シングル コピー クラスタの管理

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2008-03-06

Exchange 組織の日常的な管理タスクに加えて、シングル コピー クラスタ (SCC) に固有のタスクがあります。

SCC の管理タスクは次のとおりです。

  • ディスク リソースの管理
  • ストレージ グループとデータベースの管理
  • SCC とクラスタ化メールボックス サーバー (CMS) の状態と構成設定の表示
  • CMS の起動と停止や、クラスタでの保守の実行など、クラスタまたは CMS の管理

多くの管理タスクでクラスタ アドミニストレータを使用していた以前のバージョンの Microsoft Exchange Server とは異なり、SCC の多くの管理タスクでは Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用します。ただし、一部の管理タスクでは、クラスタ アドミニストレータまたは Cluster.exe コマンド ライン管理インターフェイスを使用する必要があります。

note注 :
クラスタ アドミニストレータおよび Cluster.exe は、クラスタ内のノード間でリソース グループを移動するための機構を提供しています。SCC で CMS のハンドオフを実行する際には、クラスタ管理ツールではなく、Move-ClusteredMailboxServer コマンドレットまたは Exchange Server 2007 Service Pack 1 (SP1) の新しいクラスタ化メールボックス サーバーの管理ウィザードを使用することをお勧めします。コマンドレットもウィザードも、管理者がハンドオフの理由を特定できるようにするからです。

ディスク リソースの管理

SCC では、すべてのストレージ グループのデータをホストするために共有記憶域を使用します。共有記憶域は、CMS をホストするように構成されたすべてのサーバーが利用でき、CMS のリソース モデルに適切に統合されている必要があります。状況によっては、既存の構成に新しいストレージを追加することが必要になる場合もあります。そうでない場合は、使用されるストレージは、以前に別の CMS で使用されていたものです。新しいディスク リソースを CMS リソース モデルに追加する方法については、「物理ディスク リソースをクラスタ化メールボックス サーバーに追加する方法」を参照してください。

note注 :
この手順では、リソースが他のストレージ グループで参照される依存関係ではないことを前提としています。

構成を変更すると、依存関係と構成設定が適切であることを確認するように指示するメッセージが表示されます。この手順については、「Windows Server 2003 でシングル コピー クラスタのディスクの依存関係を構成する方法」を参照してください。

SCC でディスク ボリュームを管理する必要がある場合は、ストレージ グループ内のデータベースのマウントを解除する必要があります。データベースをマウント解除する方法の詳細については、このトピックの「データベースのマウントとマウントの解除」を参照してください。

ストレージ グループとデータベースの管理

SCC 内の CMS 上にあるストレージ グループやデータベースに関連して、さまざまな管理タスクを実行する必要があります。このようなタスクには、データベースやストレージ グループの作成と削除、データベースのマウントとマウントの解除、ログ ファイル、システム ファイル、データベース ファイルの新しい場所への移動によるストレージ グループ データの再配置などがあります。SCC では、これらのタスクの一部で、共有ディスクの構成を変更したり、CMS のリソース モデルを更新する必要があります。

データベースの作成と削除

SCC でデータベースを作成および削除する手順は、スタンドアロン構成で使用される手順と同じですが、CMS のリソース モデルで物理ディスクの追加や削除が必要になる可能性がある点が異なります。

新しいパブリック フォルダ データベースを作成する方法の詳細については、「新しいパブリック フォルダ データベースを作成する方法」を参照してください。クラスタのリソース モデルを更新する方法の詳細については、「Windows Server 2003 でシングル コピー クラスタのディスクの依存関係を構成する方法」を参照してください。

メールボックス データベースを削除するには、まずすべてのメールボックスを無効にするか、データベースから削除する必要があります。パブリック フォルダ データベースを削除するには、まずすべての内容をデータベースから削除する必要があります。パブリック フォルダ データベースを削除する方法の詳細については、「パブリック フォルダ データベースを削除する方法」を参照してください。

データベースの物理ディスクをすぐに CMS で再利用しない場合は、CMS のリソース モデルから削除してください。この作業の方法については、「クラスタ化メールボックス サーバーから物理ディスク リソースを削除する方法」の手順を参照してください。クラスタのリソース モデルを更新する方法の詳細については、「Windows Server 2003 でシングル コピー クラスタのディスクの依存関係を構成する方法」を参照してください。

