2007 Office system のセットアップのアーキテクチャの概要

更新日: 2010年4月

適用対象: Office Resource Kit

 

トピックの最終更新日: 2010-03-26

この記事の内容 :

  • セットアップのプロセス

  • 特定の言語に依存しない設計

  • 合理化されたカスタマイズ モデル

  • 必須のローカル インストール ソース

  • 統合された更新処理

2007 Microsoft Office system のセットアップのアーキテクチャは、Office のインストール、カスタマイズ、およびメンテナンスのすべての面を合理化するよう設計されています。新しいセットアップ プログラムは、Office のユーザー向け構成のカスタマイズ、複数言語の同時展開、新しいインストールへのソフトウェア更新プログラムの適用を含むインストール プロセス全体を統合し、管理します。この記事では、セットアップのアーキテクチャ、セットアップの一連のイベント、特定の言語に依存しない設計と複数言語の展開、カスタマイズの方法、必須のローカル インストール ソース、および更新処理の、それぞれにおける変更の概要について説明します。

2007 Office system のセットアップを変更することで、管理者は以下の点をより効率的に管理できるようになります。

  • 環境に対して最も効率的な方法で Office をインストールするための展開プロセス。

  • コンピュータを最適に構成するための Office のカスタマイズ。

  • 世界各地のオフィスにいるユーザーのための言語固有の機能の展開。

  • ソフトウェア更新プログラムなどの今後のメンテナンスをできる限り効率的にする方法を利用した Office の展開。

以前のバージョンの Office では、Microsoft Office Standard などの単一の Office 製品は単一の "Windows インストーラ (MSI) ファイル" に含まれていました。MSI ファイルは、Windows インストーラが製品のインストールに使用するリレーショナル データベースです。これに対し、2007 Office system 製品は複数の MSI ファイルで構成されており、単一の MSI ファイルは製品全体を表していません。2007 Office system では、特定の言語に依存しないコア パッケージ (MSI ファイル) に 1 つ以上の言語固有のパッケージが組み合わされて製品が構成されています。たとえば、Microsoft Office Standard 2007 のような Office 製品は、コア パッケージと、1 つまたは複数の言語固有のパッケージで構成されています。セットアップによって、個々のパッケージが組み合わされ、インストールがシームレスに統合されます。また、ユーザーのコンピュータに Office をインストールしている間やインストールの後で、カスタマイズおよびメンテナンスのタスクを実行できます。

セットアップのプロセス

通常、企業で Office をインストールする際の最初の手順は、"ネットワーク インストール ポイント" を作成することです。この作業では、Office 製品の CD からネットワークの共有フォルダにすべてのファイルとフォルダをコピーするだけです。最小限の構成では、ネットワーク インストール ポイントには、特定の言語に依存しないコア パッケージと 1 つの言語に固有のフォルダが含まれます。このインストール ポイントは、Office をインストールするすべてのユーザーの一次的なソースとして機能します。

最も単純なシナリオでは、1 つの言語バージョンの Office 製品を、すべてのユーザーに対して 1 つのカスタマイズ セットで、ネットワーク インストール ポイントから展開します。このシナリオは、セットアップによって自動的に処理されます。複数の製品または言語を展開する場合は、それらを同じネットワーク インストール ポイントに追加して、インストールする製品および言語を指定することができます。これらすべてのシナリオでは、セットアップによって同じタスクが実行され、適切な MSI ファイルのセットが組み合わされて、インストールが完了します。

[!メモ] 以前のバージョンの Microsoft Office 製品とは異なり、2007 Office system では、圧縮されたソース ファイルを抽出するために、/a コマンド ライン オプションを指定してセットアップを実行し、管理者インストール ポイントを作成することはできません。インストールはすべて圧縮されたソースから実行されます。

このセクションの内容 :

  • セットアップの一連のイベント

  • インストール ポイントに複数の製品を含める

  • セットアップを対話形式で実行する

セットアップの一連のイベント

基本的なセットアップの一連のイベントは次のとおりです。これらは、すべての展開シナリオで同じ順序になります。

  1. セットアップを実行する。

  2. 前提条件を確認する。

  3. XML データを読み込む。

  4. 機能ツリーを構築する。

  5. ユーザーのコンピュータにローカル インストール ソースを作成する。

  6. Office をインストールする。

  7. カスタマイズ ファイルを適用する。

  8. ソフトウェアの更新プログラムを適用する。

セットアップを実行する

Setup.exe は、インストール プロセスのすべてのメカニズムを開始するプログラムであり、ネットワーク インストール ポイントのルートにあります。インストールする各 Office 製品について 1 回ずつセットアップを実行します。セットアップを実行すると、ネットワーク インストール ポイントで、インストールする Office 製品が検索されます。インストール ポイントに複数の Office 製品が含まれている場合は、ユーザーに対して、インストールする製品の選択肢が表示されます。

Setup.exe でコア製品フォルダにある Config.xml ファイルを指定することによって、選択処理を回避し、インストールする Office 製品を指定することができます。たとえば、Office Standard 2007 をインストールする場合は、次のコマンド ラインを使用できます。

\\ server \ share \Office12\setup.exe /config \\ server \ share \Office12\Standard.WW\Config.xml

ここで、Office12 はネットワーク インストール ポイントのルートです。

以前のバージョンの Office では、Setup.exe は Windows インストーラ (Msiexec.exe) を呼び出して Office のインストールを実行していました。現在のバージョンでもセットアップは Windows インストーラを使用しますが、Windows インストーラの実行可能プログラムは使用されません。Msiexec.exe のコマンド ラインを使用して、2007 Office system をインストールすることはできません。

[!メモ] このバージョンの Setup.exe で認識されるコマンド ライン オプションは数個だけです。詳細については、「2007 Office system のセットアップのコマンド ライン オプション」を参照してください。

前提条件を確認する

セットアップを開始すると、最小限必要なオペレーティング システムの要件、管理権限など、数多くのインストールの前提条件が確認されます。Office をインストールするには、ユーザーはクライアント コンピュータの管理者である必要があります。または、Microsoft Systems Management Server などのツールを使用して、昇格された特権でインストールを実行する必要があります。

Office をインストールするための管理権限をユーザーに付与する方法の詳細については、「2007 Office system を管理者ではないユーザーに展開する」を参照してください。

XML データを読み込む

セットアップは、インストール ポイント上の各パッケージに関する情報を収集し、インストールの既定の設定をまとめて、指定されたカスタマイズを組み込みます。セットアップは、このすべての情報を複数のソースから XML データの形式で収集します。

  • 各パッケージの Setup.xml ファイルとPackage.xml ファイル。インストール ポイントの各フォルダ (特定の言語に依存しないコア パッケージ用のフォルダと、各言語に固有のパッケージ用のフォルダ) には、Setup.xml とPackage.xml ファイル (たとえば、Office Standard 2007 の場合は StandardWW.xml) が含まれています。これらのファイル内の情報を使用して、セットアップで次の処理を行うことができます。

