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Exchange データベースの回復

 

Exchange データベース回復チェックリスト

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復元するメールボックス ストアまたはパブリック フォルダ ストアに該当するデータベースのマウントを解除します。

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復元によってデータベースを上書きできるようにデータベースを構成します (オプション)。

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復元するファイルの、データベースやログ ファイルの場所を特定します (オプション)。

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現在のデータベース ファイルを別の場所にコピーします (オプション)。

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Exchange システム マネージャでのメールボックス ストアまたはパブリック フォルダ ストアの名前がバックアップ メディアと一致していることを確認します。

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Microsoft Exchange Information Store サービス (MSExchangeIS) が実行されていることを確認します。

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バックアップ メディアから復元するバックアップ ファイルを選択します。

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選択したファイルを復元します。

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復元処理が正常に完了したことを確認します。

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トランザクション ログ ファイルを再生します (Eseutil /cc) (オプション)。

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データベース (ストア) をマウントします。

復元する Exchange データベースのマウントを解除する

復元処理を実行する前に、復元する Exchange データベースのマウントを解除する必要があります。復元するデータベースがマウントされた状態だと、復元処理は失敗します。詳細については、「メールボックスとパブリック フォルダ ストアのマウントを解除する方法」を参照してください。

note注 :
メールボックス フォルダやパブリック フォルダがマウント解除されると、ユーザーはこのフォルダにアクセスできなくなります。Exchange では複数のストレージ グループや複数のメールボックス ストア、パブリック フォルダ ストアがサポートされているので、バックアップから復元中のデータベースのみマウントを解除する必要があります。復元するデータベース上にメールボックスがある電子メール ユーザーに影響を与えずにデータベースを復元するには、元のストレージ グループではなく、回復用ストレージ グループを使用することを検討してください。通常、回復用ストレージ グループは、引き続き実行している元のデータベースに特定のデータを、バックアップ データベースから抽出または結合する場合にのみ使用します。
note注 :
復元するすべてのデータベースのマウントを解除する必要があります。

復元処理によって Exchange データベースが上書きされるようにデータベースを構成する (オプション)

復元処理によって Exchange データベースが確実に上書きされるようにするには、復元対象のデータベースを構成する必要があります。ただし、元の場所に復元する場合や、回復用ストレージ グループを使用する場合は、データベースを構成する必要はありません。構成する必要があるのは、復元するデータベース間で、Active Directory における GUID が異なる場合だけです。たとえば、データベースを別のフォレスト、たとえばテスト フォレストに復元する場合には、異なる GUID が必要です。また、データベースに対応する Active Directory オブジェクトが削除されている場合も、異なる GUID が必要です。削除されたオブジェクトを Active Directory に再作成する場合は、各オブジェクトに新しい GUID を付けます。

データベースを上書きする必要があることがわかっている場合以外は、このオプションを使用しないでください。

詳細については、「復元処理によって Exchange データベースが上書きされるようにデータベースを構成する方法」を参照してください。

復元するファイルのデータベースやログ ファイルの場所を特定する (オプション)

後で修復を試みることができるように、破損したデータベースのコピーを作成する場合は、データベースやログ ファイルの場所を特定して、移動やコピーができるようにしておきます。

次の手順では、データベースと、データベースを含むストレージ グループの両方について、プロパティ ダイアログ ボックスの情報を記録する必要があります。この作業は、移動またはコピーするデータベースそれぞれについて行います。詳細については、「復元するファイルのデータベースやログ ファイルの場所を特定する方法」を参照してください。

復元中のデータベース ファイルの既存のバージョンを移動またはコピーする (オプション)

復元処理が失敗する場合に備えて、復元によって上書きされる前に、既存のデータベース ファイルを保存しておくことができます。破損したデータベース ファイルのコピーを保存しておくと、回復の選択肢が増えます。たとえば、復元が失敗した場合でも、データベース ファイルを使用して、修復可能な元のバージョンに復帰させることができます。

復元の前にデータベース ファイルをコピーしておくことの欠点は、データベース回復処理の時間が大幅に長くなることです。同一の論理ドライブ上にある別の場所にファイルを移動するという選択肢がある場合は、ファイルをコピーするより大幅に所要時間が短くなります。詳細については、「復元中のデータベースの既存のバージョンをコピーまたは移動する方法」を参照してください。

important重要 :
データベース ファイルを、元の場所から同一の論理ディスク上にある別のフォルダに移動する操作はほとんど瞬間的に完了します。これは、ディスクに書き込む必要のあるデータが、NTFS マスタ ファイル テーブル (MFT) の変更に関するデータのみという理由からです。別の論理ディスクへのファイルの移動 (両方のドライブが同じ物理ディスクを共有している場合を含みます) や、ファイルのコピー (場所に関係なく) の場合、各データベース ファイルを新しい場所に再度書き込む必要があるため、はるかに長い時間がかかります。データベース ファイルをネットワーク経由で別の場所に移動またはコピーすると、さらに時間がかかり、また、多くのネットワーク帯域幅を使用します。Exchange Server 2003 で使用可能な 4 つのストレージ グループと 20 のデータベースをすべて利用する (サイズの小さな多数のデータベースを使用する) 方が管理性がよいということが、バックアップや復元関連作業の所要時間の短縮を可能にする 1 つの要因となっています。

