データベースを切断して行う一括アップグレードの手引き (SharePoint Server 2010)

[アーティクル]
03/03/2017

適用先: SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-30

Microsoft Office SharePoint Server 2007 から Microsoft SharePoint Server 2010 にアップグレードするときは、一括アップグレードまたはデータベース接続アップグレードを実行できます。また、両方の方法の一部を組み合わせて、アップグレードプロセスの間の可用性またはスループットを向上させることもできます。ここでは、一括アップグレードとデータベースの切断および接続を組み合わせた複合的な方法を実行して、複数のデータベース (場合によっては異なるハードウェアであっても) を同時にアップグレードする方法を説明します。この方法を使用すると複数のコンテンツデータベースを一度にアップグレードできるので、標準的な一括アップグレード (個別のコンテンツデータベースとサイトコレクションを 1 つずつアップグレードします) を使用した場合より迅速にアップグレードを実行できます。この方法では、次の複合的手法を使用します。

一括アップグレードを使用して、ファームおよび設定をアップグレードします。
複数のデータベースを切断し、並行してアップグレードします。
もう 1 つのアップグレードシーケンス: 仮の小さいファームでデータベースをアップグレードします。

仮の小さいファームを使用して実際のアップグレードを実行する場合は、データベースをコピーするためにデータベースサーバーに直接アクセスできる必要があることに注意してください。ネットワーク経由でのデータベースのコピーには時間がかかり、多くの帯域幅が使用されます。このプロセスをテストして、仮の小さいファームを使用するために必要なリソースがあることを確認してください。

異なるアップグレード方法の長所と短所の詳細については、「アップグレード方法を決定する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。各方法の手順の概要と図解による説明については、「アップグレードプロセスの概要 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

注意

アップグレード中に発生するエラーのよくある原因の 1 つは、カスタマイズされた機能、ソリューション、またはその他の要素が環境に不足していることです。アップグレードプロセスを開始する前に、必要なすべてのカスタム要素がフロントエンド Web サーバーにインストールされていることを確認してください。サイトで使用される可能性のあるすべてのカスタム要素を識別するには、アップグレード前チェックツール、およびデータベース接続アップグレードの場合は test-spcontentdatabase という Windows PowerShell コマンドレットを使用できます。詳細については、「試用版のアップグレードを使用して潜在的な問題を発見する」の「カスタマイズを識別してインストールする」を参照してください。

この記事の内容:

プロセスの概要
作業を始める前に
データベースを切断し、同じファームで並行してアップグレードするには
データベースを切断し、仮の小さいファームで並行してアップグレードするには
検証
追加の手順

重要

SharePoint Server 2010 への一括アップグレードを行うには、64 ビットの Windows Server 2008 環境で、Office SharePoint Server 2007 Service Pack 2 (SP2) を実行する必要があります。サーバーファーム環境の場合は、64 ビット版の Microsoft SQL Server 2008 R2、SQL Server 2008 Service Pack 1 (SP1) (累積的な更新プログラム 2 の適用済み)、および SQL Server 2005 SP3 (累積的な更新プログラム 3 の適用済み) も実行する必要があります。

プロセスの概要

このアップグレード方法は、一括アップグレードとデータベース接続アップグレードの技法を複合したものなので、ここではそれぞれの方法の手順を複合プロセスとしてまとめる方法を説明します。プロセスのすべての手順の詳細な説明は行いません。手順の説明については、次の記事を参照してください。

これらの記事とこのロードマップを組み合わせることで、この複合的アップグレードの実行に必要な情報が得られます。

この種の複合的アップグレードを実行するには、全体を通じて 1 つのファームを使用する方法と、仮の小さいファームを使用して実際のアップグレードを実行する方法の 2 種類があります。以下では、それぞれの方法を使用してアップグレードを実行するために必要な手順を説明します。

