Windows® 7 標準クライアント 展開技術概要:

7. Windows 自動インストール キット (Windows AIK)

Windows 自動インストール キット (Windows AIK) は、Windows オペレーティング システムの構成と展開に役立つツールとドキュメントをまとめたツール群です。大量にクライアントを展開する必要がある場合、Windows AIK に含まれる各ツールを使用することで、IT 担当者の労力と時間を大幅に縮小することができます。その結果、展開プロジェクトの効率を大幅に向上させることが可能です。

Windows 7 および Windows Server 2008 R2 用の Windows AIK は以下のマイクロソフト ダウンロード センターから入手することができます。

https://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=696dd665-9f76-4177-a811-39c26d3b3b34&DisplayLang=ja

Windows AIK の新機能

Windows 7 および Windows Server 2008 R2 用の Windows 自動インストール キット (Windows AIK) で利用できる多くの新機能について説明します。

  • 展開イメージのサービスと管理 (DISM) ツールによる Windows イメージの管理

    DISM では、Windows イメージを様々な方法でカスタマイズできます。

    新しい DISM ツールでは、パッケージ マネージャー (Pkgmgr.exe)、インターナショナル設定構成ツール (Intlcfg.exe)、Windows プレインストール環境 (Windows PE) コマンド ライン ツール (PEimg.exe) など、以前のリリースの Windows AIK に含まれていたツールの多くが統合されています。

  • ユーザー状態移行ツール (USMT) によるユーザー アカウントの移行

    Microsoft Windows User State Migration Tool (USMT) 4.0 は、Windows AIK の一部としてインストールされるようになりました。USMT 4.0 を使用すると、Windows Vista、Windows 7、および Windows Server 2008 R2 の各オペレーティング システムの大規模な展開時に、ユーザー プロファイルの移行を効率化および簡略化することができます。USMT は、ユーザー アカウント、ユーザー ファイル、オペレーティング システム設定、およびアプリケーション設定をキャプチャします。その後で、新しい Windows インストールにそれらを移行します。USMT は、サイド バイ サイド移行 (古いコンピューターから新しいコンピューターにデータをコピーする) とワイプ アンド ロード移行 (データを保存してから、コンピューターのハード ディスクをフォーマットし、新規インストールを実行した後、データを復元する) の両方に使用できます。

  • Windows の新しいディスク パーティション構造

    既定の Windows インストールに、別のシステム パーティションのサポートが含まれるようになりました。既定のインストールでは、Windows セットアップによって 2 つのパーティションがハード ディスク上に作成されます。1 つのパーティションは、回復ツール用に使用して Windows BitLocker ドライブ暗号化を有効化したり、他の機能に使用したりできます。もう 1 つのパーティションは、オペレーティング システムのインストールに使用します。

    ブート マネージャーおよび関連ファイルをホストするシステム パーティションには、既定ではドライブ文字が付けられなくなりました。Microsoft-Windows-Setup の \DiskConfiguration\Disk\ModifyPartitions\ModifyPartition\Letter 設定を使用して、インストール中に手動でドライブ文字を追加できます。

  • 展開時の Windows エディションの変更

    DISM のイメージ アップグレード ツールを使用して、環境内に保持するイメージの数を減らすことができます。展開する Windows のエディションごとに個別の Windows イメージを保持するのではなく、カスタマイズ可能な Windows イメージを 1 つ保持するだけで済みます。展開時に DISM を使用して、Windows イメージを Windows の上位エディションにアップグレードできます。この機能を使用すると、組織内で保持する必要がある Windows イメージの数を減らすことができます。

  • Windows PE イメージの最適化

    DISM を新しい /Apply-Profile オプションで使用して、Windows PE イメージの内容を、特定のアプリケーション セットのサポートに必要なファイルだけに減らすことができます。例えば、Windows PE イメージの USB フラッシュ ドライブ (UFD) への展開に、/Apply-Profile オプションを使用できます。

  • ネイティブ ブートでの仮想ハード ディスクの展開

    Windows 7 および Windows Server 2008 R2 は、仮想ハードディスク (.vhd) ファイルからシステムを起動できます。Windows 7 および Windows Server 2008 R2 では、システム パーティションからブート ローダーが起動し、ブート ローダーがブート構成データベース (BCD) を参照し、起動 OS を決定します。従って、VHD ブートを行うには、仮想ハードディスク (.vhd) ファイルの作成と、BDC に対する起動エントリの追加が必要です。

