レポート サーバー Web ファームのアップグレード

更新 : 2006 年 4 月 14 日

ここでは、同じレポート サーバー データベースを共有する複数のレポート サーバーのインスタンスをアップグレードする方法について説明します。以前のリリースでは、この配置モデルは "レポート サーバー Web ファーム" と呼ばれていました。最新リリースではこの用語を使用しません。1 つのデータベースを共有するレポート サーバーは、レポート サーバー スケールアウト配置と呼ばれます。スケールアウト配置は、ネットワーク負荷分散 (NLB) クラスタで実行できます。実行するには、レポート サーバーのノードをスケールアウト配置に構成します。スケールアウト配置で Reporting Services を配置した場合、スケールアウト配置の各レポート サーバーをアップグレードする必要があります。スケールアウト配置で個々のノードに異なるバージョンの Reporting Services を設定することはできません。

スケールアウト配置をアップグレードする場合は、次の方法を使用できます。

  • インプレース アップグレードを実行して、既存のインストールを新しいバージョンに置き換えます。ノードは任意の順序でアップグレードできます。レポート サーバー データベースは、最初のアップグレードで更新されます。すべてのレポート サーバー ノードとデータベースがアップグレードされるまで、サーバーをオフラインにしてください。つまり、IIS およびレポート サーバー Windows サービスを停止します。サーバーのアップグレードをいったん開始すると、すべてのノードをアップグレードする必要があります。アップグレードしないと、残りのレポート サーバー ノードは新しいデータベース形式を使用するようにアップグレードされるまで機能しません。
  • サイド バイ サイド アップグレードを実行して、既存のインストールと同じコンピュータに SQL Server 2005 Reporting Services の新しいインスタンスをインストールします。稼働を停止できない場合、またはインストールがインプレース アップグレードの要件を満たさない場合は、既存のインストールと共に実行する、SQL Server 2005 Reporting Services の新しいインスタンスをインストールできます。ユーザーは新しいソフトウェアを構成およびテストしながら、既存のスケールアウト配置を引き続き使用できます。

実稼働サーバーをアップグレードする前に、テスト サーバーでアップグレード手順を実施し、想定される事態を確認しておくことが大切です。

アップグレードの準備

次のチェックリストを使用して、アップグレードを準備します。

  1. レポート サーバー データベースと対称キーをバックアップします。
  2. レポート サーバー データベースをホストする SQL Server データベース エンジンへの接続に使用するユーザー アカウントとパスワードを把握していることを確認します。アップグレードを実行するには、アカウントにローカル管理者権限が必要です。
  3. 各レポート サーバー インスタンスの構成ファイル (Machine.config ファイルや Web.config ファイルなど) をすべてバックアップします。
  4. ログ ファイルをバックアップします。
  5. ダウンタイムに備えてサーバーを準備します。Microsoft Windows ネットワーク負荷分散を使用している場合は、ノードを新しい接続から分離するために、ホストの優先度を設定できます。この手順によって、既存のユーザー セッションへの影響が最小限に抑えられます。
    1. 各コンピュータにログオンします。
    2. 最初のコンピュータでネットワーク負荷分散マネージャを起動し、ホスト一覧を開きます。
    3. ホストの優先順位で、各ノードの優先度をメモします。この優先度を使用して、ノードをアップグレードする順序を決定します。優先度の最も低いノードを最初にアップグレードします。
    4. 優先度の最も低いノードでホスト名を右クリックし、[ホストの制御] をクリックし、[停止] をクリックします。この操作により、新しい接続はすべて他のノードにルーティングされます。既存のセッションは実行を継続します。レポート サーバーが多くのユーザーに使用されている場合は、開いているセッションの数を最小限にするために、アップグレードの開始前の数時間、新しい接続を行わないようにすることもできます。
    5. ネットワーク負荷分散マネージャが開いている場合は終了します。実行している他の MMC スナップインをすべて終了します。
  6. レポート サーバーの停止準備ができたら、次の手順を実行します。
    1. Windows Management Instrumentation (WMI) サービスを停止します。
    2. レポート サーバー Windows サービスを停止します。
    3. インターネット インフォメーション サービス (IIS) をリセットします。
    4. IIS を停止します。