はじめに

一括アップグレードを開始する前に、必要な権限、ハードウェア要件、ソフトウェア要件、およびアップグレードの開始前に必要な操作に関する以下の情報を確認してください。

アップグレードプロセスを開始する前に、アップグレード前チェックツール (stsadm -o preupgradecheck、Office SharePoint Server 2007 Service Pack 2 に付属し、2009 年 10 月の累積的な更新プログラムで更新されたもの) を必ず実行し、問題がある場合はすべて解決しておきます。詳細については、「アップグレード前チェックツールを実行する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。
アップグレードプロセスを開始する前に、環境をバックアップすることをお勧めします。詳細については、「一括アップグレードの前に環境全体をバックアップする (SharePoint Server 2010)」を参照してください。
ハードウェアとソフトウェアの要件をすべて満たしていることを確認します。 64 ビット版 Windows Server 2008 または Windows Server 2008 R2 が必要です。サーバーファーム用に、64 ビット版 SQL Server 2005 または SQL Server 2008 が必要です。 For more information about these requirements (such as specific updates that you must install), see Determine hardware and software requirements (SharePoint Server 2010).
適切なアクセス許可を使用して必要なアカウントをセットアップする準備ができていることを確認します。 For detailed information, see Administrative and service accounts required for initial deployment (SharePoint Server 2010).

データベースを切断し、同じファームで並行してアップグレードするには

ここでは、単一のファームでデータベースを切断してアップグレードする方法を使用する場合の手順について説明します。

データベースを切断して一括でアップグレードするためのプロセス (同じファーム)

データベースを切断して一括でアップグレードするためのプロセス (同じファーム)
データベースを切断する次の操作を使用して、コンテンツデータベースを切断します。 Stsadm.exe -o deletecontentdb -url https://servername -databasename ContentDatabaseName この操作の詳細については、「Deletecontentdb: Stsadm 操作 (Office SharePoint Server)」を参照してください。
ファームを一括でアップグレードするすべての前提条件をファーム内のすべてのサーバーにインストールします。ファーム内のすべてのサーバーでセットアップを実行します。ファーム内のすべてのサーバーで SharePoint 製品構成ウィザードを実行します。これらの手順の詳細については、「SharePoint Server 2010 への一括アップグレード」を参照してください。
データベースを接続してコンテンツをアップグレードするコンテンツデータベースを Web アプリケーションに追加します。次の Windows PowerShell コマンドレットを使用して、コンテンツデータベースを追加および更新します。 `Mount-SPContentDatabase -Name <DatabaseName> -DatabaseServer <ServerName> -WebApplication <URL> [-Updateuserexperience]` 最初のデータベースのアップグレードを検証します。残りのデータベースについて、復元と追加の手順を並行して繰り返します。これらの手順の詳細については、「SharePoint Server 2010 へのデータベース接続アップグレードを実行する」を参照してください。

データベースを切断する

次の操作を使用して、コンテンツデータベースを切断します。

Stsadm.exe -o deletecontentdb -url https://servername -databasename ContentDatabaseName

この操作の詳細については、「Deletecontentdb: Stsadm 操作 (Office SharePoint Server)」を参照してください。

ファームを一括でアップグレードする

すべての前提条件をファーム内のすべてのサーバーにインストールします。
ファーム内のすべてのサーバーでセットアップを実行します。
ファーム内のすべてのサーバーで SharePoint 製品構成ウィザードを実行します。

これらの手順の詳細については、「SharePoint Server 2010 への一括アップグレード」を参照してください。

データベースを接続してコンテンツをアップグレードする

コンテンツデータベースを Web アプリケーションに追加します。

次の Windows PowerShell コマンドレットを使用して、コンテンツデータベースを追加および更新します。
```
Mount-SPContentDatabase -Name <DatabaseName> -DatabaseServer <ServerName> -WebApplication <URL> [-Updateuserexperience]
```
最初のデータベースのアップグレードを検証します。
残りのデータベースについて、復元と追加の手順を並行して繰り返します。

これらの手順の詳細については、「SharePoint Server 2010 へのデータベース接続アップグレードを実行する」を参照してください。

データベースを切断し、仮の小さいファームで並行してアップグレードするには

ここでは、2 つのファーム (元のファームと仮の小さいファーム) でデータベースを切断してアップグレードする方法を使用する場合の手順について説明します。

データベースを切断して一括でアップグレードするためのプロセス (仮の小さいファーム)

