次の手順が実行されます。

  • 応答ファイルを作成します。

  • コンピュータ固有の情報を設定するプロセスを決定し、それを実行します。

  • ネットワーク配布ポイントの使用、ハードディスクの複製など、選択した配布方法を自動化するプロセスを決定し、それを実行します。

自動インストールの新しいオプション

Windows 2000 自動インストールでは、インストール方法とインストール対象を選択するための新規オプションが応答ファイルにいくつか追加されました。応答ファイルのパラメータと構文の詳細については、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD に収録されている「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前のバージョン、または MS-DOS では、Extract コマンドを使用してファイルを抽出します。

柔軟なネットワーク : Windows 2000 では、プロトコル、サービス、クライアントの追加サポートなど、各コンピュータのネットワークを柔軟に設定できるようになりました。また、バインドの順序を設定したり、デフォルト情報を簡単に設定したり、ネットワーク アダプタを複数インストールできるようになりました。さらに、インストールと設定を簡単にするために、Windows 2000 ではネットワーク デバイス ドライバの自動インストールと自動設定が可能になりました。規定の設定では、応答ファイルに明示的に記述されていない限り、Windows 2000 は、システムにインストールされている各ネットワーク アダプタの規定のネットワーク コンポーネントをインストールします。規定のネットワーク コンポーネントには、Microsoft ネットワーク クライアント、TCP/IP、Microsoft ネットワークのファイルとプリンタの共有サービス、DHCP の有効化などがあります。

自動ログオン機能 : 応答ファイルをカスタマイズして、セットアップ後、コンピュータが最初に Windows 2000 を起動する際に、自動で管理者としてログオンできます。最初の起動の後でも、指定した回数だけ管理者で自動ログオンさせることも可能です。[GuiRunOnce] エントリに指定したタスクを完了させるため、回数を指定してWindows 2000 への自動ログオンを行う必要がある場合は、応答ファイルの管理者パスワード (AdminPassword) パラメータに null 以外の値を指定する必要があります。そして、AutoAdminLogonCount パラメータにタスクを完了させるための自動ログオン回数を指定します。パスワードに null を指定すると、セットアップ時にシステムへのログオンが 1 度しか実行できず、以降にシステムを再起動しても管理者の認証証明を指定することはできません。これは、セキュリティ上のリスクを回避するための措置です。管理者アカウントの認証証明をテキスト ファイルに記述すると、ユーザーがファイルにアクセスできるため、常にセキュリティ上の問題が発生するので注意してください。

コマンドの自動実行 : 応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションには、セットアップの GUI モードの完了後に続いて実行させたいコマンドの一覧を記述します。[GuiRunOnce] セクションには、インストールしたいアプリケーション、システム設定ツール、またはインストールしたコンピュータにユーザーが初めてログオンするときに実行するツールなどを指定します。

タイム ゾーンの指定の簡略化 : 応答ファイルでコンピュータのタイム ゾーンを簡単に指定できるようになり、Windows NT で必要だったデバッグ作業もほとんど不要になりました。指定できるタイム ゾーンがあらかじめ列挙されており、タイム ゾーン文字列を入力する必要がないため、エラーが発生する可能性が減りました。

地域および言語の拡張設定 : システムとユーザーの地域情報、キーボートと入力方法、インストールする言語サポートを応答ファイルに指定できます。Setup Manager を使用すると、ウィザード形式の GUI インターフェイスでシステムにインストールする設定を選択できるため、応答ファイルでの指定がより簡単になりました。

デバイスのプレインストールの簡略化 : プラグ アンド プレイ、OemPnPDriversPath キー、配布共有ポイント構造が使用できるようになったため、新しいドライバを配布共有内のフォルダに入れ、OemPnPDriversPath キーを指定するだけで、簡単にデバイスをプレインストールできます。

自動インストールの方法

Windows 2000 Server の自動インストールを行うにはいくつかの方法があります。どの方法を選択するかは、この章の前半で説明した重要な検討事項に対する回答によって異なります。

サーバーへの自動インストール実行メソッドには、次のような種類があります。

  • 異種のハードウェアを持つコンピュータで Syspart を使用する。

  • Sysprep を使用してディスクの複製を作成する。

  • Systems Management Server を使用する。

  • ブート可能な CD-ROM を使用する。

表 13.5 にそれぞれの自動インストール方法を使用するケースをまとめます。

13.5 自動インストール方法の使用目的

方法

使用目的

Syspart

異種のハードウェアを持つコンピュータへのクリーン インストールに使用します。

Sysprep

マスタ コンピュータとインストール対象コンピュータのハードウェア構成が、HAL や大容量記憶装置デバイス コントローラも含めて完全に一致している場合に使用します。

