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Windows 7 におけるネットワーク デバイスの電源管理

更新日: 2009年9月

適用対象: Windows 7

ネットワーク電源管理とは

ネットワーク電源管理とは、ネットワーク内のコンピューターの消費電力を節約するために構成できる機能のセットのことです。たとえば、最も一般的なネットワーク電源管理機能は Wake on LAN (WoL) です。Wake on LAN を使用すると、指定したネットワーク トラフィックによってコンピューターのスリープ状態が解除されるように設定できます。ここでは、Windows 7 のネットワーク電源管理機能およびその使用方法と、それらの機能の動作をカスタマイズするために使用できるコントロールについて説明します。

ネットワーク電源管理の新機能

Windows 7 では、Wake on LAN、Wake on Wireless LAN、およびメディア切断の省電力 ("切断の D3" とも呼ばれます) に関する機能が強化されています。

  • Wake on LAN および Wake on Wireless LAN。Windows 7 の Wake on LAN パターンは、誤ったスリープ解除を最小限に抑えながら、ネットワークからのアクセスでコンピューターのスリープ状態が解除されるように設計されました。Windows 7 は、頻繁で不必要なスリープ解除の原因として知られている Wake on Directed Packet (ping など) は実行しません。

    Windows 7 では、より対象を絞った Wake パターンに加えて、アドレス解決プロトコル (ARP) および近隣要請 (NS) のオフロードのサポートが追加されました。ARP プロトコルと NS プロトコルは、インターネット プロトコル (IP) アドレスを MAC アドレスにマップします。一般に、ARP プロトコルと NS プロトコルはネットワーク上にコンピューターがまだ存在しているかどうかを確認するために使用され、多くの場合、コンピューターに実際にアクセスする必要はありません。ARP および NS の応答をネットワーク アダプターにオフロードすることにより、コンピューターがネットワークでの存在を維持するためだけにスリープ状態を解除する必要はなくなります。これらのオフロードのサポートはネットワーク アダプターとドライバー (NDIS 6.20) によって異なり、以前のハードウェアでは使用できない場合があります。

  • メディア切断の省電力。これは Windows 7 の新機能で、コンピューターの動作中に LAN ケーブルが取り外されたときに、ネットワーク アダプターを低電力状態にすることでコンピューターの消費電力を節約します。この機能は、ネットワーク アダプターでサポートされている場合にのみ使用できます。

Windows 7 のこれらの拡張機能により、オペレーティング システムは、ネットワーク上での存在を維持しながら、スリープ状態を継続できます。これにより、企業や家庭のコンピューターは、使用中でないときにスリープ モードに入ることにより、消費電力を減らすことができます。

このガイドの対象者

Windows 7 のネットワーク電源管理の拡張機能を理解して構成する必要があるユーザー、IT プロフェッショナル、および OEM。

このガイドの内容

  • 機能の概要

  • 前提条件

  • ユーザー インターフェイスを使用した電源管理の構成

  • コマンド ラインを使用した Wake on LAN 設定の構成

  • キーワードを使用した電源管理の構成

  • WMI API を使用した電源管理の構成

  • まとめ

機能の概要

このセクションでは、Windows 7 の電源管理機能の技術的な詳細について説明します。

  • Wake パターン。Wake パターンとは、着信ネットワーク トラフィックによってコンピューターのスリープ状態を解除するかどうかを決定するネットワーク パケット フィルターです。これらのパターンは、ネットワーク アダプター上で有効にできます。ネットワーク アダプターでは次の Wake パターンをサポートできます。

    • IPv4 および IPv6 の新しい着信 TCP 接続 (TCP SYN IPv4 および TCP SYN IPv6) によるスリープ解除

    • 802.1x の再認証パケット

  • ビットマップ パターン。ほとんどのネットワーク アダプターは、ビットマップ パターン フィルターを使用してプログラミングできます。ビットマップ パターンは、ビットマップ マスクおよびパターン フィルターによって定義されます。ネットワーク パケットを受信すると、パケットがビットマップ マスクを使用してマスクされ、パターン フィルターと比較されます。一致が検出された場合、ネットワーク アダプターはコンピューターのスリープ状態を解除します。

  • Magic Packet。Magic Packet は常にサポートされるため、パターンを使用する必要はありません。Magic Packet は、ほとんどのメディア共有アプリケーションを含む、一部のアプリーケーションで使用されます。

