メッセージング レコード管理 (MRM) に関してよく寄せられる質問

発行日: 2011 年 1 月

  1. メッセージング レコード管理 (MRM) とは何ですか?
    メッセージング レコード管理 (MRM) とは、Microsoft Online Services オペレーション チームによって使用されるプロセスで、重要なパス フォルダー内のアイテム数が多いメールボックスの管理を自動化します。MRM を使用すると、重要なパス フォルダー内のアイテム数を、推奨しきい値を下回る数にまで減らすことによって、Outlook から Exchange Online に接続したときのユーザー エクスペリエンスの向上に役立ちます。MRM では、これらのアイテムをユーザーのメールボックス内にある一連の管理フォルダーに移動します。

  2. 重要なパス フォルダーとは何ですか?また、これらのフォルダー内のアイテム数が自分のメールボックスのパフォーマンスにどのように影響しますか?
    Exchange Online では、Exchange Server と同様に 5 つの重要なパス フォルダーがあります。これらのフォルダーには、それぞれ最適に管理できるアイテム数のしきい値があります。フォルダーと、そのアイテムのしきい値は次のとおりです。

    • 受信トレイ: 20,000 アイテム
    • 送信済みアイテム: 20,000 アイテム
    • 削除済みアイテム: 20,000 アイテム
    • 予定表: 5,000 アイテム
    • 連絡先: 5,000 アイテム ユーザーのメールボックス内の重要なパス フォルダーが推奨しきい値を超えた場合、特にメッセージをダウンロードしたり開いたりするときに Outlook の応答が遅くなり、電子メール サービスが提供するユーザー エクスペリエンスを低下させる可能性があります。このパフォーマンスの低下は、フォルダーのアイテム数が多すぎるために発生します。メールボックスが消費するサイズやディスク容量が原因ではありません。
  3. Microsoft Online Services では、重要なパス フォルダーの推奨しきい値をメールボックスが超えた場合に、どのような対策を推奨していますか?
    ユーザーは、メールボックスの管理方法をいくつか選択できます。

    • 古いメール、予定表、および連絡先アイテムを定期的に保守し、削除する。これは最も簡単なメールボックスの保守方法です。
    • Outlook の自動アーカイブ機能を使用する。ただし、多くの組織では、電子メールの管理ポリシーでローカルのアーカイブ ファイルの作成が制限されています。
    • 電子メール ファイリング システムをセットアップし、ユーザーが保持したいメッセージ、予定表アイテム、および連絡先を、重要なパス フォルダーの外にある自分で管理するフォルダーに移動する。 これらの推奨されるユーザーのアクションが行われない場合、マイクロソフトでは MRM プロセスを使用して自動的に管理フォルダー構造を作成し、古いアイテムを重要なパス フォルダーからこれらの管理フォルダーに移動します。
  4. MRM プロセスの使用はオプションですか、それとも必須ですか?
    2011 年 1 月のサービス更新以降、数週間のうちに、メールボックスのアイテム数が多いすべてのユーザーに対して MRM の使用が必須になります。マイクロソフトはお客様と協力して、ユーザーと IT 管理者がメールボックスのパフォーマンスの改善に向けて実施できる手順など、メールボックス管理のベスト プラクティスをお客様に知っていただけるよう努めています。
    この課題に一緒に取り組んでいるお客様の一部に対して、マイクロソフトはメールボックスのアイテム数が多いユーザーへの MRM の適用を促しています。Microsoft Online Services テクニカル サポート チームが、MRM プロセスをよりに迅速に実装するためにこのようなお客様と協力していきます。

  5. 重要なパス フォルダー内のアイテム数が多いユーザーは、どのような方法で特定できますか?
    PowerShell で次のコマンドを使用すると、IT 管理者は、特定のユーザーがアイテム数の多いフォルダーを使用しているかどうかを判断できます。

    $mbx = Get-XsHostedExchangeMailbox -SourceServer red003.mail.microsoftonline.com -SourceIdentity user@contoso.com -SourceAdminCredential $cred -SourceDetail full
    $mbx.folders | Where {$_.ItemCount -gt 5000} | Sort-Object -Property ItemCount -Descending | ft DisplayName, ItemCount

    PowerShell を使用できない場合は、Microsoft Online Services テクニカル サポートに連絡して、アイテム数の多いメールボックスのリストを入手してください。

  6. MRM をユーザーのメールボックスに適用すると、ユーザーのデータはどうなりますか?
    MRM では、まずユーザーのメールボックス内に一連の管理フォルダーを作成します。ユーザーには、次のフォルダーが電子メールのツリーに追加されたことがわかります。
    図 : 関連フォルダー
    管理フォルダーの作成後、MRM によって、重要なパス フォルダーとそのすべてのサブ フォルダーからアイテムが古い順に自動的に移動され、しきい値を下回るようアイテム数が減らされます。MRM によって移動されるのは、180 日より古いメッセージと予定表アイテムだけです。連絡先は移動されません。MRM を適用すると、ユーザーのメッセージと予定表アイテムを維持しながら、そのユーザーのメールボックスのパフォーマンスを向上できます。MRM はプライバシー要件に適合した自動プロセスで、このプロセスの適用によってお客様のデータが開かれたり読まれたりすることはありません。

