ビット レート調整の構成のウォークスルー
公開日: 2007 年 11 月 23 日 (作業者: saad (英語))
更新日: 2009 年 5 月 12 日 (作業者: saad (英語))
必要条件
IIS 7.0 用のビット レート調整拡張機能のインストールについては、「ビット レート調整の Readme (英語)」の「インストールに関する注意事項 (Installation Notes)」を参照してください。
この記事の手順を実行する場合、IIS 7.0 の構成を十分に理解しておくと作業をスムーズに進めることができます。最初に「 IIS 7.0 の構成の詳細」を目を通すことをお勧めします。
ビット レート調整が動作していることの確認
ビット レート調整が既にインストールされていることを確認するには、IIS マネージャー ウィンドウを開きます (後の図を参照)。 [接続] ウィンドウでサーバーをクリックします。 ホーム ページ (中央のウィンドウに表示される) の [Media Services] という領域に [ビット レート調整] アイコンが表示されます。これは、ビット レート調整が動作していることを確認できることを示します。
IIS 7.0 サーバー上にまだ既定の Web サイトがある場合は、次の手順に従って、ビット レート調整をテストします。 最初に、1 分以上の長さのサンプル ビデオ ファイルをサーバーにダウンロードします。 適当なコンテンツがすぐに見つからない場合は、このサンプル Windows Media Video ファイルへのリンク (https://download.microsoft.com/download/3/9/0/3902e391-734e-470f-806b-4d779f07749f/PS_DEMO_320x180_1MB.wmv) を右クリックし、[対象をファイルに保存] をクリックします。
[名前をつけて保存] ダイアログ ボックスで、次の操作を行います。
既定の Web サイト ディレクトリへのパス (C:\inetpub\wwwroot など) を指定します。
作業を簡単にするために、ファイル名を test.wmv に変更します。
[保存] をクリックします。
サーバーへのダウンロードが終了したら、[閉じる] をクリックします。
IIS 7.0 サーバーで、Windows のタスク マネージャーを開きます (たとえば、Ctrl キーと Shift キーを押しながら Esc キーを押します)。 [ネットワーク] タブをクリックします。 ネットワーク アクティビティがほとんど発生していない場合、次のように表示されます。
IIS 7.0 サーバーへのネットワーク アクセスが可能なクライアント コンピューターで、Windows Media Player を開き、[URL を開く] ダイアログ ボックスを表示します (たとえば、Ctrl キーを押しながら U キーを押します)。 [開く] ボックスに、次のように IIS 7.0 サーバーの既定の Web サイトのアドレス (たとえば、「http://<server_name>/test.wmv」) を入力し、[OK] をクリックします。
クライアント コンピューターでおよそ 2 分のビデオ クリップの再生が終了すると、IIS 7.0 サーバーの [ネットワーク] タブのグラフは次のように表示されます。
最初に Windows Media Player のプリロール バッファーが満たされるまで大量のデータの転送が行われた後、コンテンツの配信は約 1 Mbps に調整されます。これは、コンテンツのエンコード時のビット レートです。
実際の作業結果で似たような結果が得られていれば、成功です。 IIS 7.0 のビット レート調整モジュールが正しくインストールされています。 次に、既定の設定を変更する方法の概要を説明します。
サーバー レベルでの調整の構成
最初に、ビット レート調整の既定の設定、新しい設定の追加方法、および既存の設定の変更方法を確認します。
[接続] ウィンドウでサーバーをクリックし、ホーム ページ ウィンドウで [ビット レート調整] をクリックし、[操作] ウィンドウで [機能を開く] をクリックします。
[ビット レート調整] ページに、モジュールで既定で定義されている 10 のメディア ファイルの種類が表示されます (次の図を参照)。
各 [ファイルの種類] に 4 つの属性が関連付けられています。
[調整の種類]。[メディア] または [データ] のいずれかです (ここでは、すべて [メディア])。
[ファスト スタート]。開始時の待ち時間を最小限に抑えるため、クライアントに最初にまとめて送信するコンテンツの量を定義します (メディア ファイルの場合はコンテンツの秒数。データ ファイルの場合はコンテンツの KB 数)。
[調整レート]。ファスト スタートによる大量転送 (設定している場合) が完了した後のファイルのダウンロード速度を定義します。
[エントリの種類] ([ローカル] または [継承])。
[操作] ウィンドウで [調整設定の追加] をクリックします。 [調整設定の追加] ダイアログ ボックスが表示されます。
[ファイルの種類] ボックスの一覧にエントリはありません。 これは設計によるものです。 10 のメディア ファイルの種類が定義されており、それぞれに既定の調整設定が構成されています。 新しいメディア ファイルの種類を追加するには、最初に、ApplicationHost.config ファイルの拡張機能スキーマを使用してそのメディア形式を定義する必要があります。 この作業の方法については、「ビット レート調整の拡張性のウォークスルー」を参照してください。