    既定で選択されるパターンは、ネットワーク アダプターの機能の種類、およびコンピューターがドメインに参加しているかどうかによって次のように異なります。

     

    ネットワーク アダプターでサポートされている機能ドメインに参加しているコンピューターの既定値ドメインに参加していないコンピューターの既定値

    ARP および ND オフロード

    Magic Packet

    NetBIOS 名の照会

    TCP SYN v4

    TCP SYN v6

    Magic Packet

    NetBIOS 名の照会

    TCP SYN v4

    TCP SYN v6

    ARP オフロードのみ

    Magic Packet

    NetBIOS 名の照会

    TCP SYN v4

    TCP SYN v6

    Magic Packet

    NetBIOS 名の照会

    TCP SYN v4

    TCP SYN v6

    NS

    オフロードなし

    Magic Packet

    Magic Packet

  • ネットワーク上での存在。Windows 7 では、ネットワーク上での存在の ARP および NS オフロードがサポートされるようになりました。

    • ARP オフロード。ARP オフロードは、ネットワーク アダプターがコンピューターのスリープ状態を解除せずに IPv4 ARP 要求に応答する機能です。この機能を有効にするには、ハードウェアとドライバーの両方が ARP オフロードをサポートしている必要があります。

    • NS オフロード。NS オフロードは、ネットワーク アダプターがコンピューターのスリープ状態を解除せずに近隣アドバタイズによって近隣探索近隣要請要求に応答する機能です。この機能を有効にするには、ハードウェアとドライバーの両方が NS オフロードをサポートしている必要があります。

  • メディア切断の省電力。メディア切断の省電力は、使用されていないネットワーク アダプターをスリープ状態にできる機能です。メディアが切断された (たとえばケーブルが取り外された) ことを検出すると、Windows はデバイスを低電力状態にし、LAN を無効にします。ケーブルが再び接続されると、コンピューターはそれを自動的に検出し、ネットワーク アダプターを通常の電力状態に戻します。メディア切断の省電力は、コンピューターがスリープ状態のときには無効になります。

  • Wake On Wireless LAN。Windows 7 での Wake on Wireless LAN の実装は、Wake on LAN のスーパーセットです。Wake on Wireless LAN をサポートするデバイスは、有線 LAN 用に定義された機能に加えて、コンピューターがスリープ モードのときにアクセス ポイントへの接続を維持できる必要があります。ワイヤレス ネットワーク アダプターは、ワイヤレス アクセス ポイントからのパケットを受信してフィルタリングするだけでなく、セキュリティ キーの更新を処理できる必要があります。コンピューターがスリープ状態のとき、GroupWise Transient Key の更新はワイヤレス ネットワーク アダプターによって処理されます。Pairwise Transient Key の更新またはユーザー認証を行うには、ネットワーク アダプターがコンピューターのスリープ状態を解除して、Windows で要求を処理できるようにする必要があります。

    有線 WoL と同様に、コンピューターがスリープ状態の場合、ネットワーク アダプターはパケット フィルターを適用し、電源管理オフロードを使用して応答します (適用可能な場合)。接続が失われた場合、ネットワーク アダプターは同じアクセス ポイントへの接続を再度確立できます。別のアクセス ポイントにローミングまたは接続する場合、ネットワーク アダプターはコンピューターのスリープ状態を解除する必要があります。

電源管理設定は標準レジストリ キーワードで制御されます。標準キーワードは、デバイス プロパティのユーザー インターフェイス、netsh コマンド、または Windows Management Instrumentation (WMI) を使用して変更できます。ネットワーク電源管理はネットワーク アダプター単位で制御されます。

前提条件

ハードウェアおよびドライバーの NDIS 6.20 への更新。Wake on LAN、Wake on Wireless LAN、電源管理のオフロード、およびメディア切断の省電力は、ネットワーク アダプターとドライバーの両方でサポートされている必要があります。Wake on LAN パターンの強化機能は、Windows 7 と古いバージョンの両方のドライバーで機能します。古いバージョンのドライバーに対しては、Windows 7 により、Wake on LAN パターンがドライバーの古い電源管理機能に合わせて変換されます。電源管理のオフロードのサポートは、ハードウェアと Windows 7 バージョンのドライバー (NDIS 6.20) の両方で有効になっている必要があります。

