フィールド ノートPC をリサイクルする

Jim Lynch

Communty Microsoft Authorized Refurbisher (MAR) プログラム (microsoft.com/mar) は、Microsoft Unlimited Potential イニシアチブの中でも特殊で比較的知名度の低いプロジェクトです。このプログラムでは、十分なサービスを受けていない多くの地域を対象に、教育を改善し、ビジネスや雇用を創り出し、持続的なビジネス チャンスを生み出す多様なプロジェクトをサポートしています。2000 年に英国で始まった Community MAR プログラムは、現在、世界 50 か国の 800 社以上の PC 再利用業者で構成されています。

Community MAR プログラムの中で最も驚くべき特徴の 1 つは、Windows® 2000 と Windows XP のライセンスをたったの 5 米ドルで提供できることです。Community MAR プログラムでは、修理した PC で、年間 200,000 を上回るライセンスを非営利組織、学校、図書館、大学などに提供しています。また、米国では、低所得者や障害のある方にテクノロジ アクセス プログラムを提供しています。このような方法で、Community MAR プログラムは、情報格差で苦しむ人々に手を差し伸べ、教育と雇用の機会を得る方法を提供しています。

十分なサービスを受けていない子供たちに手を差し伸べるため、Community MAR プログラムは世界各地で展開しています。たとえば、Operation Homelink は米軍兵の低所得世帯にコンピュータを提供し、英国の Computer Aid International は、最大の非政府組織で、アフリカにコンピュータを提供しています。また、Computers for Schools Canada の再利用業者ネットワークでは、カナダの学校に提供されるコンピュータの大部分を提供しています。

再利用の重要性

アメリカ環境保護庁は近年テネシー大学と協力して、エネルギー、原料、CO2、および毒物排出の観点から、電子機器の再利用の重要性を証明しました。そこで開発された Electronics Environmental Benefits Calculator (eerc.ra.utk.edu/ccpct/eebc/eebc.html) によると、CRT モニタを使用するコンピュータをたった 1 台再利用するだけで、次のメリットがあります。

  • 30 ポンドの有害廃棄物を削減する
  • 77 ポンドの固形廃棄物を削減する
  • 77 ポンドの原料を削減する
  • 147 ポンド (17.5 ガロン) の水が汚染されるのを防ぐ
  • 32 トンの空気が汚染されるのを防ぐ
  • 1,333 ポンドの CO2 が排出されるのを防ぐ
  • 7,719 キロワットのエネルギーを削減する

事実、Community MAR プログラムは、元来テクノロジの利用が限られていた学校や慈善団体の電子機器の循環を促進する目的で、2000 年に英国で始まったものです。このプログラムは、2003 年には米国とオーストラリアに拡大し、2005 年には世界規模で展開されるようになり、現在は、(営利、非営利、政府、学校ベースなどの) すべての種類の再利用業者が参加できるようになりました。また、コンピュータの再利用が活性化され、修理産業が作られました。

Community MAR プログラムのメリットで、あまり明らかになっていないものの 1 つには、環境面に関するものがあります。電子機器を長期間使用することで、その機能を最高の状態で維持し、経済的、環境的、社会的に最も大きな利益をもたらすので、電子機器の寿命を延ばすことは最も効果的なリサイクル方法です。耐用年数を過ぎたリサイクルは確かに良いことで必要なことですが、それではどんな物でも 10 ~ 30% の原料とエネルギーを無駄にすることになります。

当然、コンピュータの製造には莫大な環境コストがかかります。アリゾナ州立大学の環境科学者 Eric D. Williams 氏によると、標準的な 53 ポンドのデスクトップ コンピュータとモニタを製造するには、化石燃料 530 ポンド、化学物質 50 ポンド、水 3,330 ポンドが必要です。コンピュータの寿命を 2、3 年延ばすことによって、ライフサイクルが終わり耐用年数を過ぎたコンピュータをリサイクルするよりも 5 ~ 20 倍のエネルギーを削減することができます (補足記事「再利用の重要性」では、もっと驚くような数字を紹介しています)。

全体としては、マイクロソフトは、この革新的なプログラムを通じて、テクノロジの恩恵を必要としている人々にその手助けをすることによって、地域を変えられる機会作りを支援しています。Community MAR プログラムによって、コンピュータの再利用に対する人々の意識が高まり、また人々からのサポートが得られたことは、予想していなかった付加利益です。

Jim LynchTechSoup.org でコンピュータのリサイクルと再利用についてのプログラム ディレクタをしています。TechSoup.org はサンフランシスコに拠点を置く非営利組織で、世界各国の慈善団体を対象にハードウェア、ソフトウェア、ノウハウをとても安く供給することを使命としています。

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