Systems Management Server

複数の、特に地理的に離れた場所にあるシステムで Windows 2000 Server のアップグレードを管理された方法で行う場合に使用します。

ブート可能な CD-ROM

ブート可能な CD-ROM からの起動が BIOS でサポートされているコンピュータへのインストールに使用します。

異種のハードウェアを持つコンピュータで Syspart を使用する

Syspart を起動するには、Winnt32.exe のオプション パラメータを使います。マスタ コンピュータと Windows 2000 Server をインストールするコンピュータのハードウェア構成が異なる場合は、Syspart を使用します。この方法を使用すると、セットアップ中にファイルのコピーが必要ないので、展開時間を短縮することもできます。

Syspart を使用するには物理ディスクが 2 台必要で、インストール先のハードディスクにプライマリ パーティションが作成されている必要があります。

HAL または大容量記憶装置デバイス コントローラが複数の異種ハードウェアに、インストールとオペレーティング システムの設定を行う必要がある場合は、Syspart を使うと、必要な設定情報とドライバ サポートを記載したファイルのマスタ セットを作り、そのイメージを作成できます。これらのイメージは、異種システムのハードウェアを正しく検出し、基本オペレーティング システムを同じように設定します。複数の種類のハードウェアに依存するシステムがある環境では、ハードウェアの種類ごとにマスタを作成します。それぞれの種類のコンピュータ 1 台に Windows 2000 をインストールすると、同じ種類のほかのコンピュータのインストールに使用できるイメージが作成されます。Sysprep の詳細については、この章の「Sysprep を使用しディスクを複製する」を参照してください。

インストールを開始する前に、参照として使用するコンピュータを選択します。参照コンピュータには、Windows NT または Windows 2000 がインストールされている必要があります。

Syspart を使って Windows 2000 Server をインストールするには

  1. 参照コンピュータを起動し、インストール配布フォルダに接続します。

  2. セットアップを実行します。

    [スタート] メニューで [ファイル名を指定して実行] をクリックし、次のように入力します。

    winnt32 /unattend:unattend.txt /s:install_source /syspart:second_drive
    /tempdrive:second_drive /noreboot
    
    

    重要Syspart を使用したインストールを正常に実行するには、***/tempdrive パラメータが必要です。/***tempdrive コマンド ライン スイッチを使用するときは、ディスクの 2 番目のパーティションに Windows 2000 Server とアプリケーションの両方をインストールするための十分な空きスペースがあることを確認してください。Syspart の実行に使用するディスクの構成は、複製先コンピュータのディスクの構成と一致している必要があります。

    /syspart と /tempdrive パラメータには、2 番目のハードディスクの同じパーティションを指定する必要があります。Windows 2000 Server のインストールは、2 番目のハードディスクのプライマリ パーティションで実行します。

    注意
    Syspart は、自動的にこのドライブをアクティブなデフォルトのブート デバイスと認識します。このため、次にコンピュータを起動する前にこのドライブを取り外してください。

    パラメータの定義は以下のとおりです。

    Unattend.txt: 無人セットアップに使用する応答ファイル。通常セットアップ中にエンド ユーザーが入力を求められる質問の一部またはすべてに対する応答が記載されています。マスタ イメージを作成する場合は、応答ファイルは使用しなくてもかまいません。

    install_source: Windows 2000 Server ファイルの位置。複数のソースから同時にインストールするときは、複数の /s スイッチを指定します。

    second_drive: Windows 2000 と必要なアプリケーションをプレインストールする 2 番目のディスク (オプション)。

Sysprep を使用しディスクの複製を作成する

ディスクの複製は、同一の構成で複数台のコンピュータにインストールを行う場合に適した方法です。まず、マスタ コンピュータに、Windows 2000 とインストール対象のすべてのアプリケーションをインストールします。次に Sysprep を実行し、このイメージをほかのコンピュータに転送します。Sysprep は、ほかのコンピュータへの複製を開始できるように、マスタ コンピュータのハードディスクを準備し、サードパーティ製のディスク イメージング ツールを実行します。この方法を使うと、標準インストールまたはスクリプトを使用したインストールに比べて、配布時間が大幅に減少します。

Sysprep を使用するには、マスタ コンピュータと複製先コンピュータの HAL、ACPI (Advanced Configuration and Power Interface) サポート、大容量記憶装置コントローラ デバイスが完全に一致している必要があります。Windows 2000 が自動的にプラグ アンド プレイ デバイスを検出した後、Sysprep の起動後にコンピュータを再起動すると、Sysprep がシステムのデバイスを再び検出してリストを作成します。このため、ネットワーク アダプタ、モデム、ビデオ アダプタ、サウンド カードなどのプラグ アンド プレイ デバイスは、マスタ コンピュータと複製先コンピュータで同一である必要はありません。Sysprep を使用する大きな利点はインストールが高速なことです。イメージをパッケージ化して圧縮でき、特定の構成にのみ必要なファイルもイメージの一部として作成できます。また、ほかのシステムで使用される可能性のある、その他のプラグ アンド プレイ ドライバも作成されます。回線速度が遅いリモート サイトへは、イメージを CD にコピーして配布することもできます。

メモ マスタ コンピュータと複製先コンピュータの HAL、ACPI サポート、大容量記憶装置デバイスは完全に同じである必要があります。そのため、複数の環境が混在する場合は、各環境ごとにイメージを作成してください。

