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バックアップと復元の要件: データ

 

トピックの最終更新日: 2012-10-15

Microsoft Lync Server 2010 では、データベースに格納されている設定と構成情報、およびデータベースとファイル ストアに格納されているデータを使用します。このセクションでは、組織で障害や停止が発生した場合にサービスを復元できるようにバックアップしておく必要があるデータについて説明します。また、Lync Server 2010 が使用するデータとコンポーネントのうちで、別個にバックアップする必要があるものも示します。

note注:
このドキュメントでは、グループ チャットをバックアップおよび復元する方法は説明しません。グループ チャットのバックアップと復旧の詳細については、「操作」のドキュメントの「グループ チャット システムの運用と管理」を参照してください。

設定と構成の要件

このドキュメントでは、Lync Server サービスを復旧するために必要な設定と構成情報をバックアップおよび復元する手順について説明しています。これらの情報は、中央管理ストアか、別のバックエンド データベースまたは Standard Edition サーバーにあります。

次の表に、バックアップおよび復元する必要がある設定と構成情報を示します。

設定と構成データ

データの種類 保存場所 説明 / バックアップするタイミング

トポロジ構成情報

中央管理ストア (データベース: Xds.mdf)

トポロジ、ポリシー、および構成の設定。

定期的なバックアップのとき、および Lync Server 2010 コントロール パネルまたはコマンドレットを使用して構成やポリシーを変更した後でバックアップします。

場所情報

中央管理ストア (データベース: Lis.mdf)

エンタープライズ VoIP Enhanced 9-1-1 (E9-1-1) 構成情報。この情報は一般に静的です。

定期的なバックアップによってバックアップします。

応答グループの構成情報

バックエンド サーバーまたは Standard Edition サーバー (データベース: RgsConfig.mdf)

応答グループ エージェント グループ、キュー、およびワークフロー。

定期的なバックアップのとき、およびエージェント グループ、キュー、またはワークフローを追加または変更した後でバックアップします。

データの要件

このドキュメントでは、Lync Server サービスの復旧に必要なデータのみをバックアップおよび復元する手順について説明しています。

次の表に、バックアップおよび復元する必要があるデータを示します。

データベースに格納されているデータ

データの種類 保存場所 説明 / バックアップするタイミング

永続的なユーザー データ

バックエンド サーバーまたは Standard Edition サーバー (データベース: Rtc.mdf)

ユーザーの権限、ユーザーの連絡先リスト、サーバーまたはプール データ、予約された電話会議など。

note注:
このユーザー データには、会議にアップロードされたコンテンツは含まれません。

定期的なバックアップによってバックアップします。この情報は動的ですが、最後に行った定期バックアップの状態に復元することが必要な場合には、更新が失われても Lync Server にとって致命的ではありません。連絡先リストの重要性が高い組織では、このデータのバックアップの頻度を高めることができます。

アーカイブ データ

アーカイブ データベース (データベース: LcsLog.mdf)

アーカイブ サーバー、バックエンド サーバー、またはその他のサーバーに併置されている場合や、スタンドアロン サーバーに配置されている場合があります。

インスタント メッセージング (IM) と会議のコンテンツ。

このデータは、Lync Server にとっては重大ではありませんが、法令上の理由から組織にとっては重大な場合があります。適切にバックアップのスケジュールを判断します。

Lync Server 2010 は、アーカイブ データベースの単純復旧モデルのみをサポートしています。単純復旧モデルでは、データベースは最後の完全バックアップの時点の状態に復元されます。つまり、障害が発生した時点や特定の時点の状態にデータベースを復元することはできません。

監視データ

監視データベース (LcsCDR.mdf および QoeMetrics.mdf)