データベースを切断して一括でアップグレードするためのプロセス (仮の小さいファーム)
データベースのアップグレードで使用する仮の小さいファームを設定するこれらの手順の詳細については、「データベース接続アップグレードのために新しい SharePoint Server 2010 環境を準備する」を参照してください。
2 - 元のファームからデータベースを切断する SQL Server ツールを使用して前のバージョンのデータベースをバックアップします。データベースをバックアップする手順の詳細については、「SharePoint Server 2010 へのデータベース接続アップグレードを実行する」を参照してください。次の操作を使用して、コンテンツデータベースを切断します。 Stsadm.exe -o deletecontentdb -url https://servername -databasename ContentDatabaseName この操作の詳細については、「Deletecontentdb: Stsadm 操作 (Office SharePoint Server)」を参照してください。
元のファームを一括でアップグレードするすべての前提条件をファーム内のすべてのサーバーにインストールします。ファーム内のすべてのサーバーでセットアップを実行します。ファーム内のすべてのサーバーで SharePoint 製品構成ウィザードを実行します。これらの手順の詳細については、「一括アップグレードを実行する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。
仮の小さいファームにデータベースを接続してコンテンツをアップグレードするバックアップコピーを新しいファームに復元します。コンテンツデータベースを Web アプリケーションに追加します。次の Windows PowerShell コマンドレットを使用して、コンテンツデータベースを追加および更新します。 `Mount-SPContentDatabase -Name <DatabaseName> -DatabaseServer <ServerName> -WebApplication <URL> [-Updateuserexperience]` 最初のデータベースのアップグレードを検証します。残りのデータベースについて、復元と追加の手順を並行して繰り返します。これらの手順の詳細については、「SharePoint Server 2010 へのデータベース接続アップグレードを実行する」を参照してください。
仮の小さいファームからデータベースをバックアップし、元のファームに接続するアップグレードしたデータベースを、SQL Server ツールを使用してバックアップします。バックアップコピーを元のファームに復元します。アップグレードしたコンテンツデータベースを元の Web アプリケーションに追加します。これは基本的に前記の手順と同じプロセスです。ただし、仮の小さいファームから元のファームにデータベースを戻します。前記と同じ手順を使用します。

データベースのアップグレードで使用する仮の小さいファームを設定する

これらの手順の詳細については、「データベース接続アップグレードのために新しい SharePoint Server 2010 環境を準備する」を参照してください。

2 - 元のファームからデータベースを切断する

SQL Server ツールを使用して前のバージョンのデータベースをバックアップします。

データベースをバックアップする手順の詳細については、「SharePoint Server 2010 へのデータベース接続アップグレードを実行する」を参照してください。
次の操作を使用して、コンテンツデータベースを切断します。

Stsadm.exe -o deletecontentdb -url https://servername -databasename ContentDatabaseName

この操作の詳細については、「Deletecontentdb: Stsadm 操作 (Office SharePoint Server)」を参照してください。

元のファームを一括でアップグレードする

すべての前提条件をファーム内のすべてのサーバーにインストールします。
ファーム内のすべてのサーバーでセットアップを実行します。
ファーム内のすべてのサーバーで SharePoint 製品構成ウィザードを実行します。

これらの手順の詳細については、「一括アップグレードを実行する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

仮の小さいファームにデータベースを接続してコンテンツをアップグレードする

バックアップコピーを新しいファームに復元します。
コンテンツデータベースを Web アプリケーションに追加します。

次の Windows PowerShell コマンドレットを使用して、コンテンツデータベースを追加および更新します。
```
Mount-SPContentDatabase -Name <DatabaseName> -DatabaseServer <ServerName> -WebApplication <URL> [-Updateuserexperience]
```
最初のデータベースのアップグレードを検証します。
残りのデータベースについて、復元と追加の手順を並行して繰り返します。

これらの手順の詳細については、「SharePoint Server 2010 へのデータベース接続アップグレードを実行する」を参照してください。

仮の小さいファームからデータベースをバックアップし、元のファームに接続する

アップグレードしたデータベースを、SQL Server ツールを使用してバックアップします。
バックアップコピーを元のファームに復元します。
アップグレードしたコンテンツデータベースを元の Web アプリケーションに追加します。

これは基本的に前記の手順と同じプロセスです。ただし、仮の小さいファームから元のファームにデータベースを戻します。前記と同じ手順を使用します。

検証

アップグレードが失敗した場合や問題が報告された場合は、ログファイルで詳細を参照できます。ログファイルの確認や、失敗後のアップグレードの再開に関する詳細については、「アップグレードの状態とアップグレードされたサイトを確認する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

追加の手順

アップグレードの完了後、新しいファームに対していくつかの構成手順を行う必要があります。詳細については、「一括アップグレードのアップグレード後の手順を実行する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。