    • 製品およびその製品で利用可能な言語を指定する。

    • 特定の言語に依存しない要素と言語に固有の要素を組み合わせて、完全な機能を作成する。

    • 統合された機能ツリーを構築する。

    • インストールに必要な MSI ファイルのセットを収集する。

    [!メモ] Setup.xml ファイルおよびPackage.xml ファイルは署名されており、編集できません。これらのファイルを変更すると、セットアップが失敗します。

  • セットアップ カスタマイズ ファイル。セットアップは、インストール プロセスの初期段階で、インストールする製品のセットアップ カスタマイズ ファイル (.msp ファイル) が指定されているかどうかを調べます。セットアップ カスタマイズ .msp ファイルは、管理者が Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用して 2007 Microsoft Office system のインストールをカスタマイズするときに作成されます。OCT はセットアップ プログラムの一部になっており、ほとんどのカスタマイズに対する推奨ツールです。このカスタマイズ ファイルには、インストール プロセスを制御するカスタマイズを含め、インストールに関して指定するすべての変更が含まれています。

    コマンド ラインまたは Config.xml ファイルでカスタマイズ ファイルが指定されていない場合、セットアップはインストール ポイントの Updates フォルダで、インストールする製品に固有のカスタマイズ ファイルを検索します。Updates フォルダは、既定でインストール ポイントに含まれています。多くの場合、Updates フォルダは、インストール ポイントに含まれているすべての Office 製品のセットアップ カスタマイズ .msp ファイルとソフトウェア更新プログラムの両方を格納する場所として推奨されています。Updates フォルダでサポートされるのは、1 つのセットアップ カスタマイズ .msp ファイルのみです。追加のセットアップ カスタマイズ .msp ファイルは、Office のインストールが完了した後に展開できます。

    セットアップは、カスタマイズ ファイルに追加された XML データを使用して、製品のインストール方法を決定します。たとえば、自動モードで実行するかどうか、どの機能を機能ツリーに表示するかなどです。カスタマイズ ファイルでの設定は、Setup.xml ファイルおよび Package.xml ファイルに含まれている既定の設定よりも優先されます。

    セットアップ カスタマイズ ファイルの詳細については、「合理化されたカスタマイズ モデル」を参照してください。OCT を使用する方法については、「2007 Office system の Office カスタマイズ ツール」を参照してください。

  • Config.xml ファイル。コア製品フォルダには、それぞれの製品をインストールするセットアップを示す Config.xml ファイルが含まれています。Config.xml を編集してインストール プロセスをカスタマイズできます。たとえば、Config.xml の要素を使用して、インストールに含める製品や言語を指定できます。Config.xml での設定は、カスタマイズ ファイルでの設定、および Setup.xml ファイルや Package.xml ファイルに含まれている既定の設定よりも優先されます。

    Config.xml を編集する方法とタイミングの詳細については、「2007 Office system の Config.xml ファイル」を参照してください。

機能ツリーを構築する

セットアップは、XML ファイルに含まれている情報を使用して、製品で利用できるすべてのアプリケーションと機能を含む単一の機能ツリーを作成します。Office カスタマイズ ツールを使用して、機能ツリーを表示し、ユーザーのコンピュータにインストールするアプリケーションおよび機能を指定します。ユーザーが対話形式でセットアップを実行することを許可されている場合は、セットアップのユーザー インターフェイスに、管理者が変更を加えた機能ツリーが表示されます。

インストールする Office 機能を指定する方法の詳細については、「2007 Office system の機能のインストール状況を構成する」を参照してください。

ユーザーのコンピュータにローカル インストール ソースを作成する

セットアップは、Office Source Engine (Ose.exe) という名前のプログラムを呼び出して、必要なローカル インストール ソース (LIS) をユーザーのコンピュータ上に作成します。ローカル インストール ソースを作成するために、セットアップでは、インストール ポイントからユーザーのコンピュータ上の隠しフォルダへファイルをコピーします。既定の場所は、Office をインストールするドライブのルートにある \MSOCache\All Users です。後で、セットアップは Windows インストーラを使用して、このローカル インストール ソースから Office をインストールします。

ローカル インストール ソースを使用することには、重要な利点がいくつかあります。

  • Office をインストールした後、セットアップはローカル ソースを使用して Office の機能を修復、再インストール、または追加することができます。

  • ローカルにあるインストール ソースを使用できるので、ユーザーがソフトウェア更新プログラムを適用するときに、ネットワークや CD のソースを求められることが少なくなります。

  • あらかじめローカル インストール ソースを展開しておいて、後でユーザーのコンピュータで Office のインストールを開始することにより、ネットワーク上の負荷を軽減することができます。この場合、ローカル インストール ソースからセットアップを実行することもでき、ユーザーはネットワークに接続せずに Office のインストールを完了できます。

ローカル インストール ソースの詳細については、「必須のローカル インストール ソース」を参照してください。

Office をインストールする

インストールが始まると、セットアップは必要なディスク容量と機能の依存関係を調べ、Windows インストーラを呼び出して、適切なパッケージのセット (MSI ファイル) をローカル インストール ソースからユーザーのコンピュータにインストールします。セットアップは、前に説明した XML データを使用して、インストールに含める MSI ファイルのセットを決定します。インストール中に表示される進行状況バーには、Updates フォルダにあるカスタマイズやソフトウェア更新プログラムの適用など、インストール プロセス全体が反映されます。

[!メモ] セットアップは Windows インストーラを使用して Office をインストールしますが、セットアップを使用せず、Windows インストーラのみを使用しても、個々の MSI ファイルはインストールできません。

カスタマイズ ファイルを適用する

インストール プロセスで、セットアップはカスタマイズ ファイルをユーザーの構成に適用します。その結果は、以前のバージョンの Office で Windows インストーラ変換 (MST ファイル) を適用した場合の結果と似ています。つまり、カスタマイズの内容は、ユーザーの既定の構成になります。カスタマイズ ファイルには、インストール プロセスをカスタマイズする XML データに加えて、既定のユーザー設定、機能のインストール状況、Microsoft Outlook のプロファイル、およびユーザーの構成に対するその他の変更を含めることができます。

カスタマイズ ファイルは製品固有です。セットアップは、インストールする製品に関連するカスタマイズ ファイルのみを適用します。

[!メモ] 複数のセットアップ カスタマイズ .msp ファイルを展開する予定の場合は、最初のインストールの Updates フォルダに、1 つのセットアップ カスタマイズ .msp ファイルのみを配置できます。他のカスタマイズ セットアップ .msp ファイルは、Office のインストールが完了した後に展開する必要があります。前に説明したように、Updates フォルダでサポートされるのは 1 つのカスタマイズ ファイルのみです。Updates フォルダに配置するカスタマイズ .msp ファイルは最初に展開されるので、インストール後の変更ができないセットアップ カスタマイズ情報 (インストールの場所など) をすべてこのファイルに含める必要があります。

