ポータル開発の準備 (Dynamics CRM 2015)

 

公開日: 2016年11月

対象: Dynamics CRM 2015

このトピックでは、まず Developer Extensions for Microsoft Dynamics CRM 2015 とポータル開発者ツールキットを使用したポータル開発に関する背景情報とベスト プラクティスについて説明し、その後、使用を開始するために必要なインストールとセットアップの手順について説明します。

このトピックの内容

ポータル開発のベスト プラクティス

基本ポータル ソリューションのインストール

事前バインド型の生成

ポータル開発のベスト プラクティス

以下に示すのは、組織にとって適切なアプローチを決定するために調べる必要がある、一連のガイドラインです。 この一覧は、包括的なガイドラインではなく、あくまでも Microsoft Dynamics 365 システムに接続する Web ポータルを展開する際の最低限の考慮事項を示したものです。

展開に関する推奨事項

説明および詳細

ポータルを SSL の保護下で展開する

組織にとって、不正侵入のできないプライベートな方法で他の組織と通信できることはきわめて重要です。 これを実現するには、Secure Sockets Layer (SSL) などのテクノロジを利用したデジタル証明書を使用して、公開キーによる暗号化に基づいたセキュアなインフラストラクチャを構築する必要があります。

役立つ参照資料:

IIS で SSL を実装する方法

IIS のセキュリティ ガイダンス

IIS 6.0 のセキュリティ

Azure での SSL 証明書の管理

フィッシング詐欺対策のアプローチを確認する

顧客や製品に関する重要なデータを扱ってサービスを提供しているすべての Web サイトでは、通信している相手がフィッシング Web サイトではなく、正しいポータルであることを顧客が認識できる必要があります。Microsoft Dynamics 365 システムに接続するポータルをセットアップする前に、そのポータルが本物であることを顧客がどのようにして識別できるかについて考慮してください。詳細:http://wikipedia.org/wiki/Phishing

プライバシーに関する推奨事項

Microsoft Dynamics 365 と連携して、自社と、その顧客、従業員、またはコンピューターに関する情報に対してインターネット経由でアクセス、収集、または公開を行うポータル サービスを開発した場合は、同意取得メカニズムを実装するとともに、ポータルを通じて記録および交換される情報の使用に関する明解かつ目立ちやすい通知を提供する必要があります。

Microsoft では、インターネットのセキュリティとプライバシーに関するガイドを多数提供しています。Microsoft Dynamics 365 システムと統合するインターネット ポータルを展開する前には、これらの資料を参照することを強くお勧めします。詳細:インターネットのセキュリティとプライバシーを参照してください

ポータル統合アカウントの使用を制限する

ポータルをセットアップする際には、Microsoft Dynamics 365 との接続や、作成、読み取り、更新、および削除トランザクションの実行のためにポータルによって使用されるアカウントを指定します。 非常に重要なのは、このアカウントをこの目的のみに使用することです。 このアカウントを他の Dynamics 365 システムに使用しないようにするとともに、Microsoft アカウント を使用している場合は、このアカウントが他の Web サイトやアプリケーションに使用されないことも確認してください。

Microsoft Dynamics 365 アカウントをセットアップする際には、ポータルによって公開された関数のみを実行するセキュリティ ロールを割り当ててください。 たとえば、キャンペーン情報を読み取って、キャンペーンの反応を書き込むポータルの場合、その目的に使用される Dynamics 365 アカウントには、それに関連する特権だけを付与してください。 これにより、このアカウントのセキュリティが侵害された場合の被害を最小限に留めることができます。 どのような場合であっても、アカウントのセットアップにはシステム管理者特権を使用しないようにすることが重要です。

