トラブルシューティングに便利 DaRT 入門

山田 章夫 (Windows Expert - IT Pro)

公開日: 2011 年 2 月 1 日

Microsoft Diagnostic and Recovery Toolset

Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOPと以下言う)にはビジネスに便利な 6 つの機能があります。これを使うには MDOP の DVD をセットし、必要に応じて 6 つの機能を構成する必要があります。

図: Microsoft Desktop Optimization Pack 画面

今回はその中の Diagnostics and Recovery Toolkit(以下 DaRT と言う)にスポットライトを当てます。DaRT では OS の種類と 32 ビットと 64 ビットの違いによってインストール出来るものが違います。また、DaRT 自体のバージョンが違うと、出来る機能についても異なります。今回は、Windows 7 および Windows Server 2008 R2 対応の DaRT 6.5 について説明します。

1. 準備

Diagnostics and Recovery Toolkit を選ぶと以下のような画面が出ます。

図: Diagnostics and Recovery Toolki 画面

インストール自体はウイザードに従って行うだけなので、途中の画面は割愛します。
但し、実際にはインストールしただけでは、すべての機能は使うことはできません。

スタートメニューより Crash Analyzer ウイザードを起動すると、途中で「Microsoft Debugging Tools for Windows」のディレクトリの選択画面が出ます。インストールされていない場合には、リンクからパッケージをダウンロードしてインストールする必要があります
この「Microsoft Debugging Tools for Windows」は ERD Commander ブート メディアウイザードで CD を作成する際にも必要になるのであらかじめインストールしておくことをお勧めします。

図: システムの回復のオプション画面

ERD Commander ブート メディアウイザードもウイザードに従いだけですが、Windows のインストール時にドライバーを入れて起動できないような場合には、環境に合わせてドライバーが必要な場合もあります。

作成した CD を入れて、起動するとシステムの回復のオプション画面が出ます。

Windows 7 の場合の標準の起動のシステムの回復のオプションに比べ、DaRT の画面が追加されます。

MS DaRT の画面を起動すると以下のような通常の回復コンソールではできなかった各種の機能が出ます。

図: MS DaRT ツール画面

2. 機能編

DaRT の回復ツールを起動するとヘルプを除き全部で 14 個のメニューがあります。それぞれについて、解説していきましょう。

  • ERD Registry Editor
    これは修復中の Windows のレジストリを変更するツールになります。レジストリ エラーで起動しない場合に直接レジストリを変更できるのが最大のメリットです。但し、ユーザーのプロファイルを使用して起動していないため、通常のレジストリの中にある「HKET CURRENT USER」はありません。「HKEY USER」より変更したいユーザーを選んで編集する必要があります。
  • パスワード管理
    これはローカルのアカウントのパスワードを変更することが出来ます。(ドメイン ユーザーではありません) 古いパスワードを入れる必要もないため、注意が必要です。
    特にワークグループ環境でユーザーがパスワードを忘れてしまい、ほかに管理者権限のあるユーザーがない場合などに有効です。
  • Crash Analyzer
    ブルー スクリーンになった時のメモリー ダンプの内容から原因を分析するツールになります。メモリ―ダンプは、「システム」のプロパティの「起動と回復」の項目の「設定」で「ダンプファイル」で指定した場所に保存されます。(デフォルトは、%SystemRoot%\MEMORY.DMP)
  • ファイルの復元
    ファイルの復元は文字通り、ファイルを削除し、ゴミ箱を空にしたファイルを復元します。但し、削除したファイルの場所が別のファイルに使用された場合には復元ができません。
  • Disk Commander
    マスター ブートレコードの修復や失われたボリュームを回復します。
  • ディスクのワイプ
    修復ツールというより、PC の廃棄など、情報漏えいを防ぐためにハードディスクにランダムなデーターを書き込み消去します。
  • コンピュータの管理
    ローカルのコンピュータの管理とは少し内容が違いますが、「システム情報」「イベントビューア」「オートラン」「サービスとドライバ」「ディスクの管理」を作業することが出来ます。
  • エクスプローラ
    通常のエクスプローラと機能制限されている部分もありますが、ファイルのコピーやアクセス権の変更などもすることが出来ます。
  • ソリューション ウイザード
    ウイザード形式で問題解決の方法を示します。機能によっては直接ツールを起動するものと別のツールを起動するように指示するものがあります。
  • TCP/IP 構成
    TCP/IP の構成を行います。但し、ネットワークドライバーが組み込まれていない場合、もしくは、認識できない場合には構成できません。
  • 修正プログラムのアンインストール
    修正プログラムをインストール後、起動できなくなった場合に使用します。ウイザード形式で修正プログラムをアンインストールすることが可能です。
  • SFC スキャン
    システム ファイル修復ウイザードを起動し、Windows のシステム ファイルの問題を自動的に検索して、修復を実行します。アプリケーションのインストールやドライバーのインストールなどでシステムファイルが変更された場合やシステムファイルが破損した場合などに有効です。
  • ファイル検索
    ハードディスクの中身を検索します。必要なファイルがどこに保存されているかわからない場合に有効です。
  • スタンドアロン システム スウイーパー
    マルウェアやルートキットまたは望ましくない可能性があるソフトウェアがないかシステムをスキャンします。ネットワー クに接続できる場合にはダウンロードして最新モジュールをインストールして実行し、出来ない場合には USB メモリ等を使って必要なファイルをインストールして最新版の定義ファイルを実行してスキャンします。

3. まとめ

DaRT では、互換性問題でのトラブルやその他のトラブルで PC が起動できなくなった状況でも、PC が起動できる場合に違いトラブルシューティングを実行することが可能です。

なお、DaRT を含む MDOP の利用には、ボリューム ライセンス契約にソフトウェア アシュアランス (SA) が必要です。


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