ストレージ グループの作成と削除

SCC でストレージ グループを作成および削除する手順は、スタンドアロン構成で使用される手順と同じですが、CMS のリソース モデルで物理ディスクの追加や削除が必要になる可能性がある点が異なります。新しいストレージ グループを作成する方法の詳細については、「新しいストレージ グループを作成する方法」を参照してください。ストレージ グループを削除する方法の詳細については、「ストレージ グループを削除する方法」を参照してください。クラスタのリソース モデルを更新する方法の詳細については、「Windows Server 2003 でシングル コピー クラスタのディスクの依存関係を構成する方法」を参照してください。

データベースのマウントとマウントの解除

SCC 環境では、データベースのマウントまたはマウント解除が必要になる場合があります。SCC 環境でデータベースをマウントおよびマウント解除する手順は、Exchange 2007 を実行するコンピュータでデータベースをマウントおよびマウント解除する手順と同じです。データベースをマウントする方法の詳細については、「データベースをマウントする方法」を参照してください。データベースのマウントを解除する方法の詳細については、「データベースのマウントを解除する方法」を参照してください。

ストレージ グループやデータベースの場所の移動

SCC 内で、ストレージ グループ ファイルの場所やデータベースの場所の移動が必要となる場合があります。ファイルの場所を移動するためにかかる時間は、移動するデータベースのサイズ、移動するトランザクション ログ ファイルの数、およびディスク操作の転送速度によって異なります。移動時には、データベースのマウントが解除されます。SCC では、ストレージ グループの再配置には、共有ディスクの構成を変更したり、CMS のリソース モデルを更新する必要になることがあります。

ストレージ グループ ファイルやシステム ファイルの場所を変更する方法の詳細については、「シングル コピー クラスタでストレージ グループを移動する方法」を参照してください。データベースの場所を変更する方法の詳細については、「シングル コピー クラスタのデータベースを移動する方法」を参照してください。

状態と構成設定の表示

SCC 構成を展開したら、Exchange 管理コンソールおよび Exchange 管理シェルを使用して、サーバー上のストレージ グループおよびデータベースの構成設定を表示することができます。構成情報には、ストレージ グループとデータベース ファイルの場所が含まれています。SCC ストレージ グループの構成情報を表示する方法の詳細については、「シングル コピー クラスタ中のストレージ グループの構成を表示する方法」を参照してください。

SCC データベースと構成の情報を表示する手順の詳細については、「シングル コピー クラスタでデータベース構成を表示する方法」を参照してください。

SCC の物理ディスクの依存関係および構成設定を表示する方法の詳細については、「Windows Server 2003 でシングル コピー クラスタのディスクの依存関係を構成する方法」を参照してください。

さらに、Exchange 管理シェルを使用して、CMS の状態を確認することもできます。SCC 内にある CMS の現在の状態を表示する方法の詳細については、「シングル コピー クラスタでクラスタ化メールボックス サーバーの状態を表示する方法」を参照してください。

クラスタ化メールボックス サーバーの管理

ストレージ グループやデータベースのディスク リソースおよび依存関係を構成する以外に、SCC 内の CMS を管理するための主要な管理タスクは、CMS をオンラインにすること、オフラインにすること、およびクラスタ内のノード間で CMS を移動することの 3 つがあります。CMS の管理には、クラスタ内のノードのシャットダウンや再起動も、更新管理やその他の保守操作の一部として含まれます。

ノード間でのクラスタ化メールボックス サーバーの移動

ノード間で CMS を手動で移動することは、ハンドオフ、つまりスケジュールされた停止と呼ばれます。SCC で CMS のハンドオフを実行する場合は、どのオペレーティング システムでも、フェールオーバー クラスタ管理ツール (Windows Server 2008)、クラスタ アドミニストレータ (Windows Server 2003)、または Cluster.exe ではなく、Move-ClusteredMailboxServer コマンドレットを使用することをお勧めします。このコマンドレットでは、ハンドオフの理由を指定できるためです。Exchange 2007 SP1 では、Exchange 管理コンソールでクラスタ化メールボックス サーバーの管理ウィザードを使用して、CMS のハンドオフを行うこともできます。

note注 :
ノード間の CMS の移動では、少しの間サービスが中断します。また、CMS 上のすべてのストレージ グループのすべてのバックアップは取り消されます。

ネットワークの遅延があるフェールオーバー クラスタで、CMS をノード間で移動するときには、パッシブ ノードから移動操作を実行することをお勧めします。

クラスタ化メールボックス サーバーの起動と停止

フェールオーバー クラスタ管理ツール (Windows Server 2008)、クラスタ アドミニストレータ (Windows Server 2003)、および Cluster.exe コマンドライン ツールには、リソースをオンラインにしたりオフラインにしたりする機能があります。CMS をオフラインにすることを停止、CMS をオンラインにすることを起動と呼びます。

