Microsoft Online Services - 2012 年 3 月の新機能

発行日: 2012 年 3 月

Microsoft Online Services 移行ツールの最新リリースは、新しい 2 つのコマンドレットと、Get-MSOnlineUser への更新が含まれます。新しい Get-MSOnlineDistributionGroup コマンドレットを使うことで、管理者は配布グループの属性を PowerShell で取得することができます。また、Update-MSOnlineUserAddresses コマンドレットを使うことで、ユーザーの UPN、プライマリ SMTP アドレス、SIP アドレスを管理することができます。

  1. Get-MSOnlineUser: このコマンドレットは Microsoft Online Services の特定のユーザーの属性を取得します。コマンドレットの出力として、次の属性が追加されました。

    • RulesQuota: ユーザーのメールボックスのルールのサイズ制限を KB で返します。メールボックスを持たないユーザーの場合は 0 を返します。
  2. Get-MSOnlineDistributionGroup: このコマンドレットは、特定の配布グループの属性を返します。次の属性が出力されます。

    • Identity: グループのプライマリ SMTP アドレス。
    • DisplayName: グループの表示名。
    • Type: グループの種類。
    • AcceptMessagesOnlyFrom: 取得した配布グループにメールを配信できるユーザーと連絡先の文字列配列を返します。配列が空の場合は、すべての送信者からのメールを受け入れることを意味します。
    • Members: 配布グループのメンバーを含む文字列配列を返します。
  3. Update-MSOnlineUserAddresses: このコマンドレットはユーザーのプライマリ SMTP アドレスと SIP アドレスを更新して既存の UPN または新しい UPN と合わせるために使います。メールボックスのあるユーザーは、既存の SMTP アドレスが UPN と同じ場合は、Update-MSOnlineUserAddresses はそれをプライマリ SMTP アドレスに設定します。そうでない場合は、新しい SMTP アドレスを追加してそれをプライマリ電子メール アドレスに設定します。このコマンドレットは、ユーザーの既存の SMTP アドレスを削除したり置き換えたりしないことにご注意ください。既存の SIP アドレスがあるユーザーについては、Update-MSOnlineUserAddresses will は SIP アドレスを更新して UPN に合わせます。

    手始めに、いくつかのシナリオを見てみましょう。

    • ユーザーの UPN、プライマリ SMTP アドレスと SIP アドレスが同じであることを確認したいと思いました。
      Get-MSOnlineUser コマンドレットを実行した後、karthik@fineartschool.net についてこれらが同じでないことが発覚しました。

      C:\PS>Get-MSOnlineUser -Identity karthik@fineartschool.net -Credential $companyAdminCred

      Identity : karthik@fineartschool.net

      ProxyAddresses : {SMTP:k@fineartschool.net, smtp:karthik@fineartschool.net, sip:ka@fineartschool.net}

      プライマリ SMTP アドレスと SIP アドレスを現在の UPN karthik@fineartschool.net と同じになるように更新するために、以下のコマンドレットを実行しました。

      C:\PS>Update-MSOnlineUserAddresses -Identity karthik@fineartschool.net -Credential $companyAdminCred

      このユーザーのアドレスを再度チェックすると、SIP アドレスが更新され、UPN と一致する SMTP アドレスがプライマリ SMTP アドレスに設定されたことがわかりました。他の SMTP アドレスが置き換わったり削除されたりといったことはありません。

      Identity : karthik@fineartschool.net
      ProxyAddresses : {smtp:k@fineartschool.net, SMTP:karthik@fineartschool.net, sip:karthik@fineartschool.net}

    • ユーザーの 1 人が最近 Chris から Christine に名前が変わりました。彼女の UPN、SMTP アドレス、そして SIP アドレスは Chris@fineartschool.net ですが、これらを変更する必要があります。

      Identity : Chris@fineartschool.net
      ProxyAddresses : {SMTP:Chris@fineartschool.net, sip:Chris@fineartschool.net}

      この変更はコマンドラインから行うこともできますが、Update-MSOnlineUserAddresses コマンドレットはパイプから属性名に従って入力を受け付けるため、情報を CSV ファイルからインポートすることも可能です。今回は、以下の CSV ファイルを "NameChange.csv" として保存し、以下のコマンドを実行しました。

      Identity NewUpn
      Chris@fineartschool.net Christine@fineartschool.net

      C:\PS>Import-Csv -path C:\NameChange.csv | Update-MSOnlineUserAddresses -Credential $companyAdminCred

      このユーザーの UPN、プライマリ SMTP アドレス、SIP アドレスは Christine@fineartschool.net に更新されました。古い SMTP アドレス Chris@fineartschool.net は第 2 の SMTP アドレスとして引き続き使うことができます。なぜなら Update-MSOnlineUserAddresses コマンドレットは既存の SMTP アドレスを削除したり置換したりしないからです。これにより、Christine は Chris@fineartschool.net に送信されたメールを引き続き受信できることができ、彼女のプライマリ電子メール アドレスが変更されたことを知らない連絡先がいる場合に便利です。

      Identity : Christine@fineartschool.net
      ProxyAddresses : {SMTP:Christine@fineartschool.net, smtp:Chris@fineartschool.net, sip:Christine@fineartschool.net

      更新されたコマンドレットを利用するには、管理者は最新の 32 ビット、もしくは 64 ビットの Microsoft Online Services 移行ツールをダウンロードする必要があるます。