基本ポータル ソリューションのインストール

ポータルを使用するには、まず Microsoft Dynamics 365 のインスタンスに基本ポータル ソリューションをインストールする必要があります。

カスタマイズ ファイルのインポート

  1. インポート プロセス中に、ポップアップ ブロッカーによるエラーが発生しないことを確認します。Internet Explorerで、ポップアップ ブロッカーをオフにする ([ツール][ポップアップ ブロッカー][ポップアップ ブロッカーを無効にする] の順に選択) か、またはDynamics 365 サイトを許可サイトに追加 ([ツール][ポップアップ ブロッカー][ポップアップ ブロッカーの設定] の順に選択) します。

  2. [設定][ソリューション][インポート] の順に選択します。

  3. sdk\Solutions\PortalBase\MicrosoftXrmPortals_managed.zip ソリューション パッケージを選択し、パッケージ詳細を確認します。

  4. チェック ボックスをオンにして、インポート後の操作を有効化します。

  5. [設定] -> [ソリューション] を選択した状態のままで、**[すべてのカスタマイズの公開]**をクリックします。

  6. インポート プロセスが完了したら、ブラウザーを更新します。 このソリューションにインストールされているエンティティの詳細については、「ポータル コンテンツの管理 (Dynamics CRM 2015)」を参照してください。

事前バインド型の生成

Web ポータル開発の準備をするには、まずMicrosoft.Xrm.Client.CodeGeneration 拡張機能があるコード生成ツールを使用する必要があります。詳細:CrmSvcUtil.exe 拡張機能の使用方法とコマンド ライン パラメーター (Dynamics CRM 2015)。 また、「ポータル開発のベスト プラクティス」も読んでください。

次の例では、CrmSvcUtil.exe ツールと Microsoft.Xrm.Client.CodeGeneration 拡張を使用して、Xrm 名前空間にクラスを生成し、XrmServiceContext をサービス コンテキスト名として指定しています。 このコマンドを実行する際には、Microsoft.Xrm.Client.CodeGeneration.dll ファイルが CrmSvcUtil.exe ファイルと同じディレクトリか、またはシステムグローバル アセンブリ キャッシュ内にある必要があります。

CrmSvcUtil.exe /codeCustomization:"Microsoft.Xrm.Client.CodeGeneration.CodeCustomization, Microsoft.Xrm.Client.CodeGeneration" /out:Xrm\Xrm.cs /url:http://Crm/Contoso/XRMServices/2011/Organization.svc /domain:CONTOSO /username:administrator /password:pass@word1 /namespace:Xrm /serviceContextName:XrmServiceContext /serviceContextPrefix:Xrm

ポータルには、最低限の要件として次の構成が必要です。

<configuration>
  <configSections>
    <section name="microsoft.xrm.client" type="Microsoft.Xrm.Client.Configuration.CrmSection, Microsoft.Xrm.Client"/>
    <section name="microsoft.xrm.portal" type="Microsoft.Xrm.Portal.Configuration.PortalCrmSection, Microsoft.Xrm.Portal"/>
  </configSections>
  <connectionStrings>
    <add name="Xrm" connectionString="ServiceUri=...; Domain=...; Username=...; Password=..."/>
  </connectionStrings>
  <microsoft.xrm.client>
    <contexts>
      <add name="Xrm" type="Xrm.XrmServiceContext, Xrm"/>
    </contexts>
  </microsoft.xrm.client>
  <microsoft.xrm.portal>
    <portals>
      <add name="My Portal"/>
    </portals>
  </microsoft.xrm.portal>
  <location path="Services/Cms.svc">
    <system.web>
      <authorization>
        <allow roles="My Portal Administrators"/>
        <deny users="*"/>
      </authorization>
    </system.web>
  </location>
</configuration>

関連項目

Microsoft Dynamics CRM 2015 用ポータル開発者ガイド
ASP.NET Web フォームとデータ バインド
ポータル コンテンツの管理 (Dynamics CRM 2015)
ポータル認証 (Dynamics CRM 2015)
Web サイト コピー ツールの使用 (Dynamics CRM 2015)
Dynamics CRM 2015 のポータルのチュートリアル
ブログ、顧客およびパートナーとの関係管理ポータルの発表

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