データベース、AOS、およびクライアントへの 更新プログラムのインストール

更新日: 2013 年 1 月 16 日

適用対象: Microsoft Dynamics AX 2012 R2、Microsoft Dynamics AX 2012 Feature Pack、Microsoft Dynamics AX 2012

このトピックでは、Microsoft Dynamics AX 2012 に更新プログラムをインストールする方法を説明します。最初にデータベースの完全バックアップを作成してからテスト環境に更新プログラムをインストールして、すべてのコード変更をテスト環境で解決することをお勧めします。その後で、「Microsoft Dynamics AX 2012 環境へのカスタマイズの展開 (ホワイト ペーパー)」(英語) および「モデル ストアのエクスポートおよびインポート方法」(英語) に記載されている方法を使って、コードの変更を運用環境に適用することができます。モデル ストアをエクスポートおよびインポートすることにより、環境で何回もコンパイルする必要がなくなります。

更新プログラムによって、影響を受ける Microsoft Dynamics AX のコンポーネントは異なります。更新プログラムをインストールするときに、更新プログラムの影響を受ける Microsoft Dynamics AX のコンポーネントが更新プログラムのインストーラーによって表示されます。

更新プログラムが複数のコンポーネントに影響を与える場合は、更新プログラムを適用する際に次の手順に従うことをお勧めします。

  1. データベース更新プログラムを単一のデータベースに適用し、更新されたデータベースに関連付けられている単一のローカル AOS インスタンスに Application Object Server (AOS) 更新プログラムを適用して、クライアントの更新プログラムを単一のローカル クライアントに適用します。その後、環境を運用します。

    重要


    Microsoft Dynamics AX 2012 モデル ストアは Microsoft Dynamics AX データベースの一部であるため、データベースを更新するときにすべてのコードの更新プログラムもインポートします。

  2. モデル ストアのエクスポートおよびインポートを行うことによって、追加のデータベースにデータベース更新プログラムを適用します。

  3. AOS 更新プログラムを、追加の AOS インスタンスに適用します。

    重要


    AXUpdate.exe を使用してリモート AOS インスタンスに更新プログラムを適用することはできません。更新プログラムはローカルで適用する必要があります。

  4. 変更は、Microsoft SQL Server Reporting Service に展開してから、Microsoft Dynamics AX のエンタープライズ ポータルに展開します。

  5. クライアントに更新プログラムを一括展開します。詳細については、「サイレント モードでの AXUpdate の実行」 (英語)を参照してください。

更新プログラムを展開する

Microsoft Dynamics AX の更新プログラムは、自己解凍実行可能ファイルとしてリリースされます。更新プログラムをインストールする前に、インストールに必要なファイルを展開する必要があります。

  1. CustomerSource または PartnerSource から更新プログラムをダウンロードします。
  2. ダウンロードしたファイルをダブルクリックして、コンテンツを展開します。
  3. 更新の対象となるすべてのサーバーおよびクライアントがアクセスできる場所にファイルを展開することをお勧めします。

お客様の環境における更新プログラムの影響を評価する

Microsoft Dynamics AX の更新プログラムは、影響分析ツールの AXImpactAnalysis.exe と共にリリースされます。このツールは、更新プログラム インストーラーのバージョンで、更新プログラムをインストールする前に、更新プログラムがお客様の環境に与える影響を確認するうえで役立ちます。

重要


影響分析ツールを実行する前に、KB974255 をインストールする必要があります。Microsoft Dynamics AX 2012 の累積更新プログラム 1 をインストールした場合は、KB974255 は既にインストールされています。それ以外の場合は、まず KB974255 をインストールする必要があります。

AXImpactAnalysis.exe を実行する

  1. サービス パックのファイルを展開した場所に移動し、AXImpactAnalysis.exe を右クリックして、[管理者として実行] をクリックします。

  2. [Microsoft Dynamics AX 更新セットアップ - 影響分析モードへようこそ] ページで [次へ] をクリックします。

  3. [ライセンス条件] ページで、ライセンス条件を確認します。ライセンス条件に同意するオプションを選択し、[次へ] をクリックします。

  4. [クライアント構成の選択] ページで、分析するクライアント構成または構成ファイルを選択し、[次へ] をクリックします。

  5. [モデル ストアの選択] ページで、分析するモデル ストアを選択し、[次へ] をクリックします。選択するモデル ストアは、選択したクライアント構成によって使用されるモデル ストアと同じである必要があります。

  6. [ベースライン モデル ストアの選択] ページで、影響分析に使用するベースライン モデル ストアを選択し、[次へ] をクリックします。選択するモデル ストアは、選択したクライアント構成によって使用されるモデル ストアと同じである必要があります。

    注意


    AXImpactAnalysis.exe は、分析を行うためにベースライン モデル ストアの既存のコンテンツを削除します。

  7. 影響を受けたオブジェクトの一覧が表示されます。[影響分析] をクリックして、Microsoft Dynamics AX クライアントを開き、影響分析の詳しい結果を表示します。
    影響分析フォームを使用して、更新プログラムによって影響を受けたオブジェクトの詳細を表示したり、結果をエクスポートすることができます。次の処理を実行できます。

