Windows Confidential: The Healing Powers of Safe Mode

[アーティクル]
08/25/2016

Windows 秘話セーフモードの治癒力

Raymond Chen

Windows のセーフモード (またの名を "おかしくなっちゃった、助けて" モード) が Windows® 95 で初めて導入されたときに行っていた処理はドライバを無効にすることだけでした。また、自動的に修復できるものを修正することも目的としていました。

たとえば、セーフモードで起動すると、アイコンが画面に表示されない場所に配置されていることがあるので、エクスプローラでは、デスクトップにあるすべてのアイコンの位置を確認し、すべてのアイコンが表示されるようにします。

ここで説明している状況を再現するには、デスクトップにアイコンを 2 つ作成し、1 つを画面の左端に、もう 1 つを画面の右端に配置します。<formatting role="bold">Ctrl</formatting> キーを押しながら 2 つのアイコンをクリックして選択し、左端にあるアイコンをドラッグして画面の右端に移動します。右端にあるアイコンはドラッグしたアイコンとの相対位置を維持するため、この操作を行うと、右端にあるアイコンも一緒に移動されます。そのため、右端にあったアイコンが画面上から消えてなくなります。

ユーザーはセーフモードを使用すると Windows をトラブルシューティングできる

セーフモードで起動したときにエクスプローラがアイコンの位置を修正しないと、トラブルシューティングの指示は役に立つどころか、混乱を招きかねません。

コンピュータをセーフモードで起動します (さて、起動しました)。
[マイコンピュータ] アイコンをダブルクリックします (おや、私のデスクトップには [マイコンピュータ] アイコンがありません)。
...

[マイコンピュータ] アイコンは画面上から消えてなくなっているか、または利用できない状態です。私は、トラブルシューティングの手順 2 で行き詰まってしまいました。

ユーザーからは「アイコンを自動的に修復しないでほしい。」という意見が寄せられています。「この問題について技術サポートに問い合わせたときに、サポート担当者が、デスクトップを右クリックし、アイコンの位置を元に戻すオプションをクリックするという方法を伝えれば、問題を修正できるし、セーフモードを使用することによってデスクトップにあるアイコンの位置がおかしくなってしまうことはない。」と。

そもそも "ユーザーが、この問題について技術サポートに問い合わると" という時点で試合に負けています。ユーザーが問い合わせなければならないという状況が発生した時点でアウトです。

また、この提案は、セーフモードを使用するユーザーの心理状態に気付いていません。ユーザーがセーフモードで起動した後に何をしなければならないのかを把握していないことはありますが、ユーザーがセーフモードで起動するのは、コンピュータが正常に動作しない場合です。ユーザーは単に自動修復の状況を眺めているのが関の山です。何かがおかしいからセーフモードを試してみるといった具合です。Windows 95 では、このようなユーザーの心理状態を利用して、セーフモードにさまざまな自動修正処理を実装しました。これは実にうまくいきました。

ユーザーからの問い合わせに対して「セーフモードで起動すれば、問題が自動的に修復されます。」と伝えたらどうでしょうか。ユーザーは「それなら簡単だ。どうしてもっと早く試さなかったのだろう。」と思うでしょう。

「セーフモードで起動して、ここを右クリックしてください。次に、このメニューオプションを選択し、このボックスをクリックしてください。」というように長い指示を提示した場合、ユーザーは指示に従って問題を修復することはできますが、ユーザーがコンピュータを使いやすいものと感じるようにすることには貢献できません。それどころか、ユーザーは、自分が無力だと感じ、コンピュータを使わなくなってしまうかもしれません。ユーザーは、自信を持つどころか、学習性無力感という状態に陥り、「自分では、この解決策を見つけることは到底できなかった。コンピュータとは難解なものだ。」と思ってしまうことでしょう。

Raymond Chenは自分の Web サイト「The Old New Thing」および同じタイトルの書籍 (Addison-Wesley、2007 年) で、Windows の歴史と Win32 プログラミングについて扱っています。彼は爆弾の導火線に火が付く前に逃げ出すことをよしとする人です。

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