[ファイルの種類] ボックスに新しいファイル拡張子を入力します。 たとえば、「.jpg」と入力します。 なぜ .jpg を選んだのでしょうか。 6MB のプログレッシブ JPEG (英語) ファイルがあるとします。 ビット レート調整を使用する場合、ファイルの最初の処理段階ではファスト スタートによって大量の転送が行われ、それ以降の処理では調整された速度で転送されます。 エンド ユーザーが最初の処理段階で誤った画像のダウンロードを開始してしまったことに気付き、ダウンロードを取り消した場合、ファイルの残りの部分が最大接続帯域幅を使用してダウンロードされることはないため、帯域幅を大幅に節約することができます。
拡張子 .jpg はオーディオ形式またはビデオ形式として認識されないので、データ (非メディア) ファイルの一種と見なされ、データの種類の設定セクションのみが編集できるようになります。
プログレッシブ JPEG 画像のダウンロードを想定しており、画像の最初の部分はできるだけ早く表示される必要があるので、[ファスト スタート] フィールドを 10 に設定します (キロバイト (KB) 単位で設定)。これにより、各画像の最初の 10 KB がネットワークの許容最大転送速度で転送されるようにビット レート調整モジュールが構成されます。
[調整レート] を 5 に設定します。これにより、ファイルの残りの部分は 5 キロビット/秒 (kbps) でダウンロードされるようにビット レート調整モジュールが構成されます。
[OK] をクリックします。
[ファイルの種類] ボックスの一覧に .jpg が追加されています。
.jpg の MIME の種類を使用して、同じ jpg の調整設定を追加することもできます。 [操作] ウィンドウで [調整設定の追加] をクリックします。 [調整設定の追加] ダイアログ ボックスが表示されます。
注: 次の図では、グループ化の表示を [調整の種類] に変更しています。
.jpg の MIME の種類 (image/jpeg) を入力し、前と同じ調整設定を行います。
[OK] をクリックします。
[ファイルの種類] で .wmv をクリックします。 一覧からファイルの種類を選択すると、[操作] ウィンドウで [編集] オプションと [削除] オプションが使用できるようになります。
[操作] ウィンドウで、[編集] をクリックします。 [調整設定の編集] ダイアログ ボックス (次の図) が表示されます。
[ファイルの種類] ボックスとメディアの種類の設定には、既存の .wmv の設定があらかじめ表示されます。 また、拡張子 .wmv をデータの種類に変更することもできます。
.wmv の既存の [ファスト スタート] の値を 20 から 25 に変更し、[調整レート] を 100 から 110 に変更します (前の図)。 これによって、すべての .wmv ファイルについて最初の 25 秒分のコンテンツが接続の許容最大速度でダウンロードされ、残りの配信はエンコード時のビット レートの 110% に調整されるように、モジュールが構成されます。
たとえば、エンド ユーザーがケーブル接続によってインターネットに接続している場合に、接続速度が 2 Mbps であるとします。 最初の 25 秒分のコンテンツはこの速度で配信されます。 このファイルが 300 kbps でエンコードされていた場合、ファイルの残りの部分はこのビット レートの 110%、つまり 330 kbps で配信されます。 この 2 段階のアプローチによって、メディア クライアントでは迅速にコンテンツを取得し、再生を開始できます。その後、ネットワークに若干の中断があったとしても、ユーザーにはほとんどまたはまったく影響を与えない速度で配信を続行できます。
[OK] をクリックします。 .wmv の新しい設定がファイルの種類の一覧に表示されます。
ここで、[有効にする] をクリックしてビット レート調整モジュールを有効にします。
まとめ: ここでは、ビット レート調整についてサーバー レベルの既定の設定を確認し、データ ファイルの種類の設定を追加し、メディア ファイルの種類の設定を編集しました。
サイト レベルでの調整の構成
ここでは、IIS 構成階層のサイト レベルで設定を追加したり、既存の設定を変更したりする方法について説明します。
IIS 7.0 では、コンピューター管理者が構成の設定や変更のタスクを、サイト所有者やアプリケーション所有者に委任できます。 この作業を行うには、コンテンツ ディレクトリの web.config ファイルを使用します。 これらのファイルでは、階層のそのレベルと下位レベルで有効になる構成セクションを指定できます。 コンピューター管理者は、このような委任を有効にするには、サーバー (グローバルとも呼ばれる) レベルで明示的にセクションのロックを解除する必要があります。 既定では、多くの IIS セクション (ビット レート調整も含む) はサーバー レベルではロックされていませんが、下位レベル (サイト、仮想ディレクトリなど) では委任のためにロックされています。
以下の最初の手順では、構成の委任の手順を習得できます。この機能の使用方法の詳細については、「IIS 7 で構成の委任を使用する方法」を参照してください。
