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ユニファイド メッセージングのプロトコル、ポート、およびサービスについて

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2016-11-28

MicrosoftExchange Server 2010 ユニファイド メッセージング (UM) では、Exchange 2010 を実行中のサーバーとその他のデバイス間で通信を確立するために使用される複数の TCP ポートとユーザーデータグラム プロトコル (UDP) ポートが必要になります。これらの IP ポートを使用したアクセスを許可することにより、ユニファイド メッセージングを正しく機能させることができます。ここでは、Exchange 2010 ユニファイド メッセージングで使用される TCP ポートと UDP ポートについて説明します。

ユニファイド メッセージングのプロトコルおよびサービス

Exchange 2010 ユニファイド メッセージングの機能とサービスでは、ユニファイド メッセージング サーバーの役割を実行するコンピューターが確実に正しく動作するように、静的および動的な TCP ポートと UDP ポートを使用します。Exchange 2010 をインストールすると、Exchange では静的な Windows ファイアウォールのルールが追加されます。ユニファイド メッセージング サーバーの役割で使用される TCP ポートを変更する場合は、Windows ファイアウォールのルールを再構成しないと、ユニファイド メッセージング サーバーが正常に機能しない場合もあります。

重要

Exchange 2010 ユニファイド メッセージング サーバーでは、Exchange セットアップ プログラムによって、TCP ポートの制限なしに受信通信を許可する [SESWorker (TCP-In)] ルールと [SESWorker (GFW) (TCP-In)] ルールが作成されます。ユニファイド メッセージング サーバーをセットアップした後にこれら 2 つのルールを無効にし、SESWorker プロセスに必要なポートのみを許可する新しいルールを作成することをお勧めします。これには、TCP の場合、5065 および 5067 (セキュリティで保護されない)、相互 TLS の場合、5066 および 5068 (セキュリティで保護される) が含まれます。詳細については、「Exchange ネットワーク ポートのリファレンス」を参照してください。

セッション開始プロトコル

セッション開始プロトコル (SIP) は、ビデオ、音声、インスタント メッセージング、オンライン ゲーム、仮想現実などのマルチメディア要素を含む対話型ユーザー セッションの開始、変更、および終了に使用されるプロトコルです。これは、H.323 と共に、ボイス オーバー IP (VoIP) の代表的な信号プロトコルの 1 つです。ほとんどの VoIP 標準ベースのソリューションは、H.323 または SIP のいずれかを使用します。ただし、独自の設計およびプロトコルもいくつか存在します。VoIP プロトコルは、通常、キャッチホン、電話会議、通話の転送などの機能をサポートします。

IP ゲートウェイや IP 構内交換機 (PBX) などの SIP クライアントは、TCP および UDP のポート 5060 を使用して SIP サーバーに接続できます。SIP は、音声またはビデオ通話の確立または破棄のためだけに使用されます。すべての音声およびビデオ通信は、リアルタイム転送プロトコル (RTP) を介して実行されます。

リアルタイム転送プロトコル

RTP は、インターネットなどの特定ネットワークを介してオーディオおよびビデオを配信するための標準パケット形式を定義します。RTP は、ネットワークを介して音声またはビデオのデータのみを伝送します。通話の確立および破棄は一般的に、SIP プロトコルにより実行されます。

RTP は、通信のために標準のまたは静的な TCP ポートまたは UDP ポートを必要としません。RTP 通信は、偶数の UDP ポート上で行われ、その偶数の次に大きい奇数のポートが TCP 通信で使用されます。ポート範囲の標準の割り当ては存在しませんが、通常 RTP はポート 1024 ~ 65535 を使用するように構成されます。RTP は動的なポート範囲を使用するため、ファイアウォールを通過することは困難です。

