メディア トラフィック ネットワークの使用
トピックの最終更新日: 2010-11-17
メディア トラフィックの帯域幅使用量の計算は、使用されるコーデック、解像度、アクティビティ レベルなど、変数の数が多いため、困難になる可能性があります。 帯域幅使用量を決める要素に、使用されるコーデックとストリームのアクティビティがありますが、この 2 つの要素はシナリオごとに違いがあります。 次の表に、Microsoft Lync Server 2010通信ソフトウェアのシナリオで、一般に使用される音声コーデックを示します。
音声コーデックの帯域幅
音声コーデック | シナリオ | 音声ペイロード ビットレート (KBPS) | 帯域幅 - 音声ペイロードおよび IP ヘッダーのみ (Kbps) | 帯域幅 - 音声ペイロード、IP ヘッダー、UDP、RTP、および SRTP (Kbps) | 帯域幅 - 音声ペイロード、IP ヘッダー、UDP、RTP、SRTP および前方向エラー訂正 (Kbps) |
---|---|---|---|---|---|
RTAudio (広帯域) |
ピアツーピア |
29.0 |
45.0 |
57.0 |
86.0 |
RTAudio (狭帯域) |
ピアツーピア、PSTN |
11.8 |
27.8 |
39.8 |
51.6 |
G.722 |
電話会議 |
64.0 |
80.0 |
95.6 |
159.6 |
G.711 |
PSTN |
64.0 |
80.0 |
92.0 |
156.0 |
Siren |
電話会議 |
16.0 |
32.0 |
47.6 |
63.6 |
この表の帯域幅数は、20ms パケット化 (50 パケット/秒) に基づいており Siren および G.722 では、電話会議シナリオからのセキュア リアルタイム転送プロトコル (SRTP) による追加オーバーヘッドが含まれ、ストリームが 100% アクティブであることが前提となっています。 前方向エラー訂正 (FEC) は、リンク上にパケット損失がある場合に、音声ストリームの品質確保を支えるために動的に使用されます。
ビデオの場合、コーデックは、常に、RTVideo です。このため、必要な帯域幅は、解像度、品質、およびフレーム レートによって決まります。 各解像度で、次の 2 つのビット レートが関与します。
最大ペイロード ビットレート Lync 2010 エンドポイントが、この解像度でサポートされる最大フレーム レートでの解像度に対して使用するビットレートです。 品質とフレーム レートが最も高いビデオを可能にするため、この値が関与します。
最小ペイロード ビットレート Lync 2010 エンドポイントが、秒当たり約 1 フレームでの解像度に対して使用するビットレートです。 この値により最大ビットレートを使用できない場合や最大ビットレートが現実的でない場合に、どこまでビットレートを下げることができるかを把握できるため、この値も関与します。 1 フレーム/秒のビデオは見たくないと思うユーザーもいます。このため、これらのビットレートの検討は慎重に行ってください。
ビデオ解像度の帯域幅
ビデオ コーデック | 解像度 | 最大ビデオ ペイロード ビットレート (Kbps) | 最小ビデオ ペイロード ビットレート (Kbps) |
---|---|---|---|
RTVideo |
メイン ビデオ - CIF |
250 |
50 |
RTVideo |
メイン ビデオ - VGA |
600 |
350 |
RTVideo |
メイン ビデオ - HD |
1500 |
800 |
RTVideo |
パノラマ ビデオ |
350 |
50 |
ビデオの FEC は、使用される場合ビデオ ペイロード ビットレートに含まれます。このため、ビデオ FEC を含む場合と含まない場合で別々の値はありません。
エンドポイントは、音声またはビデオ パケットを連続的にストリーミングするわけではありません。 シナリオごとにさまざまなレベルのストリーム アクティビティがあり、このレベルからストリームに対するパケットの送信頻度が分かります。 ストリーム アクティビティは、メディアとシナリオに左右されますが、使用されるコーデックの影響は受けません。 ピアツーピア シナリオでは、次のようになります。
エンドポイントは、ユーザーが話しているときだけ、音声ストリームを送信します。
両方の参加者が音声ストリームを受け取ります。
ビデオが使用される場合、通話全体を通じて、両方のエンドポイントがビデオ ストリームを送受信します。
電話会議シナリオでは、次のようになります。
エンドポイントは、ユーザーが話しているときだけ、音声ストリームを送信します。
すべての参加者が音声ストリームを受け取ります。
ビデオが使用される場合、同時にビデオ ストリームを送信するのは 2 つのエンドポイント (現在とその前のアクティブな発表者) だけです。
ビデオが使用される場合、すべての参加者が、ビデオ ストリームを受信します。
次の表に、顧客データの測定値に基づく、ストリームのアクティビティ レベルを示します。
ストリームのアクティビティ レベル
シナリオ | メディア | 見積ストリーム アクティビティ (%) |
---|---|---|
ピアツーピア セッション |
音声 |
61 |
ピアツーピア セッション |
メイン ビデオ - CIF |