ユーザー グループごとに異なる構成を作成する場合は、カスタマイズ ファイルを別の場所に保存し、セットアップのコマンド ラインで /adminfile オプションを使用して、目的のカスタマイズ ファイルを指定することをお勧めします。次に例を示します。

\\server\share\Office12\setup.exe /adminfile \\server\share\Office12\MyUpdates\Engineering.msp

ここで、Office12 はネットワーク インストール ポイントのルートです。

[!メモ] ローカル インストール ソースをプリキャッシュするときに、セットアップは Updates フォルダをネットワーク インストール ポイントからローカル インストール ソースにコピーします。これによって、オフライン インストールの場合でもカスタマイズを含めることができます。セットアップがインストールの前にローカル コンピュータにカスタマイズ ファイルをキャッシュするのは、この場合だけです。詳細については、「2007 Office system のローカル インストール ソースをプリキャッシュする」を参照してください。

ソフトウェアの更新プログラムを適用する

インストール プロセスの最後に、インストール ポイントの Updates フォルダ内にソフトウェア更新プログラム (.msp ファイル) があるかどうかが確認されます。ソフトウェア更新プログラムは、Office カスタマイズ ツールで作成するセットアップ カスタマイズ ファイルとは違い、製品の機能を強化するために Microsoft から配布されるものです。

ユーザーに対して Office を展開し、さらにソフトウェア更新プログラムの展開も必要とする場合は、セットアップを利用して、最初のインストール プロセスを実施するときに更新プログラムを適用できます。予測される必要なディスク容量や進行状況バーの表示には、インストール プロセスにおけるこの更新プログラムの手順も反映されます。ユーザーの観点からすると、プロセス全体が 1 つのイベントです。このモデルによって、元のインストール ポイントを保持しながら、新しいユーザーに製品の最新バージョンを提供することができます。

[!メモ] Updates フォルダは、2007 Office system の最初または新規のインストール時にのみ使用されます。Updates フォルダに含めることができるのは、1 つのセットアップ カスタマイズ .msp 修正プログラム、および .msp 形式の複数のサービスパックと修正プログラムのみです。

ソフトウェアの更新処理の詳細については、「統合された更新処理」を参照してください。

インストール ポイントに複数の製品を含める

ネットワーク インストール ポイントに複数の 2007 Office system 製品が含まれている場合、セットアップはすべてのフォルダとサブフォルダを調べ、Config.xml ファイルと Setup.xml ファイルを検索し、インストールする製品を選択するようユーザーに求めます。

複数の Office 製品をインストールする場合は、すべての製品を同じインストール ポイントに保存し、セットアップをカスタマイズして、特定の Office 製品をユーザーのコンピュータにインストールする方法が効率的です。

[!メモ] 複数の Office 製品を同じインストール ポイントにコピーするときに、共有されるセットアップ ファイルを上書きするかどうかを確認するメッセージが表示されることがあります。これらのファイルはすべての 2007 Office system 製品で共通なので、重複するフォルダを再度コピーする必要はありません。この効率的なしくみによって、ディスク容量が節約され、ネットワーク インストール ポイントを作成およびレプリケートするときの整合性が保持されます。

詳細については、「2007 Office system のインストールで任意のコマンドを実行する」を参照してください。

セットアップを対話形式で実行する

自動モードでインストールを実行することを選択した場合、ユーザーに対してプロセスはほとんどまたはまったく表示されません。ただし、ユーザーがセットアップのユーザー インターフェイスを表示できるようにしている場合は、選択した内容によってセットアップのいくつかの動作が影響を受けます。次に例を示します。

  • インストール ポイントで複数の Office 製品が利用できる場合に、ユーザーがコマンド ライン オプションを指定せずに Setup.exe を実行すると、セットアップはユーザーに対してインストールする製品の選択肢を表示します。

  • インストール ポイントで複数の言語を利用できる場合、既定では、セットアップはユーザーのコンピュータの Windows ユーザー ロケールに合わせて Office の言語を選択します。ただし、ユーザーが [ユーザー設定] インストール オプションを選択した場合は、セットアップのインターフェイスの [言語] タブに、ネットワーク インストール ポイントにあるすべての利用可能な言語の選択肢が表示されます。

  • カスタマイズ ファイルまたは Config.xml でプロダクト キーを入力し、マイクロソフト カスタマ ライセンス条項に同意している場合、これらの画面はセットアップ中にユーザーに対しては表示されません。

  • カスタマイズ ファイルを使用して特定の機能を非表示にしてロックしている場合、これらの機能は機能ツリーには表示されません。

表示設定のカスタマイズの詳細については、「2007 Office system をインストールする前にセットアップをカスタマイズする」を参照してください。

特定の言語に依存しない設計

2007 Office system では、Microsoft Office Standard 2007 などの Office 製品は次のようにまとめられています。

  • 特定の言語に依存しない要素は 1 つのコア パッケージ (MSI ファイル) にまとめられています。

  • 言語固有の要素はアプリケーションごとに個別のパッケージにまとめられています。

ファイルをこのように分類することで、多国間での展開が簡単になります。Office 製品の最も基本的なインストールは、コア パッケージと 1 つの言語で構成されます。言語の追加は、追加の単一言語パック (SLP) をネットワーク インストール ポイントにコピーするだけなので、簡単に行えます。すべての SLP は、まったく同じ方法でコア製品と連動します。英語バージョンを含む、Office のすべての言語バージョンは、同じ方法で展開されます。セットアップによって、特定の言語に依存しないコアパッケージと言語固有パッケージがシームレスなインストール プロセスで組み合わされます。

このセクションの内容 :

  • Office の言語バージョン

  • Office の言語パック

  • 複数言語の Office をインストールする

  • 各ユーザーのコンピュータに既定の言語をインストールする

  • ユーザーのコンピュータにインストールする 1 つまたは複数の言語を指定する

  • 言語パックを個別にインストールする

  • 校正ツールをインストールする

  • Office のインストール後に言語を追加する

Office の言語バージョン

すべての Office 製品には、少なくとも 1 セットの言語固有パッケージを含める必要があります。コア パッケージ (MSI ファイル) のみを単独で展開することはできません。Office 製品の CD やネットワーク インストール ポイントでは、これらの言語パッケージはフォルダに格納されています。各フォルダの名前には、言語を識別する言語タグが ll-cc という形式で含まれています。

たとえば、英語 (米国) とフランス語の両方の言語要素を持つ Microsoft Office Standard 2007 のインストール ポイントには、次のファイルとフォルダがあります。

2007 Office system ネットワーク インストール ポイント

  • Setup.exe (セットアップ プログラム)

  • Standard.WW フォルダ (特定の言語に依存しないコア製品)

  • Office.en-us フォルダ (英語 (米国) の共有機能)

  • Excel.en-us フォルダ (英語 (米国) の Excel の機能)

  • Outlook.en-us フォルダ (英語 (米国) の Outlook の機能)

  • PowerPoint.en-us フォルダ (英語 (米国) の PowerPoint の機能)

  • Word.en-us フォルダ (英語 (米国) の Word の機能)

