Office 2010 を展開するための仮想化の概要

 

適用先: Office 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-29

この記事では、仮想化がどのようなもので、組織でどのように使用でき、どの方法とタイプを環境内で実装できるかを説明します。図解による仮想化の説明については、「Virtualization Overview, Methods, and Models (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=168624\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

仮想化の概要 - モデル

この記事の内容

  • 仮想化について

  • 仮想化のタイプとテクノロジ

  • 仮想化配信方法

  • 仮想化の変更と更新

  • アプリケーションの仮想化クライアント アーキテクチャ

仮想化について

仮想化とは、アプリケーションまたはコンピューターを仮想環境内で動作させ、そのデスクトップまたはサーバーに既に存在するコンポーネントには影響を与えないようにすることのできる機能です。コンピューティング リソースを仮想化する方法は 2 とおりあります。

  • アプリケーションの仮想化   アプリケーションの仮想化では、ソフトウェア アプリケーションがパッケージ化されて、ソフトウェア アプリケーションをローカルにインストールしなくてもクライアント コンピューター上でアプリケーションを実行するのに必要な情報がすべて含まれる自己完結的な仮想環境で動作します。

  • デスクトップの仮想化   デスクトップの仮想化では、ソフトウェア アプリケーション、オペレーティング システム、およびハードウェアの構成がパッケージ化されて、自己完結的な仮想環境で動作します。ハードウェアとインストールするオペレーティング システムとの間に 1 つの層が作成されると、複数のオペレーティング システムとアプリケーションを 1 つのコンピューター上で動作させることができます。

仮想化のタイプとテクノロジ

エンタープライズは 1 つの仮想化配信方法で展開することも、別の方法と組み合わせて複数の仮想化環境を持つこともできます。

デスクトップ、プレゼンテーション、アプリケーション

クライアント サポートに使用できる仮想化のタイプとテクノロジには次のものがあります。

  • デスクトップ   デスクトップの仮想化とは、標準のデスクトップ上に隔離された追加的なオペレーティング システム環境を作成するテクノロジを指します。Virtual PC は、デスクトップ全体、個別のハードウェア コンポーネント、またはユーザー プロファイルをキャプチャして、それを別のデバイス、デスクトップ、またはオペレーティング システムに適用するために依然として非常によく使われています。Virtual PC は、新しくリリースされたバージョンのアプリケーションへのアップグレードやアプリケーション互換問題でエンドユーザー機能を中断することなくレガシー ソフトウェアをサポートする複数のオペレーティング システム イメージのためのゲスト アカウントを持つプライマリ システムを作成できます。詳細については、「Windows XP Mode および Windows Virtual PC」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156041\&clcid=0x411) を参照してください。

  • プレゼンテーション   プレゼンテーションの仮想化には、ユーザーのコンピューターからユーザー プロファイルをデータとアプリケーション設定と共に分離することが必要です。これを可能にするための鍵は、リモート デスクトップ サービスです (以前はターミナル サービスと呼ばれていました)。これは Windows Server 2008 で使用できるコア仮想化テクノロジの 1 つです。プレゼンテーション モードは、通常はシン クライアント接続またはマルチユーザー アプリケーションに使用されます。この場合、どのようなアプリケーションの組み合わせ (オペレーティング システムとアプリケーションの両方を使用する仮想化されたデスクトップ環境) も 1 つの場所で実行されると同時に別の場所で制御されます。リモート デスクトップ サービスは各ユーザーに画面イメージ (個々のアプリケーションまたはデスクトップ全体) を提供し、ユーザーのコンピューターはキー入力とマウスの移動をサーバーに送ります。詳細については、「デスクトップの仮想化と、プレゼンテーション層の仮想化」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156042\&clcid=0x411) を参照してください。

  • アプリケーション   アプリケーションの仮想化を使用すると、個々のアプリケーション、プラグイン、アップグレード、および更新を仮想化して、それらをクライアント コンピューターにいくつかの塊としてストリーミングすることにより、可用性を高めることができます。ポータブル コンピューターを携帯しているユーザーやコンサルタントのようなリモート ユーザーについては、アプリケーションの仮想化を *.msi として "パッケージ化" し、USB ドライブ、CD、またはファイル サーバーを通じて配布できます。詳細については、「アプリケーションの仮想化と、デスクトップの仮想化」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156043\&clcid=0x411) を参照してください。

これらの仮想化方法のいずれも、アプリケーションを保護されたそれ自身の環境内に置きます。

サーバー側の仮想化のタイプもあります (Hyper-V と仮想サーバー) が、この記事では説明しません。サーバー側の仮想化のタイプの詳細については、以下の記事を参照してください。

