ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品

Greg Steen

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VirtualBox
virtualbox.org (英語)

Windows 7 には Windows Virtual PC との優れた統合性があります。Windows 7 Professinal、Enterprise、および Ultimate エディションでは、古いアプリケーションを実行する必要がある場合に使用できるライセンスされた Windows XP Mode の仮想マシンをダウンロードして実行できます。Windows XP Mode の優れている点は、すぐに使えることで、新しいデスクトップ環境と仮想マシンが、ほぼシームレスに統合されます。

デスクトップで仮想マシンを使用すると、自分のワークフローに影響を与えることなく、新しいアプリケーションとシステムの構成をテストできます。IT プロフェッショナルには、64 ビットの仮想マシンを実行したいと考える局面があると思いますが、残念ながら、現在、Windows Virtual PC では 32 ビットのホスト OS しかサポートしていません。無償の解決策の 1 つとして、VirtualBox プロジェクトを使用できます。

VirtualBox は、32 ビットと 64 ビットのホスト Windows OS と Linux OS をサポートする x86 仮想プラットフォームです。Windows Virtual PC と同様に、VirtualBox には、ホスト OS にインストールして、ホストとデスクトップの間で、ほぼシームレスなデスクトップ体験を提供するツールのインストール パッケージが用意されています。新しい仮想マシンは、ウィザードを使用して簡単に作成できます。必要な作業は、名前を入力し、OS を選択し、仮想マシンに割り当てるメモリを指定し、仮想ディスクを作成するだけです。仮想ディスクは、容量可変の拡張サイズまたは固定サイズで定義できますが、各ディスク領域には上限があります (追加領域が必要になった場合は、いつでも仮想マシンに仮想ディスクを追加できます)。

ニーズに合わせて仮想マシンを調整する設定は他にも多数用意されています。デバイスの起動順序、割り当てるプロセッサの数、(プロセッサでサポートされている場合は) VT-x または AMD-V 仮想化拡張機能を有効にするかどうかを設定できます。ディスプレイ アダプターについては、割り当てるビデオ メモリの量を調整して、2-D または 3-D の加速設定を有効にします。記憶域については、フロッピー ディスク、IDE、SATA、または SCSI コントローラーから選択できます。VirtualBox で ISO イメージをマウントするか、物理的な DVD-ROM または CD-ROM デバイスを仮想マシンにパス スルーできます。ISO イメージについては、アプリケーションで、最近使用した ISO の一覧が維持されるので、繰り返しイメージを使用する場合に便利です。

仮想マシンでオーディオ機能を有効にする場合は、一連のオーディオ コントローラーとホスト オーディオ ドライバーから有効にするものを選択できます。ネットワーク接続については、最大 4 枚のネットワーク アダプターを有効にできます。各ネットワーク アダプターは、NAT、ブリッジ アダプター、ホスト専用のアダプター、または仮想マシンの内部ネットワーク経由で社内のネットワーク スタックにアタッチできます。必要に応じて、テスト用に仮想アダプターの MAC アドレスを指定することもできます。

Virtual Box

図 1 VirtualBox

VirtualBox では、シリアル ポートと USB デバイスのパス スルーもサポートしています。仮想マシンとデスクトップの間でデータを移動する手段として、共有フォルダーを有効にできます。システムを保護するためには、共有を読み取り専用に設定できます。VirtualBox では、社内の RDP サーバー経由で仮想マシンに接続することも可能で、この接続方法を使用すると、リモート接続が簡略化されます。

特定時点の仮想マシンのイメージを簡単にキャプチャするスナップショット機能も用意されています (たとえば、この機能は新しいアプリケーションのインストーラーを実行する直前に使用できます)。VirtualBox には、停止機能という便利な機能も用意されています。この機能を使用すると、現在のインスタンスを使用していないときに、リソースをデスクトップ (または、別の仮想マシン) で使用できるようにすることが可能です。Windows Virtual PC など、他の仮想化パッケージ ソフトウェアと同じように、インスタンスを中断して、仮想マシンへのアクセス時間を大幅に短縮することができます。

VirtualBox には、無償でダウンロードして使用できるバージョンが 2 つあります。1 つは、完全なオープン ソースですが、RDP サーバー機能、USB サポート、USB over RDP サポートがありません。他の仮想化製品を探していたり、Windows コンピューターで 64 ビット ホスト OS を実行する必要がある場合は、VirtualBox プロジェクトの使用を検討することをお勧めします。

CPU-Z

cpuid.com/cpuz.php (英語)

トラブルシューティングや調整を行っているコンピューターのハードウェアに関する詳細情報をすばやく簡単に取り出せると、非常に便利です。このような処理を行えるツールに、CPUID.com で提供している CPU-Z があります。この無償の便利なツールを使用すると、CPU、キャッシュ、マザーボード、メモリ、およびディスプレイ デバイスに関する詳細情報を入手できます。