  • Office.fr-fr フォルダ (フランス語の共有機能)

  • Excel.fr-fr フォルダ (フランス語の Excel の機能)

  • Outlook.fr-fr フォルダ (フランス語の Outlook の機能)

  • PowerPoint.fr-fr フォルダ (フランス語の PowerPoint の機能)

  • Word.fr-fr フォルダ (フランス語の Word の機能)

各フォルダには、同じインストール ファイル一式が含まれています。

2007 Office system ネットワーク インストール ポイント

  • Setup.exe

  • Standard.WW フォルダ

    • StandardWW.msi (Windows インストーラ パッケージ)

    • StandardWW.cab (圧縮されたキャビネット ファイル)

    • StandardWW.xml (Setup.exe が読み込む XML データ)

    • Setup.xml (Setup.exe が読み込む XML データ)

    • Config.xml (Setup.exe が読み込む XML データ)

  • Word.en-us フォルダ

    • WordMUI.msi (Windows インストーラ パッケージ)

    • WordLR.cab (圧縮されたキャビネット ファイル)

    • WordMUI.xml (Setup.exe が読み込む XML データ)

    • Setup.xml (Setup.exe が読み込む XML データ)

  • Word.fr-fr フォルダ (フランス語の Word の機能)

    • WordMUI.msi (Windows インストーラ パッケージ)

    • WordLR.cab (圧縮されたキャビネット ファイル)

    • WordMUI.xml (Setup.exe が読み込む XML データ)

    • Setup.xml (Setup.exe が読み込む XML データ)

[!メモ] 上記の例は、ネットワーク インストール ポイントの一部のみを示しています。上に示した以外のフォルダが存在する場合もありますが、すべてのフォルダはここで示した命名規則に従っています。

Office Standard 2007 製品は、上記のフォルダにあるファイルに分散されています。たとえば、Winword.exe (Microsoft Office Word 2007 の実行可能ファイル) など、どの言語にも固有でない要素は、Standard.WW コア パッケージ内にあります。ヘルプや Office Word 2007 のユーザー インターフェイスなど、その他の要素は、Word または Office 共有機能の該当する言語固有パッケージ内にあります。

特定の言語に依存しない要素と言語固有の要素は、どちらも完全な機能を作成するために必要です。Winword.exe 自体は、だれもが使用できる Word アプリケーションを表していません。同様に、Standard.WW フォルダにあるコアの Office Standard 2007 MSI ファイルは、完全な Office 製品を表していません。

セットアップによって、これらのすべての部品が組み合わされて完全な製品になります。各フォルダの Package.xml ファイルおよび Setup.xml ファイルには、完全な機能の作成、統合された機能ツリーの構築、およびインストール用 MSI ファイルの正しいセットの収集を行うためにセットアップが使用する情報が含まれています。XML データの収集や必要な MSI ファイルの組み合わせが完了すると、セットアップは Windows インストーラを使用して、ユーザーのコンピュータに Office をインストールします。ユーザーには、このプロセスが自動的かつシームレスに実行されるように見えます。

Word.en-us フォルダや Word.fr-fr フォルダなど、個別の MSI ファイルを含む言語固有のフォルダを使用しないで、2007 Office system に含まれる個別のアプリケーションを展開することはできません。ただし、インストールをカスタマイズして、ユーザーのコンピュータにインストールするアプリケーションおよび機能を指定することはできます。

[!メモ] Windows インストーラまたはその他の方法を使用して、Office インストール ポイントの MSI ファイルを個別にインストールすることはできません。また、デジタル署名された XML ファイル (Setup.xml および Package.xml) を編集したり、変更したりすることもできません。2007 Office system では、セットアップを使用して、ファイルおよびインストール情報を収集し、インストール プロセスを作成する必要があります。

Office の言語パック

言語固有のパッケージは、Office 製品の言語バージョンと、その言語の単一言語パック (SLP) という 2 つのコンテキストで使用されます。フランス語バージョンの Office Standard 2007 には、各アプリケーション用の言語固有のフォルダと Office Standard 2007 の共有機能用の言語固有のフォルダがあります。同じフォルダがフランス語の SLP に含まれています。この SLP には、2007 Office system の他の製品で必要となる言語固有のフォルダも含まれています。

たとえば、日本語の言語パックには次のファイルとフォルダがあります。

2007 Office system ネットワーク インストール ポイント

  • Setup.exe (セットアップ プログラム)

  • Access.ja-jp フォルダ (日本語の Access の機能)

  • Excel.ja-jp フォルダ (日本語の Excel の機能)

  • Groove.ja-jp フォルダ (日本語の Groove の機能)

  • InfoPath.ja-jp フォルダ (日本語の InfoPath の機能)

  • Office.ja-jp フォルダ (日本語の Office の共有機能)

  • OneNote.ja-jp フォルダ (日本語の OneNote の機能)

  • Outlook.ja-jp フォルダ (日本語の Outlook の機能)

  • PowerPoint.ja-jp フォルダ (日本語の PowerPoint の機能)

  • Publisher.ja-jp フォルダ (日本語の Publisher の機能)

  • SharePointDesigner.ja-jp フォルダ (日本語の SharePoint Designer の機能)

  • Word.ja-jp フォルダ (日本語の Word の機能)

  • OMUI.ja-jp フォルダ (言語パックを独立した製品として定義する)

  • XMUI.ja-jp フォルダ (言語パックの特定のカルチャを識別する)

Microsoft Office Project 2007 の言語固有の機能は各 SLP に含まれていますが、個別に展開されます。たとえば、日本語の SLP には、Office Project 2007 の次のフォルダも含まれています。

2007 Office system ネットワーク インストール ポイント

  • Project.ja-jp フォルダ (日本語の Project の機能)

  • PMUI.ja-jp フォルダ (Project の言語パックを独立した製品として定義する)

Microsoft Office Visio 2007 の言語固有の機能は類似した方法で処理されます。たとえば、日本語の SLP には、Office Visio 2007 の次のフォルダが含まれています。

2007 Office system ネットワーク インストール ポイント

  • Visio.ja-jp フォルダ (日本語の Visio の機能)

  • VMUI.ja-jp フォルダ (Visio の言語パックを独立した製品として定義する)

固有の SLP にある 3 つの言語パックはすべて、共通フォルダである Office.ll-cc フォルダ (Office の共有機能用) と XMUI.ll-cc フォルダ (カルチャ定義用) を共有します。前に説明した例では、Office.ja-jp フォルダおよび XMUI.ja-jp フォルダが、Office の言語パック、Visio の言語パック、および Project の言語パックによって共有されています。

言語パックを独立した製品として展開することもできますし、言語パックを使用して Office 製品を複数の言語で展開することもできます。言語パックを個別に展開する場合でも、別の製品のインストールの一部として言語パックを展開する場合でも、言語パックに対して一意のプロダクト キーを入力する必要はありません。