CMS を起動する推奨方法は、Start-ClusteredMailboxServer コマンドレットの使用です。CMS を停止する推奨方法は、Stop-ClusteredMailboxServer コマンドレットの使用です。Exchange 2007 SP1 では、Exchange 管理コンソールでクラスタ化メールボックス サーバーの管理ウィザードを使用して、CMS の起動と停止を行うこともできます。

SCC 内の CMS をオンラインにする方法の詳細については、「シングル コピー クラスタでクラスタ化メールボックス サーバーを起動する方法」を参照してください。SCC 内の CMS をオフラインにする方法の詳細については、「シングル コピー クラスタでクラスタ化メールボックス サーバーを停止する方法」を参照してください。

クラスタでの保守の実行

保守作業は、常にクラスタ内のパッシブ ノードで実行する必要があります。一般的に、更新プログラム、修正プログラム、およびその他のアプリケーションは、アクティブ ノード (現在 CMS を所有しているノード) にはインストールされません。Exchange 更新プログラムのロールアップを SCC にインストールする方法の詳細については、「クラスタ化メールボックス サーバーへの Exchange 2007 更新プログラムのロールアップの適用」を参照してください。

アクティブ ノードで保守を実行する必要がある場合は、最初に Move-ClusteredMailboxServer コマンドレットを使用して、CMS をパッシブ ノードに移動する必要があります。CMS を移動すると、以前のアクティブ ノードがパッシブ ノードになり、以前のパッシブ ノードがアクティブ ノードになります。その後、保守が完了したら、CMS を逆方向に移動するハンドオフを実行できます。

SCC では、CMS を停止することなく、特定のノードでのシステム停止をスケジュールすることができます。2 ノードの SCC では、サービスとデータの可用性を維持するには、一度に 1 つのノードしかオフラインにすることができません。両方のノードをオフラインにすると、サービスが中断します。

スケジュールされた停止を開始するには、Exchange 管理シェルの Move-ClusteredMailboxServer コマンドレットを使用します。スケジュールされた停止を実行する手順については、「シングル コピー クラスタでクラスタ化メールボックス サーバーを移動する方法」を参照してください。

SCC 内のノードをシャットダウンして再起動する前に、現在 CMS をホストしているノードを確認することをお勧めします。この情報は、Get-ClusteredMailboxServerStatus コマンドレットを使用して取得できます。

クラスタ内のノードのシャットダウン

すべてのアクティブ ノードを含むクラスタ内のすべてのノードをシャットダウンする必要がある場合は、最初に CMS を停止する必要があります。Windows のシャットダウン プロセスは、Exchange に対応していません。したがって、パッシブ ノードのみをシャットダウンすることをお勧めします。アクティブ ノードをシャットダウンまたは再起動する必要がある場合、CMS を別の使用可能なノードに移動することをお勧めします。CMS を別のノードに移動する方法の詳細については、「シングル コピー クラスタでクラスタ化メールボックス サーバーを移動する方法」を参照してください。

CMS を (パッシブ ノードが既にシャットダウンされているなどの理由のために) パッシブ ノードに移動できない場合は、アクティブ ノードを停止してからシャットダウンする (オフラインにする) ことをお勧めします。SCC 内の CMS をオフラインにする方法の詳細については、「シングル コピー クラスタでクラスタ化メールボックス サーバーを停止する方法」を参照してください。

アクティブ ノードを再起動またはシャットダウンする必要があり、CMS をパッシブ ノードに移動できない場合は、グループ ポリシーを使用して CMS が停止したことを確認してから、アクティブ ノードを再起動またはシャットダウンすることをお勧めします。Windows Server には、ポリシーを基に実行される一連のコンピュータ シャットダウン用のスクリプトが用意されています。これらのスクリプトは、グループ ポリシー スナップインを使用して管理できます。グループ ポリシー スナップインには、コンピュータのシャットダウン時に実行されるスクリプトを指定できる拡張機能が含まれています。これらのスクリプトは、ローカル システム アカウントで実行されます。たとえば、Move-ClusteredMailboxServer コマンドレットまたは Stop-ClusteredMailboxServer コマンドレットに適切なパラメータを指定して実行するシャットダウン スクリプトを作成することができます。アクティブ ノードをシャットダウンする前に CMS を移動または停止する必要があることを理解していない管理者によってシステムがシャットダウンまたは再起動される可能性を最小限に抑えることができるという理由からも、シャットダウン スクリプトの使用をお勧めします。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。