Sysprep では、メンバ サーバーに必要なコンポーネントを含んだマスタ イメージを構成できます。このイメージを使ってサーバーを構築し、ドメイン コントローラに昇格できます。これは手作業で行うか、または Sysprep.inf の [GuiRunOnce] セクションにコマンドを記述して実行できます。Sysprep.inf の詳細については、この章の後の「Sysprep を使用しディスクを複製する」を参照してください。

重要ディスクの複製を実行する場合は、複製するソフトウェアのベンダに問い合わせ、ライセンス契約に違反していないことを確認してください。

Sysprep プロセスの概要
ここでは、ディスクの複製元コンピュータのセットアップ方法について説明します。

  1. Windows 2000 のインストール: Windows 2000 Server を複製先コンピュータと同じハードウェアを持つコンピュータにインストールします。このとき、複製元コンピュータをドメインに追加しないでください。また、ローカルの管理パスワードはブランクにしてください。

  2. コンピュータの設定: 管理者としてログオンし、Windows 2000 Server と関連アプリケーションをインストールし、カスタマイズします。インターネット インフォメーション サービス (IIS) またはその他のサービスを含めることができます。

  3. イメージの検証: 条件に基づいて監査を行い、イメージの構成が正しいことを検証します。監査ログおよびイベント ログも含め、未解決の問題をすべて解決します。

  4. イメージの複製準備: コンピュータの構成が正しいことを検証したら、複製のためシステムを準備します。これを行うには、オプションの Sysprep.inf ファイルをつけて Sysprep を実行します (詳細については、この章の後の項で説明します)。Sysprep が完了すると、コンピュータが自動的にシャットダウンするか、安全にコンピュータの電源を切れる状態になります。

  5. 複製: ここまでで、システムを次に起動したときに、コンピュータのハードディスクから、プラグ アンド プレイの検出、新しいセキュリティ識別子 (SID) の作成、ミニ セットアップ ウィザードの実行が開始されるようになりました。そこで、ハードウェアまたはソフトウェア ツールを使用して、このシステムを複製するか、イメージを作成する準備します。次にこのハードディスクから Windows 2000 を起動するか、またはこのイメージを使って作成した複製ハードディスクから Windows 2000 を起動すると、システムはプラグ アンド プレイ デバイスを検出してリストを作成し、複製先コンピュータのインストールと設定が完了します。

    重要Active Directory に依存するコンポーネントは複製できません。

Sysprep ファイル
Sysprep を使用するには、手動で Sysprep.exe を実行するか、応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションを使用し、セットアップで自動的に Sysprep.exe を実行するように設定します。Sysprep を実行するには、 Sysprep.exe と Setupcl.exe のファイルがシステム ドライブのルートにある Sysprep フォルダ (%systemdrive%\Sysprep\) に入っている必要があります。自動セットアップ中にファイルを正しい位置に置くには、これらのファイルを $OEM$\$1\Sysprep サブフォルダ内の配布フォルダに入れておく必要があります。このサブフォルダの詳細については、この章の「配布フォルダの構造」を参照してください。

これらのファイルによりオペレーティング システムの複製の準備が行われ、ミニ セットアップ ウィザードが開始されます。また、Sysprep フォルダに応答ファイル Sysprep.inf を追加することも可能です。Sysprep.inf には規定のパラメータが記述されており、質問に対して一貫性のある応答を与えることができます。これにより、ユーザー入力を要求する箇所が減り、人為的な入力ミスを防ぐことができます。また、Sysprep.inf ファイルをフロッピー ディスクに保存し、Windows のスタートアップ画面が表示された後に、そのフロッピーをドライブに入れると、複製先コンピュータでカスタマイズできます。「しばらくお待ちください」というミニ セットアップ ウィザード画面が表示されると、フロッピー ディスクの内容が読み出されます。ミニ セットアップ ウィザードが完了すると、最後にもう一度システムを再起動し、Sysprep フォルダとその内容がすべて削除され、ユーザーがログオンできる状態になります。

Sysprep.exe
Sysprep.exe には次の 3 つのオプション パラメータがあります。

  • quiet: Sysprep の実行中は画面にメッセージを表示しません。

  • nosidgen: Sysprep の実行中、すでにシステムにある SID は再生成しません。このオプションは、Sysprep を実行しているコンピュータを複製しない場合には有用です。

  • reboot: Sysprep がシステムをシャットダウンした後、自動的に再起動します。これを使用すると、コンピュータの電源を再び手動でオンにする必要がなくなります。

Sysprep.inf
Sysprep.inf はミニ セットアップ プロセスの自動実行に使用する応答ファイルです。このファイルは、セットアップ応答ファイルと同じ .ini ファイル形式の構文とキー名 (サポートしているキー) を使って記述し、%systemdrive%\Sysprep フォルダまたはフロッピー ディスクに置きます。フロッピー ディスクを使用する場合は、Windows のスタートアップ画面が表示された後にドライブに入れます。Sysprep.inf を使用しないと、Sysprep の実行時に、この章の後半にある「ミニ セットアップ ウィザード」で示したダイアログ ボックスがすべて表示されます。

