このガイドについて
このドキュメントでは、Windows Server® 2003、Windows Server 2008、または Windows Server 2008 R2 を実行する x86 または x64 ベースのサーバーから新しい Windows Server 2008 R2 サーバーに、Active Directory® ドメイン サービス (AD DS) またはドメイン ネーム システム (DNS) のサーバーの役割を移行するための情報を提供します。
このドキュメントでは、AD DS サーバーと DNS サーバーを古いハードウェアから新しいハードウェアに移行するためのベスト プラクティスについて説明します。既存のインストールからどの要素を移行するかについては、サーバー管理者に決定権があります。ただし、サーバーの役割に加えて、これらの要素には通常、その要素の構成、データ、システム ID、オペレーティング システムの設定が含まれます。このドキュメントでは、サーバーの役割の間に依存関係が存在する可能性については考慮しません。その代わりに、このドキュメントでは、AD DS サーバーと DNS サーバーをネットワーク内のコンピューター間で移行する際に、トポロジ、サイトの設定、サイトのリンク設定、サブネットの設定を一切変更せずに移行を行うことを前提としています。
対象ユーザー
このドキュメントは、管理された環境で AD DS サーバーまたは DNS サーバーの操作や展開を担当する、情報技術 (IT) の管理者、IT 担当者、およびその他のナレッジ ワーカーを対象としています。このガイドに含まれる移行の一部の手順では、実行するためにスクリプトに関する知識が必要な場合があります。
このガイドで説明されていないもの
次のシナリオはこのガイドではサポートされていません。
- このガイドでは、インプレース アップグレードの手順は説明しません。インプレース アップグレードとは、Windows のセットアップ時にアップグレード オプションを使用して、既存のサーバー ハードウェアに新しいオペレーティング システムをインストールする機能です。
- このガイドでは AD DS サーバーおよび DNS サーバー以外のサーバー役割の移行方法は説明していません。
- このガイドでは、移行元サーバーで実行しているソフトウェアのうち、どのソフトウェアが Windows Server 2008 R2 の移行先サーバーと互換性があるかを判断する方法については説明しません。サポート対象のオペレーティング システムについては、ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
- このガイドで説明する移行プロセスは、単一サイト内での移行を対象としています。このガイドでは、異なるサイト間でのサーバーの移行シナリオはサポートされていません。また、ブリッジヘッド サーバーでのサーバーの役割の移行に関する移行に関連したレプリケーションの問題については、取り上げていないものがあります。
サポートされている移行シナリオ
このガイドでは、AD DS サーバーおよび DNS サーバーを実行している既存のサーバーを Windows Server 2008 R2 を実行するサーバーに移行する方法を説明します。このガイドでは、移行元サーバーが複数の役割を実行している場合の移行方法は説明していません。サーバーで複数の役割が実行されている場合は、他の役割の移行ガイドで説明されている情報に基づいて、サーバー環境に合わせたカスタムの移行手順を設計することが推奨されます。追加の役割の移行については、「Windows Server 2008 R2 (Beta) に移行する」 (http://go.microsoft.com/fwlink/?LinkID=128554) を参照してください。
注意 |
| 移行元サーバーで複数の役割が実行されている場合、このガイドで説明するコンピューター名や IP 構成などの移行手順を実行すると、移行元サーバーで実行されている他の役割に障害が発生する場合があります。 |
このガイドでは、スタンドアロン DNS サーバーの役割を移行する手順についても、別途説明しています。詳細については、「AD DS および DNS サーバーの移行 : 付録 C - スタンドアロン DNS の移行」を参照してください。
このガイドでは、次の表で示すように、オペレーティング システムが新規インストールされた新しい物理または仮想の x64 ベースのサーバーで置き換える、既存のサーバーからデータと設定を移行するための手順のみを説明しています。
サポートされているオペレーティング システム
| 移行元サーバーのプロセッサ |
移行元サーバーのオペレーティング システム |
移行先サーバーのオペレーティング システム |
移行先サーバーのプロセッサ |
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x86 または x64 ベース
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Windows Server 2003 Service Pack 2 (SP2)
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Windows Server 2008 R2 (フル インストール オプションおよび Server Core インストール オプションの両方)
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x64 ベース
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x86 または x64 ベース
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Windows Server 2003 R2
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Windows Server 2008 R2 (フル インストール オプションおよび Server Core インストール オプションの両方)
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x64 ベース
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x86 または x64 ベース
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Windows Server 2008 (フル インストール オプションおよび Server Core インストール オプションの両方)
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Windows Server 2008 R2 (フル インストール オプションおよび Server Core インストール オプションの両方)