ユーザー インターフェイスを使用した電源管理の構成

電源管理機能を有効または無効にするには

  1. [ネットワークと共有センター] を開きます ([スタート] ボタンをクリックし、[検索の開始] ボックスに「ネットワークと共有」と入力して、Enter キーを押します)。

  2. ナビゲーション ウィンドウの左上にある [アダプターの設定の変更] リンクをクリックします。

  3. 電源管理のサポートを有効または無効にするネットワーク接続を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。

  4. [構成] をクリックします。

  5. [電源の管理] タブで、[電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする] チェック ボックスをオンまたはオフにします。

    • オンにした場合、ネットワーク アダプターの電源管理が有効になります。

    • オフにした場合、ネットワーク アダプターの電源管理が無効になります。

  6. すべてのスリープ解除方法に対して Wake on LAN を有効にするか、または Magic Packet WoL のみを有効にします。

    • すべての方法に対して Wake on LAN を有効にするには、[このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする] チェック ボックスをオンにします。

    • Magic Packet でのみ Wake on LAN を有効にするには、[このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする] チェック ボックスをオンにし、[Magic Packet でのみ、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする] チェック ボックスをオンにします。

    noteメモ
    ARP オフロードおよび NS オフロードをサポートしていないデバイスの場合は、Magic Packet でのみスリープ状態を解除するように既定で設定されます。

  7. [OK] をクリックします。

コマンド ラインを使用した Wake on LAN 設定の構成

netsh コマンドを使用して、オペレーティング システムが ARP および NS (ネットワーク アダプター単位、ただしドメインに参加しているコンピューターの場合のみ) でスリープ解除するように強制できます。

ネットワーク アダプターが ARP および NS でスリープ解除するように強制するには

  1. 管理者特権でコマンド プロンプトを開きます ([スタート] ボタンをクリックし、[検索の開始] ボックスに「コマンド プロンプト」と入力し、[コマンド プロンプト] を右クリックして、[管理者として実行] をクリックします)。

  2. netsh interface ipv4 show interfaces」と入力します。これにより、使用可能なすべてのネットワーク インターフェイスが一覧表示されます。変更するネットワーク アダプターのインデックス (ラベルは Idx) をメモします。

    noteメモ
    インターネット プロトコル バージョン 6 の場合は、ipv4ipv6 に置き換えます。

  3. ネットワーク アダプターが ARP および NS でスリープ解除するように強制するには、「netsh interface ipv4 set interface [index] forcearpndwolpattern=enabled」と入力します。成功した場合は OK が返されます。

  4. システムの既定値に戻すには、「netsh interface ipv4 set interface [index] forcearpndwolpattern=disabled」と入力します。成功した場合は OK が返されます。

キーワードを使用した電源管理の構成

キーワードを使用して、どの電源管理機能を有効または無効にするかを構成できます。キーワードの設定は、WMI スクリプトか、デバイス プロパティの詳細プロパティ ページを使用して変更できます。キーワードの設定は、ネットワーク アダプターでどのパターンがプログラミングされるかに影響します。ネットワーク アダプターがサポートする必要があるキーワード、およびその既定の設定を次の表に示します。

 

サブキー名 説明 既定の設定

*WakeOnPattern

ネットワーク アダプターがパターンの一致でコンピューターのスリープ状態を解除するかどうかを定義します。

0 - 無効

1 (既定) - 有効

*WakeOnMagicPacket

ネットワーク アダプターが Magic Packet でコンピューターのスリープ状態を解除するかどうかを定義します。

0 - 無効

1 (既定) - 有効

*DeviceSleepOnDisconnect

ネットワーク アダプターがメディアが切断されたときに低電力状態になり、メディアが再び接続されるとスリープ状態を解除するかどうかを定義します。

0 - 無効

1 (既定) - 有効

*PMARPOffload

コンピューターがスリープ状態になったときにネットワーク アダプターが ARP をオフロードできるかどうかを定義します。

0- 無効

1 (既定) - 有効

*PMNDOffload

コンピューターがスリープ状態になったときにネットワーク アダプターが NS をオフロードできるかどうかを定義します。

0 - 無効

1 (既定) - 有効

*PMWiFiRekeyOffload

コンピューターがスリープ状態になったときにネットワーク アダプターが WoWLAN の GTK キー更新をオフロードできるかどうかを定義します。

0- 無効

1 (既定) - 有効

WMI API を使用した電源管理の構成

WMI は、アプリケーションまたは管理者が電源管理設定を制御するためのプログラミング手段です。WMI スクリプトを使用して電源管理機能を制御するシナリオの例には、次のようなものがあります。