メモ マスタ コンピュータに Sysprep.inf ファイルがある場合で、コンピュータごとに Sysprep.inf を変更したいときは、このファイルをフロッピー ディスクに入れる方法を採用してください。

Sysprep.inf ファイルの例:

[Unattended]
;Prompt the user to accept the EULA.
OemSkipEula=No
;Use Sysprep's default and regenerate the page file for the system
;to accommodate potential differences in available RAM.
KeepPageFile=0
;Provide the location for additional language support files that
;may be needed in a global organization.
InstallFilesPath=%systemdrive%\Sysprep\i386
[GuiUnattended]
;Specify a non-null administrator password.
;Any password supplied here will only take effect if the original source
;for the image (master computer) specified a non-null password.
;Otherwise, the password used on the master computer will be
;the password used on this computer. This can only be changed by
;logging on as Local Administrator and manually changing the password.
AdminPassword=""
;Set the time zone
TimeZone=20
;Skip the Welcome screen when the system boots
OemSkipWelcome=1
;Do not skip the regional options dialog so that the user can indicate
;which regional options apply to them.
OemSkipRegional=0
[UserData]
;Prepopulate user information for the system
FullName="Authorized User"
OrgName="Organization Name"
ComputerName=XYZ_Computer1
[Identification]
;Join the computer to the domain ITDOMAIN
JoinDomain=ITDOMAIN
[Networking]
;Bind the default protocols and services to the (s) network card used
;in this computer.
InstallDefaultComponents=Yes
  

メモ Sysprep.inf を使って管理者パスワードを変更できるのは、既存のパスワードが null の場合だけです。これは、Sysprep GUI で管理者パスワードを変更する場合にも当てはまります。

Sysprep.inf で使用される応答ファイルのセクションとコマンドの詳細については、このマニュアルの「付録 C 無人セットアップ用応答ファイルの例」を参照してください。

Setupcl.exe

Setupcl.exe の機能は次のとおりです。

  • コンピュータの新規 SID を再生成する。

  • ミニ セットアップ ウィザードを開始する。

ミニ セットアップ ウィザード
ミニ セットアップ ウィザードは、Sysprep で複製したディスクから、コンピュータを初めて起動すると実行されます。このウィザードでは、対象コンピュータをカスタマイズするのに必要な情報を指定します。Sysprep.inf を使用しない場合や、Sysprep.inf ファイルに一部のセクションを記述しなかった場合は、ミニ セットアップ ウィザード画面に Sysprep.inf で応答が指定されていない項目が表示されます。ウィザードには 次の画面があります。

  • 使用許諾契約書 (EULA)

  • 地域のオプション

  • ユーザー名と会社名

  • コンピュータ名と管理者パスワード

  • ネットワーク設定

  • TAPI 設定 (コンピュータにモデムまたはモデムに相当する新規デバイスが接続されている場合のみ)

  • サーバー ライセンス (サーバーのみ)

  • タイム ゾーンの選択

  • 完了/再起動

これらの画面を表示させたくない場合は、Sysprep.inf に該当するパラメータを記述します。これらのパラメータの一覧を表 13.6 に示します。

メモ ディスプレイ装置については、セットアップで最適な設定が検出されるので、セットアップまたはミニ セットアップ ウィザードの実行中に「ディスプレイの設定」画面が表示されることはありません。[Display] セクションは、マスタ コンピュータで使用する応答ファイルか、複製先コンピュータで使用する Sysprep.inf ファイルのいずれかで指定します。マスタ コンピュータの応答ファイルで指定した [Display] セクションの設定は、Sysprep.inf で異なる値が指定されている場合や、マスタ コンピュータでの検出結果と異なる設定をビデオ アダプタまたはモニタで必要とする場合を除いて、Sysprep でも使用されます。

13.6 ミニ セットアップウィザードの表示を避けるための Sysprep.inf パラメータ

パラメータ

 

 

地域のオプション

[RegionalSettings] セクション
[GuiUnattended]
OemSkipRegional=1

ユーザー名と会社名

[UserData]
FullName="ユーザー名"
OrgName="会社名"

コンピュータ名と管理者パスワード

[UserData]
ComputerName=W2B32054
[GuiUnattended]
AdminPassword=""

ネットワーク設定

[Networking]
InstallDefaultComponents=Yes

TAPI 設定

[TapiLocation]
AreaCode=425

タイム ゾーンの選択

[GuiUnattended]
TimeZone=<desired time zone index>

完了/再起動

N/A

Sysprep を手動で実行する
Windows 2000 Server のインストールを完了したら、Sysprep を使ってシステムを同様の構成を持つほかのコンピュータに転送する準備します。手動で Sysprep を実行するには、まず Windows 2000 Server のインストールと、システムの設定、アプリケーションのインストールを行います。次に、reboot コマンド ライン スイッチを付けずに Sysprep を実行します。システムをシャットダウン後、ドライブ イメージを同じ構成を持つコンピュータに複製します。