監視サーバー、バックエンド サーバー、またはその他のサーバーに併置されている場合や、スタンドアロン サーバーに配置されている場合があります。

通話詳細記録 (LcsCDR.mdf) および QoE 指標 (QoeMetrics.mdf)。

詳細通話記録は動的で、ビジネスにとって重大な場合があります。法令上の理由でこれらの記録が必要かどうかをふまえて、バックアップ スケジュールを判断します。

QoE 情報は動的です。QoE データが失われても、Lync Server の運用上は重大ではありませんが、ビジネスにとっては重大な場合があります。この情報が組織にとってどの程度重大かに基づいて、バックアップ スケジュールを判断します。

Lync Server 2010 は、監視データベースの単純復旧モデルのみをサポートしています。単純復旧モデルでは、データベースは最後の完全バックアップの時点の状態に復元されます。つまり、障害が発生した時点や特定の時点の状態にデータベースを復元することはできません。

データの中には、復旧またはアーカイブという目的では不要なものもあります。以下のデータはバックアップの必要はありません。

  • エンドポイントとサブスクリプション、アクティブな会議サーバー、一時的な会議状態など、一時的なユーザー データ (データベース: RtcDyn.mdf)

  • アドレス帳のデータ (データベース: Rtcab.mdf および Rtcab1.mdf)

    note注:
    アドレス帳データベースは Active Directory ドメイン サービス (AD DS) から自動的に再生成されます。
  • コール パーク アプリケーション用の動的な情報 (データベース: CpsDyn.mdf)

  • エージェントのサインイン状態、通話待機の情報など、一時的な応答グループ データ (データベース: RgsDyn.mdf)

ファイル ストア データの要件

このドキュメントでは、ファイル ストアのデータをバックアップする手順について説明しています。Enterprise Edition の展開では、Lync Server ファイル ストアは通常はファイル サーバーに配置されています。Standard Edition の展開では、Lync Server ファイル ストアは既定では Standard Edition サーバーに配置されています。通常、サイト向けに共有されている Lync Server ファイル ストアが 1 つあります。アーカイブ ファイル ストアは、Lync Server ファイル ストアと同じファイル共有を使用している場合と、別個のファイル共有を使用している場合があります。

ファイル ストアの場所は "\\サーバー\共有名" で示されます。ファイル ストアの具体的な場所を確認するには、トポロジ ビルダーを開き、[ファイル ストア] ノードを参照します。

次の表に、バックアップおよび復元する必要があるファイル ストアを示します。

ファイル ストア

データの種類 保存場所 説明 / バックアップするタイミング

Lync Server ファイル ストア

通常はファイル サーバー上、ファイル クラスター上、または Standard Edition サーバー上

会議コンテンツ、会議コンテンツのメタデータ、会議コンプライアンスのログ、アプリケーション データ ファイル、デバイス アップデートの更新ファイル、応答グループ、コール パーク、およびアナウンス アプリケーション用の音声ファイル。

定期的なバックアップによってバックアップします。

アーカイブ ファイル ストア

通常はサイト向けに共有されたファイル ストア上ですが、別個の場合もあります。

Web 会議のコンテンツのコピー。

アーカイブ データは法令遵守にとって重要です。適切にバックアップのスケジュールを判断します。

追加のバックアップの要件

Lync Server が使用または依存する一部のデータとコンポーネントについては、このドキュメントの手順とは別にバックアップする必要があります。以下のコンポーネントは、このドキュメントで説明した Lync Server のバックアップと復元の手順ではバックアップおよび復元されません。

  • Active Directory ドメイン サービス (AD DS)   Lync Server のバックアップと同じタイミングで、Active Directory のツールを使用して AD DS をバックアップする必要があります。Lync Server では、以前のバージョンと違い、設定の多くは AD DS ではなく中央管理ストアに保存されますが、以下は引き続き AD DS に保存されています。

