空白の件名を持つメッセージのトランスポート ルールを構成する

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2014-10-24

トランスポート ルールは、送信者、受信者、メッセージの範囲、メッセージの件名、メッセージ本文などのメッセージのプロパティに基づいて、指定された操作を実行します。空白の件名行を持つメッセージに対するトランスポート ルールの作成には、正規表現の使用が必要です。

注意

運用環境で新しいトランスポート ルールを構成する場合は、事前にテスト環境を使用して、トランスポート ルールを作成し、それらを徹底的にテストする方法を習得する必要があります。以下の手順は、運用環境で実行される前に、各組織に対応した変更が行われることを前提にしています。

重要

電子メール メッセージにトランスポート ルールを適用するには、トランスポート ルールを適用するサーバーとの間のメッセージの送受信を可能にするルートが存在する必要があります。また、これらのメッセージを、メッセージの配信を防止するために管理者が構成したトランスポートの制限の対象外にする必要もあります。トランスポートの制限のためにメッセージが配信されない場合は、トランスポート ルール エージェントがそのメッセージに対して機能できず、トランスポート ルール エージェントのイベントが記録されません。

^$ 正規表現

空白の件名行を持つメッセージを検出するため、以下の手順では ^$ 正規表現を使用します。この正規表現は、2 つのパターン文字列 ^$ から構成されています。パターン文字列は、変化するテキストでパターンを検索するために正規表現で使用されます。^ パターン文字列と $ パターン文字列がこの順序で使用されている場合、トランスポート ルール条件は、2 つのパターン文字列間にある正確な文字列のみを検索します。^$ 正規表現では ^ パターン文字列と $ パターン文字列の間には文字列がないため、この正規表現は空白の件名行などの空の文字列のみを検索します。

正規表現の詳細については、「トランスポート ルールの正規表現」を参照してください。

RejectMessage トランスポート ルール アクション

RejectMessage トランスポート ルール アクションは、メッセージの拒否および拒否用の拡張状態コードの提供に使用されます。この例では、RejectMessage トランスポート ルール アクションを使用してメッセージを拒否し、配信不能レポート (NDR) を返します。RejectMessage トランスポート ルール アクションは、ハブ トランスポート サーバーでのみ使用できます。

NDR の [管理者向けの診断情報] セクションで送信者に表示されるテキストを変更することができます。このテキストは、メッセージが拒否された理由を理解できるようにするための情報を提供できます。

また、カスタマイズされた DSN コードを指定することにより、NDR のユーザー情報セクションに表示される配信状態通知 (DSN) コードとメッセージを変更することもできます。カスタマイズされた DSN コードは、カスタマイズされた DSN メッセージに関連付けられます。このコードを指定することで、ユーザーに特定のポリシーまたは規制への HTML リンクを参照させるようにすることができます。既定では、5.7.1 の DSN コードに関連付けられた NDR が送信されます。

たとえば、ユーザーのメッセージが拒否されたときにユーザーに IT 部門を参照させるようにする場合は、EnhancedStatusCode プロパティに新しい未使用のカスタマイズされた DSN コードを指定することができます。新しいカスタム DSN コードを指定した後、カスタム DSN コードがまだ定義されていない場合、New-SystemMessage コマンドレットを使用して DSN コードを作成し、その DSN コードが参照されるときに表示されるテキストを指定する必要があります。この方法の詳細については、後の「シェルを使用して空白の件名を持つメッセージに対するトランスポート ルールを作成する」を参照してください。

注意

RejectReason トランスポート ルール アクションは、ハブ トランスポート サーバーでのみ使用できます。エッジ トランスポート サーバー上で空白の件名行を持つメッセージを拒否する場合は、SmtpRejectMessage トランスポート ルール アクションを使用する必要があります。SmtpRejectMessage トランスポート ルール アクションを使用する場合は、DSN コードのみを指定できます。ユーザーまたは管理者に対して表示する代替メッセージを指定することはできません。
SmtpRejectMessage トランスポート ルール アクションの詳細については、「トランスポート ルールのアクション」の「エッジ トランスポート サーバー上で使用可能なアクション」を参照してください。

受け付けられる値と、Microsoft Exchange Server 2010 によって DSN コードがトランスポート ルールに関連付けられる方法の詳細については、「DSN メッセージをトランスポート ルールに関連付ける」を参照してください。

EMC を使用して空白の件名を持つメッセージに対するトランスポート ルールを作成する

この手順を実行する際には、あらかじめアクセス許可を割り当てる必要があります。必要なアクセス許可の一覧については、以下を参照してください。「メッセージングのポリシーと準拠のアクセス許可」の「トランスポート ルール」。

  1. トランスポート ルールの新規作成ウィザードを開きます。この手順をハブ トランスポート サーバーとエッジ トランスポート サーバーのどちらで実行しているかに応じて、以下のナビゲーションを使用します。