Exchange システム マネージャでのメールボックス ストアまたはパブリック フォルダ ストアの名前をバックアップ メディアと確実に一致させる

バックアップ メディアから復元するストレージ グループとデータベース (メールボックス ストアまたはパブリック フォルダ ストア) の名前は、復元先サーバーの Active Directory にオブジェクトとして存在するときのストレージ グループ名やデータベース名と一致している必要があります。Exchange システム マネージャは、組織内の Exchange サーバー上で実行されている場合、Active Directory からデータを読み取って表示するので、バックアップに表示されるストレージ グループやデータベースの名前とデータを比較できます。名前が一致しないと復元処理は失敗します。

たとえば、ストレージ グループやストレージ グループが属するデータベースを復元する前に削除すると、ストレージ グループやストレージ グループが属するデータベースは、該当するサーバーが所属する Active Directory に存在しなくなるため、バックアップ メディア上でのストレージ グループやデータベースの名前に正確に一致する名前を付けて、ストレージ グループやデータベースを再作成する必要があります。詳細については、「ストレージ グループやデータベースの表示名を、復元するファイルの名前に確実に一致させる方法」を参照してください。

Exchange システム マネージャとバックアップ メディア間での名前の不一致の解決

前の手順を実行した後に名前が一致していないことに気付いた場合、バックアップから復元するストレージ グループやデータベースの名前に一致するストレージ グループやデータベースを作成する必要があります。

データベースやストレージ グループの名前が変更されている場合は、データベースやストレージ グループの名前を変更するだけで完了です。

新しいサーバーをセットアップした場合や、データベースまたはストレージ グループが失われた場合は、データベースまたはストレージ グループを作成する必要があります。詳細な手順については、次の手順を参照してください。

Microsoft Exchange Information Store サービス (MSExchangeIS) の実行を確認する

詳細については、「Microsoft Exchange Information Store (MSExchangeIS) サービスの開始方法」を参照してください。

復元するバックアップ ファイルをバックアップ メディアから選択する

詳細については、「復元するバックアップ ファイルをバックアップ メディアから選択する方法」を参照してください。

選択したファイルを復元する

差分または増分バックアップを復元する場合は、必ず時系列順にバックアップを復元してください。必ず最初に通常のバックアップを復元し、その後で差分または増分バックアップを時系列順に復元します。バックアップ セットの復元順序を誤ると、一部のトランザクション ログ ファイルを再生できません。詳細については、「選択したファイルの復元方法」を参照してください。

復元処理が正常に完了したことを確認する

[復元の進行状況] ダイアログ ボックスの [状態] フィールドは、Backup による復元処理の処理状況を示します。[状態] フィールドに [失敗] と表示されている場合、復元処理に問題が発生しており、解決しない場合は Exchange データベースの復元を続行できないことを示します。エラーの詳細を表示するには [レポート] をクリックします。

[状態] フィールドに [完了しました] と表示されている場合、Backup によるデータベースの復元が正常に完了し、ログ ファイルが一時ディレクトリに正常に復元されたことを示します。ただし、回復処理を完了するには、トランザクション ログを再生する必要があります。トランザクション ログの再生は、完了までに数時間かかります。

復元処理が正常に完了したことを確認する方法の詳細については、「Backup を使用したデータの復元」の「完了した復元ジョブの成否の確認」を参照してください。

Eseutil /CC を使用してトランザクション ログ ファイルを再生する (オプション)

バックアップ メディアからデータベースを復元した状態は、データベースとログ ファイルが同期していない、"不整合" と呼ばれる状態です。データベースの復元後に Exchange データを完全に回復させるには、トランザクション ログを再生してデータベースを最新の状態または整合性の取れた状態にする必要があります。

復元したデータベースを整合状態に戻す処理がハード リカバリです。ハード リカバリを開始するには、最後のデータベースを復元するときに Backup の **[最新の復元セット]**チェック ボックスをオンにするか、Eseutil /cc コマンドを使用します。

Eseutil を任意のコマンド プロンプトから実行するには、この章の「Exchange ツールをサーバー上でグローバルに実行する」の手順にしたがってください。

複数のデータベースを同時に復元するときでも、Eseutil /cc のインスタンスは一度に 1 つのみ実行することをお勧めします。詳細については、「Eseutil /cc の実行方法」を参照してください。

データベース (ストア) をマウントする

ストアのマウントは、Exchange データベース回復作業の最後の手順です。ストアをマウントする前に、ハード リカバリが完了していることを確認してください。ハード リカバリの完了を確認するには、Restore.env ファイルが削除されているかどうかをチェックします。Restore.env は、ハード リカバリが成功したときに削除されるファイルです。ログ ファイルの一時場所として指定したフォルダを開いて、復元するストレージ グループのフォルダを開きます。Restore.env ファイルが存在する場合、ハード リカバリは完了していません。ストアをマウントしないでください。

note注 :
/k スイッチを使用してハード リカバリを実行した場合 (Eseutil /cc /k)、Restore.env ファイルは削除されませんが、Eseutil /mh を使用してデータベース ヘッダをチェックし、クリーン シャットダウン状態を確認してください。

トランザクション ログの再生が完了したら、復元した各ストアをマウントします。詳細については、「Exchange ストアのマウント方法」を参照してください。