1-2. 永遠のビギナー
ジェダイは、戦いに赴くだけで失われた。彼らは酷使され、銀河全体に広く薄く配置されていた。(略) 戦いはフォースに闇をそそぎこむ。フォースが追う雲が次第に厚く、濃くなるにつれ、ジェダイの洞察力は効かなくなる[1]
大衆インターネット社会へのインターネットの転換は、インターネットにおけるセキュリティの問題についても、あらたな局面を追加するにいたった。情報セキュリティの問題が、通常の人間には、理解するのには、困難すぎて、また、その問題の実際を認知するのが困難であることから、情報セキュリティ対策について、適切な対応をとれない人達がむしろ多数なのではないか、そのような人たちがたくさんいることを前提にして、情報セキュリティを考えないと現実離れしてしまうのではないかと考えられだした。筆者もメンバーであるが、総務省の「次世代の情報セキュリティ政策に関する研究会報告書」 は、この問題を明確に指摘した。具体的には、たとえば、パソコン初心者が、オンライントレードで、株式取引を開始するということをイメージしてみるといいだろう。そのような人達に、この脆弱性の問題はこうであり、このような対応策をとって、この回避策がありますよということをいったとしても、きちんと理解して対応してもらえないだろう。利用者のリテラシー教育が重要であり、その教育によって、何時の日かは、インターネットを安全に使ってもらえる日がやってくると考えることは、現実離れした考え方である。「永遠のビギナー」という用語は、彼らの教育が必要だという側面と彼らを保護していかなければならないという側面とのふたつがあるという点に着目している点で極めて意義があるだろう。得てして、古き良き時代のインターネットからインターネットの運営等に従事している人間は、この後者の側面に気がつかない傾向があるが、現実から検討する場合には、後者の視点が極めて必要である。まさに、事件は現場で起きているわけである。リテラシー教育が必要であることは否定しないが、ほんの少しの注意で安全に使えるとか、ある程度、オートマ車のように、いろいろな苦労をしないでも、普通の利用には、何の問題もないインターネット利用環境を作っていくことができないのかということが現在の大きな問題になってきているのである。
[1]ジョージ・ルーカス著、石田享訳「スター・ウォーズ あらたなる希望」(以下、エピソード 3 という)(竹書房、1997)