外部コネクタ

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-06-20

外部コネクタは、Microsoft Exchange Server 2007 が実行され、ハブ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータにのみインストールできます。SMTP (簡易メール転送プロトコル) を主要なトランスポート メカニズムとして使用しないローカル メッセージング サーバーにメッセージを送信する場合、外部コネクタはドロップ ディレクトリを使用します。

外部コネクタの概要

Exchange 2007 ハブ トランスポート サーバーでは、メッセージの送信に SMTP を使用しない外部ゲートウェイ サーバーにメッセージを配信するために、外部コネクタが必要です。外部ゲートウェイ サーバーの例としては、サード パーティの FAX ゲートウェイ サーバーがあります。外部コネクタは、ハブ トランスポート サーバーから外部ゲートウェイ サーバーへの送信接続を制御します。送信メッセージは、ハブ トランスポート サーバー上のドロップ ディレクトリ、またはリモート サーバー上のネットワークのファイル共有内のドロップ ディレクトリに格納されます。各外部コネクタは専用のドロップ ディレクトリを使用します。外部ゲートウェイ サーバーは、その外部コネクタ用に指定されているドロップ ディレクトリからメッセージを取得するように構成される必要があります。

ハブ トランスポート サーバー上に作成される外部コネクタは、Active Directory ディレクトリ サービスに保存され、組織内のすべてのハブ トランスポート サーバーが使用することができます。Active Directory には、外部コネクタはコネクタのコンテナ内のオブジェクトとして作成されます。SMTP のアドレス スペースまたは SMTP 以外のアドレス スペースにメッセージを送信するように構成されている外部コネクタがある場合、組織内の任意のハブ トランスポート サーバーがそのアドレス スペースにメッセージをルーティングすると、そのメッセージは、この外部コネクタがある送信元ハブ トランスポート サーバーに配信され、この外部コネクタによって送信先ドメインに中継されます。外部コネクタは、組織内にある複数の異なるハブ トランスポート サーバーに割り当てることができます。これにより、外部コネクタのフォールト トレランスを実現できます。外部コネクタが含まれているハブ トランスポート サーバーの 1 つが利用できなくなると、この外部コネクタが担当するアドレス スペースに発信されるメッセージは、他の定義済みハブ トランスポート サーバーの中で利用可能ないずれかを使用して中継されます。このフォールト トレランスを実現するには、外部コネクタで指定されているドロップ ディレクトリが利用可能な状態を維持する必要があります。

外部ゲートウェイ サーバーは、ハブ トランスポート サーバー上の再生ディレクトリを使用して Exchange 2007 組織にメッセージを送信できます。正しい形式の電子メール メッセージ ファイルを再生ディレクトリにコピーすると、そのメッセージ ファイルが配信のために送信されます。

再生ディレクトリの詳細については、「再生ディレクトリの管理」を参照してください。

アドレス スペースおよびコネクタのスコープ

外部コネクタのアドレス スペースは、外部コネクタが電子メールをルーティングする受信者ドメインを指定します。SMTP アドレス スペースまたは SMTP 以外のアドレス スペースを指定できます。

外部コネクタのスコープを使用して Exchange 組織内の外部コネクタの可視性を制御できます。既定では、作成したすべての外部コネクタは、Exchange 組織のすべてのハブ トランスポート サーバーから使用できます。ただし、同じ Active Directory サイトに存在する他のハブ トランスポート サーバーのみが使用できるように外部コネクタのスコープを制限できます。

Exchange 2007 RTM におけるアドレス スペースおよびコネクタのスコープ

Exchange 2007 の RTM (Release To Manufacturing) 版でアドレス スペースを指定するための完全な構文は以下のとおりです。

<ConnectorScope>:<AddressSpaceType>:<AddressSpace>;<AddressSpaceCost>

次の一覧で、アドレス スペースの要素について説明します。

  • ConnectorScope   Local の値を指定すると、同じ Active Directory サイト内の他のハブ トランスポート サーバーのみがこのコネクタを使用できます。ConnectorScope 修飾子を省略すると、Exchange 2007 組織内のすべてのハブ トランスポート サーバーがこのコネクタを使用できます。
  • **AddressSpaceType **  アドレス スペースの種類は、SMTPX400、またはその他のテキスト文字列です。アドレス スペースの種類を省略すると、種類は SMTP アドレス スペースと見なされます。
  • AddressSpace   SMTP アドレス スペースの種類には、RFC 1035 準拠のアドレス スペースを入力する必要があります。たとえば、**.com および *.contoso.com は使用できますが、*contoso.com は使用できません。X.400 アドレス スペースの種類には、o=MySite;p=MyOrg;a=adatum;c=us などの RFC 1685 準拠のアドレス スペースを入力する必要があります。その他のアドレスの種類の値には、アドレス スペースに任意のテキストを入力できます。
  • **AddressSpaceCost **  コストの有効な入力の範囲は 1 ~ 100 です。低いコストは、より良いルートを示します。アドレス スペースのコストを省略すると、コストとして 1 が使用されます。セミコロン (;) を含む SMTP 以外のアドレス スペースを入力する場合は、アドレス スペースのコストを指定する必要があります。

コネクタのスコープ、アドレス スペースの種類、またはアドレス スペースのコストを指定する場合、アドレス スペースを二重引用符 (") で囲む必要があります。たとえば、次のアドレス スペース エントリは同等です。