ユーザーが複製先のコンピュータを初めて起動すると、Sysprep ミニ セットアップ ウィザードが起動されます。このウィザードでシステムをカスタマイズします。Sysprep 設定パラメータの一部または全部を、Sysprep.inf であらかじめ指定しておくことができます。Sysprep ミニ セットアップが完了すると、Sysprep.exe と Setupcl.exe が格納されている Sysprep フォルダが自動的に削除されます。

Windows 2000 Server のインストール時に複製の準備を行うには

  1. [スタート] メニューで [ファイル名を指定して実行] をクリックし、次のように入力します。

    cmd

  2. コマンド プロンプトで次のように入力し、ドライブ C のルート フォルダに移動します。

    md sysprep

  3. ドライブに Windows 2000 Server CD を挿入します。\Support\Tools フォルダの Deploy.cab ファイルを開きます。

  4. Sysprep.exe と Setupcl.exe を Sysprep フォルダにコピーします。

    ysprep.inf を使用する場合は、このファイルも Sysprep フォルダにコピーします。Sysprep が正常に機能するためには、Sysprep.exe、Setupcl.exe、および Sysprep.inf が同じフォルダに入っている必要があります。

  5. コマンド プロンプトで次のように入力して、Sysprep フォルダに移動します。

    cd sysprep

  6. 続けて次のいずれかのコマンド ラインを入力します。

    Sysprep
    Sysprep -reboot
    Sysprep /<optional parameter>
    Sysprep /<optional parameter> -reboot
    Sysprep /<optional parameter 1>U/<optional parameter X>
    Sysprep /<optional parameter 1>U/><optional parameter X> -reboot
    
    
  7. -reboot コマンド ライン スイッチを指定しなかった場合は、次の手順を実行します。

    コンピュータのシャットダウンを要求するメッセージが表示されたら、[スタート] メニューの [シャットダウン] をクリックします。これで、サードパーティ製のディスク イメージング ツールを使用して、インストール イメージを作成することができます。

    検証のため -reboot コマンド ライン スイッチを指定した場合は、コンピュータが再起動し、ミニ セットアップ ウィザードが起動します。次の手順を実行します。

    • ミニ セットアップ ウィザードで必要なプロンプトが表示されることを確認します。このとき、システムとその他のアプリケーションの検証も行うことが可能です。検証が完了したら、-reboot コマンド ライン スイッチを付けずに Sysprep を再度実行します。

    • コンピュータのシャットダウンを要求するメッセージが表示されたら、[スタート] メニューの [シャットダウン] をクリックします。これで、サードパーティ製のディスク イメージング ツールを使用し、インストール イメージを作成することができます。

メモ Sysprep フォルダに Cmdlines.txt ファイルを入れて、セットアップ時に処理させることもできます。このファイルは、アプリケーションのインストールのためのコマンドなど、セットアップ後にコマンドを実行させるために使用します。

セットアップ完了後に Sysprep を自動実行する
応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションには、セットアップ完了後に実行するコマンドを記述します。[GuiRunOnce] セクションを使うと、セットアップ完了後、自動的にコンピュータにログオンしてから、Sysprep を -quiet モードで実行し、コンピュータをシャットダウンさせることができます。これを行うには、次の手順を実行します。

  1. 必要な Sysprep ファイルを $OEM$\$1\Sysprep\ の配布フォルダに入れ、ファイルをシステム ドライブの正しい位置にコピーします。

  2. 応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションに、コンピュータで最後に実行させる次のコマンドを追加します。

                   %systemdrive%\Sysprep\Sysprep.exe -quiet
    
    
    

    再起動が複数回必要な場合は、このコマンドを [GuiRunOnce] セクションの最後のコマンドとして追加します。

Sysprep を使用してディスク パーティションを拡張する
Windows 2000 の GUI セットアップとミニ セットアップでは、応答ファイルを使って NTFS パーティションを拡張できます。この新しい機能を使うと、次の作業を行うことができます。

  • マスタ コンピュータのオリジナル ハードディスクよりもインストール先のディスクのサイズが大きい場合は、それを十分に活用するため、ディスク パーティションを拡張してイメージを作成できるようにする。

  • オリジナルのハードディスクよりもサイズの小さいハードディスクにイメージを作成できるようにする。

それぞれの環境でこの機能をどう採用するか決定するには、作業手順を確認し、オペレーティング システムのイメージング ツールに応じて最も適した方法を選択します。

注意
イメージング ツールでイメージを修正できる場合は、Pagefile.sys、Setupapi.log、および Hyberfil.sys (存在する場合) ファイルを削除しても構いません。これらのファイルは、インストール先のコンピュータでミニ セットアップ ウィザードを実行すると、再度作成されるからです。アクティブなシステムでこれらのファイルを削除すると、システムが正常に動作しなくなるので、削除しないでください。削除する場合は、必ずイメージから削除してください。

Windows 2000 で採用している NTFS 対応のサードパーティ製イメージング ツールまたはハードウェア イメージング デバイスを使用して、ハードディスクのパーティションを拡張するには

