System Center 2012 SP1 - Operations Manager の新機能

 

発行: 2016年3月

適用対象: System Center 2012 SP1 - Operations Manager

このドキュメントでは、System Center 2012 Service Pack 1 (SP1)、Operations Manager で導入された多くの新機能と変更点について説明します。 評価を開始する前に、必ず「System Center 2012 SP1 の Operations Manager のリリース ノート」で既知の問題をご確認ください。

新機能には、.NET アプリケーション パフォーマンス監視 (APM)、監査コレクション サービス (ACS)、および UNIX と Linux の監視における向上点も含まれます。

新しい監視機能

.NET Framework に基づく Windows サービスの監視

System Center 2012 – Operations Manager では未実装だった AVIcode 機能のうち、一般的に最も要望が高かった機能の 1 つに Windows サービスの監視があります。 この機能は APM テンプレートに組み込まれ、再び利用できるようになりました。

ASP.NET MVC3 および MVC4 アプリケーションの自動検出

アプリケーションの /bin サブフォルダーに“System.Web.Mvc.dll” が含まれている場合、APM.WEB.IIS7.mp ガイドに記載されていた上書きを使用する必要なしに、ASP.NET Web アプリケーションとして自動的に検出されるようになりました。 詳細については、「Configuring the Management Pack for Operations Manager APM Web IIS 7 (Operations Manager APM Web IIS 7 用の管理パックの構成)」をご覧ください。

新しいトランザクション タイプ:MVC ページと WCF メソッド

MVC ページと MVC メソッドに新しいトランザクション タイプが追加されました。 これにより、アプリケーションの特定の機能に対して詳細な設定を指定する機能が強化されます。 この機能の使用方法は、APM テンプレートのドキュメントに記載されています。

トランザクションの監視の比較

次の表で、System Center 2012 – Operations Manager を使用して監視できるトランザクションと、Operations Manager の System Center 2012 Service Pack 1 (SP1) ベータ版を使用して監視できるトランザクションを比較します。

コンポーネントの種類

System Center 2012 – Operations Manager で監視可能なトランザクション

Operations Manager の System Center 2012 Service Pack 1 (SP1) ベータ版で監視可能なトランザクション

ASP.NET Web アプリケーション

  • ASP.NET Web ページ

  • ASP.NET Web サービス

  • 機能

  • ASP.NET Web ページ

  • ASP.NET MVC ページ

  • ASP.NET Web サービス

  • WCF メソッド

  • 機能

ASP.NET Web サービス

  • ASP.NET Web ページ

  • ASP.NET Web サービス

  • 機能

  • ASP.NET Web ページ

  • ASP.NET MVC ページ

  • ASP.NET Web サービス

  • WCF メソッド

  • 機能

WCF サービス

トランザクションは使用できません

  • ASP.NET Web ページ

  • ASP.NET MVC ページ

  • ASP.NET Web サービス

  • WCF メソッド

  • 機能

Windows サービス

コンポーネントの種類は提供されません

  • WCF メソッド

  • 機能

有効になった SharePoint 2010 の APM

Operations Manager では、SharePoint Web フロントエンド コンポーネントを監視できます。 パフォーマンスの低下とサーバー側の例外に関して、標準およびカスタムの SharePoint Web ページを監視することができます。 SharePoint アプリケーションの監視は、その他の .NET Web アプリケーションの監視とほぼ同様の方法で設定できます。 SharePoint アプリケーション監視を構成するには、[.NET アプリケーション パフォーマンスの監視] テンプレートを使用します。 SharePoint アプリケーションの例外を監視する場合、トラブルシューティングのため、関連する SharePoint 固有のパラメーターが例外コール スタックに格納されます。