  • アプリケーションで、特定の Wake on LAN 機能がサポートされて有効になっていない限りコンピューターをスリープ状態にできないようにする。たとえば、Media Center や Media Center Extenders などです。

  • 複数のネットワーク アダプター カードを備えたコンピューターを出荷している OEM が、選択したネットワーク アダプターに対してのみ WoL を有効にする。管理ユーティリティーを表示して、WMI スクリプトによるネットワーク アダプターの電源管理機能の変更に使用できます。これらのユーティリティは、ハードウェア機能を読み取ることができ、カスタム構成が可能です。

次の WMI メソッドを使用すると、Wake on LAN を照会および制御できます。

  • GUID_NDIS_PM_ADMIN_CONFIG: キーワードの切り替えを照会および設定するために使用します。

  • GUID_NDIS_PM_CAPABILITIES: ハードウェアの機能と、現在の機能の状態の両方を照会するために使用します。

GUID_NDIS_PM_ADMIN_CONFIG

GUID_NDIS_PM_ADMIN_CONFIG メソッドは、キーワードの値およびパラメーターを照会または設定する場合に呼び出されます。各キーワードは次の 3 つの値のいずれかになります。

  • Unspecified。照会の場合は、キーワードが存在しないことを意味します。設定の場合は、キーワードの現在の値が変更されないようにすることを意味します。

  • Disabled。照会の場合は、キーワードが現在無効になっていることを意味します。設定の場合は、キーワードを無効にすることを意味します。

    [Enabled]。照会の場合は、キーワードが現在有効になっていることを意味します。設定の場合は、キーワードを有効にすることを意味します。

    GUID_NDIS_PM_ADMIN_CONFIG で使用されるキーワードは、次のような構造体に構成されます。

    struct _NDIS_WMI_PM_ADMIN_CONFIG
    { NDIS_PM_ADMIN_CONFIG_STATE WakeOnPattern;
     NDIS_PM_ADMIN_CONFIG_STATE WakeOnMagicPacket;
     NDIS_PM_ADMIN_CONFIG_STATE DeviceSleepOnDisconnect;
     NDIS_PM_ADMIN_CONFIG_STATE PMARPOffload;
     NDIS_PM_ADMIN_CONFIG_STATE PMNSOffload;
     NDIS_PM_ADMIN_CONFIG_STATE PMWiFiRekeyOffload; 
    }
    

GUID_NDIS_PM_ACTIVE_CAPABILITIES

GUID_NDIS_PM_ACTIVE_CAPABILITIES メソッドは、現在の機能を照会して返します。各機能は、次の 3 つの列挙値のいずれかで報告されます。

  • Unsupported。ハードウェアがこの機能をサポートしていないことを意味します。

  • Inactive。ハードウェアが機能をサポートしているが、キーワードまたはその他のロジックによって機能が無効にされていることを意味します。

  • Active。ハードウェアがこの機能をサポートしており、機能が現在有効になっていることを意味します。

GUID_NDIS_PM_ACTIVE_CAPABILITIES で返される機能は、次のような構造体に構成されます。

struct _NDIS_WMI_PM_ACTIVE_CAPABILITIES
{ NDIS_PM_CAPABILITY_STATE WakeOnPattern;
 NDIS_PM_CAPABILITY_STATE WakeOnMagicPacket;
 NDIS_PM_CAPABILITY_STATE DeviceSleepOnDisconnect;
 NDIS_PM_CAPABILITY_STATE PMARPOffload;
 NDIS_PM_CAPABILITY_STATE PMNSOffload;
 NDIS_PM_CAPABILITY_STATE PMWiFiRekeyOffload; 
}

まとめ

Windows 7 ではネットワーク アダプターの電源管理の設定が強化され、誤ったスリープ解除が大幅に削減されると共に、アイドル中のコンピューターをより長い時間スリープ状態にすることが可能になりました。さらに、デバイス プロパティ、標準レジストリ キーワード、または WMI の使用により、ユーザーのニーズに合わせて電源管理設定を構成できます。その結果、省エネルギーと、より環境に優しいコンピューターが実現します。

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