[!メモ] 以前のバージョンの Office では、企業ユーザーは、英語 (米国) バージョンの Office をインストールした後で Multilanguage User Interface (MUI) パックを展開して、言語を追加しました。日本語バージョンの Office Standard Edition などのローカライズ バージョンは、コア バージョンに日本語の MUI パックを追加したものとは同一にはなりませんでした。この設計は、2007 Office system では簡素化され、改善されています。

複数言語の Office をインストールする

Office のネットワーク インストール ポイントを作成した後で、言語パックをネットワーク インストール ポイントに直接コピーすることによって、ユーザーが任意の数の言語を利用できるようになります。一連のインストールを作成する代わりに、セットアップを使用することで、単一のインストールで複数言語を使用するように調整できます。

たとえば、ネットワーク インストール ポイントに英語 (米国) バージョンの Office Standard 2007、フランス語の言語パック、および日本語の言語パックがある場合、セットアップは Office Standard 2007 に使用できる言語が複数あることを検出します。インストール時に、セットアップでは、特定の言語に依存しないコア パッケージと、言語固有のパッケージ (英語、フランス語、日本語、またはこれらの言語の組み合わせで使用されるパッケージ) を結合することができます。プロセス全体で必要となるプロダクト キーは 1 つだけで、ユーザーのコントロール パネルの [プログラムの追加と削除] に表示されるエントリも 1 つだけです。セットアップがユーザーのコンピュータにローカル インストール ソースを作成するときには、実際にインストールされる言語のみがキャッシュされます。

Office カスタマイズ ツールを実行してインストールをカスタマイズすると、カスタマイズの大部分がコア製品に適用されます。このように設計されているので、言語に関係なくすべてのインストールに同じカスタマイズ ファイル (.msp ファイル) を適用できます。ツールに表示される機能ツリーには、共通機能と、インストール ポイントにある各言語に対応するいくつかの言語固有の機能が含まれます。詳細については、「2007 Office system の Office カスタマイズ ツール」を参照してください。

[!メモ] セットアップでは、ある言語バージョンの Office 製品をインストールする前に、その言語に必要なオペレーティング システムのサポートが有効になっているかどうかが確認されます。サポートが有効になっていない場合、インストールが中止されます。たとえば、東アジア言語のサポートが有効でない場合、日本語バージョンの Office はインストールされません。

各ユーザーのコンピュータに既定の言語をインストールする

Office 製品のインストール時に、セットアップはインストール ポイントを調べ、その製品に使用できるすべての言語を検索します。既定では、ユーザーの Windows ユーザー ロケールで指定された言語に一致する言語の Office がインストールされます。このプロセスを制御しない場合は、すべてのユーザーに対して、必要とする可能性が最も高い言語の Office がインストールされます。たとえば、パリのユーザーにはフランス語の Office Standard 2007 が、ロンドンのユーザーには英語の Office Standard 2007 が、ユーザー ロケールが日本語であるユーザーには日本語の Office Standard 2007 がインストールされます。

ユーザー ロケールと、インストール ポイントで使用できる言語のセットが完全に一致しない場合、最も近似する言語が使用されます。許容できる言語の一致がない場合、ユーザーは使用できる言語の選択を求められます。セットアップが自動モード (ユーザーの操作なし) で実行されており、許容できる言語の一致がない場合、インストールは失敗します。

ユーザーがセットアップを対話形式で実行し、[今すぐインストール] ボタンをクリックした場合、セットアップは同じ既定のパターンに従って、ユーザー ロケール設定に一致する言語バージョンの Office をインストールします。

複数言語の Office を展開する方法の操作手順については、「Customize and deploy multiple language versions of the 2007 Office system」 (英語)を参照してください。

[!メモ] 言語パックは、2007 Office system 製品と別の製品としては展開できません。ただし、少なくとも 1 つの 2007 Office system 製品が既にインストールされている場合、セットアップは言語パックを製品として処理し、インストールの選択対象となる製品の一覧に取り込みます。

ユーザーのコンピュータにインストールする 1 つまたは複数の言語を指定する

既定の動作を無効にして、ユーザーのコンピュータにインストールする特定の言語を指定できます。コア製品フォルダ (Office Standard 2007 では Standard.WW) に保存されている Config.xml を使用して、セットアップでインストールする特定の言語または言語セットを指定できます。この指定をした後で、/config コマンド ライン オプションを使用し、カスタムの Config.xml ファイルを指定します。たとえば、次のように指定します。

\\ server \ share \Office12\setup.exe /config \\ server \ share \Office12\Standard.WW\MyConfig.xml

ここで、Office12 はネットワーク インストール ポイントのルートです。

ユーザーがセットアップを対話形式で実行し、[ユーザー設定] インストール オプションを選択する場合、インストールする 1 つまたは複数の言語を [言語] タブで選択できます。

Important重要
Config.xml ファイルを編集して複数の言語をインストールする場合、シェル ユーザー インターフェイス (シェル UI) の使用対象となる言語も指定する必要があります。シェル UI には、ファイル拡張子、ツール ヒント、右クリック メニュー項目など、オペレーティング システムに登録される Office のコア要素が含まれます。この場合、シェル UI 用の言語を指定しないと、インストールが失敗します。複数言語の展開を管理する方法の詳細については、「Customize and deploy multiple language versions of the 2007 Office system」 (英語)および「2007 Office system の言語設定をカスタマイズする」を参照してください。

言語パックを個別にインストールする

言語パックは独立した製品としても定義されるため、言語パックを Office とは別にインストールできます。組織でいくつかの Office 製品 (たとえば、Microsoft Office Outlook 2007、Microsoft Office Word 2007、および Microsoft Office OneNote 2007 の各スタンドアロン バージョン) が既に展開されている場合、日本語の言語パックを独立した製品としてインストールし、それらの製品すべての日本語コンポーネントを一度に配布できます。この場合、[プログラムの追加と削除] に日本語の言語パックのエントリが単独で表示されます。

[!メモ] 言語パックをインストールするには、まず Office 製品をインストールする必要があります。セットアップで言語パックを独立した製品としてインストールできますが、言語パック単独では完全な 2007 Office system 製品として機能しません。必ずコア製品が必要です。

校正ツールをインストールする

校正ツールを使用すると、編集に追加の言語を使用し、ドキュメントで複数の言語を使用できるようになります。各言語パック (および各言語バージョン) には、いくつかの副言語の校正ツールが含まれています。たとえば、Enterprise Edition の日本語の言語パックには英語の校正ツールも含まれています。各言語の校正ツールは、ネットワーク インストール ポイントのルートにある Proof.ll-cc フォルダに格納されています。

2007 Office system ネットワーク インストール ポイント

  • Proofing.ja-jp

    • Proof.ar (日本語用校正ツール)

    • Proof.en (英語用校正ツール)

組織内で追加の校正ツールを配布できます。各言語の校正ツールは、独立したパッケージ (MSI ファイル) としてインストールされます。すべての校正ツールは Microsoft Multi-language Pack に含まれています。組織内で校正ツールを展開する方法の詳細については、「2007 Office system の Proofing Tools を展開する」を参照してください。

