リモート デスクトップ サービス環境での Office 2010 の展開を計画する

 

適用先: Office 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-29

リモート デスクトップ サービス (以前のターミナル サービス) は Windows Server 2008 R2 のサーバー ロールであり、このサービスが提供するテクノロジを使用すると、セッションベースのデスクトップ、仮想マシンベースのデスクトップ、またはデータセンター内のアプリケーションに、企業ネットワークの内部およびインターネットの両方からアクセスできます。この記事では、リモート デスクトップ サービス環境への Microsoft Office 2010 の展開を計画しているユーザーのために、ベスト プラクティスと推奨されるガイドラインについて説明します。

この記事の内容

  • リモート デスクトップ サービス環境を計画する

  • リモート デスクトップ セッション ホスト サーバー (以前のターミナル サーバー) を構成する

  • Office 2010 のインストールをカスタマイズする

リモート デスクトップ サービス環境を計画する

Office 2010 の効果的なリモート デスクトップ サービス環境を計画するには、以下の各セクションのベスト プラクティスおよび推奨ガイドラインを使用してください。

ライセンス要件を評価する

正常に機能させるには、リモート デスクトップ サービスを Microsoft Office のボリューム ライセンス キーと共に展開する必要があります。2007 Microsoft Office system では、ボリューム ライセンス キーを使用していなくても (製品版など)、リモート デスクトップ サービスが構成されているオペレーティング システムであれば、インストールを完了できました。ただし、ユーザーがアプリケーションを起動すると次のメッセージが表示されました。

"Microsoft Office プログラムのこのコピーは、ターミナル サーバー上では使用できません。詳細については、お近くの Microsoft 公認販売店にお問い合わせください。"

Office 2010 では、セットアップ時のチェックが導入されています。プロダクト キーに関連付けられている権限ではリモート デスクトップ サービスを利用できない場合、セットアップ プログラムがすぐにブロックされ、リモート デスクトップ サービスを実行中のコンピューターでは SKU がサポートされていないというメッセージが表示されます。

ソフトウェア要件を評価する

リモート デスクトップ サービス対応コンピューターに Office 2010 をインストールする前に、サーバーおよびクライアント コンピューターの要件を把握しておく必要があります。

サーバーの要件

Office 2010 は、Windows Server 2003 R2、Windows Server 2008、または Windows Server 2008 R2 を搭載しているコンピューターで実行できます。Windows Server 2003 より前にリリースされたサーバー オペレーティング システムでは、Office 2010 をインストールまたは実行することはできません。

リモート デスクトップ サービス上で Office 2010 を展開する場合は、Office 2010 の設計の変更点を確認し、使用する Windows Server のバージョン (2003 または 2008) に応じたサーバーの要件を確認する必要があります。現在のサーバー ハードウェアは複数の同時セッションをサポートできるので、パフォーマンスがかなりの影響を受けます。プロセッサとメモリの要件は負荷によって異なります。次の表に最新のテスト結果を示します。

Windows Server のバージョン コア プロセッサ メモリ 同時セッション数

Windows Server 2008

32

256 GB

1140

Windows Server 2008

16

256 GB

860

Windows Server 2003

4

16 GB

150

ユーザーがその機能を必要とする場合は、リモート デスクトップ セッション ホスト (RD セッション ホスト) サーバー ファームで負荷分散するようにリモート デスクトップ サービスを構成できます。

Windows Server 2003 RD セッション ホスト サーバーの容量と規模が示すように、同時セッション数は、負荷、構成など、さまざまな要素に左右されます。数千の同時セッションをサポートするには、RD セッション ホスト サーバー ファーム構成を使用します。

サーバー要件の計画については、以下を参照してください。

クライアントの要件

リモート デスクトップ サービス対応コンピューターで Office 2010 を実行する 1 つの利点は、古くて堅牢性の低いクライアント コンピューターからリモート デスクトップ サービス対応コンピューターにアクセスできることです。具体的には、リモート デスクトップ プロトコル (RDP) をサポートしているコンピューターであれば、リモート デスクトップ サービス対応コンピューターに接続できます。

推奨ガイドラインとベスト プラクティスを評価する

リモート デスクトップ サービス環境での Office 2010 の効果的な展開を計画するには、以下のガイドラインとベスト プラクティスを確認してください。

Windows Server 2008 R2 での容量計画

ダウンロード可能なドキュメント「Remote Desktop Session Host Capacity Planning in Windows Server 2008 R2 (英語)」は、Windows Server 2008 R2 の RD セッション ホストの容量計画に関するガイドです。このガイドでは、展開の容量に影響を与える最も重要な要素について説明されています。

Outlook をオンライン モードで実行する

Microsoft Outlook 2010 では、大規模な展開における最もスケーラブルで最適化された構成は、Outlook を Exchange Server に対してオンライン モードで実行することです。ただし、Outlook 2013 の展開では、Outlook 2013 をリモート デスクトップ環境にインストールするときに Exchange キャッシュ モードを有効にするというオプションもサポートされるようになりました。このオプションは、待ち時間が長い接続を介して、リモートにある Exchange Server に Outlook を接続している小規模な展開では理想的な場合があります。詳細については、「リモート デスクトップ セッション ホスト環境での Exchange キャッシュ モード: 検討事項 (ホワイト ペーパー)」を参照してください。

