ユーティリティ スポットライト: 複数のコンピューターを管理する

Mouse Without Borders は、コンピューター間の操作をスムーズに切り替えるのに役立ちます。

Lance Whitney

デスクで作業をしているにしても、データセンターを管理しているにしても、多くの方は、一度に複数台のコンピューターを使用して作業をしていることでしょう。また、キーボードとマウスを切り替えなければならないことが面倒だと感じているのではないでしょうか。もちろん、KVM スイッチをセットアップして、複数のコンピューターを制御することは可能です。ですが、マイクロソフトでは、Mouse Without Borders という名前のシンプルなソリューションを無料で提供しています。

厳密には、これはマイクロソフトの公式な製品ではありません。実際のところ、Mouse Without Borders は、The Garage と呼ばれるマイクロソフト社内のラボで開発された試作品のアプリケーションです。これは、独自のユニークなプロジェクトやツールを作成することに意欲的なマイクロソフト社員によって運営されているテスト ラボです。The Garage で開発されたテクノロジの中には、他の製品で採用されているものもあれば、スタンドアロンのアプリケーションとしてリリースされるものもあります。その結果、生まれたのが Mouse Without Borders です。

総合的な制御

Microsoft Dynamics AX の開発者である Truong Do によって開発された Mouse Without Borders を使用すると、1 組のマウスとキーボードで、最大 4 台のコンピューターを制御できます。ただし、KVM スイッチと異なり、各コンピューターをそれぞれ専用のモニターに接続する必要があります。Mouse Without Borders では、各コンピューターを見たり制御できるだけでなく、コンピューター間で、ファイルをドラッグ アンド ドロップしたり、テキストなどのコンテンツをコピーしたりすることもできます。

Mouse Without Borders は、Microsoft ダウンロード センターからダウンロードできます。1 台目のコンピューターに、MouseWithoutBordersSetup.msi という名前のファイルをインストールします。1 台目のコンピューターに Mouse Without Borders をインストールすると、プログラムがメモリに読み込まれ、Windows のシステム トレイに表示されます。他のコンピューターに Mouse Without Borders をインストールしているかどうかを確認する "Let's get started" (はじめに) というメッセージが表示されます。このメッセージが表示されたままの状態で、Mouse Without Borders で制御する別のコンピューターに、このプログラムをインストールします。インストールが完了すると、1 台目で表示されたのと同じ "Let's get started" (はじめに) というメッセージが表示されます。

2 台のコンピューターにプログラムをインストールしたら、他方のコンピューターを制御するコンピューターをプライマリ (ローカル) コンピューターとして選択します。プライマリ コンピューターの "Let's get started" (はじめに) メッセージで [Yes] (はい) をクリックすると、セキュリティ コードとコンピューター名の入力を求めるダイアログ ボックスが表示されます。

2 台目のコンピューターの "Let's get started" (はじめに) メッセージで [No] (いいえ) をクリックすると、セキュリティ コードとコンピューター名の入力を求めるダイアログ ボックスが表示されます。プライマリ コンピューターで、これらの情報を入力し、リンク ボタンをクリックします。この操作により、Mouse Without Borders で 2 台目のコンピューターが検出されます。2 台目が正常に検出されたことを示す Success 画面で [Next] (次へ) をクリックし、[Done] (完了) をクリックします。2 台目のコンピューターで表示されているセキュリティ コードとコンピューター名の入力を求めるダイアログ ボックスを閉じます。

Mouse Without Border の [Settings] (設定) ダイアログ ボックスの [Machine Matrix] (マシン マトリックス) セクションに 2 台のコンピューター名が表示されます (図 1 参照)。[Apply] (適用) ボタンをクリックして、2 台のコンピューター間で接続を確立します。

[Settings] (設定) 画面には、接続されているコンピューターの一覧が表示されます

図 1 [Settings] (設定) 画面には、接続されているコンピューターの一覧が表示されます

接続を確立したら、ショートカット キーを使用して、コンピューター間でマウスとキーボードの制御を切り替えることができます。既定では、Ctrl + Alt + F1 キーを押すと、Machine Matrix (マシン マトリックス) の先頭に表示されているコンピューターに制御が渡され、Ctrl + Alt + F2 キーを押すと、2 番目のコンピューターに制御が渡されます。コンピューターの順序は、コンピューターを新しい位置にドラッグ アンド ドロップして変更できます。制御は双方向で有効なので、同じプロセスを使用して、2 台目のコンピューターからプライマリ コンピューターを制御することができます。

ショートカット キーがお好みでない場合は、マウス操作だけでコンピューター間の制御を切り替えることができます。既定では、1 台目のコンピューターでマウスを画面の右端に移動すると、2 台目のコンピューターに制御が渡され、2 台目のコンピューターでマウスを画面の左端に移動すると、1 台目のコンピューターに制御が渡されます。

さらに別のコンピューターを制御する場合は、上記の手順を繰り返し実行します。ローカル コンピューターで一度セキュリティ コードとコンピューター名を入力して保存したら、このプロセスを繰り返し行う必要はありません。

コンピューター間でファイルをコピーするのに必要な操作は、単純にファイルを画面の端までドラッグするだけです。もう一方のコンピューターのモニターには、Desktop (デスクトップ) という名前のアイコンが表示されます。マウスのボタンを放すと、コピー先コンピューターのデスクトップにある MouseWithoutBorders フォルダーにファイルがコピーされます。

テキストや画像をコピーするには、コピー元コンピューターでコンテンツを選択してコピーし、もう一方のコンピューターに制御を渡し、ファイルを開いて、選択したコンテンツを貼り付けます。Word、Excel、PowerPoint ファイルなど、さまざまなアイテムをコピーできます。他の多数のアプリケーションのファイルのコンテンツもコピー アンド ペーストすることが可能で、1 台のコンピューター上で操作している場合と同様に、すべての書式が維持されます。

Mouse Without Borders には、[Other Options] (その他のオプション) タブがあります (図 2 参照)。このタブでは、クリップボードの共有を有効/無効にしたり、画面の両端で折り返すようにマウスを設定したり、スクリーン セーバーを無効にしたり、さまざまな機能のショートカット キーを変更したりすることができます。

[Other Options] (その他のオプション) タブでは、その他の多数の機能を有効にできます

図 2 [Other Options] (その他のオプション) タブでは、その他の多数の機能を有効にできます

総合的に、Mouse Without Borders は、スムーズに動作しましたが、試作品なので、いくつかの制限事項があります。このプログラムをお試しになる場合は、非公式の QA フォーラム (英語) が問題解決に役立つと思います。

1 台のモニターを使用して複数のコンピューターにアクセスできる KVM スイッチほど有能ではありませんが、Mouse Without Borders は、複数のコンピューター間でファイルをやり取りする必要がある場合に手軽に使用できる便利なツールです。

Lance Whitney

Lance Whitney は、ライターであり、IT コンサルタントであり、ソフトウェア トレーナーでもあります。Windows のワークステーションおよびサーバーをカスタマイズすることに数えきれないほどの時間を費やしてきました。元々はジャーナリストでしたが、1990 年代前半に IT 業界への転向を実現しました。

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