ユニファイド メッセージング Web サービス

クライアント アクセス サーバーにインストールされているユニファイド メッセージング Web サービスでは、クライアント、ユニファイド メッセージング サーバー、クライアント アクセス サーバー、およびその他の Exchange 2010 サーバーの役割を実行しているコンピューター間のネットワーク通信に IP を使用します。正しく動作するためにユニファイド メッセージング Web サービスを必要とする、いくつかの Exchange 2010 Outlook Web App および Microsoft Office Outlook 2007 のクライアント機能があります。

ユニファイド メッセージング Web サービスを使用するユニファイド メッセージング クライアント機能は次のとおりです。

  • 電話での再生機能および PIN のリセット機能を含む、Exchange 2010Outlook Web App で使用可能なボイス メール オプション

  • Outlook 2007 クライアントの電話での再生機能

注意

組織で電話での再生やその他の Exchange 2010 ユニファイド メッセージングのクライアント機能を使用する場合、ユニファイド メッセージング サーバーの役割がインストールされたコンピューターに加えて、クライアント アクセス、ハブ トランスポート、およびメールボックス サーバーの役割を実行するコンピューターが同じ Active Directory サイト内に必要になります。

ポートの割り当て

次の表に、ユニファイド メッセージングが各プロトコルで使用する IP ポートと、各プロトコルに使用される IP ポートを変更できるかどうかを示します。

ユニファイド メッセージング プロトコル用の IP ポート

プロトコル TCP ポート UDP ポート ポートを変更できるかどうか

SIP (Microsoft Exchange ユニファイド メッセージング サービス)

5060 (セキュリティで保護されない)

5061 (セキュリティで保護される) サービスは両方のポートで待機します。

 

ポートは、msexchangeum.config 構成ファイルで変更できます。msexchangeum.config ファイルは、Exchange 2010 ユニファイド メッセージング サーバー上の \Program Files\Microsoft\Exchange\V14\bin フォルダーにあります。

SIP (UM ワーカー プロセス)

TCP の場合、5065 および 5067 (セキュリティで保護されない)。相互 TLS の場合、5066 および 5068 (セキュリティで保護される)

 

ポートは、msexchangeum.config 構成ファイルで変更できます。msexchangeum.config ファイルは、Exchange 2010 ユニファイド メッセージング サーバー上の \Program Files\Microsoft\Exchange\V14\bin フォルダーにあります。

RTP

 

1024 ~ 65535 のポート

ポートは、msexchangeum.config 構成ファイルで変更できます。msexchangeum.config ファイルは、Exchange 2010 ユニファイド メッセージング サーバー上の \Program Files\Microsoft\Exchange\V14\bin フォルダーにあります。

ユニファイド メッセージング Web サービス

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ポートは、ユニファイド メッセージング仮想ディレクトリをホストする Web サイトで構成されます。ポートは、IIS マネージャーを使用して変更できます。

Exchange 2010 ユニファイド メッセージングは、ネットワーク アドレス変換 (NAT) トラバーサルをサポートし、RTP メディアに NAT ファイアウォールのトンネリングを許可します。ただし、これが動作するためには、さらに Microsoft Office Communications Server 2007 が環境に展開されている必要があります。Exchange 2010 と Communications Server 2007 の両方がネットワーク上に展開されていれば、ユニファイド メッセージング サーバーが NAT ファイアウォール外のエンドポイントと通信できます。ユニファイド メッセージング サーバーは Communications Server 2007 プールと関連付けられ、その特定の Communications Server 2007 プールを提供するコンピューターの Communications Server 2007 A/V 認証サービスから適切な認証トークンを取得します。

A/V 認証サービスを使用すると、音声メディアが NAT デバイスとファイアウォールを通過することができます。メディア ゲートウェイは信号だけを処理し、NAT デバイスやファイアウォール経由で音声を安全に転送できないため、これが必要になります。Communications Server 2007 で仲介サーバーを構成する場合、仲介サーバーが受信メディア パケットの転送先を認識するように、A/V 認証サービスが実行されている A/V エッジ サーバーを指定します。

Communications Server 2007 と Exchange 2010 ユニファイド メッセージングの展開方法の詳細については、以下を参照してください。

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