コンピューター上で管理者特権があることを確認します。既定では、ビルトイン Administrator アカウント以外のユーザーとしてログオンした場合、このユーザーがコンピューター上のローカルの Administrators グループに追加されている場合でも管理者特権はありません (これは Windows Server 2008 の LUA と呼ばれる新しいセキュリティ機能ですが、ここでは説明しません)。 ビルトイン Administrator アカウントを使用してログオンするか、必要に応じて "runas" コマンド ライン ツールを使用して明示的にビルトイン Administrator としてアプリケーションを起動します。 たとえば、notepad.exe を起動する場合は、"runas /user:administrator notepad.exe" というコマンドを実行します。 Administrator アカウントのパスワードの入力を求めるメッセージが表示されます。 "runas /user:administrator cmd.exe" を実行して、コマンドライン ウィンドウ (コマンド ボックス シェルとも呼ばれます) をあらかじめ昇格しておくと便利です。 このコマンド ボックスから実行するアプリケーションはすべて昇格されるため、"runas" 構文を省略できます。
マスター構成ファイルをバックアップしてあることを確認します。 applicationHost.config を別のファイルにコピーするだけで、後で復元することができます。 applicationHost.config は、%windir%\System32\inetsrv\config ディレクトリにあります。 この作業をするには、管理者である必要があります。前の手順を参照してください。
applicationHost.config で、メディア セクション グループ内のビット レート調整の構成セクションはロックされています。
f
<sectionGroup name="media"> <section name="Bit RateThrottling" overrideModeDefault="Deny" /> </sectionGroup>
この構成セクションがロックされている場合、すべての下位レベルのビット レート調整のエントリについて、ユーザー インターフェイスでは [エントリの種類] が [ローカル] と表示され、そのレベルで調整設定を変更しても調整には影響しません。 サーバー レベルでこのセクションをロック解除することによって、applicationHost.config で定義されているグローバル サーバー設定を変更する、ビット レート調整のさまざまなプロパティを下位レベルの web.config ファイルで変更できます。 このセクションがロック解除されている場合、ビット レート調整の委任が有効になり、すべての下位レベルで、調整のエントリは既定の [エントリの種類] が [継承] になります。
ビット レート調整の構成セクションをロック解除してこの機能の委任を有効にするには、次の手順を実行します。
applicationHost.config で、メディア セクション グループ内のビット レート調整の構成セクションを "Deny" から "Allow" に変更します。
<sectionGroup name="media"> <section name="Bit RateThrottling" overrideModeDefault="Allow" /> </sectionGroup>
applicationHost.config でビット レート調整の構成セクションをロック解除したので、次の手順ではサイト レベルで基本的な調整を変更する方法を示します。
次の図のように、[接続] ウィンドウのツリー ビューで Web サイトをクリックします。
中央のウィンドウに表示されたホーム ページで、[Media Services] 領域の [ビット レート調整] アイコンをクリックします。
[操作] ウィンドウで [機能を開く] をクリックします。
[ビット レート調整] ページ (次の図) に、モジュールで設定が定義されている 11 のファイルの種類が表示されます。これには、「サーバー レベルでの調整の構成」で行った変更が反映されています。このセクションの手順 3. を完了している場合は、すべてのファイルの種類について、[エントリの種類] がサーバー レベルからの [継承] になっています。
[操作] ウィンドウで [調整設定の追加] をクリックします。
[調整設定の追加] ダイアログ ボックス (次の図) が表示されます。
[ファイルの種類] ボックスの一覧にエントリはありません。これは設計によるものです。10 のメディア ファイルの種類が定義されており、それぞれに既定の調整設定が構成されています。新しいメディア ファイルの種類を追加するには、最初に、ApplicationHost.config ファイルの拡張機能スキーマを使用してそのメディア形式を定義する必要があります。この作業の方法については、「ビット レート調整の拡張性のウォークスルー」を参照してください。
[ファイルの種類] ボックスに新しいファイル拡張子を入力します。たとえば、「.dat」と入力します。なぜ .dat ファイルを調整するのでしょうか。通常、この種類のファイルは迅速にダウンロードする必要がない、サイズの大きいファイルですが、最大同時接続数をサポートするという要件がある場合が考えられます。優先度の低い、サイズの大きいファイルを調整することによって、サーバーで処理するユーザー数を拡大することができます。