    • ユーザーの SIP URI (Uniform Resource Identifier) と他のユーザー設定

    • リソース グループ、会議アテンダントなどのアプリケーションの連絡先オブジェクト

    • 中央管理ストアへのポインター

    • Kerberos 認証のアカウント (オプションのコンピューター オブジェクト) および Lync Server のセキュリティ グループ

    important重要:
    AD DS 内の連絡先オブジェクトは Lync Server と常に同期しておくことが重要です。AD DS のものと一致しない連絡先オブジェクトを Lync Server が想定した場合に発生する可能性がある問題を回避するためです。

    Windows Server 2008 での AD DS のバックアップと復元の詳細については、「ステップ バイ ステップ ガイド - AD DS のバックアップと回復」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=209105&clcid=0x411) を参照してください。Windows Server 2003 での AD DS のバックアップと復元の詳細については、「Administering Active Directory Backup and Restore」 (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=209106&clcid=0x411) を参照してください。

  • 証明機関と証明書   証明機関 (CA) と証明書のバックアップに関する組織のポリシーに従います。エクスポート可能な秘密キーを使用している場合は、証明書と秘密キーをバックアップでき、このドキュメントの手順を使用して Lync Server を復元する場合にエクスポートできます。内部 CA を使用している場合は、Lync Server の復元が必要なときには再登録できます。秘密キーは、コンピューターで障害が発生した場合に使用できる安全な場所に保持しておくことが重要です。

  • System Center Operations Manager   Microsoft System Center Operations Manager (以前の Microsoft Operations Manager) を使用して Lync Server の展開を監視している場合、Lync Server の監視中に作成されるデータをバックアップすることもできます。SQL Server の標準的なバックアップ手順に従って System Center Operations Manager のファイルをバックアップします。これらのファイルは復旧の際に復元されません。

  • 公衆交換電話網 (PSTN) ゲートウェイの構成   エンタープライズ VoIP または存続可能ブランチ アプライアンスを使用している場合には、PSTN ゲートウェイの構成をバックアップする必要があります。PSTN ゲートウェイ構成のバックアップと復元の詳細については、ベンダーに確認してください。

  • XMPP ゲートウェイ   XMPP を使用するプロバイダーおよびサーバーを介したインスタント メッセージングをサポートするために Extensible Messaging and Presence Protocol (XMPP) ゲートウェイを展開している場合には、XMPP ゲートウェイをバックアップする必要があります。

  • グループ チャット   グループ チャットを展開している場合には、グループ チャットのデータをバックアップする必要があります。グループ チャットのバックアップと復旧の詳細については、「操作」のドキュメントの「グループ チャット システムの運用と管理」を参照してください。

  • 共存するバージョンの Office Communications Server   Lync Server の展開を以前のバージョンの Office Communications Server と共存している場合、このドキュメントの手順で以前のバージョンをバックアップまたは復元することはできません。代わりに、該当のバージョンのドキュメントにあるバックアップと復元の手順に従う必要があります。Microsoft Office Communications Server 2007 R2 のバックアップと復元の詳細については、https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=168162&clcid=0x411 を参照してください。Microsoft Office Communications Server 2007 のバックアップと復元の詳細については、https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=211810&clcid=0x411 を参照してください。

  • Microsoft Exchange および Exchange ユニファイド メッセージング (UM)   Microsoft Exchange のドキュメントの説明に従って、Microsoft Exchange と Exchange UM をバックアップおよび復元します。Exchange Server 2010 のバックアップと復元の詳細については、https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=209179&clcid=0x411 を参照してください。Exchange Server 2007 のバックアップと復元の詳細については、https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=209180&clcid=0x411 を参照してください。

  • インフラストラクチャの情報   ファイアウォールの構成、負荷分散の構成、インターネット インフォメーション サービス (IIS) の構成、ドメイン ネーム システム (DNS) のレコードと IP アドレス、動的ホスト構成プロトコル (DHCP) の構成など、インフラストラクチャについての情報をバックアップします。これらのコンポーネントのバックアップの詳細については、それぞれのベンダーに確認してください。