アプリケーションの仮想化

Microsoft Application Virtualization (App-V) は、エンタープライズ レベルのアプリケーション仮想化ソリューションで、Microsoft Desktop Optimization Pack (MDOP) に含まれています。App-V を使用すると、アプリケーションをオペレーティング システムの単一のインスタンスで実行し、アプリケーションを集中管理サービスに変えることができます。これらのサービスは、決してインストールされることはなく、競合することもなく、要求に応じてエンドユーザーにストリーミングされます。App-V はレガシー アプリケーションとその拡張点をサポートし、仮想化されたアプリケーションは互いに競合せず、システムに影響を与えず、完全に削除でき、簡単に修復またはアップグレードできます。

App-V は、現在または対象のオペレーティング システムで実行されるものの、他のアプリケーションや一部のインストール済みファイルとの競合があるアプリケーションに最適です。物理デスクトップをソフトウェアやハードウェアから切り離すことで、エンドユーザーには意識されない隔離された環境を作成でき、リモート デスクトップ サービス (以前はターミナル サービスと呼ばれていました) を有効にしたデスクトップ コンピューターまたはサーバーを使用して、クライアント オペレーティング システム上にアプリケーションをインストールすることなくアプリケーションを実行できます。

Microsoft Office 2010 は、従来型の展開方法である Setup.exe を備えており、Office アプリケーションをエンドユーザーにストリーミングまたは展開することによる仮想化での配信もサポートしています。

目的のオペレーティング システム上で実行できないために、旧バージョンのオペレーティング システムを必要とするアプリケーションについては、「Microsoft Enterprise Desktop Virtualization (MED-V)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156031\&clcid=0x411) を参照してください。これは MDOP のコンポーネントの 1 つです。MDOP については、「Microsoft Desktop Optimization Pack」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156032\&clcid=0x411) を参照してください。MED-V では、Virtual PC ツールを使用してアプリケーションを展開できます。

エンタープライズで Microsoft Application Virtualization を使用するには、Office 2010 の要件として、各デバイスで Application Virtualization Desktop Client (Deployment Kit) を構成する必要があります。

仮想環境の詳細については、「仮想環境について」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156039\&clcid=0x411) を参照してください。

仮想化配信方法

Microsoft Office 2010 の配信は、いくつかの配信方法で行えます。

コンピューターまたはサーバーの仮想化については、次のリソースを参照してください。

配信方法

仮想化のタイプごとに、デスクトップに仮想環境を提供する配信方法があります。

図解による配信方法の説明については、「Virtualization Overview, Methods, and Models (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=168624\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

仮想化 - 配信方法 - モデル

仮想化の配信方法には次のものがあります。

  • プレゼンテーションの配信   デスクトップ コンピューターからリモート デスクトップ サービスを通じて仮想化アプリケーションにアクセスできるようにします。

    リモート デスクトップ サービス (以前はターミナル サービスと呼ばれていました) のプレゼンテーションの仮想化の詳細については、「リモート デスクトップ サービス (RDS)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156050\&clcid=0x411) を参照してください。

  • ストリーミング配信   アプリケーションの仮想化は、ソフトウェア アプリケーションが "パッケージ化" され、ファイル サーバー、アプリケーション サーバー、または代替ソース ドライブ (Microsoft System Center Configuration Manager 2007 など) に格納され、順序付けられた小さな塊として必要に応じて配信されるプロセスです。詳細については、「System Center Configuration Manager」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156051\&clcid=0x411) を参照してください。

    仮想アプリケーションを実行するドキュメントをエンドユーザーが初めて開くと、スクロール バーが表示され、仮想アプリケーションの何パーセントがエンドユーザーのコンピューターにストリーミングされたかが示されます。アプリケーションが読み込まれて、エンドユーザーが作業を開始できるようになります。エンドユーザーにとって必要な機能が初期機能ブロックに含まれていない場合は、アプリケーションの残りの部分がバックグラウンドでエンドユーザーのローカル キャッシュにストリーミングされます。

    順序付けられたパッケージにはいくつかのファイルが含まれています。このようなファイルとしては、1 つの .sft ファイル、1 つの Manifest.xml ファイル、および複数の .osd ファイルと .ico ファイルがあります。

    • .sft ファイルにはアプリケーションのすべてのファイルが含まれており、これらのファイルにはストリーミング可能な機能ブロックとして編成されたすべての資産と状態が含まれています。

    • .osd ファイルにはアプリケーションの説明が含まれています。このような説明としては、環境の依存関係、パッケージの場所、シェル統合、およびスクリプトがあります。

    • .ico ファイルには, .osd ファイルまたは Manifest.xml ファイルで定義されたそれぞれのショートカットまたはファイルの種類の関連付け (FTA) と関連付けられているアイコンが含まれています。これらはアプリケーションのリソースから抽出されます。

    • .sprj ファイルはシーケンス プロジェクト ファイルで、すべてのパーサー アイテム、分類、および除外が含まれる .osd 既定パッケージ設定リストを参照しています。

    • Manifest.xml ファイルはパッケージ内のアプリケーションのパラメーターを公開するもので、シェル統合 (FTA、ショートカット、Dynamic Data Exchange (DDE) など) の定義が含まれています。