拡張子 .dat はオーディオ形式またはビデオ形式として認識されないので、データ (非メディア) ファイルの種類と見なされ、[データ] グループ ボックスのフィールドのみが編集できるようになります。
ファイルの最初の部分を最大速度で転送する必要はないので、[ファスト スタート] フィールドは既定値の 0 のままにします。
[調整レート] を 250 に設定します。これにより、ファイルの残りの部分は 250 キロビット/秒 (kbps) でダウンロードされるようにビット レート調整モジュールが構成されます。
[OK] をクリックします。
ファイルの種類の一覧に .dat が追加され (次の図を参照)、[エントリの種類] が [ローカル] に設定されます。したがって、この調整設定は、このサイトとその下位レベルにのみ適用されますが、ピア サイトやサーバー全体には適用されません。
また、[操作] ウィンドウに [継承元に戻す] オプションが表示されています。これによって、このレベルで行ったすべての変更を、上位の構成レベルから継承した規則に従って元に戻すことができます。[継承元に戻す] オプションは注意して使用してください。複数のファイルの種類を変更している場合、そのファイルの種類のうちの 1 つだけを元に戻す必要があるときには、手動で修正する必要があります。 たとえば、.dat のファイルの種類をサイト レベルで定義する必要がなくなった場合は、[ビット レート調整] ページでこのファイルの種類を選択し、[操作] ウィンドウで [削除] をクリックします。
[ファイルの種類] で .wmv をクリックします。
一覧からファイルの種類を選択したときには、[操作] ウィンドウで [編集] オプションと [削除] オプションが使用できるようになります。
[操作] ウィンドウで、[編集] をクリックします。
[調整設定の編集] ダイアログ ボックス (次の図) が表示されます。
[ファイルの種類] ボックスとメディアの種類の設定には、既存の .wmv の設定があらかじめ表示されます。また、各 .wmv ファイルについてエンコード時のビット レートを自動的に検出する代わりに、このサイトでは .wmv ファイルをフラットなレートに調整する場合は、拡張子 .wmv をデータの種類に変更することもできます。
.wmv の継承された [ファスト スタート] の値を 20 から 25 に変更し、[調整レート] を 100 から 110 に変更します。これによって、サイト レベルのすべての .wmv ファイルについて最初の 25 秒分のコンテンツが接続の許容最大速度で転送され、残りの配信はエンコード時のビット レートの 110% に調整されるように、モジュールが構成されます。
[OK] をクリックします。
.wmv のサイト レベルの新しい設定がファイルの種類の一覧に表示され (次の図)、前の手順で追加したファイルの種類 .dat と同様に、[エントリの種類] には [ローカル] と表示されます。
まとめ: ここでは、ビット レート調整についてサイト レベルの既定の設定を確認し、データ ファイルの種類の新しい設定を追加し、メディア ファイルの種類の設定を編集しました。
仮想ディレクトリ レベルでの調整の構成
ここでは、前のサイトのページで示されている基本的な設定を使用して仮想ディレクトリを構成できることを示しています。たとえば、"videos" という名前の仮想ディレクトリを既定の Web サイトに追加した場合 (次の図を参照)、このディレクトリに格納されているコンテンツの調整設定を容易に追加または編集できます。
ファイル レベルでの調整の構成
必要であれば、ファイル レベルで調整設定を変更することもできますが、サーバー、サイト、および仮想ディレクトリのレベルほどわかりやすくはありません。この例では、videos 仮想ディレクトリに sample.wmv という名前のファイルがあり、そのファイルに固有の調整設定を行うと仮定します。videos 仮想ディレクトリをクリックし、ホーム ページ ウィンドウの下部にある [コンテンツ ビュー] をクリックします (次の図を参照)。
ホーム ページ ウィンドウで sample.wmv を右クリックし、コンテキスト メニューの [機能ビューに切り替え] をクリックします (次の図を参照)。
これで、sample.wmv が [接続] ウィンドウに表示されます (次の図を参照)。
[ビット レート調整] アイコンをダブルクリックし、ファイルの種類 .wmv の調整設定を変更します。
ヒント: 適切な構成レベルに設定を適用していることを確認するには、[インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャー] ウィンドウの上部に表示されるパスを確認する方法があります。また、ウィンドウの下部にあるステータス バーを確認する方法もあります (次の図を参照)。
サイト レベルでの高度な調整設定の構成
ビット レート調整には、サイト管理者がサーバー リソースを管理しやすくするための制限も含まれています。 この制限は、接続ごとの帯域幅および許容される接続数に適用されます。サイト レベルで設定された制限は、そのサイトのすべてのコンテンツに適用されます。
ここでは、「サイト レベルでの調整の構成」で使用したサイトの例を引き続き使用します。まず、接続ごとの使用帯域幅に適用される制限を見てみましょう。