    ブート可能な仮想ハードディスク (.vhd) ファイルから起動するには以下のように構成します。

    1. ディスク管理ツール、DiskPart ツール、またはディスクの管理 MMC を使用して、仮想ハード ディスク (.vhd) ファイルを作成
    2. 一般化されたイメージ (.wim) ファイルを作成した VHD に展開
    3. .vhd ファイルを VHD 起動したいコンピューターにコピー
    4. VHD から起動するようにブート マネージャーを構成
    Note

    以下のサイトから、Windows イメージ (.wim) を仮想ハードディスク (.vhd) に変換するスクリプトをダウンロードできます。

    https://code.msdn.microsoft.com/wim2vhd (英語)

  • ボリューム アクティベーション管理ツール (VAMT) による Windows ライセンス認証の管理

    IT 管理者は、VAMT を使用して、組織内のコンピューターに対する Windows ボリューム ライセンス認証の処理を自動化し、一元的に管理できます。VAMT では、マルチ ライセンス認証キー (MAK) または Windows キー管理サービス (KMS) を使用して、ボリューム ライセンス認証を管理できます。

Windows AIK の主要ツール

Windows AIK に含まれる主要なツールには、以下のものがあります。

ツール名 説明
ImageX.exe ImageX は、ディスク イメージをキャプチャ、変更、適用するコマンドライン ツールです。ImageX で作成する Windows イメージ (.wim) はファイル レベルで機能し、Windows セットアップ、Windows 展開サービス (Windows DS)、System Center Configuration Manager (SCCM) など、Windows イメージを使用するその他のテクノロジーと連携することもできます。Windows イメージは、ファイル レベルのイメージとなるため、イメージをディレクトリーのようにオフラインで処理することができます。例えば、Windows エクスプローラーなどのファイル管理ツールから、ファイルの追加、コピー、貼り付け、削除を行うことができます。
ImageX で作成した Windows イメージを別のコンピューターに転送する場合、コンピューターのハードウェア構成が同じ場合でも、sysprep に /generalize オプションを指定して実行する必要があります。sysprep /generalize コマンドによって、Windows インストールから固有の情報が削除され、そのイメージを別のコンピューターで再利用できるようになります。sysprep /generalize コマンドを実行せずに Windows イメージを別のコンピューターに移動またはコピーすることは、サポートされていません。
ツール名 説明
展開イメージ サービスと管理ツール: DISM.exe

展開イメージのサービスと管理 (DISM.exe) は、Windows イメージ (WIM) の処理や、Windows プレインストール環境 (Windows PE) イメージ準備のためのコマンド ライン ツールです。これは、Windows Vista に含まれていたパッケージ マネージャー (Pkgmgr.exe)、PEimg、Intlcfg の代わりになるツールです。これらのツールの機能が 1 つのツール (DISM.exe) に統合され、オフライン処理の効率を向上する新たな機能が追加されました。

DISM で実行可能な操作は次の通りです。

  • パッケージの追加、削除、および列挙
  • ドライバーの追加、削除、および列挙
  • Windows の機能の有効または無効化
  • Unattend.xml 応答ファイルの offlineServicing セクションに基づいた変更
  • 地域と言語の設定の構成
  • Windows イメージの別のエディションへのアップグレード
  • Windows PE イメージの準備
  • 強化されたログ機能の利用
  • Windows Vista SP1、Windows Server 2008 など、以前のバージョンの Windows の処理
  • あらゆるプラットフォーム (32 ビット、64 ビット、および Itanium) の処理
  • 64 ビット ホストからの 32 ビット イメージの処理
    32 ビット ホストからの 64 ビット イメージの処理
  • 古いパッケージ マネージャー (Pkgmgr.exe) 用スクリプトの利用
ツール名 説明
Windows システム イメージ マネージャー
(Windows SIM)

Windows システム イメージ マネージャー (Windows SIM) は、無人 Windows セットアップの応答ファイルを作成および管理をする GUI ベースのツールです。Windows SIM で作成する応答ファイルは XML ベースのファイルで、Windows セットアップ時の既定の Windows インストールの構成とカスタマイズに使用します。