  1. マスタ コンピュータのハードディスクのパーティションを、Windows 2000 とプレインストールするすべてのコンポーネントおよびアプリケーションのインストールに必要な最小のサイズに設定します。こうすることで、イメージに必要なディスク容量のサイズを小さくできます。

  2. 応答ファイルの [Unattended] セクションに、マスタ イメージの作成に必要な FileSystem=ConvertNTFS を追加します。ここではイメージ サイズをできるだけ小さくした方がいいので、ExtendOemPartition を追加する必要はありません。

    メモ ConvertNTFS はテキスト モードのみの機能なので、テキスト モードを使用しない Sysprep.inf に記述しても動作しません。

  3. Sysprep.inf の [Unattended] セクションに、次の文を追加します。

    ExtendOemPartition = 1 
    

    (または、パーティションを拡張する場合、追加サイズを MB で指定)

  4. Windows 2000 をマスタ コンピュータにインストールします。Sysprep により、自動的にシステムをシャットダウンします。

  5. ドライブのイメージを作成します。

  6. マスタ コンピュータのシステム パーティションと同じサイズの複製先コンピュータのシステム パーティションに、イメージがコピーされます。

  7. 複製先コンピュータを再起動します。

    ミニ セットアップ ウィザードが起動し、ほぼ同時にパーティションが拡張されます。

Windows 2000 で採用している NTFS に未対応のイメージング製品を使用して、ハードディスクのパーティションを拡張するには

  1. マスタ コンピュータのハードディスクのパーティションを、Windows 2000 とプレインストールするすべてのコンポーネントおよびアプリケーションのインストールに必要な最小のサイズに設定します。こうすることで、イメージに必要なディスク容量のサイズを小さくできます。

  2. Windows 2000 付属の Convert.exe ツールを使用して、ファイル システムを NTFS に変換します。

  3. 応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションの最後に、マスタ イメージの作成に必要な次の 2 つの文を追加します。

    [GuiRunOnce]
    <Command1> = "<command line>"
    <Command2> = "<command line>"
    ...
    <Commandn-1> = "Convert c:\ /fs:ntfs"
    <Commandn> = "%systemdrive%\sysprep\sysprep.exe -quiet"
    

    各パラメータの説明

    • <command line>: イメージを作成する前にアプリケーションをインストールし、オペレーティング システムを設定するために実行するコマンド。

    • <Commandn-1>: 応答ファイルの [GuiRunOnce] セクションで最後から 2 番目に実行するコマンドです。"Convert": コマンドを実行します。Convert は、オペレーティング システムの実行中はアクティブなシステムを NTFS に変換することはできないので、次回コンピュータを再起動したときに変換するように設定します。次に実行するコマンドが Sysprep なので、このプロセスの間、システムは NTFS に変換されません。

    • <Commandn>: コンピュータで実行する最後のコマンドで、Sysprep.exe になります。 Sysprep は、コンピュータでイメージを作成するための準備を行った後、コンピュータをシャットダウンします。

    メモ 上の手順では、マスタ応答ファイルに ExtendOemPartition を記述できません。これは、イメージが作成されるパーティションは NTFS ではないからです。また、イメージのサイズは通常できるだけ小さくします。

  4. Sysprep.inf の [Unattended] セクションに次の文を追加します。

    ExtendOemPartition = 1
    

    (または、パーティションを拡張する場合、追加サイズを MB で指定)

  5. Windows 2000 をマスタ コンピュータにインストールします。Sysprep により、自動的にシステムをシャットダウンします。

    重要コンピュータを再起動しないでください。

  6. ドライブのイメージを作成します。

  7. マスタ コンピュータのシステム パーティションと同じサイズの複製先コンピュータのシステム パーティションに、イメージがコピーされます。

  8. 複製先コンピュータを再起動します。

    複製先コンピュータのパーティションを NTFS に変換するため、最初は対話モードで起動します。

    コンピュータが自動的に再起動します。

    ミニ セットアップ ウィザードが起動し、ほぼ同時にパーティションが拡張されます。

Systems Management Server を使用する

複数の、特に地理的に離れた場所にあるシステムに Windows 2000 Server のアップグレードを管理して行うには、SMS を使用します。SMS は、既にいずれかのオペレーティング システムがインストールされているコンピュータへのインストールにのみ使用される点に注意してください。SMS を使用してアップグレードする前に、既存のネットワーク インフラ、つまり帯域幅、ハードウェア、地理的制約などを評価しておくことが重要です。SMS を使ったアップグレードの大きな利点は、アップグレード手順を中央で集中管理できることです。たとえば、アップグレード タイミングの決定 (トレーニング中、トレーニング後、ハードウェア検証後、ユーザー データのバックアップ後など)、アップグレード対象コンピュータの選択、ネットワーク上の制約などを管理できます。SMS による展開の詳細については、このマニュアルの「第 14 章 Systems Management Server を使用した Windows 2000 の展開」を参照してください。