次の図のように、既定の Web サイトでビット レート調整機能を選択します。
[操作] ウィンドウで、[詳細設定] をクリックします。
[詳細設定] ダイアログ ボックスで 2 つの設定を使用できます (次の図を参照)。
[既定の調整レート]: エンコード時のビット レートが特定できない場合 (メディア ファイル内のメタデータが存在しないか、壊れている場合など) や、メディアまたはデータ ファイルの種類に調整レートが指定されていない場合に、メディア ファイルに適用される設定です。この値を制限値として使用することによって、ファイルやファイルの種類による不均衡な帯域幅の使用を防止できます。
[最大調整レート]: 既知のすべてのメディア ファイルやデータ ファイルの調整レートを特定の値に制限する設定です。 特定のファイルの種類の調整レートが高く設定されている場合でも、この最大値をファイルに設定して、調整レートを制限できます。
以下に使用例を示します (次の図を参照)。
[既定の調整レート] を有効にし、300 kbps に設定します。
[最大調整レート] を有効にし、1000 kbps に設定します。
前の図の設定によって、結果は次のようになります。
このサイトから配信されるファイルで、サイト レベルのビット レート調整設定の一覧に現在含まれていないものは、300 kbps の固定レートで配信されます。この設定は、既に調整を使用するように構成されているファイルの種類よりも優先されません。
サイト レベルのビット レート調整設定の一覧に現在含まれているファイルの種類は、そのファイルの種類の調整設定が高い値 (1200 kbps など) に設定されている場合でも、調整によって最大 1000 kbps に制約されます。最大調整レートは調整された応答にのみ適用されるので、ファスト スタートのデータは、調整なしに、ネットワークの許容最大速度で送信されます。
ビット レート調整機能に追加されるもう 1 つの制限によって、管理者は、ファイルの種類のセットについて、サイトごとの接続制限を適用できます。帯域幅の制限とは異なり、接続の制限は、IIS 7.0 のメインの構成ファイルである applicationHost.config を編集することによって構成します。
接続の制限を設定するには、2 つの主な手順があります。接続グループの作成と、接続グループへのファイルの種類の関連付けです。既定では、ビット レート調整機能で定義済みの 10 のメディア ファイルの種類が、AudioFiles と VideoFiles という 2 つの接続制限グループのいずれかに関連付けられています。たとえば、形式の異なる大量のビデオを配信する Web サイトを実行していると場合、サーバー リソースを保護し、接続されたユーザーに適切なエクスペリエンスを保証するために、そのコンテンツに対する同時接続数を制限するおことができます。
まず、「サイト レベルでの調整の構成」の手順 1. と 2. に示されているように、IIS サーバーのローカル管理者としてログオンしていることを確認し、編集を行う前に %windir%\System32\inetsrv\config\applicationHost.config ファイルのバックアップを作成します。
applicationHost.config で、「<media>」という文字列を検索します。この文字列は、system.webserver セクションにあります。そのすぐ下に bitrateThrottling セクションがあります。このセクションの関連する部分を以下に示します。
<system.webServer> <media> <bitrateThrottling enabled="true" minSendSize="5840"> <throttleSettings> <add fileExtension=".asf" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="20" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="VideoFiles" /> <add fileExtension=".wmv" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="20" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="VideoFiles" /> <add fileExtension=".wma" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="20" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="AudioFiles" /> <add fileExtension=".avi" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="20" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="VideoFiles" /> <add fileExtension=".mp3" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="10" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="AudioFiles" /> <add