メモリの構成と Exchange のパフォーマンスについて
適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3
トピックの最終更新日: 2015-03-09
ここでは、Microsoft Exchange Server 2010 に適切なパフォーマンスと強力なプラットフォームをもたらすメモリの構成に関するガイドラインを示します。プロセッサの詳細なガイドラインおよび推奨の構成については、「プロセッサーの構成と Exchange のパフォーマンスについて」を参照してください。
Exchange 2010 のハードウェアを選択するときは、サーバーの最大メモリ構成を考慮することをお勧めします。サーバーのアーキテクチャが異なると、メモリの制限も異なります。サーバーの以下の技術仕様を確認し、そのサーバーで最も費用対効果の高いメモリ構成を判断することをお勧めします。
メモリの速度 一部のサーバー アーキテクチャでは、特定のサーバーでメモリをサポートしている最大数に拡張するために低速なメモリ モジュールが必要とされる場合があります たとえば、最大サーバー メモリ サイズを PC3 10666 (DDR3 1333) モジュール規格の 32 GB メモリ、または PC2 6400 (DDR2 800) モジュール規格の 128 GB メモリに制限できます。Exchange 2010 用のメモリ構成の目標量が、速度の面と両立することを製造元に確認してください。
メモリ モジュールのサイズ そのサーバーでサポートされるメモリ モジュールの最大サイズを考慮してください。一般的には、大容量のメモリ モジュールほど高価です。たとえば、2 基の 2 GB DDR SDRAM メモリ モジュールの方が通常、1 基の 4GB DDR SDRAM メモリ モジュールより安価で、2 基の 4 GB DDR SDRAM メモリ モジュールの方が通常、1 基の 8GB DDR SDRAM メモリ モジュールより安価です。そのメモリ モジュールの最大サイズで、Exchange 2010 の目標メモリ要件を満たせることを確認してください。
メモリ スロットの合計数 特定のサーバーでサポートされるメモリ モジュール数を考慮してください。スロットの合計数とメモリ モジュールの最大サイズを掛けると、サーバーの最大メモリ構成が得られます。メモリ モジュールは、ペアで取り付けることが必要な場合があることに留意してください。
多くのメモリ スロットを使用すると、パフォーマンスが向上するサーバーもあれば、パフォーマンスが低下するサーバーもある点に注意してください。この点がサーバー アーキテクチャに与える影響については、ハードウェア ベンダーに確認してください。
推奨されるメモリ構成
サーバーの役割ごとに必要と予想されるプロセッサ コア数を理解したので、ベースラインとなるメモリの推奨について説明します。次の表は、Exchange 2010 サーバーの役割のサポートされる最小のメモリ構成と推奨されるメモリ構成を示しています。
以下は、最小要件と推奨される最大構成についての説明です。
サポートされる最小値 これは、Exchange 2010 サーバーに対して適切な最小のメモリ構成です。Microsoft カスタマー サポートからサポートを受けるには、ハードウェアの最小要件を満たす必要があります。
推奨される最大のメモリ構成 これは、特定のサーバーの役割に対して推奨されるメモリ構成です。推奨される最大構成とは、価格とパフォーマンスに基づく、可能なプロセッサおよびメモリ構成の上限と定義されます。推奨される最大構成はガイドラインです。このガイドラインはサポート条件ではありません。このガイドラインでは、サーバーにアクセスする、またはサーバーにインストールされる可能性のあるサード パーティのアプリケーションのリソース要件については考慮していません。推奨される最大構成は、価格の変動やテクノロジの進歩により、時間がたつにつれて変わる可能性があります。
次の表は、Exchange 2010 についてサポートされる最小のメモリ構成と推奨されるメモリ構成を示しています。
インストールしたサーバーの役割に基づいた Exchange 2010 サーバーのメモリ構成
Exchange 2010 サーバーの役割 | サポートされる最小値 | 推奨 最大値 |
---|---|---|
エッジ トランスポート |
4 GB |