Team Foundation Server 2010 および Team Foundation Server 2012 との統合

運用と開発間の統合にかかる時間を短縮するには、エンジニアリング チームの支援が必要となり得る問題を迅速に検出して解決することが不可欠となります。System Center 2012 Service Pack 1 (SP1) では、Operations Manager と Team Foundation Server (TFS) や Visual Studio などの開発ツールを統合できるため、詳細なトラブルシューティングを行い、開発チームと IT 運用チーム間で効率的に通信することが可能になります。Operations Manager アラートと Team Foundation Server (TFS) 作業項目を同期できます。Operations Manager と TFS の統合により、"Operational Issue" (操作上の問題) という新しい作業項目の種類の定義が追加されました。これは、組織内のあらゆるエンジニアリング プロセスに埋め込むことが可能です。 同期を有効にした後で、IT 運用チームはアラートを手動でエンジニアリング チームに割り当てできます。 アラートをエンジニアリングに割り当てると、新しい作業項目が Team Foundation Server に作成されます。 ワークフローが、TFS の作業項目への変更および関連付けられた Operations Manager のアラートへの変更を追跡および同期します。

Microsoft Visual Studio Team Foundation Server 2010 の作業項目同期用の管理パック に比較すると、SP1 には次ような特長があります。

  • SP1 メディアに収録され、Operations Manager の一部として提供されます。

  • セキュリティが向上し、同期アカウントは TFS の管理者権限を必要としなくなりました。

  • Operational Issue WITD デザインが向上されました。

  • 構成ウィザードのデザインが向上されました。

  • TFS 区分パスのサポートが追加されました。

  • 既定のチーム プロジェクトのサポートが提供されます。

  • IIS8 Web アプリケーション、Windows サービスの新しい APM アラートの種類、および APM 以外のアラートを対象に同期を行います。

  • ウィザード UI と MP 要素がローカライズされ、および TFS ローカライズ版との互換性が提供されます。

  • ネットワーク ファイル共有に常駐可能な添付ファイル、または、TFS 作業項目に追加された添付ファイルを同期します。

  • TFS へのアラートを自動的にルーティングして閉じます。

  • IT 運用チームは、TFS Web UI の組み込み統合機能を使用して Operations Manager コンソールから直接 TFS Web UI を開くことができます。

アプリケーション パフォーマンス監視 (APM) イベントの IntelliTrace 形式への変換

この新しい監視機能では、IntelliTrace 履歴デバッグ セッション中に取り込まれた例外であるかのように、Visual Studio IDE から APM 例外イベントを開くことができます。 開発者は使い慣れた環境から、例外発生時に取り込まれたメソッド パラメーターなどの例外の完全なコールスタックを調査し、例外呼び出しチェーンに参加したソース コード モジュール間を切り替えて操作できます。 この機能は TFS 作業項目の同期管理パックと緊密に統合されているため、IntelliTrace で生成されたログを、瞬時にエンジニアリングに割り当てられた TFS 作業項目に提示できます。 その結果、IT 運用チームと開発チーム間の通信が効率化され、アプリケーション エラーの根本原因の分析を利用して開発機能を充実させ、APM で検出された問題の平均復旧時間 (MTTR) を短縮できます。

主な特長:

  • Application Diagnostics から直接 APM 例外イベントを IntelliTrace ファイル形式で保存できます。

  • Visual Studio 2012 でデバッグ シンボルの遅延バインディングが可能なため、プロダクション環境にシンボルがロードされていない場合でも、開発者はソース コードを使って操作できます。

  • 開発者は、Visual Studio 2012 Ultimate の [ローカル] ウィンドウで変換および表示可能な単一レベルのパラメーターを閲覧し、選択したコール スタック フレームのコンテキストにおいて表示できます。

  • 開発者は、Visual Studio 2012 Ultimate の [ローカル] ウィンドウで変換および表示可能な単一レベルのパラメーターを閲覧し、選択したコール スタック フレームのコンテキストにおいて表示できます。

  • トレースは自動的に APM 例外イベントに添付され、自動的に TFS 作業項目に追加するかネットワークファイル共有に保管可能です。 開発者は Visual Studio 2012 Ultimate を使用してトレースを開き、各開発環境内でアプリケーションの問題のトラブルシューティングを行うことができます。