fileExtension=".mp4" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="10" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="VideoFiles" /> <add fileExtension=".mov" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="10" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="VideoFiles" /> <add fileExtension=".flv" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="10" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="VideoFiles" /> <add fileExtension=".rm" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="10" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="AudioFiles" /> <add fileExtension=".rmvb" settingType="media" initialBufferTimeSeconds="10" throttleRatePercentage="100" connectionLimitGroup="VideoFiles" /> <add fileExtension=".jpg" settingType="data" initialSendSizeKBytes="10" throttleRateKbps="5" /> </throttleSettings> <connectionLimitGroups> <add name="VideoFiles" connectionLimit="0" /> <add name="AudioFiles" connectionLimit="0" /> </connectionLimitGroups> ... </bitrateThrottling> </media> </system.webServer>
上記の構成 XML で、特定のファイルの種類を接続グループに関連付けるには、<throttleSettings> 内の <add> ノードでオプションの connectionLimitGroup 属性を設定すればよいということがわかります。
"connectionLimitGroups" という別のノード (これも <throttleSettings> の子) で、ファイルの種類のグループに接続制限を適用することができる接続グループを定義できます。 既定では、接続制限は 0 に設定されており、無制限に接続を許可します。
ビデオ サイトの例に戻りましょう。サイトへのビデオの同時接続数に制限を適用するには、構成ファイルのこのノードを次のように変更します。
<connectionLimitGroups> <add name="VideoFiles" connectionLimit="5000" /> <add name="AudioFiles" connectionLimit="0" /> </connectionLimitGroups>
この例では、Web サーバー上のビデオ ファイルに対して、最大 5000 の同時クライアント接続を許可しています。ビデオ コンテンツのエンコード時の平均ビット レートが 300 kbps であるとすると、この制限では、合計で 1.5 Gbps のコンテンツをクライアントに配信できます。
特定の接続グループの接続制限に達すると、そのファイルの種類を要求したクライアントには、HTTP 503 (サービスを使用できません) エラーが返されます。 接続が使用可能になるまで、クライアントは接続して調整されたコンテンツを受信することができません。
特定のファイルの種類に対して無制限の接続を指定するには、connectionLimit="0" を設定するか、特定のファイルの種類の connectionLimitGroup を省略します。
注: サイトに複数のアプリケーションがあり、それぞれが別のアプリケーション プールで実行されている場合は、ワーカー プロセスごとに独立した接続グループの制限が適用されます。 サーバーごとの集約した接続制限は、現在サポートされていません。
まとめ: ここでは、高度な帯域幅の調整設定と、ファイルの種類ごとにグループ化された接続制限を使用して、高度なサイト レベルの制限を適用する方法を説明しました。
まとめ
これで、サーバー上で IIS Media Services のビット レート調整モジュールを構成する実習は終わりです。 これで、サーバー、サイト、仮想ディレクトリ、およびファイル レベルで、ビット レート調整のプロパティを調整できるようになりました。
IIS Media Services Web サイト (英語) で、このモジュールで提供される機能の拡張方法について説明している他の記事 (「ビット レート調整の拡張性のウォークスルー」など) も参照してください。