Office のインストール後に言語を追加する

最初に Office を展開し、その後で他の言語パックを追加する場合、最初のインストール時に複数言語を展開した方法とほとんど同じ方法で言語を追加できます。

Office のインストール後に言語を追加するには、ネットワーク インストール ポイントからセットアップを再実行します。その製品用の Config.xml を編集すると、セットアップで言語を追加したり、言語をユーザーのオペレーティング システムの言語に一致させたりすることができます。この場合、セットアップで既存のインストールが変更されます。新しい言語は独立した製品としては追加されません。

詳細については、「2007 Office system を展開した後に言語を追加または削除するを参照してください。

合理化されたカスタマイズ モデル

以前のバージョンの Microsoft Office では、セットアップをカスタマイズし、インストール後の Office を管理するために、複数のツールが必要でした。2007 Office system では、一貫性のある合理化されたモデルが用意されています。管理者は、セットアップを使用して Office のインストール、カスタマイズ、および管理を行うことができます。特定のユーザー設定を適用する場合は、管理者はグループ ポリシーを使用できます。

このセクションの内容 :

  • Office カスタマイズ ツールを使用する

  • 新規インストールをカスタマイズする

  • 既存の Office のインストールを変更する

  • Config.xml ファイルを使用して Office をカスタマイズする

  • セットアップのコマンド ライン オプションを使用する

  • グループポリシーを使用する

Office カスタマイズ ツールを使用する

Office のインストールをカスタマイズするには、セットアップのコンポーネントである Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用します。/admin コマンド ライン オプションを指定してセットアップを実行することによって、OCT を起動します。OCT を使用して、セットアップ カスタマイズ ファイルを作成します。このファイルは、"ネットワーク インストール ポイント" の Updates フォルダに配置します。前に説明したように、Updates フォルダは、2007 Office system の最初または新規のインストール時にのみ使用され、Updates フォルダでは 1 つのカスタマイズ ファイルのみがサポートされます。

セットアップ カスタマイズ ファイルは、拡張された形式の Windows インストーラ .msp ファイルです。各ファイルは、Microsoft Office Professional 2007 用、Microsoft Office OneNote 2007 用というように特定の製品用に構成されます。セットアップを実行して Office 製品をインストールすると、インストールする製品に対応するカスタマイズ ファイルが Updates フォルダ内にあるかどうかが検索されます。セットアップによって製品がインストールされる際、このカスタマイズ ファイルに基づいて、カスタマイズした設定が適用されます。

複数のセットアップ カスタマイズ ファイルを作成して、異なるユーザー グループ用に Office を構成できます。セットアップを実行するときに、セットアップのコマンド ライン オプション /adminfile を使用するか、Config.xml (「Config.xml ファイルを使用して Office をカスタマイズする」を参照) を使用することによって、各インストールで使用する適切なカスタマイズ ファイルを指定します。

詳細については、「ユーザー グループごとに 2007 Office system の異なる構成を作成する」を参照してください。

OCT を使用してセットアップ カスタマイズ ファイルを作成する方法の詳細については、「2007 Office system の Office カスタマイズ ツール」を参照してください。セットアップ カスタマイズ .msp ファイルに格納された設定を表示するには、「Office カスタマイズ ツール カスタマイズ ファイルの XML コンテンツを参照する」を参照してください。

新規インストールをカスタマイズする

OCT で作成したセットアップ カスタマイズ ファイルを使用して、セットアップでユーザーのコンピュータに初めて Office をインストールする方法を変更できます。たとえば、OCT を使用して、次の方法で Office をカスタマイズできます。

  • ユーザーの操作なしにセットアップを実行します (自動モード)。

  • ユーザーの代わりにあらかじめプロダクト キーを指定し、マイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項に同意します。

  • ユーザーのコンピュータ上の Office ファイルのインストール先を指定します。

  • 2007 Office system をインストールする前に、以前のバージョンの Office を削除するかどうかを選択します。

  • インストールする Office の機能を指定します。

  • Microsoft Outlook の設定など、数多くのユーザー オプションの既定値を指定します。

セットアップをカスタマイズする方法の詳細については、「2007 Office system をインストールする前にセットアップをカスタマイズする」を参照してください。

既存の Office のインストールを変更する

既存の Office のインストールを変更する必要がある場合は、元のインストールをカスタマイズするときに使用したツールと同じツールを使用します。つまり、OCT を実行してセットアップ カスタマイズ ファイルを更新するか、新しいセットアップ カスタマイズ ファイルを作成します。次に、ソフトウェアの更新プログラムの場合と同様に、ユーザーのコンピュータにカスタマイズ ファイルを適用します。これによって、ユーザーの既存の Office のインストールが、指定したカスタマイズの設定で更新されます。Office をインストールするときに利用できるカスタマイズは、インストール後に Office を変更するときにも利用できます。

[!メモ] セットアップで使用するカスタマイズの中には、Office を初めてインストールするときにのみ適用されるものがあります。このようなカスタマイズには、Office をインストールするユーザーのコンピュータ上の場所の指定、プロダクト キーの定義、以前のバージョンの Office アプリケーションの削除などがあります。OCT では、新規インストールにのみ適用されるカスタマイズが識別されます。

既存の Office のインストールを更新する方法の詳細については、「2007 Office system のインストール後にユーザーの構成を変更する」を参照してください。

Config.xml ファイルを使用して Office をカスタマイズする

Config.xml ファイルを使用して Office のインストールを変更できます。Office カスタマイズ ツールを使用した場合とほとんど同じオプションをカスタマイズできますが、OCT では利用できないその他のオプションもカスタマイズできます。

Config.xml ファイルを使用する方法は、次のようなインストール作業を実行する場合にお勧めします。

  • セットアップで、Office をインストールせずに、"ローカル インストール ソース" をユーザーのコンピュータにコピーする。

  • ネットワーク インストール ポイントへのパスを指定する。

  • インストールする製品または言語を選択する。

  • セットアップでセットアップ カスタマイズ ファイルおよび更新プログラムを検索する場所を変更する。

  • OCT を実行して新しいカスタマイズ ファイルを作成する必要がない最後のカスタマイズや 1 回限りのカスタマイズを行う。

Config.xml ファイルを Setup.exe と同じフォルダに配置すると、セットアップによってファイルが検索および使用されます。セットアップの /config コマンド ライン オプションを使用して、ファイルの場所を指定することもできます。

[!メモ] セットアップ カスタマイズ ファイルと Config.xml ファイルの両方を指定した場合、Config.xml で定義したカスタマイズが、カスタマイズ ファイルで指定した同じカスタマイズよりも優先されます。

Config.xml ファイルの内容および形式の詳細については、「2007 Office system の Config.xml ファイル」を参照してください。

セットアップのコマンド ライン オプションを使用する

セットアップで認識される 2007 Office system のコマンド ライン オプションは、数個のみです。OCT は、セットアップ プロパティを構成したり、その他のカスタマイズを指定したりするための、主要なツールです。