IntelliTrace プロファイリング管理パックを使用した履歴トレースの収集

System Center 2012 SP1 – Operations Manager には、IntelliTrace プロファイリング管理パックが含まれています。 この管理パックを使用して、Operations Manager コンソールから直接履歴トレースをキャプチャできます。 開発者は、トレースを利用して、アプリケーションの実行元のサーバーにアクセスする必要なしに、アプリケーションの実行履歴を表示可能にして、問題を調査できます。 開発者は、Visual Studio 2012 Ultimate を使用して収集されたトレースを開くことができます。

IntelliTrace プロファイリング管理パックは、指定されたサーバーに必要なインフラストラクチャである IntelliTrace Collector を自動的に展開します。 トレースが収集されると、ネットワーク ファイル共有にアップロードされ、Operations Manager アラートに添付されます。 トレースは、エージェントが管理サーバーとの通信に使用するのと同じセキュア Operations Manager チャネルを使用して、管理サーバーにアップロードされます。 Team Foundation Server (TFS) 同期を構成することで、トレースを自動的に TFS 作業項目に追加またはリンクできます。

Windows Server 2012 および IIS 8 用の新しい管理パックとサポート

APM を Windows Server 2012 で使用するには、次の管理パックをインポートする必要があります。

  • Microsoft.Windows.Server.Library バージョン 6.0.6989.0 以降

  • Microsoft.Windows.Server.2012.Discovery バージョン 6.0.6989.0 以降

  • Microsoft.Windows.InternetInformationServices.CommonLibrary バージョン 7.0.8862.0 以降

  • Microsoft.Windows.InternetInformationServices.2012 バージョン 7.0.8862.0 以降

    System_CAPS_important重要

    Windows 8 ベータ管理パックに含まれていた Microsoft.Windows.InternetInformationServices.6.2 管理パックを以前にインポートした場合は、最初にこれを削除してください。

また、System Center 2012 – Operations Manager メディアの /ManagementPacks フォルダーから、Microsoft.SystemCenter.Apm.Web.IIS8 をインポートする必要があります。 これは、IIS7 用の Microsoft.SystemCenter.Apm.Web.IIS7 管理パックに相当します。

これらの管理パック バージョンは、System Center 2012 Service Pack 1 (SP1) - Operations Manager に固有のものです。 この機能の使用方法は、上記の特定の前提条件以外は、APM テンプレートのドキュメントに記載されており、IIS7 でホストされたアプリケーション用に APM を構成する場合と手順は変わりません。

360 .NET アプリケーション監視ダッシュボード

System Center 2012 Service Pack 1 (SP1) - Operations Manager では、360 .NET アプリケーション監視ダッシュボードで一元的にアプリケーションのヘルスの複数のパースペクティブを表示できます。 360 .NET アプリケーション監視ダッシュボードには、グローバル サービス モニター、.NET アプリケーション パフォーマンス監視、Web アプリケーション可用性監視からの情報が表示されます。3 層アプリケーションの健全性のまとめと主要な指標が 1 箇所に表示されます。 360 .NET アプリケーション監視ダッシュボードは、アプリケーションにおいて異常な箇所を示し、コンポーネントレベルの問題を明示する詳細ダッシュボードの起動点を提供します。

360 .NET アプリケーション監視ダッシュボードには、強力な監視ツールからのデータが表示されます。 .NET アプリケーション パフォーマンス監視は、アプリケーションを掘り下げ、サーバー側およびクライアント側の観点から解決策を特定する上で役立つ詳細データを取得します。Operations Manager の Web アプリケーションの可用性監視は、内部代理トランザクションを監視します。 グローバル サービス モニターは、外部の場所にあるアプリケーションの可用性を監視し、ユーザーの所在場所からの可能性を測定します。