  • スタンドアロン配信   ソフトウェア アプリケーションが "パッケージ化" され、CD、USB ドライブなどを通じて配信されて、ユーザーがネットワークから切り離されていてもフル アクセスできるようにユーザーのキャッシュ ドライブにローカルに格納されるプロセス。

    モバイル ユーザーのためのスタンドアロン配信方法に関する図解による説明については、「Virtualization Overview, Methods, and Models (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=168624\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

    仮想化 - スタンドアロン アーキテクチャ - モデル

スタンドアロン パッケージを作成すると、あるファイルがパッケージに追加されます。.msi ファイルが作成されるのは、仮想アプリケーション パッケージを発行して、スタンドアロン環境にロード (インストール) するためです。

仮想化の変更と更新

Microsoft Application Virtualization (App-V) は、以前は Microsoft SoftGrid Application Virtualization と呼ばれていたもので、集中化されたポリシー ベースの管理へのアクセスを提供します。これにより、管理者はアプリケーションの場所 (たとえば、デスクトップ、ポータブル コンピューター、またはオフライン ユーザー) に関係なく、アプリケーションへのアクセスを追加または削除できます。

App-V には Microsoft System Center Configuration Manager 2007 との統合が含まれており、これによって Configuration Manager 2007 からの App-V アプリケーションの展開を有効にできます。

App-V の重要事項と新機能の詳細については、「Application Virtualization 4.5 の概要」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156034\&clcid=0x411) を参照してください。

SoftGrid からの機能拡張

次の表には、App-V での機能拡張の一部が記載されています。機能拡張の詳細なリストについては、「Microsoft Application Virtualization 4.5 - 新機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156036\&clcid=0x411) を参照してください。

新機能 App-V 4.x でサポートされる

仮想化 Windows サービス

はい。

ユーザーが Windows ベースのアプリケーションのすべての面を仮想化できるようにします。

仮想化トランザクション ユーザー プロファイル

はい。

Windows のプロファイルのサイズを縮小すると共に、コンピューター間のシームレスな移動を可能にします。

エンドユーザー プリキャッシュ

はい。

ユーザーがオフライン使用するためにプリキャッシュされたアプリケーションを開始できるようにします。

バッチ シーケンス

はい。

複数の Windows オペレーティング システムで "一度のシーケンスでどこでも実行" を可能にして、アプリケーションを仮想化するために必要な作業を削減します。

ライセンス モデル

追加された SPP (Security Protection Platform) での集中ライセンスを可能にします。

Windows 7 のサポート

はい (App-V 4.5)。

Office 2010 のサポート

はい (App-V 4.6) x86、および x64 Office または x86 の x64 コンピューターへの展開 (WoW64 の下で)。

アクティブな更新

はい。

ユーザーを切断することなくアプリケーションのバージョンを更新します。

SharePoint および Outlook の Fast Search

はい。

アクセス制御

はい。

オフライン モードさえも、IT によって事前に許可されている場合に限ってアプリケーションへのアクセスを制御します。

アプリケーションの仮想化クライアント アーキテクチャ

組織にニーズに応じて、いくつかの仮想化テクノロジを組み合わせて使用することもできます。仮想化の特性に基づいて、何を使用すべきかを判断してください。詳細については、「仮想化テクノロジーの組み合わせ」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=156054\&clcid=0x411) を参照してください。

アプリケーションを仮想化すると、オペレーティング システムとアプリケーション自体の間に 1 つの層を作成することになります。それによって以下の利点が得られます。

  • アプリケーションの実行がより柔軟になります。これは以前なら他のアプリケーションとの競合を引き起こす可能性のあることです。

  • アプリケーションのインストールと削除がより簡単になります。なぜなら、アプリケーションによってデスクトップ上のローカル ファイルが影響を受けないからです。

  • 回帰テストが削減されます。

  • アプリケーションの展開のカスタマイズ性が高まります。

アプリケーションがローカル クライアント コンピューターに発行されると、アプリケーションは仮想環境に置かれ、そのまま仮想環境内に留まります。ただし、アプリケーションはローカル リソースを使用してローカルで実行されます。アプリケーションは仮想環境内にあっても、ローカルにインストールされた他のプログラムとやり取りできます。

各アプリケーションの仮想環境には、レジストリ設定, .ini ファイル, .dll ファイル、およびグループ ポリシー設定ファイルが含まれています。アプリケーションはこの仮想環境との間で読み書きを行い、ローカル クライアント コンピューター上のそれらの設定には影響を与えません。App-V 対応のアプリケーションが外部との間で読み書きするアイテムは、システム サービス (たとえば、切り取り/貼り付け、OLE、プリンター) とプロファイル データだけです。ローカル システム ファイル (たとえば、レジストリ, .ini, .dll) は必要なときにだけ読み取られます。