  7. MRM ではユーザーのメールボックスのデータが削除されますか?
    MRM が実行するのは、管理フォルダーへのメッセージと予定表アイテムの移動だけです。MRM プロセスによってデータが削除されることはありません。

  8. MRM はメールボックスのユーザー エクスペリエンスにどのような影響を与えますか?
    MRM の適用前に、ユーザーが [削除済みアイテム] フォルダーからアイテムを削除しておくことを強く推奨します。このようにすると、MRM への移行時のユーザー エクスペリエンスが最適になります。

    重要なパス フォルダー内に非常に多くのアイテム数 (80,000 を上回る数) を保有しているユーザー、またはアイテム数の多い重要なパス フォルダーを複数使用しているユーザーは、MRM の適用後のOutlook のパフォーマンスが良くない場合があります。この現象は、OST ファイルがサーバーと再同期することにより発生します。クライアントを継続して実行していれば、この現象は 1 日以内に自然に解消します。Outlook Web Access (OWA) からのメールボックスへのアクセスには影響はありません。

    データが管理フォルダーに移動されたら、ユーザーは、検索が予期したとおりに動作し、アイテムがすべてのメールボックス フォルダーから検索されるようにするために、メールボックスに対してインデックスの再作成が必要となることがあります。Outlook 2007 での検索の問題を解決する方法について説明している、ヘルプと使い方の記事を参照してください。

    ユーザーが予定表アイテム フォルダーを使用している場合、MRM の適用後に、これらのアイテムのアラームが起動することがあります。MRM の適用前に [削除済みアイテム] フォルダーを空にしておくと、この動作を防ぐことができます。

    ユーザーの [削除済みアイテム] フォルダー内に迷惑メールがある場合、MRM の適用後に、これらの迷惑メールが [迷惑メール] フォルダーに再度表示されることがあります。MRM の適用前に [削除済みアイテム] フォルダーを空にしておくと、この動作を防ぐことができます。

  9. ユーザーは MRM によって作成された管理フォルダーの名前を変更できますか?
    いいえ。MRM プロセスで作成された管理フォルダーは質問 6 で説明した形式に従っています。ユーザーのメールボックス アイテムの管理を MRM によって自動化することで、古いメッセージや予定表アイテムが予期したとおりに管理フォルダーに移動されます。ただし、この自動化では、管理フォルダーのセットアップ方法やメールボックスの移動方法が柔軟ではありません。
    ユーザーは、以下の 2 つの方法で管理フォルダーを整理できます。

    • ユーザーは、MRM によって作成された管理フォルダー内にサブフォルダーを作成し、管理されたメールボックス アイテムを整理できます。
    • 質問 3 で説明したように、ユーザーは自分自身の管理フォルダー構造を作成し、重要なパス フォルダーのしきい値が適用されないように手動でメールボックスを管理できます。自分自身でメールボックスを管理することができるユーザーは、メールボックスに MRM が適用されないようにすることができます。
  10. 私の組織では、既にユーザー用にカスタムの保持ポリシーがあります。MRM はユーザーに展開されますか?
    いいえ。お客様の組織にカスタムの保持ポリシーがある場合、マイクロソフトはお客様のユーザーのメールボックスに MRM を適用しません。マイクロソフトは、アイテム数が多いメールボックスとカスタムの保持ポリシーを持つ組織と協力して、その組織のユーザーのメールボックスを自分自身で管理できるようにします。

  11. Microsoft Online Services では Exchange Online で 25 GB のメールボックスが提供されています。なぜマイクロソフトは新しい制限をメールボックスに設けるのでしょうか?
    ユーザーのメールボックスのサイズは、MRM や重要なパス フォルダーのしきい値を適用しても影響を受けません。ユーザーは引き続きメールボックスに 25 GB までデータを格納できます。ただし、メールボックスのアイテムが、重要なパス フォルダーのアイテム数のしきい値を超えることはできません。自分自身で作成したフォルダーまたは MRM によって作成されたフォルダーのどちらを使用しても、ユーザーはメールボックスに割り当てられた 25 GB のディスク容量をすべて活用でき、メールボックスへの接続時に最高のパフォーマンスを得ることができます。

  12. **メールボックスのパフォーマンスの問題を回避するために、ユーザーに与えることができる一般的なヒントにはどのようなものがありますか?**マイクロソフトでは、メールボックス管理のベスト プラクティスをお客様のユーザー全員に知っていただくことを推奨しています。推奨するベスト プラクティスには次のようなものがあります。

    • [受信トレイ]、[削除済みアイテム]、および [送信済みアイテム] フォルダーのアイテム数を 20,000 未満に維持する
    • [予定表] および [連絡先] フォルダーのアイテム数を 5,000  未満に維持する
    • 1 か月に 2 ~ 3 回、[削除済みアイテム] フォルダーからアイテムを削除する
    • 一連のフォルダーを作成して、重要なメッセージを個人で整理し保持する このような推奨するベスト プラクティスのそれぞれが、メールボックスのユーザー エクスペリエンスを最大限に高めるのに役立ちます。