360 .NET アプリケーション監視ダッシュボードは、以下の情報を表示します。

アプリケーションの主要指標またはアクション

使用する監視の種類

可用性

Web アプリケーション可用性監視とグローバル サービス モニター

信頼性

.NET アプリケーション パフォーマンス監視

パフォーマンス

.NET アプリケーション パフォーマンス監視とグローバル サービス モニター

診断

.NET アプリケーション パフォーマンス監視

解決方法

Team Foundation Server (TFS) コネクタ管理パックは、アラートを取得して、該当するすべての詳細と共に TFS の開発に割り当てます。

ダイナミック アクセス制御の ACS サポート

Windows Server 2012 では、ビジネス データ所有者はデーターを簡単に分類、ラベル付けして、アクセス ポリシーをビジネスに不可欠なデータ クラスに定義できます。 アクセスおよび監査ポリシーはユーザーおよびグループ情報だけでなく、豊富なユーザー、リソースおよび環境の信頼性情報、Active Directory やその他のソースからのプロパティにも基づいているため、Windows Server 2012 におけるコンプライアンス管理はより効率的で柔軟に行われます。 ロール、プロジェクト、組織などのユーザー要求、機密性などのリソース プロパティ、およびヘルスなどのデバイス要求を、アクセスおよび監査ポリシーの定義に使用できます。

Windows Server 2012 では、ダイナミック アクセス制御をサポートするため既存の Windows ACL モデルが強化されており、顧客はユーザーとコンピューターの信頼性情報、さらにリソース (たとえばファイルなど) のプロパティを使用して、条件を含む式ベースの認証アクセスポリシーを定義できます。 下記の例は式を説明するためのもので、実際の表現ではありません。

  • User.Clearance >= Resource.Secrecy and Device の場合、読み取り/書き込みアクセスを許可する Healthy

  • User.Project any_of Resource.Project の場合、読み取りおよび書き込みアクセスを許可する

System Center 2012 Service Pack 1 (SP1) は、ダイナミック アクセス制御の使用に関してエンタープライズ全体の可視性を提供し、関連するマシン (ファイル サーバー、ドメイン コントローラー) からイベントを収集するために Operations Manager の監査コレクション サービスを利用し 、監査ポリシーの変更、オブジェクトのアクセス (成否)、および特定のポリシーを適用した場合に起こり得る状況を分析する"what-if" 解析評価などのダイナミック アクセス制御の使用状況について監査担当者とコンプライアンス責任者が報告できるようにレポート機能を提供することで、これらシナリオの実現を支援します。

UNIX および Linux の監視の追加機能

CentOS、Debian、Oracle、Ubuntu Linux のサポート

System Center 2012 Service Pack 1 (SP1) - Operations Manager では、以下の Linux オペレーティング システムの監視のサポートが追加されました。

  • CentOS 5 (x86/x64)

  • CentOS 6 (x86/x64)

  • Debian GNU/Linux 5 (x86/x64)

  • Debian GNU/Linux 6 (x86/x64)

  • Oracle Linux 5 (x86/x64)

  • Oracle Linux 6 (x86/x64)

  • Ubuntu Server 10.04 (x86/x64)

  • Ubuntu Server 12.04 (x86/x64)

これらのオペレーティング システムのサポートは、"Universal Linux" 監視パックで実装されます。  次の MP ファイルをインポートすると、新しい Linux オペレーティング システムを監視できるようになります。

  • Microsoft.Linux.Universal.Library.mp

  • Microsoft.Linux.Universal.Monitoring.mp

  • Microsoft.Linux.UniversalD.1.mpb (Debian および Ubuntu Linux エージェントのサポート用)

  • Microsoft.Linux.UniversalR.1.mpb (CentOS Linux エージェントのサポート用)

ハートビート監視の向上

Operations ManagerUNIX および Linux エージェントのハートビート モニターは、構成可能な “MissedHeartbeats” をサポートするようになりました。定義した数のハートビートのエラーが発生すると、アラートを生成できます。  ハートビートのエラーが発生すると、ハートビートが復元されるまで、Operations Managerから UNIX および Linux エージェントのルールとモニターがアンロードされます。  そのため、Operations Manager コンソールでハートビートのエラーが発生した UNIX および Linux コンピューターを簡単に特定できます。

参照

.NET アプリケーション パフォーマンスの監視テンプレート [CTP2]
.NET アプリケーションの監視を開始する前に [CTP2]