84 |
ピアツーピア セッション |
メイン ビデオ - VGA |
83 |
ピアツーピア セッション |
メイン ビデオ - HD |
80 |
ピアツーピア セッション |
パノラマ ビデオ |
74 |
電話会議 |
音声 |
43 |
電話会議 |
メイン ビデオ - CIF |
84 |
電話会議 |
メイン ビデオ - VGA |
83 |
電話会議 |
メイン ビデオ - HD |
80 |
電話会議 |
パノラマ ビデオ |
74 |
PSTN |
音声 |
65 |
音声およびビデオ メディア用のリアルタイム転送プロトコル (RTP) トラフィックで必要な帯域幅以外に、リアルタイム転送制御プロトコル (RTCP) でも帯域幅が必要です。 RTCP は、RTP ストリームの統計情報の報告やアウトオブバンドの制御に使用されます。 計画の際には、RTCP トラフィックに関する次の表の帯域幅の数値を参照してください。 これらの値は、RTCP で使用される最大帯域幅を示し、制御データが違うため音声ストリームとビデオ ストリームとでは違いがあります。
RTCP の帯域幅
メディア | RTCP の最大帯域幅 (Kbps) |
---|---|
音声 |
5 |
ビデオ |
10 |
容量計画では、次の 2 つの帯域幅が関与します。
FEC が使用されない場合の最大帯域幅 FEC 使用されないシナリオでストリームが消費する最大帯域幅で、ストリームの標準的なアクティビティおよび使用される標準的なコーデックを含みます。この値は、ストリームのアクティビティ レベルが 100% で、FEC の使用の原因になるパケット損失がない場合の帯域幅です。この値は、与えられたシナリオでコーデックの使用を可能にするために割り当てる必要のある帯域幅を計算する場合に関与します。
FEC が使用される場合の最大帯域幅 FEC が使用されるシナリオでストリームが消費する最大帯域幅で、ストリームの標準的なアクティビティおよび使用される標準的なコーデックを含みます。 この値は、ストリームのアクティビティ レベルが 100% で、品質向上のための FEC の使用の原因となるパケット損失がある場合の帯域幅です。 この値は、与えられたシナリオでのコーデックの使用とパケット損失状態での品質確保目的の FEC の使用を可能にするために割り当てる必要のある帯域幅を計算する場合に関与します。
次の表では、上記の帯域幅以外に、標準帯域幅も示します。 この値は、シナリオでストリームが消費する平均帯域幅で、ストリームの標準的なアクティビティおよび使用される標準的なコーデックを含みます。 この帯域幅から、任意の時点にメディア トラフィックによって消費されている帯域幅を推測できます。ただし、この値は容量計画には使用しないでください。それは、アクティビティ レベルが平均を超えると、個々の通話がこの値を超えるからです。
次の各表では、さまざまなシナリオを対象に、これら 3 つの帯域幅の値を示します。
ピアツーピア セッションの音声/ビデオの容量計画
メディア | コーデック | 標準的なストリーム帯域幅 (Kbps) | FEC を使用しない場合のストリームの最大帯域幅 | FEC を使用する場合のストリームの最大帯域幅 |
---|---|---|---|---|
音声 |
RTAudio (広帯域) |
39.8 |
62 |
91 |
音声 |
RTAudio (狭帯域) |
29.3 |
44.8 |
56.6 |
メイン ビデオ - CIF |
RTVideo |
220 |
260 |
該当なし |
メイン ビデオ - VGA |
RTVideo |
508 |
610 |
該当なし |
メイン ビデオ - HD |
RTVideo |
1210 |
1510 |
該当なし |
パノラマ ビデオ |
RTVideo |
269 |
360 |
該当なし |
会議の音声ビデオの容量計画
メディア | 標準的なコーデック | 標準的なストリーム帯域幅 (Kbps) | FEC を使用しない場合のストリームの最大帯域幅 | FEC を使用する場合のストリームの最大帯域幅 |
---|---|---|---|---|
音声 |
G.722 |
46.1 |
100.6 |
164.6 |
音声 |
Siren |
25.5 |
52.6 |
68.6 |
メイン ビデオ - CIF |
RTVideo |
220 |
260 |
該当なし |
メイン ビデオ - VGA |
RTVideo |
508 |
610 |
該当なし |
パノラマ ビデオ |
RTVideo |
269 |
360 |
該当なし |
PSTN の音声容量計画
メディア | 標準的なコーデック | 標準的なストリーム帯域幅 (Kbps) | FEC を使用しない場合のストリームの最大帯域幅 | FEC を使用する場合のストリームの最大帯域幅 |
---|---|---|---|---|
音声 |
G.711 |
64.8 |
97 |
161 |
音声 |
RTAudio (狭帯域) |
30.9 |
44.8 |
56.6 |
上記の各表のネットワーク帯域幅の数値は、単方向トラフィックのみを表しており、各ストリームの RTCP トラフィック オーバーヘッドを意味する 5 Kbps を含みます。 ビデオの場合は、最大ストリームの計算に、最大ビデオ ビット レートが用いられています。