  • "SMTP:contoso.com;1"
  • "contoso.com;1"
  • "SMTP:contoso.com"
  • contoso.com

複数のアドレス スペースを指定するには、アドレス スペースをコンマで区切ります。たとえば、"contoso.com,fabrikam.com" のようにします。コネクタのスコープ、アドレス スペースの種類、またはアドレス スペースのコストを指定する場合は、アドレス スペースを二重引用符 ( " ) で囲む必要があります。たとえば、"contoso.com;2","Local:fabrikam.com;3" のようにします。

ルーティングの解決時に、電子メールをルーティングするための外部コネクタが選択され、送信先ドメインに配信されます。受信者の電子メール アドレスと最も類似性のあるアドレス スペースを持つ外部コネクタが選択されます。

Exchange 2007 SP1 におけるアドレス スペースおよびコネクタのスコープ

Microsoft Exchange Server 2007 Service Pack 1 (SP1) のアドレス スペース構文は、Exchange 2007 RTM のアドレス スペース構文と多少異なります。Exchange 2007 SP1 でアドレス スペースを指定するための完全な構文は以下のとおりです。

<AddressSpaceType>:<AddressSpace>;<AddressSpaceCost>

コネクタのスコープは、New-ForeignConnector コマンドレットまたは Set-ForeignConnector コマンドレットの IsScopedConnector パラメータを使用して指定します。このパラメータの値が $False である場合、Exchange 組織内のすべてのハブ トランスポート サーバーが該当コネクタを使用できます。このパラメータの値が $True の場合、同じ Active Directory サイトのハブ トランスポート サーバーのみが該当コネクタを使用できます。

ドロップ ディレクトリ

外部コネクタで定義されているアドレス スペースに送信されるすべての送信メッセージは、外部コネクタ用に指定されたドロップ ディレクトリに格納されます。各外部コネクタのドロップ ディレクトリの場所は、2 つの項目によって制御されます。

  • Set-TransportServer コマンドレットの RootDropDirectoryPath パラメータ   このオプションは、ハブ トランスポート サーバー上に存在するすべての外部コネクタに対して使用します。RootDropDirectoryPath パラメータの値には、ローカル パス、またはリモート サーバーへの汎用名前付け規則 (UNC) パスを指定できます。
  • Set-ForeignConnector コマンドレットの DropDirectory パラメータ   この値は、ハブ トランスポート サーバー上に存在する各外部コネクタに対して設定します。DropDirectory パラメータの値には、単純なディレクトリ名または絶対ファイル パスを指定できます。RootDropDirectoryPath の値が指定されている場合は、DropDirectory パラメータの値を単純なディレクトリ名にする必要があります。RootDropDirectoryPath の値が指定されていない場合、DropDirectory パラメータには絶対パス情報または単純なディレクトリ名を含めることができます。

既定では、RootDropDirectoryPath パラメータの値は空白です。これは、RootDropDirectoryPath の値が Exchange 2007 インストール フォルダであることを示します。既定の Exchange 2007 インストール フォルダは、C:\Program Files\Microsoft\Exchange Server\ です。既定では、DropDirectory パラメータの値は外部コネクタの名前です。ドロップ ディレクトリは自動的に作成されません。したがって、各ドロップ ディレクトリ フォルダを手動で作成する必要があります。

DropDirectory パラメータの値に絶対パス情報が含まれない場合、ドロップ ディレクトリの場所は DropDirectory パラメータと RootDropDirectoryPath パラメータの組み合わせで定義されます。DropDirectory パラメータの値に絶対パス情報が含まれる場合は、RootDropDirectoryPath の値を指定しません。ドロップ ディレクトリの場所は、DropDirectory パラメータの値によってのみ定義されます。

ドロップ ディレクトリの場所を変更しても、既存のメッセージ ファイルは古いドロップ ディレクトリから新しいドロップ ディレクトリにコピーされません。新しいドロップ ディレクトリの場所は構成の変更後すぐにアクティブになりますが、既存のメッセージ ファイルはすべて古いドロップ ディレクトリに残ります。

ドロップ ディレクトリには次のアクセス許可が必要です。

  • 管理者 : フル コントロール
  • システム : フル コントロール
  • ネットワーク サービス : サブフォルダとファイルの読み取り、書き込み、および削除

Set-ForeignConnector コマンドレットの DropDirectoryQuota パラメータを使用して、外部コネクタのドロップ ディレクトリの最大サイズを指定できます。指定された最大値に達すると、既存のメッセージが配信されて削除されるまでは、新しいメッセージ ファイルをドロップ ディレクトリにコピーできません。既定では、外部コネクタのドロップ ディレクトリの最大サイズの制限は指定されていません。

詳細については、「外部コネクタのドロップ ディレクトリを構成する方法」を参照してください。

中継 DSN メッセージ

外部コネクタによって処理されるアドレスに対して送信されるメッセージに配信確認要求が付加されている場合、受信者のメッセージング サーバーで配信確認要求を正しく処理できないときに、送信者にその旨が通知される必要があります。中継配信状態通知 (DSN) は、受信者のメッセージング システムが配信確認要求を転送できないことを送信者に通知します。既定では、中継 DSN メッセージは、外部コネクタによって処理されているアドレス スペースに送信されるメッセージに対しては生成されません。DSN メッセージは RFC 1894 で定義されています。DSN メッセージの詳細については、「配信状態通知の管理」を参照してください。

詳細情報

詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。