CPU-Z

図 2 CPU-Z

CPU-Z はインストールを必要としないツールなので、他のトラブルシューティング ツールや調整ツールと一緒に USB ドライブに格納して、さまざまなコンピューターのところまで持ち運べます。シンプルな GUI はタブ構成になっています。[CPU] タブには、システムのプロセッサに関する詳細情報が表示されます。たとえば、名前、コード名、ファミリ、モデル、ソケット、コアの数とスレッドの数、プロセス テクノロジ (nm)、コア電圧などの情報が表示されます。また、サポートされている拡張命令 (MMX、SSE、VT-x など)、コアのクロック速度、バス速度、マルチプライヤ、チップのキャッシュ サイズやレイアウトに関する情報も表示されます。

[Cache] (キャッシュ) タブには、チップ キャッシュに関する詳細情報が表示されます。[Mainboard] (メインボード) タブには、マザーボード、BIOS、およびグラフィック インターフェイスに関する詳細情報が表示されます。マザーボードに関するセクションには、チップセット、モデル、製造元についての情報、BIOS に関するセクションには、ブランド、日付、バージョンについての情報、グラフィック インターフェイスに関するセクションには、種類、リンクの幅、サポートされているリンクの最大幅についての情報が表示されます。その隣にある [Memory] (メモリ) タブには、種類、サイズ、チャネル数、周波数、CAS レイテンシ、更新サイクルの頻度などの情報が表示されます (このタブの情報から、このツールが、システムをクロックアップする人に重宝される理由がおわかりいただけると思います)。

[SPD] (Serial Presence Detect) タブには、スロットごとに、メモリ モジュールとタイミングに関する詳細情報が表示されます。また、モジュールのサイズ、最大帯域幅、製造元、パーツ番号が表示され、サポートされている場合は、メモリ スティックのさまざまな運用周波数の電圧に関する詳細も表示されます。[Graphics] (グラフィックス) タブには、ディスプレイ デバイスに関する詳細情報が表示されます。たとえば、GPU 名、コード名、テクノロジ (nm)、リビジョン、メモリ サイズなどの情報が表示されます。また、GPU コアのクロック速度 (MHz)、シェーダー、およびメモリについての情報も表示されます。[About] (バージョン情報) タブでは、他のタブに表示されている詳細情報をテキストまたは HTML 形式のレポートに保存できます。クロックアップした結果を自慢したい場合は、CPUID のサイトの検証ツールを使用して結果を投稿できます。

CPU-Z には、32 ビット エディションと 64 ビット エディションが用意されています。すばらしい冷却装置を完備したコンピューターをクロックアップする場合も、コンピューターに関する詳細情報をすばやく入手したい場合にも、CPUID.com で提供している無償ツール CPU-Z がお勧めです。

Prime95

mersenne.org/freesoft (英語)

CPU とメモリの使用率が高いときでも新しいシステムが問題なく動作することを確認するストレス テストを実行する場合やクロックアップした自宅のコンピューターが負荷がかかった状態でも問題なく動作することを確認したい場合には、この作業を自動化する無償ツール Prime95 を使用してみることをお勧めします。

実際のところ、Prime95 は、大きなメルセンヌ素数を検索する素数検索ツールとして設計されました。メルセンヌ素数は、2P-1 という形の素数なので、バイナリの世界において特に大きな関心が寄せられていました。現在知られているメルセンヌ素数は 46 個しかありません。Prime95 は、オープン ソースで、Great Internet Mersenne Prime Search (GIMPS) グループによって開発されました。新しいサーバーやクロックアップした自宅のコンピューターでストレス テストを実行する場合には、Prime95 の Torture Test (耐久テスト) という機能を使用できます。このテストでは、CPU、メモリ、L1 キャッシュ、および L2 キャッシュに対してストレスをかけ続けるので、結果として、システムの冷却効率を調査できます。

また、このテストでは、算出された値を既知の値と比較し、値が一致しない場合は、問題が発生している可能性があるということになります (クロックアップしている場合は、ハードウェアを酷使しすぎている可能性があります。クロックアップしていない場合は、ハードウェアで障害が発生している可能性があります。ただし、負荷が非常に高い場合にのみ問題が発生する場合は、現状を受け入れたうえで、システムを使うことは可能です)。Prime95 のもう 1 つの良いところは、このツールの認知度が高くよく使用されているので、多数のフォーラムが存在することです。フォーラムでは、さまざまなテストを調整して、システムの限界を測定するサポートを受けられます。

図 3 Prime95

Prime95 のビルドは、32 ビット版と 64 ビット版の Windows だけでなく、さまざまな種類の *nix でも使用できます。ネットワークにシステムを配置する前には、Prime95 を使用してストレス テストを行い、配置前にメモリ スティックを変更する必要があるかどうかを確認してみてください。

Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、起業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

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