Setup.exe コマンドを使用して以下のタスクを実行できます。

  • Office カスタマイズ ツールを実行して、セットアップ カスタマイズ (.msp) ファイルを作成します。

  • 指定したセットアップ カスタマイズ ファイルをインストールに適用します。たとえば、特定のカスタマイズ ファイル (.msp ファイル) のパス、またはカスタマイズ ファイルを格納するフォルダのパスを指定できます。

  • インストール時にセットアップが使用する Config.xml ファイルを指定します。

  • セットアップをメンテナンス モードで実行して、既存の Office のインストールに対して変更を加えます。

  • セットアップを実行して、ユーザーのコンピュータにある指定された製品を修復します。

  • セットアップを実行して、指定された製品をユーザーのコンピュータから削除します。

Setup.exe コマンドの詳細については、「2007 Office system のセットアップのコマンド ライン オプション」を参照してください。以前のバージョンの Office で使用されていた Windows インストーラのプロパティ、および 2007 Office system をインストールするときに使用できるプロパティの詳細については、「2007 Office system のセットアップ プロパティ」を参照してください。

グループポリシーを使用する

管理者はグループ ポリシーの設定を使用して、ユーザーのコンピュータにおける Office の構成を定義および保持できます。グループ ポリシーは、管理用テンプレートに含まれる 2007 Office system のポリシー設定を構成するために使用されます。これらのポリシー設定は、オペレーティング システムによって適用されます。Active Directory 環境では、管理者は、グループ ポリシー オブジェクトがリンクされているサイト、ドメイン、または組織単位に属しているユーザーやコンピュータのグループに対して、ポリシー設定を適用できます。真のポリシー設定は、ポリシーの承認済みレジストリ キーに書き込まれます。これらの設定には、管理者以外のユーザーによる変更を防ぐアクセス制御リスト (ACL) の制限が設定され、管理者は制限が厳しい構成や管理の緩い構成を作成できます。

管理者は、2007 Office system アプリケーションのポリシー設定を使用して、以下の Office ユーザー インターフェイスを構成する大部分のオプションを管理できます。

  • メニュー コマンドおよび対応するツール バー ボタン

  • ショートカット キー

  • [ オプション ] ダイアログ ボックスの大部分のオプション

[!メモ] 2007 Office system のポリシー設定の大部分は、OCT でも利用できます (OPA 設定)。管理者は、OCT を使用してセットアップ カスタマイズ .msp ファイルの既定の初期設定を構成できますが、この設定の大部分はインストール後にユーザーが変更することもできます。特定の構成を強制的に適用する場合は、グループ ポリシーを使用してください。グループ ポリシー設定は OCT 設定よりも優先されます。

2007 Office system のグループ ポリシーの詳細については、「グループ ポリシーの概要 (2007 Office system)」、「2007 Office system でグループ ポリシーを使用して設定を適用する」および「ユーザー インターフェイス項目とショートカット キーを無効にする」を参照してください。

必須のローカル インストール ソース

2007 Microsoft Office system では、既定のインストール処理の一部として、セットアップ時にユーザーのコンピュータにローカル インストール ソースが作成されます。セットアップでは、2007 Office system のすべての製品が 2 段階の手順でインストールされます。最初に、圧縮されたインストール ソース ファイルがユーザーのコンピュータにコピーされます。次に、Windows インストーラが呼び出され、ローカル インストール ソースから実際のインストールが実行されます。インストールの完了後も、元のソースへのアクセスが必要なセットアップ操作で、ローカル インストール ソースをそのまま使用できます。ディスク領域の最小要件には、ローカル インストール ソースも含まれます。

[!メモ] Microsoft Office 2003 の場合、大規模な組織では、通常、管理者インストール ポイントから製品をインストールしており、ローカル インストール ソースからのインストールはオプションでした。これに対して 2007 Office system の場合、管理者インストール オプションは存在せず、ローカル インストール ソースが設計上、必須の要素となっています。

ローカル インストール ソースを使用することで、ソフトウェア更新プログラムの配布処理がより効率的になり、信頼性も高くなりました。ネットワーク インストール ポイントとユーザーのローカル インストール ソースは、どちらも直接変更されることはありません。ユーザーのインストールは、クライアント版のソフトウェア更新プログラムを適用するときに同期された状態になります。

いつでも利用できる完全なインストール ソースがローカル コンピュータ上に存在することで、以下のような利点を得ることができます。

  • ユーザーが Office をインストールする前に、ローカル インストール ソースをユーザーに展開できます。これにより、ネットワークへの影響を最小限に抑え、すべてのユーザーが同時に製品をインストールして 2007 Office system アプリケーションの使用を開始できます。

  • ユーザーが、ソフトウェア更新プログラムの適用などのメンテナンス作業を実行できます。Office の CD やネットワーク ソースの使用を求められることはありません。

  • ユーザーが移動中の場合、または低速ネットワーク接続や常時接続でないネットワーク接続を利用している場合でも、セットアップを実行できます。事前にローカル インストール ソースを用意しておけば、ネットワークにアクセスする必要はありません。

このような利点を最小限のコストで実現できます。ローカル インストール ソースはハード ディスク領域を消費しますが、ローカル インストール ソースを作成して Office をインストールする時間は、ローカル インストール ソースを使用しないで Office をインストールする時間とほぼ同じです。

このセクションの内容 :

  • ユーザーのコンピュータにローカル インストール ソースを作成する

  • ローカル インストール ソース自体を展開する

ユーザーのコンピュータにローカル インストール ソースを作成する

CD またはネットワーク インストール ポイントから Office をインストールする場合、セットアップ時にローカル インストール ソースを作成するために、Office Source Engine (Ose.exe) と呼ばれるプログラムを使用して、必要なインストール ファイルがローカル コンピュータの隠しフォルダにコピーされます。既定の場所は、Office をインストールするドライブのルートにある \MSOCache\All Users です。

Office 製品を構成する各パッケージ (特定の言語に依存しないコア パッケージと 1 つ以上の言語固有のパッケージ) は、個別のダウンロード コードを持ち、MSOCache\All Users の下のサブフォルダにキャッシュされます。セットアップでは、完全なローカル インストール ソースが常にキャッシュされ、インストールされる製品に関連するすべてのファイルが含まれます。インストール ポイントに複数の言語が含まれている場合、ユーザーのコンピュータにインストールされている言語のパッケージだけがキャッシュされます。

追加の Office 製品をユーザーのコンピュータにインストールすると、それらの製品は同じローカル インストール ソースにキャッシュされます。

[!メモ] ユーザーが別のドライブに 2 つ目の Office 製品をインストールする場合、そのドライブのルートに 2 つ目のローカル インストール ソースが作成されます。この場合、2 つのローカル インストール ソース間で共有ファイルが重複する可能性がありますが、このような設計により、各ローカル インストール ソースの完全性と、各ローカル インストール ソースが正しく機能することが保証されます。

