ユーティリティ スポットライト: Office インストールをチェックする

Robust Office Inventory Scan を使用すると、Microsoft Office インストールのインベントリやアップグレードなどに必要な情報を一括でスキャンできます。

Lance Whitney

Microsoft Office が Windows の次に普及率が高いマイクロソフト製ソフトウェアであることは間違いないでしょう。そのため、Office インストールについては、定期的に注意を払って、アップグレードやトラブルシューティングを行ったり、インベントリのチェックを実行する必要があることでしょう。ただし、組織の規模によっては、これがたいへんな作業になることがあります。Microsoft Robust Office Inventory Scan (ROIS) は、このような作業に役立つツールです。

ROIS は、Visual Basic スクリプトで記述された便利なツールです。このツールを使用すると、Office インストールについて把握する必要がある、ほぼすべての情報を収集できます。ROIS のコードは、TechNet スクリプト リポジトリのページで公開されています。スクリプトには 4,000 行以上のコードが含まれていますが、右上隅にある [Copy Code] (コードのコピー) リンクをクリックすると、1 回のクリック操作ですべてのコードを簡単にコピーできます。その後、メモ帳などのテキスト エディターにコードを貼り付けて、このファイルに ROIScan.vbs という名前を付けて保存します。

実質的に、このコードを変更する必要はありません。変更が必要になる可能性があるのは、スクリプト上部にある INI セクションだけです。このセクションには、8 つの設定が含まれています。このうち少なくとも、スクリプトの実行後に生成されるログ ファイルを保存する場所は指定する必要があります。場所を指定しないと、スクリプトでは、既定でローカルの一時ディレクトリを使用します。

たとえば、すべてのログ ファイルの保存先として、サーバーのネットワーク共有を指定できます。それには、INI セクションの sPathOutputFolder = "" を変更します。引用符の内側に、サーバー名とネットワーク共有名を入力します。

もう 1 つ変更する可能性がある設定は、Quiet Switch です。既定では False が設定されています。つまり、スクリプトの実行が完了すると、ログ ファイルが自動的に表示されます。テスト用のコンピューターでスクリプトを実行している場合は、この設定で問題ありませんが、ネットワーク経由でコンピューターを起動している場合は、Quiet モードで実行するのが適切でしょう。スクリプトを Quiet モードで実行するには、この設定の値を True に変更します。

INI セクションの他の 6 つの設定によって、スクリプトで収集するデータ量が決まります。既定では、各設定の値は False になっています。既定の設定では、最小限のデータをインベントリします。

スクリプトをテストするときには、まず、すべての設定を False のままスクリプトを実行して、ログに十分なデータが記録されるかどうかを確認します。データが十分でない場合は、この 6 つの設定を 1 つずつ True に変更して、有益な追加情報が生成されるかどうかを確認します。多くの場合、最小限のデータでも十分な情報が得られます。

ROIScan.vbs ファイルを実行するときに、コマンド ライン オプション (図 1 参照) を指定すると、INI セクションの設定を変更せずに、同じ値を設定することができます。たとえば、INI セクションでログ ファイルの場所を指定する代わりに、「ROIScan.vbs /logfolder」というコマンドを実行してスクリプトを実行すると、LogFolder オプションでログ ファイルの場所を指定できます。

また、ROIScan.vbs/quiet のように /quiet オプションを追加するだけで、スクリプトを Quiet モードで実行することができます。コマンド ライン オプションを使用した方が、INI セクションのコードを変更することなく、スクリプトの実行時にコマンドで設定を変更できるので、便利かもしれません。

コマンド ライン設定を使用して、収集するデータ量を変更することもできます

図 1 コマンド ライン設定を使用して、収集するデータ量を変更することもできます

スクリプトの実行が完了すると、指定した場所にログ ファイル (図 2 参照) が作成されます。ログ ファイル名は、スクリプトの実行対象となったコンピューター名で始まり、その後に、_ROIScan.log という文字列が続きます。たとえば、WINPC_ROIScan.log というファイル名になります。

スクリプトの実行が完了すると、ログ ファイルに必要な情報が記録されます

図 2 スクリプトの実行が完了すると、ログ ファイルに必要な情報が記録されます

テキスト エディターでログ ファイルを開くと、ファイル上部に概要が記録されていることを確認できます。概要には、Windows インストーラーのバージョン、コンピューター名、ユーザー名、OS のバージョンをはじめとする、主要なデータが記載されています。概要情報の下には、Microsoft Office に関する具体的なインベントリの詳細が記載されています。これには、バージョン、インストール日時、MSI ファイル、Office に関連付けられているチェーンされたパッケージ、Office に適用されている更新プログラム、インストールに関連する注意事項やエラーなど、さまざまな詳細情報が含まれます。

ログ ファイルに記録されている情報を使用して、組織の環境にインストールされている Office のバージョン、アップグレードが必要なもの、なんらかのエラーにより適切に動作していないものを特定できます。ROIS は Visual Basic で記述されたファイルなので、ログイン スクリプトなど、ネットワークやドメインの全コンピューターで実行されている自動プロセスに簡単に追加できます。

TechNet ライブラリでは、ROIS についての情報が公開されています。このページでは、スクリプトとログ ファイルのさまざまなセクションについての詳細情報が提供されています。また、よくある質問をまとめた FAQ も用意されています。ソフトウェアのインベントリには他のツールが必要になるかもしれませんが、ROIS は、Microsoft Office インストールの詳細なインベントリを実施するのに便利なツールです。

Lance Whitney

Lance Whitney は、ライターであり、IT コンサルタントであり、ソフトウェア トレーナーでもあります。Windows のワークステーションおよびサーバーをカスタマイズすることに数えきれないほどの時間を費やしてきました。元々はジャーナリストでしたが、1990 年代前半に IT 業界への転向を実現しました。

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