例えば、Windows SIM を使用して、Windows をインストールする前にディスクのパーティション作成とフォーマットを行う応答ファイルを作成することができます。また、Internet Explorer のホーム ページの既定の設定を変更し、インストール後に監査モードで起動するように Windows を構成することもできます。応答ファイルの設定を変更すると、サードパーティ製アプリケーション、デバイス ドライバー、言語パック、その他の更新プログラムもインストールすることができます。

Windows SIM では、Windows イメージ自体は変更されず、応答ファイルの作成のみに使用します。この応答ファイルを使用して、Windows セットアップ中に設定が Windows インストールに適用されます。

ユーザー状態移行ツール
(USMT)

ユーザー状態移行ツール (USMT) 4.0 は、ユーザー状態移行ツールともよばれ、既存の Windows から、ユーザー アカウント、ユーザーのファイルやフォルダー、オペレーティング システムの設定、アプリケーションの設定を新しい Windows へ移行するためのツールです。USMT を使用すると、Windows 7 の大量展開を実行する際に、ユーザー状態データの移行作業を効率化、簡素化できます。USMT は、サイド バイ サイド移行 (古いコンピューターから新しいコンピューターにデータをコピーする) とワイプ アンド ロード移行 (データを保存してから、コンピューターのハード ディスクをフォーマットし、新規インストールを実行した後、データを復元する) の両方に使用できます。

USMT では、ビジネス ニーズに従い、どのファイルと設定を移行するかを制御することが可能です。移行するファイルや設定を指定するには移行規則ファイルとよばれる XML 形式のファイルに定義します。また USMT では、実際の移行を行うコマンドとして、次の 2 つのコマンドが提供されています。

  • ScanState.exe

    ScanState.exe コマンドは、移行元コンピューターでユーザー状態データのキャプチャを行うコマンドです。キャプチャされたユーザー状態データは、指定した保存場所に格納されます。

  • LoadState.exe

    LoadState.exe コマンドは、保存されたユーザー状態データを復元するコマンドです。このコマンドは移行先コンピューターで実行します。

USMT 4.0 ではオフライン移行をサポートしています。

ツール名 説明
ボリュームアクティベーション管理ツール (VAMT)

ボリューム アクティベーション管理ツール (VAMT) は、IT 管理者が Windows ボリューム アクティベーションを自動化し、中央で集中管理するためのツールです。VAMT を使用して MAK ライセンス認証を実行することで、組織内のすべてのマシンのアクティベーション状況や既定の MAK アクティベーション数などをレポートすることができます。VAMT を使用せずに MAK ライセンス認証を行った場合に比べ、ライセンスの管理が容易になります。

VAMT は、Windows マシン (Windows XP、Windows Server 2003、Windows Vista) 上でスタンドアロンとして実行できるように設計されています。VAMT は MAK キーを使用したボリューム アクティベーション プロセスを自動化し集中管理することが可能です。

VAMT を使用してライセンス認証を行う方法として以下の 2 種類があります。

  • VAMT を使用した MAK 個別ライセンス認証

    VAMT を使用した MAK 個別ライセンス認証は、VAMT を実行する管理用コンピューターから、MAK キーを各クライアント コンピューターにインストールし、各クライアント コンピューターからインターネット経由で直接認証するよう指示することができます。

  • VAMT を使用した MAK プロキシ ライセンス認証

    MAK ライセンス認証させたいクライアント コンピューターが直接インターネットに接続できない環境 (通常では電話による認証を行うような環境) のために提供されている方法です。MAK プロキシ ライセンス認証は、VAMT を実行する管理用コンピューターを使用してライセンス認証させたいクライアント コンピューターからインストール ID を収集しリスト化すると、マイクロソフト アクティベーション クリーニングハウスに送付します。マイクロソフト アクティベーション クリーニングハウスでは、送付されたインストール ID を確認し、確認 ID を発行します。MAK プロキシ ライセンス認証は、発行された確認 ID を使用しライセンス認証を実行します。

VAMT はWindows Vista、Windows Server 2008、Windows 7 および Windows Server 2008 R2 を実行しているコンピューターの MAK ライセンス認証を管理するために作成されています。よって、Windows XP および Windows Server 2003 のボリューム エディションを実行しているコンピューターの管理はできません。VAMT は、MAK ライセンス認証の管理の他にも、キー マネージメント サービス (KMS) 方式でクライアント コンピューターが使用する KMSCLIENT キーをインストールすることが可能です。

ページのトップへ