ユーザーがローカル インストール ソースを不注意で削除したり、セットアップのユーザー インターフェイスや Windows ディスク クリーンアップ ウィザードを使用して削除したりすることはできません。MSOCache フォルダが削除されたか破損した場合、次回にソースが必要になったときに、セットアップが自動的にそのフォルダを再作成または修復します。ディスク領域が十分でない場合は、領域を空けるように求めるメッセージが表示されます。新しい更新プログラムやカスタマイズを配布する場合、どのユーザーもソースにアクセスできることを前提にして配布します。

[!メモ] ローカル インストール ソースを一度作成すると、ユーザーのコンピュータ上のその場所は固定されます。ユーザーが別のドライブを指定しない限り、後からインストールした追加の Office 製品は、常に、既存の MSOCache\All Users フォルダに追加されます。

ローカル インストール ソース自体を展開する

セットアップでは、ローカル インストール ソースを基に Office のインストールを実行するので、事前にインストール ソースを展開しておくことで、ネットワークへの要求を最小限に抑えることができます。たとえば、通常の方法でユーザーのコンピュータからセットアップを実行すると、一度に 1 つのユーザー グループに対してローカル インストール ソースを配布できます。事前にキャッシュされたソースをすべてのユーザーに用意しておけば、Office をインストールするセットアップを、すべてのユーザーが同時に実行できます。この場合、インストール作業の大部分はネットワーク経由ではなく、ローカル コンピュータ上で実行されます。

詳細については、「2007 Office system のローカル インストール ソースをプリキャッシュする」を参照してください。

また、ローカル コンピュータのローカル インストール ソースからセットアップを直接実行することもできます。セットアップをローカルで実行することは、セットアップ ファイルの読み込みやメタデータの読み取りなどの処理がネットワーク経由で発生しないことを意味します。この場合、インストールするコア製品を含むサブフォルダが MSOCache\All Users 内にあることを確認する必要があります。各コア製品のサブフォルダには、セットアップ プログラムのコピーが含まれ、特定のフォルダからセットアップを実行することでその製品がインストールされます。この方法では、ユーザーがネットワーク接続を使用せずに Office をインストールできます。

詳細については、「ローカル インストール ソースからセットアップを実行して 2007 Office system をインストールする」を参照してください。

統合された更新処理

以前のバージョンの Microsoft Office では、クライアント コンピュータが最新の Office ソフトウェア更新プログラムを受信し、クライアント コンピュータと管理インストール ポイントとの同期を維持するために、さまざまな選択を行っていました。Office の新規インストールに続いてソフトウェア更新プログラムがインストールされるようにセットアップを構成したり、更新プログラムを管理インストール ポイントに適用して、すべてのクライアント コンピュータに Office を再インストールしたりしていました。

2007 Office system の新しいアーキテクチャによって、この処理は大幅に簡単になりました。2007 Office system では、更新の必要がない "ネットワーク インストール ポイント" を作成します。簡単なコピー操作を行うだけで、新規インストールにソフトウェア更新プログラムを適用できます。既存のインストールがネットワーク インストール ポイントとは関係なく更新されるので、クライアント コンピュータとインストール ソースの同期を維持するように心配する必要がありません。

このセクションの内容 :

  • 新規インストール時に Office 更新プログラムを適用する

  • 既存の Office のインストールを更新する

新規インストール時に Office 更新プログラムを適用する

Microsoft から Office ソフトウェア更新プログラムを入手したら、ネットワーク インストール ポイントのルートにある Updates フォルダに更新プログラムをコピーします。ネットワーク インストール ポイント内の既存のファイルは、Office CD から最初にコピーしたときと同じ状態で残ります。

[!メモ] Updates フォルダを使用すると、2007 Office system 製品の最初のインストールと共に更新プログラムのインストールを組み込むことができます。このフォルダに保存されている Windows インストーラ更新プログラム ファイルのみが、最初のインストールと共にインストールされるため、Microsoft Self-Extractor パッケージから更新プログラムを抽出する必要があります。また、セットアップ カスタマイズ .msp 修正プログラムを Updates フォルダに配置して、最初のインストールをカスタマイズすることもできます。詳細については、「2007 Office system の製品更新プログラムを配布する」の「ソフトウェア更新プログラムを 2007 Office system の最初のインストール時に展開する」を参照してください。

セットアップを実行して Office をクライアント コンピュータにインストールすると、Updates フォルダにソフトウェア更新プログラムがあるかどうかが検索され、Office をインストールする際に自動的に更新プログラムが組み込まれます。フォルダに複数の更新プログラムがある場合、インストール対象である Office 製品の更新プログラムだけが適用されます。また、更新プログラムは正しい順序で適用されます。その結果、ユーザーは Office の新規インストールと共に最新の更新プログラムを受け取ります。

Tipヒント
セットアップ時に、Updates フォルダ以外のフォルダでソフトウェア更新プログラムを検索するには、Config.xml ファイルの SetupUpdates 要素を使用します。詳細については、「2007 Office system の Config.xml ファイル」の「SetupUpdates」を参照してください。

既存の Office のインストールを更新する

いったん Office をインストールした後は、ネットワーク インストール ポイントに戻らずに、ソフトウェア更新プログラムを直接クライアント コンピュータに適用します。それには、Microsoft Systems Management Server などの展開管理プログラムを使用するか、Microsoft Windows Server Update Services を使用するか、または Microsoft Update を使用してインターネットから直接コンピュータを更新します。Microsoft Self-Extractor ファイルを使用して、2007 Office リリースの初回インストール後にソフトウェア更新プログラムを展開する方法については、「2007 Office system の製品更新プログラムを配布する」の「フォルダに含まれるすべての Microsoft 自己展開パッケージを展開する」を参照してください。既存の Office のインストールを最新の状態に維持する方法の詳細については、「2007 Office system の製品更新プログラムを配布する」を参照してください。

[!メモ] クライアント コンピュータに Office をインストールした後で Office を再インストールすると、元のインストールと共に適用されたソフトウェア更新プログラムのみが再適用されます。Updates フォルダに新しいソフトウェア更新プログラムをコピーした場合、それらは再インストール中には適用されません。

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このトピックは、簡単に読んだり印刷したりできるように、次のダウンロード可能なブックに収められています。

入手できるすべてのブックの一覧については、「2007 Office リソース キットのダウンロード可能なコンテンツ」を参照してください。

関連項目

概念

2007 Office system の言語設定をカスタマイズする
2007 Office system の展開を準備する
2007 Office system を展開する
2007 Office system を国際的に展開する
2007 Office system のエンタープライズ展開ツールを使用する
2007 Office system の Office カスタマイズ ツール
2007 Office system の Config.xml ファイル
2007 Office system のセットアップのコマンド ライン オプション
2007 Office system のセットアップ プロパティ
グループ ポリシーの概要 (2007 Office system)
2007 Office system でグループ ポリシーを使用して設定を適用する
2007 Office system の製品更新プログラムを配布する
2007 Office system への移行を計画する
2007 Office system に移行する