フィールド ノートIT に戦略的ビジョンを盛り込む

Romi Mahajan

フランスの哲学者オーギュスト・コントは、「Savoir pour prévoir et prévoir pour pouvoir.」と言いました。大まかに翻訳すると、ビジョンを持つためには知る必要があり、有能になるためにはビジョンを持つ必要があるという意味です。簡単に言うと、先を見る能力が人を有能にし、また、人に力を与えるということです。ビジネスの世界では、この概念は "戦略的ビジョン" にまとめ上げることができ、これがあれば、明日の世界を思い描きながらそれに基づいて今日行動することができます。優れたビジネス リーダーはこの能力を豊富に持っています。では、IT プロフェッショナルはどうでしょうか。私たちはこの能力を持っているでしょうか。もし持っているとしたら、私たちはそれを適切な方法で明確に表現することができるでしょうか。

Tech Ed 2008 で、私は、IT が一般消費者向けになっていくことについてのパネル ディスカッションを用意させていただきました (これで 4 回目です)。議論の主な領域の 1 つでは、消費者向けテクノロジの職場への導入が増えていることに IT 組織はどのように対処すべきか、および IT 組織はどうすれば将来の動きを予測できるようになるかということが焦点となりました。私は、IT はユーザーの権利と要望を受け入れるために現在の一般的な水準よりも柔軟になる必要があり、また、IT 組織は強力になるために (アイス ホッケーにたとえれば) "パックのある場所まで滑っていく" 必要があるという立場をとりました。

そんなことは、かなり基本的なことだとお思いでしょうか。では、観客の反応がどうだったか見てみましょう。反応は基本的に次の 4 つの形をとっていました。

  • IT 組織はコストをやりくりしなければならないので、IT 担当でないユーザーが何を必要としているかを予測するために、あまりにも多くの自由を認めたり、あまりにも多くの時間やお金を費やしたりするのは、IT 組織の理念に合っていません。
  • IT 組織はポケットベルに縛られた受け身の存在なので、進化することはできません。
  • IT 組織はクリエイティブではありません。
  • IT 組織は絶対にユーザーのニーズを予測およびサポートするべきです。どこに署名すればよいですか。

残念ながら、最後のカテゴリのような見解を持っていたのは観客の約 10% でした。

私は逆の視点から考える必要があると思います。IT 組織の現状に的を絞るのではなく、IT 組織がどのようなものになれるかを考えましょう。そのためには、自分に与えられた役割を少しの間離れて、私たち自身が消費者として得てきた知識や経験について考えてみましょう。これが戦略的ビジョンの出発点です。

IT 組織はどのようなものになれるでしょうか。IT 組織は、未来との遭遇に積極的に携わる存在になることができます。IT 組織は、新しいテクノロジや新しい顧客行動に関するたくさんのトレーニングに投資することができます。コンピューティング経験がすべて Web 2.0 の世界におけるものである若い人たちをより多く仲間として採用することができます。こうした人たちに、勤務時間全体の 10 ~ 15% をプロジェクトベースでも受け身でもない新しくて革新的なテクノロジ/ビジネス領域に費やす自由を与えることができます。こうした人たちは、開発組織と有機的に結び付いて、文化、理念、および知識を混ぜ合わせることができます。

IT は、IT プロフェッショナル自身の消費者としての経験からどのようにメリットを得ることができるのでしょうか。自分が現在 Web 上で行うことをすべて思い浮かべてみてください (どのようにして写真を整理し、どのようにして家族の予定表を絶えず確認し、どのようにしてレストランの席を予約し、どのようにして手ごろな価格で品物を購入し、どのようにして同じような趣味や好みを持つ人たちと連絡を取り合うかなど)。自分がよく訪れるインターネット上の場所をすべて網羅した一覧を作成します。同僚にも同じことをするよう頼みます。皆さん全員が、"顧客であるエンド ユーザーも皆、自分たちが行うのと同じようなことを行うのだ" と考えるようにしてください。これで、エンド ユーザーから求められているものがわかります。また、こうしたテクノロジをビジネス アプリケーションに使用するテクノロジとしてためらいなく採用することができるようにもなります。

すぐに、IT は、業界がどのように変化するか、将来何に的を絞り何に投資するべきか、どのような客層にどのような新しいマーケティング チャネルが有効であるか、どのようなフォーム ファクタが現在重要でありどのフォーム ファクタが台頭しつつあるかについて、さらには、より多くの製品やサービスを売り、その過程で顧客を幸せにするにはどうすればよいかについて、CEO に通知を送る存在になるでしょう。

突如として、IT スタッフの仕事は裏方の作業だけではなくなります。私たちはビジネスにとって重要な存在となり、突如として、より大きな尊厳とプライドを持って歩くようになり、より多くの賞賛を浴びるようになります。そして、企業、組織、および政府の取り組みの知的および実質的な中心に、ふさわしい立場を取り戻すのです。

Romi Mahajan は Ascentium Corporation のマーケティング最高責任者です。Ascentium に加わる前は、マイクロソフトに 7 年以上勤務し、最後はテクニカル オーディエンスおよびプラットフォーム マーケティングを率いるディレクタを務めていました。テクノロジ、政治、経済学、社会学など幅広い分野で自身の考えを発表しています。