    • ハブ トランスポート サーバー:コンソール ツリーで、[組織の構成] > [ハブ トランスポート] にアクセスします。

    • エッジ トランスポート サーバー:コンソール ツリーで、[エッジ トランスポート] をクリックします。

  2. 操作ウィンドウで、[トランスポート ルールの新規作成] をクリックします。

  3. [概要] ページで、以下のフィールドに入力します。

    1. [名前]   トランスポート ルールの名前を入力します。

    2. [コメント]   (省略可能) このフィールドを使用して、ルールの機能と関連する詳細情報を説明します。コメント フィールドの文字は、ルールの機能には影響しません。

    3. [ルールを有効にする]   新しいルールは既定では有効になっています。ルールを無効な状態で作成する場合は、このチェック ボックスをオフにします。

  4. [条件] ページで、以下のフィールドに入力します。

    1. [ステップ 1: 条件の選択] ボックスで、[件名フィールドがテキスト パターンと一致する場合] 条件をクリックします。

    2. [ステップ 2: 下線付きの値をクリックしてルールの説明を編集] ボックスで、青い下線付きの [テキスト パターン] をクリックします。

    3. [テキスト パターンの指定] ダイアログ ボックスで「^$」を入力し、[追加] をクリックします。[OK] をクリックしてダイアログ ボックスを閉じ、[次へ] をクリックします。

  5. [処理] ページで、以下のフィールドに入力します。

    1. [ステップ 1: 処理の選択] ボックスで、このルールに適用するすべての処理を選択します。トランスポート ルールを作成するには、少なくとも 1 つの処理を選択する必要があります。

    2. [ステップ 2: 下線付きの値をクリックしてルールの説明を編集] ボックスで、青い下線付きの各単語をクリックします。

    3. 表示される新しいダイアログ ボックスで、適用する項目をクリックするか、手動で値を入力し、[OK] をクリックしてダイアログ ボックスを閉じます。

    4. 選択したアクションごとに前の手順を繰り返します。すべてのアクションを構成したら、[次へ] をクリックします。

  6. [例外] ページで、以下のフィールドに入力します。

    1. [ステップ 1: 必要に応じた例外の選択] ボックスで、このルールに適用するすべての例外を選択します。例外の選択は必須ではありません。

    2. 前の手順で例外を選択した場合は、[ステップ 2: 下線付きの値をクリックしてルールの説明を編集] ボックスで、青い下線付きの各単語をクリックします。

    3. 表示される新しいダイアログ ボックスで、適用する項目を選択するか、手動で値を入力し、[OK] をクリックしてダイアログ ボックスを閉じます。

    4. 選択した例外ごとに前の手順を繰り返します。すべての例外を構成したら、[次へ] をクリックします。

  7. [ルールの作成] ページで、[構成の概要] を確認します。新しいルールに問題がなければ、[新規作成] をクリックします。

  8. [完了] ページで以下のことを確認し、[終了] をクリックしてウィザードを終了します。

    • [完了] の状態は、ウィザードでタスクが正常に完了したことを示します。

    • [失敗] の状態は、タスクが完了しなかったことを示します。タスクが失敗した場合は、説明の概要を確認し、[戻る] をクリックして構成を変更します。

シェルを使用して空白の件名を持つメッセージに対するトランスポート ルールを作成する

この手順を実行する際には、あらかじめアクセス許可を割り当てる必要があります。必要なアクセス許可の一覧については、以下を参照してください。「メッセージングのポリシーと準拠のアクセス許可」の「トランスポート ルール」。

この例では、件名が空白のメッセージを拒否するためにトランスポート ルール Blank Line Rule を作成します。このルールは、拡張状態コード 5.7.1 を使用し、説明文 "メッセージの件名フィールドが空です。" を含みます。

New-TransportRule -Name "Blank Line Rule" -Enabled $true -SubjectMatchesPatterns '^$' -RejectMessageReasonText "The message has a blank subject field." -RejectMessageEnhancedStatusCode "5.7.1"

この例では、ハブ トランスポート サーバーで件名が空白のメッセージを拒否するためにトランスポート ルール Blank Line Rule を作成します。このルールは、カスタマイズされた DSN コード 5.7.228 を使用し、説明文 "メッセージの件名の行に件名を記入しないと、メッセージが拒否されます。" を含みます。

注意

カスタマイズされた DSN コードを使用する場合、New-SystemMessage コマンドレットを使用して DSN コードおよびカスタマイズされたメッセージを定義する必要があります。詳細については、「DSN メッセージをトランスポート ルールに関連付ける」を参照してください。

New-TransportRule -Name "Blank Line Rule" -Enabled $true -SubjectMatchesPatterns '^$' -RejectMessageReasonText "Messages must have a subject in the subject line or they are rejected." -RejectMessageEnhancedStatusCode "5.7.228"

この例では、カスタマイズされた DSN コードおよびメッセージを作成します。

New-SystemMessage -DsnCode 5.7.228 -Internal $True -Language En -Text "This message was rejected because it did not have a subject in the subject line. For more information, please contact the Information Technology department."

構文およびパラメーターの詳細については、「New-TransportRule」または「New-SystemMessage」を参照してください。

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