単一障害点

リモート デスクトップ サービス対応の 1 台のコンピューターで Office 2010 を実行していると、そのコンピューターが利用できなくなったり障害が発生したりした場合に単一障害点となる可能性があります。この場合、リモート デスクトップ サービス対応コンピューターに接続しているインフォメーション ワーカー全員が Office 2010 アプリケーションに接続できなくなり、データを失う可能性があります。このリスクを減らすには、Windows クラスターを使用します。Windows クラスターでは、サーバー クラスターとネットワーク負荷分散によって、リモート デスクトップ サービス対応コンピューターの安全なフェールオーバーが実現されます。たとえば、4 台のリモート デスクトップ サービス対応コンピューターで構成されるクラスター化された負荷分散型のサーバー ファームを展開している場合は、その中の 1 台のコンピューターが利用できなくなっても、クライアントの接続は他の 3 台のいずれかのコンピューターにフェールオーバーされます。

リモート デスクトップ セッション ホスト サーバーのハードウェア

リモート デスクトップ サービス対応コンピューターには、通常のサーバーよりかなり多くのメモリ リソースとプロセッサ性能が要求されます。また、リモート デスクトップ サービスは帯域幅を有効に使用しますが、リモート デスクトップ サービス対応コンピューターとクライアントの間でやりとりされるデータ量は膨大で、パフォーマンスに影響を与えることがあります。したがって、リモート デスクトップ サービス環境で Office 2010 を展開する前に処理性能を綿密にテストして、RD セッション ホスト サーバー (ターミナル サーバー) のディスク領域、処理能力、メモリ、およびネットワーク帯域幅が十分であることを確認する必要があります。

リモート デスクトップ セッション ホスト サーバーのインストール要件

Office 2010 をインストールする前に、リモート デスクトップ セッション ホスト (RD セッション ホスト) サーバー コンポーネントをサーバーにインストールする必要があります。また、リモート デスクトップ サービス対応コンピューターにログオンするすべてのユーザーを Remote Desktop Users グループに追加する必要もあります。Remote Desktop Users グループに追加されたユーザーは、リモート デスクトップ接続を使用してリモート デスクトップ サービス対応コンピューターに接続し、Office 2010 を実行できます。Remove Desktop Users グループに追加されていないユーザーは、リモート デスクトップ サービス対応コンピューターへのアクセスを拒否されます。リモート デスクトップ サービス (ターミナル サービス) のインストールと構成の詳細については、「Windows Server - ターミナル サービス」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=34627\&clcid=0x411) を参照してください。

リモート デスクトップ セッション ホスト サーバーを構成する

最新バージョンのリモート デスクトップ サービス アプリケーション サーバー モードには、2 つの新しい段階があります。

  • TSDisabled は、既定ではインストールされず、カスタマイズされたインストールの機能ツリーにも表示されない機能の一覧です。したがって、これらの機能は手動では有効にできません。

  • TSAbsent は、既定ではインストールされない機能の一覧です。ただし、機能ツリーには表示されます (既定で除外に設定される)。カスタマイズによって手動で有効に戻すことができます。

無効と除外

次に示す Office 2010 の機能は、RD セッション ホスト サーバーの構成で無効になるか、既定で除外に設定されます。


  • TSDisabled: OutlookVBScript


  • TSAbsent: PPTSoundFiles

Office 2010 のインストールをカスタマイズする

リモート デスクトップ サービス対応コンピューターに Office 2010 をインストールする前に、インストールする機能とアプリケーションについて、インストール状況が正しく構成されていることを確認する必要があります。機能またはアプリケーションのインストール状況の変更に特別なツールは不要です。手動によるインストール時に変更するか、Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用して変更できます。

ユーザーはリモート デスクトップ サービス対応コンピューター上の Office 2010 を実行するときに、機能またはアプリケーションをインストール、構成、またはアンインストールすることはできません。これは、機能とアプリケーションがクライアント コンピューター上ではなく、RD セッション ホスト サーバー上にインストールされているからです。ユーザーには、RD セッション ホスト サーバー (ターミナル サーバー) 上のソフトウェアをインストール、構成、またはアンインストールする管理者権限がありません。このため、各機能とアプリケーションのインストール状況が [マイ コンピューターから実行] (完全にインストールされている) または [インストールしない] (インストールしない) に構成されている必要があります。機能またはアプリケーションのインストール状況が [初めて実行するときにインストール] に構成されている場合は、ユーザーがその機能を使用するかアプリケーションを実行しようとすると次の警告が表示されます。

"ターミナル サービスのリモート セッションで、サーバーのソフトウェアを追加、削除、または構成できるアクセス許可があるのは、管理者だけです。"

同様に、アドインのインストール状況を [初めて実行するときにインストール] に構成した場合、そのアドインを読み込もうとすると次のエラーが表示されます。

"このアドインは Microsoft Office で実行できません。エラーが発生しました。この機能は正しく動作しません。システム管理者にお問い合わせください。"

手動によるインストール時にインストール状況を構成するには、[インストールの種類を選択してください] ページで [ユーザー設定] をクリックします。リモート デスクトップ サービス対応コンピューターでの手動によるインストールの詳細については、「リモート デスクトップ サービスに対応したコンピューターに Office 2010 を展開する」を参照してください。