1 コアあたり 1 GB (最小 4 GB) |
ハブ トランスポート |
4 GB |
1 コアあたり 1 GB (最小 4 GB) |
クライアント アクセス |
4 GB |
1 コアあたり 2 GB (最小 8 GB) |
ユニファイド メッセージング |
4 GB |
1 コアあたり 2 GB (最小 4 GB) |
メールボックス |
4 GB |
ベース メモリ 4 GB および追加のメモリは、ユーザー プロファイルおよびデータベースのキャッシュ サイズに基づきます。 必要なメモリの合計を決定する方法の詳細については、「メールボックス データベース キャッシュについて」を参照してください。 |
クライアント アクセスとハブ トランスポートを組み合わせた役割 (同じ物理サーバー上で実行しているクライアント アクセス サーバーとハブ トランスポート サーバーの役割) |
4 GB |
1 コアあたり 2 GB (最小 8 GB) |
複数の役割 (ハブ トランスポート サーバー、クライアント アクセス サーバー、メールボックス サーバーの役割の組み合わせ) |
8 GB |
4 GB + 1 メールボックスあたり追加メモリ 3 ~ 30 MB: 必要なメモリの合計は、ユーザー プロファイルおよびデータベースのキャッシュ サイズに基づいています。必要なメモリの合計を決定する方法の詳細については、「メールボックス データベース キャッシュについて」を参照してください。 |
エッジ トランスポート サーバーの役割およびハブ トランスポート サーバーの役割
エッジ トランスポート サーバーの役割およびハブ トランスポート サーバーの役割では、最適な条件でのパフォーマンスを得るために、大量のメモリは必要としません。通常は、1 プロセッサ コアあたり 1 GB (合計で最小 4 GB) の RAM があれば、非常に高い負荷を除き、ほとんどの負荷に対応することができます。ほとんどの展開は、1 プロセッサ コアあたりの推奨されるメモリ構成である 1 GB (合計で最小 4 GB) により、最適に構成されます。
クライアント アクセス サーバーの役割
一般に、クライアント アクセス サーバーでのメモリの使用は、クライアント接続の数およびトランザクション速度と比例的な関係があります。プロセッサおよびメモリ構成の現在の推奨事項 (1 コアあたり 2 GB) に基づいて、クライアント アクセス サーバーでは、メモリとプロセッサの使用率に関してバランスがとられ、メモリが限度に達するのとほぼ同時にプロセッサも限度に達します。
これらの推奨事項は、Exchange 2010 の機能、RPC クライアント アクセスに基づいています。この機能には、クライアント アクセス サーバーの役割にかかる増加した負荷を管理するために、より大きなメモリとプロセッサ構成が必要です。
メールボックス サーバーの役割
メールボックス サーバーの役割でのメモリ構成プロセスは、他の役割よりも複雑です。これは、プロセッサ コアの要件の予測と同じように、最適なメモリ構成がメールボックス数、クライアント プロファイル、およびアクティブなデータベース数に依存しているためです。
メールボックス サーバーの役割のメモリのサイジングは、サーバー上のディスク入出力 (I/O) を減らす上で重要です。メールボックス サーバーにより多くのメモリを追加すると、Exchange によって生成されるディスク I/O は減ります。しかし、サーバーにメモリを追加しても、価格とパフォーマンスの面からそれを正当化できなくなるポイントがあります。前述した「推奨されるメモリ構成」で説明した推奨事項では、このポイントを考慮すると共に、現在のメモリ価格およびパフォーマンスの指標に基づいています。
メールボックス サーバーの役割に適したメモリ サイジングの詳細については、以下のトピックを参照してください。
複数のサーバーの役割
複数の役割サーバー構成のメモリ要件を決定する際は、ハブ トランスポート サーバー、クライアント アクセス サーバー、およびメールボックス サーバーの各役割の要件を考慮する必要があります。前述の表に示す計算済みのメモリ要件を参照するとよいでしょう。詳細については、以下を参照してください。
容量計画での複数のサーバーの役割の構成について の「複数のサーバーの役割でのメモリの推奨事項」
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