ブート可能な CD を使用する

ブート可能な CD-ROM からの起動が BIOS でサポートされているコンピュータへのインストールするには、ブート可能な CD を使用します。この方法は、ネットワークの速度が遅く、独自の IT 部署を持たないリモート サイトのコンピュータへのインストールに威力を発揮します。ブート可能な CD を使用する方法は、Winnt32.exe を実行するので、高速インストールが可能です。

メモ ブート可能な CD による方法は、クリーン インストールにのみ使用できます。アップグレードを行うには、既存のオペレーティング システムから Winnt32.exe を実行します。

最も柔軟性の高い BIOS でのブート順は次のとおりです。

  • ネットワーク アダプタ

  • CD

  • ハード ディスク

  • フロッピー ディスク

ブート可能な CD を使用するには、次の基準を満たしている必要があります。

  • インストール先のコンピュータが、ブート可能な CD 用の El Torito No Emulation サポートに対応している。

  • 応答ファイルに [Data] セクションがあり、そこに必須キーが指定されている。

  • Winnt.sif という名前の応答ファイルがフロッピー ディスクに格納されている。

応答ファイルのパラメータと構文の詳細については、Microsoft Windows 2000 オペレーティング システム CD に収録されている「Microsoft Windows 2000 Guide to Unattended Setup」 (Unattend.doc) を参照してください。Unattend.doc ファイルは、\Support\Tools フォルダにある Deploy.cab ファイルに圧縮されて入っています。Windows 98 または Windows 2000 では、Windows エクスプローラを使ってこの文書を取り出すことができます。Windows 95 以前のバージョン、または MS-DOS では、Extract コマンドを使用してファイルを抽出します。

ブート可能な CD を使用して Windows 2000 をインストールするには

  1. Windows 2000 Server CD からシステムを起動します。

  2. 青いテキスト モード画面に「Windows 2000 セットアップ」と表示されたら、Winnt.sif ファイルが入ったフロッピー ディスクをフロッピー ドライブに挿入します。

  3. フロッピー ディスクからの読み込みが終わったら、フロッピー ディスクをドライブから取り出します。Winnt.sif ファイルに記述されているとおり、CD からセットアップが実行されます。

メモ ブート可能な CD によるインストールを行うには、必要なファイルがすべて CD に収録されている必要があります。この方法では、UDB (Uniqueness Database File) は使用できません。

インストール設定例

ここでは、既存のサーバー設定がある場合とない場合に、Windows 2000 Server をコンピュータにインストールする例を紹介します。

既存のサーバー

ここでは、既存のサーバー設定があるコンピュータにインストールする例を示します。

  • Windows NT Server と、Windows 2000 Server と互換性のあるサーバー アプリケーションを実行中のコンピュータ

  • Microsoft® Windows NT® Server Version 3.5 (以下 Windows NT Server 3.5) またはそれ以前のバージョンを実行中のコンピュータ、または Microsoft 以外のオペレーティング システムを実行中のサーバー

1: Windows NT Server Windows 2000 互換のサーバー アプリケーション
ここでは、Windows 2000 Server を、Windows NT Server を実行しているコンピュータにインストールする例を示します。ハードウェアに互換性がある場合とない場合に分けて説明します。

互換ハードウェアを持つコンピュータに Windows 2000 Server をインストールするには

  1. システム全体をバックアップします。

    次のいずれかの方法でシステムをアップグレードします。

    • プッシュ インストールを開始します。これは、プログラムやアプリケーションをマスタ コンピュータから対象コンピュータに自動的に送信する方法です。この方法では、ユーザーや管理者がアクティビティを開始する必要はありません。

      - または -

    • Winnt32.exe に必要なパラメータを付けて実行し、コマンド プロンプトからローカル インストールを行います。

      - または -

    • 応答ファイルがない場合は、手動インストールを行います。表示されるプロンプトにすべて回答します。

      - または -

    • 自動または一部自動インストールを行います。完全自動インストールでは、すべての質問に対する答えが応答ファイルに記載されています。アプリケーションの選択など、一部の項目をユーザーに入力させたい場合は、一部自動インストールを使用します。