SQL Server 2005 レポート サーバーのスケールアウト配置をアップグレードする方法

ここで説明する手順は、新しいインスタンスを既存のインストールと同時にインストールしていることを前提とします。インプレース アップグレードを実行する場合は、Service Pack 1 をインストールする手順に従うことができます。

この手順はレポート サーバーをアップグレードするときに使用できます。コンピュータにデータベース エンジン インスタンスもインストールされている場合は、同時にアップグレードできます。また、後日にアップグレードすることも、アップグレードしないこともできます。

  1. セットアップを実行します。[インスタンス名] に、インストールする SQL Server 2005 インスタンスの新しい名前を入力します。[既定のインスタンス] は指定しないでください。既定のインスタンスを指定すると、新しいレポート サーバー インスタンスが作成されず、既存のインストールのインプレース アップグレードが行われます。
  2. セットアップが完了した後、ファイルが正しくコピーされたことを確認するために、プログラム ファイルのタイムスタンプ情報を表示します。
  3. レポート サーバー Windows サービスを開始します。
  4. reportserverservice.log ファイルを開き、"the action completed successfully" を検索します。このエントリでアップグレードが正常に終了したことを確認します。
  5. IIS を起動します。
  6. ブラウザ ウィンドウを開き、レポート サーバーの URL を入力します。ページの下部のバージョン情報に製品バージョンが反映されていることを確認します。
  7. WMI サービスを開始します。

Service Pack 1 にアップグレードする方法

Service Pack 1 は、既存の SQL Server 2005 インストールでパッケージを実行することによって適用されます。SQL Server 2005 のスケールアウト配置を Service Pack 1 にアップグレードしている場合は、各ノードに Service Pack を適用する必要があります。最初のノードをアップグレードするとレポート サーバー データベースがアップグレードされるので、すべてのノードがアップグレードされるまで他のノードがすべてオフラインになっていることを確認します。次の手順を使用して、レポート サーバー ノードを Service Pack 1 にインプレース アップグレードします。

ms143735.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
レポート サーバー データベースをアップグレードしても、ホストのデータベース エンジンはアップグレードされません。詳細については、「レポート サーバー データベースのアップグレード」を参照してください。
  1. 最初にアップグレードするノードを選択します。他のすべてのノードをオフラインにします。
  2. Windows Management Instrumentation (WMI) サービス、レポート サーバー Windows サービス、およびアップグレードしているインストールの一部である他のすべての SQL Server サービスを停止します。
  3. インターネット インフォメーション サービス (IIS) をリセットした後、サービスを停止します。
  4. Service Pack 1 をインストールするパッケージを実行します。コンピュータに複数のインスタンスが含まれている場合は、Reporting Services を実行するインスタンスを選択します。レポート サーバー データベースがリモート コンピュータ上に存在する場合は、レポート サーバー データベースをアップグレードする権限のある資格情報を指定するように求められます。
  5. アップグレードが完了した後、ファイルが正しくコピーされたことを確認するために、プログラム ファイルのタイムスタンプ情報を表示します。
  6. レポート サーバー Windows サービスを開始します。
  7. ReportServerService_<timestamp>.log ファイルを開き、"the action completed successfully" を検索します。このエントリでアップグレードが正常に終了したことを確認します。
  8. IIS を起動します。
  9. ブラウザ ウィンドウを開き、レポート サーバーの URL (既定では https://localhost/reportserver) を入力します。ページの下部のバージョン情報に期待どおりに製品バージョンが反映されていることを確認します。
  10. WMI サービスを開始します。

スケールアウト配置内の他のノードに対し、これらの手順を繰り返します。

参照

概念

Reporting Services のエディションのアップグレード
レポート サーバー データベースのアップグレード
データベース エンジンのアップグレード

その他の技術情報

レポート サーバー スケールアウト配置の構成

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手

変更履歴

リリース 履歴

2006 年 4 月 14 日

変更内容 :
  • スケールアウト配置における既定のインスタンスの問題