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x64 ベース
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x64 ベース
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Windows Server 2008 R2
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Windows Server 2008 R2 (フル インストール オプションおよび Server Core インストール オプションの両方)
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x64 ベース
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x64 ベース
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Windows Server 2008 R2 の Server Core インストール オプション
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Windows Server 2008 R2 (フル インストール オプションおよび Server Core インストール オプションの両方)
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x64 ベース
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上記の表で示したオペレーティング システムのバージョンは、サポートされている最も古い組み合わせでのオペレーティング システムとサービス パックについてのものです。より新しいサービス パックが提供されている場合、そのサービス パックはサポートされています。
Windows Server の Foundation、Standard、Enterprise、Datacenter の各エディションは、移行元または移行先のサーバーどちらとしてもサポートされています。Foundation Server エディションは、制限されたシナリオで移行先サーバーとしてのみサポートされています。Foundation Server エディションを移行先サーバーとして使用する場合は、このエディションでの制限事項を把握してから行ってください。
物理的なオペレーティング システムと仮想化されたオペレーティング システム間での移行はサポートされています。
移行先サーバーで実行中のオペレーティング システムにインストールされている言語 (システム ユーザー インターフェース (UI) の言語) が、移行元サーバーの言語と異なる場合、これらのサーバー間の移行はサポートされません。 システムの UI の言語とは、Windows オペレーティング システムのセットアップに使用した、ローカライズされたインストール パッケージの言語です。たとえば、フランス語のシステム UI の言語で Windows Server 2008 を実行しているコンピューターから、ドイツ語のシステム UI 言語で Windows Server 2008 R2 を実行しているコンピューターに、役割、オペレーティング システムの設定、データ、または共有リソースを移行することはできません。
AD DS および DNS サーバーの移行の概要
移行手順または移行の準備を開始するための前提条件は、次のとおりです。
- 移行元サーバーが、機能しているドメイン コントローラーであり、DNS サーバーがインストールされていること。
- 移行先サーバーに、Windows Server 2008 R2 がインストールされていること。また、移行先サーバーが、一意の (静的) IP アドレスとサーバー名で、メンバー サーバーとしてネットワークに追加されていること。
- 移行元サーバーから移行先サーバーへの役割の移行が完了すると、移行先サーバーは移行元サーバーの機能を実行しはじめます。移行元サーバーはメンバー サーバーになるか、廃止されてネットワークから削除されるか、補助ドメイン コントローラーとしてネットワークに残ります。
これらの役割の移行プロセスの概要
移行を行う際には、次の手順を実行します。
これらの手順の詳細は、このガイドの他のトピックで説明されています。
次の図は、移行プロセスを示しています。
移行とアップグレードの違い
新しい Windows Server 2008 R2 オペレーティング システムを展開する場合、次の 3 つのオプションがあります。
- インプレース アップグレード
- 新規インストール
- 移行
インプレース アップグレードおよび新規インストールのどちらにも長所と短所があります。このガイドでは、3 番目のオプション、移行について説明します。
移行とインプレース アップグレードには違いがあります。ハードウェアの違いによってアップグレードできない場合は、移行することが必要です。Windows Server 2008 R2 は x64 ベースのみのオペレーティング システムなので、x86 ベースのバージョンの Windows Server 2003 または Windows Server 2008 を Windows Server 2008 R2 を実行するコンピューターにアップグレードすることはできません。
さらに、サーバーの移行は、さまざまなシナリオに適した展開メカニズムでもあります。
- 多数のソフトウェアのインストール、多数の更新プログラムや修正プログラムの適用によって、古いサーバーのパフォーマンスが低下した場合
- 物理サーバーを仮想サーバーに移行する必要がある場合
- 採用するシナリオで、完全インストール オプションから Server Core インストール オプションへの移行が必要な場合
このガイドの手順を使用すると、従来の設定およびデータを新しいオペレーティング システムに移行することができます。
メモ |
| x64 ベースの既存のハードウェアで x86 ベースのオペレーティング システムを実行している場合にも、このガイドの手順に従ってサーバーの役割を移行する必要があります。 |
アップグレードおよび移行の方法
| 方法 |
長所 |
短所 |
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インプレース アップグレード (このガイドでは説明しません)
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現在のすべての設定および構成が保持されます。