    • コードの比較 – [比較] をクリックして、比較結果フォームを開きます。このフォームを使って、影響分析中に読み込まれたオブジェクトに加えられた変更を、他の 2 つのレイヤーの同じオブジェクトと比較することができます。
    • 相互参照の確認 – ツールの一番下のウィンドウに、選択されたオブジェクトの相互参照データが読み込まれます。表示されるデータは、相互参照使用先ビューに表示されるデータと類似しています。相互参照データがない場合は、このウィンドウに、相互参照データを更新するオプションが表示されます。Application Object Tree (AOT) に存在しない新しいオブジェクトについては、相互参照データはありません。
  8. 影響分析の結果をエクスポートします。これによって、更新プログラムのインストール後、よりすばやく変更を加えることができます。
    使用できるオプションは次のとおりです。[影響分析の状態] を選択することをお勧めします。

    • サマリー – フォームに読み込まれたオブジェクトに関する情報を、選択した XML ファイルに保存します。また、オブジェクトが存在するレイヤーと相互参照の数に関する情報も保存します。
    • 相互参照データ – Resource Description Format (RDF) を使って、オブジェクトの相互参照に関する、より詳しい情報を保存します。RDF の詳細については、http://www.w3.org/RDF/ (英語) を参照してください。
    • 影響分析の状態 (IAS) – フォームに読み込まれたオブジェクトを XML ファイルに保存します。このファイルには、ファイル拡張子に .ias が付きます。オブジェクトを .ias ファイルに保存した後に、同じオブジェクトの一覧を影響分析フォームに読み込むことができます。修正プログラムをインストールする必要がある場合に、この機能が役立ちます。インストールを開始する前にオブジェクトの一覧を保存できるためです。インストールの完了後、さらに分析を行うためにオブジェクトを再度読み込むことができます。

Microsoft Dynamics AX に更新プログラムをインストールする

  1. サービス パックのファイルを展開した場所に移動し、AxUpdate.exe をダブルクリックします。

  2. [Microsoft Dynamics AX 更新セットアップへようこそ] ページで、[次へ] をクリックします。

  3. [ライセンス条件] ページで、ライセンス条件を確認します。ライセンス条件に同意するオプションを選択し、[次へ] をクリックします。

  4. [コンポーネントの選択] ページで、更新可能なコンポーネントの一覧から更新するコンポーネントを選択し、[次へ] をクリックします。
    データベース インスタンスを更新する場合は、ローカル インスタンスを更新するためにインスタンスの名前を選択することができます。また、[その他] をクリックして、更新するリモート インスタンスを選択することもできます。この場合、[データベース インスタンス] ページが表示され、ここでリモート インスタンスを選択することができます。

  5. [インストール準備完了] ページで、更新されるコンポーネントの概要を確認してから、[インストール] をクリックします。

  6. 更新が完了したら、[完了] をクリックしてウィザードを終了します。

  7. インストールが完了したら、AXUpdate.exe が作成したログ ファイルを検証します。既定では、ログ ファイルは %ALLUSERSPROFILE%\Microsoft\Dynamics AX\Dynamics AX Setup Logs フォルダーのサブフォルダーに保存されます。

  8. インスタンスの AOS サービスを再起動します。

    注意


    クライアントの起動後、ラベルが正しく表示されない場合は、AOS インスタンスが再起動されていません。

ソフトウェア更新プログラム チェック リストに従って作業を行う

更新プログラムに含まれていたモデル ストアへの変更を完全に実装する前に、追加の作業を行う必要があります。これらの作業を完了するために、ソフトウェア更新プログラム チェック リストが役立ちます。

チェック リストは、6.0.947.339 またはそれ以降のバージョン番号が付いたアプリケーションの修正プログラムと累積更新プログラムで使用することができます。クライアントの起動時に、次で手順を説明する [ソフトウェア更新プログラム チェック リストの開始] のオプションが表示されない場合は、修正プログラムの KB2616405 をインストールしてください。

  1. Microsoft Dynamics AX クライアントを起動します。
    クライアントを起動すると、"モデル ストアが変更されました" というメッセージが表示されます。
  2. [ソフトウェア更新チェック リストの開始] をクリックします。
  3. チェック リストの順番に従って、作業を完了していきます。

チェック リストのセクション

オプションと説明

準備のアップグレード

Application Object Server の再起動

クライアントを起動する前に、AOS インスタンスを再起動することをお勧めします。AOS インスタンスを再起動しなかった場合は、直ちに、このオプションを使って再起動してください。

コードのアップグレード

アプリケーションのコンパイル

このオプションでは、アプリケーションの X++ コードをコンパイルします。コンパイルには 1 時間以上かかる場合があります。


コードのアップグレードの競合の検出

このオプションでは、競合するモデル要素を含むアップグレード プロジェクトを作成します。


.NET Framework CILにコンパイル

コードのアップグレードの競合を解決したら、このオプションを使用して、アプリケーションを Microsoft .NET Framework の共通中間言語 (CIL) コードにコンパイルできます。

データ アップグレード

更新スクリプトの検出 (必須)

このオプションでは、追加の処理を必要とする更新スクリプトを検出し、登録します。

更新スクリプトが検出されたかどうかによって、チェック リストの外観は異なります。


事前同期

このオプションは、更新スクリプトが検出された場合にのみ表示されます。


データベースの同期

更新スクリプトが検出されなかった場合でも、このオプションは必須です。


データ アップグレードの起動 (必須)

このオプションは、更新スクリプトが検出された場合にのみ表示されます。このオプションでは、データ アップグレード チェック リストが開きます。データ アップグレードを行う方法については、「データ アップグレードの実行」(英語) を参照してください。


追加機能のアップグレード

このオプションは、更新スクリプトが検出された場合にのみ表示されます。このオプションでは、データ アップグレード コックピット フォームが開きます。詳細については、「データ アップグレード コックピット (フォーム)」(英語) を参照してください。