非互換ハードウェアを持ち、ハードディスクの交換が必要ないコンピュータに Windows 2000 Server をインストールするには

  1. ハードディスク以外の、交換が必要なハードウェアを取り換えます。

  2. 新しいハードウェアがすべて正常に動作することを確認します。

  3. システム全体をバックアップします。

    以下のいずれかの方法でシステムをアップグレードします。

    • プッシュ (完全自動) インストールを開始します。

      - または -

    • Winnt32.exe に必要なパラメータを付けて実行し、コマンド プロンプトからローカル インストールを行います。

      - または -

    • 応答ファイルがない場合は、手動インストールを行います。表示されるプロンプトにすべて回答します。

      - または -

    • 自動または一部自動インストールを行います。

非互換性ハードウェアを持ち、ハードディスク交換が必要なコンピュータに Windows 2000 Server をインストールするには

  1. 次のいずれかまたは両方をアップグレードします。

    • RAM

    • プロセッサ

  2. 新しいハードウェアがすべて正常に動作することを確認します。

  3. システム全体をバックアップします。

  4. ハードディスクを交換します。バックアップしたイメージをコピーします。

    アップグレードでは、次のいずれかの手順を実行します。これは、サーバーの構成が特殊な場合か、またはそれに近い場合に特に便利です。

    • プッシュ (完全自動) インストールを開始します。

      - または -

    • Winnt32.exe に必要なパラメータを付けて実行し、コマンド プロンプトからローカル インストールを行います。

      - または -

    • 応答ファイルがない場合は、手動インストールを行います。表示されるプロンプトにすべて回答します。

      - または -

    • 自動または一部自動インストールを行います。

    クリーン インストールでは、次のいずれかの手順を実行します。

    • ディスク複製ハードウェアまたはソフトウェアを使用してハードディスクを交換する前に、Syspart を使った手順を実行し、必要なファイルをすべてハード ディスク上に格納してください。システムを起動すると、セットアップが自動的に実行されます。必要なサーバー アプリケーションを再インストールします。

      - または -

    • プッシュ (完全自動) インストールを開始します。

      - または -

    • Winnt32.exe に必要なパラメータを付けて実行し、コマンド プロンプトからローカル インストールを行います。

      - または -

    • 応答ファイルがない場合は、手動インストールを行います。表示されるプロンプトにすべて回答します。

      - または -

    • 自動または一部自動インストールを行います。

2: Windows NT Server 3.5 以前のバージョンと Microsoft 以外のサーバー コンピュータ
アップグレードできないサーバーのオペレーティング システムには、Windows NT 3.5 またはそれ以前のバージョン、Novell、Banyan Vines、UNIX、および OS/2 があります。クリーン インストールの準備を行うには、OEM プロバイダやソリューション プロバイダが製造したクライアント コンピュータを入手します。

Windows NT Server 3.5 またはそれ以前のバージョン、または Microsoft 以外のオペレーティング システムを実行中のコンピュータに Windows 2000 をインストールするには

  1. システムをバックアップします。

    次のいずれかの方法で、コマンド プロンプトに必要なパラメータを付けて Winnt.exe を実行します。

    • 応答ファイルがない場合は、手動インストールを行います。表示されるプロンプトにすべて回答します。

    - または -

    • 自動または一部自動インストールを実行します。次のいずれかの方法を使用します。

      • CD-ROM ブート セットアップ。

      • Syspart。新しいハードディスクをコンピュータにインストールするときに便利です。

      • Sysprep。HAL と大容量記憶装置デバイス コントローラが完全に同じであるコンピュータにインストールする場合に使用します。

    メモ 既存のコンピュータに対し、クリーン インストールを行うことも可能ですが、お勧めはできません。アップグレードできないサーバーがあれば、そのようなサーバーを、Windows 2000 Server をクリーン インストールした新しいサーバーとすべて交換してください。こうすることで、システムの安定性を検査する時間がとれ、ユーザーへ及ぼす影響を減らしたり、必要な参照や設定を新しいサーバーに移行させる時間的な余裕が生まれます。

  2. Windows 2000 Server と互換性のあるアプリケーションをインストールします。

  3. 必要に応じて、システムの機能を検査します。

  4. 既存システムをシャットダウンする前に、ユーザーと参照を新しいシステムに移行します。

新規のサーバー

Windows 2000 Server にアップグレードできるオペレーティング システムがインストールされていないサーバー コンピュータでは、Windows 2000 Server のクリーン インストールを行う必要があります。

インストールの準備を行うには、OEM プロバイダやソリューション プロバイダが製造したクライアント コンピュータを入手します。

Windows 2000 にアップグレード可能なオペレーティング システムがインストールされていないコンピュータに Windows 2000 Server をインストールするには

  1. 応答ファイルがない場合は、手動インストールを行います。表示されるプロンプトにすべて回答します。

    - または -

    自動または一部自動インストールを実行します。次のいずれかの方法を使用します。

    • CD-ROM ブート セットアップ。

    • Syspart。新しい内蔵ハードディスクをコンピュータにインストールする場合は便利です。

    • Sysprep。HAL と大容量記憶装置デバイス コントローラが完全に同じであるコンピュータにインストールする場合に使用します。

    • ディスクを起動し、応答ファイルを使用してセットアップを実行します。

インストール作業リスト

表 13.7 に、Windows 2000 Server と必要なアプリケーションをサーバー コンピュータにインストールする際の作業の一覧を示します。

13.7 インストール作業一覧

作業

この章内の参照先

計画のための重要な検討事項を解決する。

重要な検討事項を解決する

配布フォルダを作成する。

インストールの準備を行う

応答ファイルを検討する。

応答ファイルの概要

Windows 2000 セットアップ コマンドを検討する。

インストールの準備を行う

重要な検討事項に基づいて、アプリケーションのインストール方法を選択する。

サーバー アプリケーションのインストールを自動化する

重要な検討事項に基づいて、オペレーティング システムのインストール方法を選択する。

Windows 2000 Server のインストールを自動化する