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アップグレードされたデータには、古いデータがすべて残ります。
インプレース アップグレードでは、既存のオペレーティング システムを新しいオペレーティング システムに置き換えるために、他の方法よりもダウンタイムが長くなります。
インプレース アップグレードに失敗した場合は、ロールバックはより複雑になります。
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新規インストール (このガイドでは説明しません)
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必要なくなった古いデータと構成がすべて削除されます。
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新しいコンピューターを再構成する必要があります。
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移行 (このガイドで説明します)
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現在の設定と構成がすべて保持される一方で、必要なくなった古いデータと構成はすべて削除されます。
物理環境から仮想化環境への移行パスおよび完全インストールから Server Core インストールへの移行パスが提供されます。
移行処理の大半の間、古いサーバーが機能し続けるために、ダウンタイムをあまり必要としません。
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移行を確実に成功させるために、入念な計画と検証が必要です。
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移行の影響
移行プロセスの目的は、ネットワーク上のクライアント コンピューターに対してサービスを中断することなく、移行元サーバーが提供していた機能を移行先サーバーが同じように実行して提供することです。移行が完了した時点で、移行先サーバーがユーザーとコンピューターを認証できるようになります。移行元サーバーのサービスを使用しているクライアント コンピューターでは、何の変更も必要ありません。また、クライアント コンピューターでサービスが停止する時間はごく短いか、またはまったく停止しません。AD DS サーバーまたは DNS サーバーを移管する移行先サーバーは、移行元サーバーが実行していたように、ライトウェイト ディレクトリ アクセス プロトコル (LDAP) クエリをすべて処理します。
クライアント コンピューターが単一の DNS サーバーを使用するように構成されており、その DNS サーバーが移行元サーバーでもある場合、移行作業中に DNS サービスが一時的に中断される可能性があることに注意が必要です。DNS サービスが中断している場合、クライアント コンピューターはドメイン名を IP アドレスに解決できません。この場合は、1 台または複数の DNS サーバーを追加し構成して、プライマリの移行元サーバーの移行中、クライアントが引き続き名前を解決できるようにすることをお勧めします。
移行を完了するために必要な権限
移行プロセスで必要とされるすべてのツール、データ、および設定にアクセスするには、ドメイン管理者のアクセス許可が必要です。
推定所要時間
通常、単純な環境での AD DS サーバーと DNS サーバーの移行は、テストを含めて 2、3 時間で完了します。新しいサーバーをドメイン コントローラーに昇格させる場合は、さらに時間がかかります。大規模で複雑な環境では、新しいサーバーにレプリケートされることが必要なデータの量、ネットワークの接続状態によって、ドメイン コントローラーの昇格にかかる時間は大幅に異なる可能性があります。ただし、お勧めするプロセスは、メディアからのインストール (IFM) オプションと特定のツールを使用して、データベース全体を一度に移動する方法です。
AD DS および DNS サーバーの移行シナリオ
移行に影響する可能性がある、特別な環境や構成、トポロジを必要とするサーバーについては、移行シナリオを作成することをお勧めします。移行について、次のような質問に回答することが必要な場合があります。
- 各種の物理サーバーや仮想サーバーにレプリケートされている Active Directory のインスタンスが複数ありますか?
- AD DS は、同じ物理サーバーまたは仮想サーバー上にありますか?
DNS サーバーを移行する場合は、AD DS がドメイン内でどのように分散されているかを判断します。たとえば、DNS サーバーは、AD DS サーバーと同じコンピューターから移行されるのでしょうか。DNS サーバーを AD DS サーバーとは別に移行することもできますが、ほとんどの場合、両方のサーバーの役割は同じコンピューターでホストされているため、同時に移行する必要があります。このために、DNS サーバーの移行に影響する特別な環境、構成、またはトポロジを必要とする DNS サーバーについては、移行シナリオを作成することをお勧めします。
ただし、このガイドでは、「AD DS および DNS サーバーの移行 : 付録 C - スタンドアロン DNS の移行」に、スタンドアロン DNS サーバーの役割を移行するための手順を別途記載しています。
特殊な移行に関する考慮事項
ある種のサーバー構成では、移行の前、移行中、または移行後に特別な作業が必要になります。このような構成の移行手順については、今回のこのガイドではその一部のみを紹介します。この特殊なケースについては、次のセクションで説明します。
正常動作するサーバーと非準拠のサーバー
移行は、移行元サーバーの "正常性" に影響を受けることがあります。サーバーの正常性とは、サーバーに問題があること (または問題がないこと) を示す基準です。Windows Server には、多様な種類のサーバー データを収集し保存するためのさまざまな方法が用意されています。このデータを使用して、正しく動作する正常なサーバーを示す基準となる値を確立できます。サーバーに問題が発生した場合は、サーバーの正常時に収集した基準値データと最新の測定値を比較することで、何が変化したかを判断できます。
移行元サーバーに問題があることが移行元サーバーのイベント ログに示された場合は、以下の 2 つの方法で移行元サーバーを移行できます。
- 新しい移行先サーバーを導入して、移行元サーバーの問題を無視します。
- 移行元サーバーの問題をすべて解決してから、すべての設定を移行先サーバーに移行します。
移行元サーバーに既知の問題がある場合は、その問題が移行に与える可能性がある影響を考慮します。正常な移行元サーバーから正常な移行先サーバーに移行することをお勧めします。ただし、場合によっては、正常でない移行元サーバーから移行を実行することもあります。こうした特殊なケースでは、慎重な分析が必要です。
関連項目