オフライン アドレス帳の管理

  • [アーティクル]

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-08-27

オフライン アドレス帳 (OAB) はダウンロードされたアドレス帳のコピーであり、Microsoft Outlook ユーザーはサーバーに接続していないときでもアドレス帳の情報にアクセスできます。Office Outlook 2007 では、OAB を使用して、グローバル アドレス一覧 (GAL) およびその他のアドレス一覧のディレクトリ情報にオフラインでアクセスできます。

オフラインで作業するユーザーがどのアドレス帳を使用できるかを選択できます。OAB の生成処理では、Microsoft Exchange は新しい OAB ファイルを生成し、そのファイルを圧縮してローカルの共有に格納します。この処理が終了したら、アドレス帳の配布方法を構成することができます。OAB をクライアント コンピュータに配布するには、次の 2 つの方法があります。

  • Web ベースの配布 これは、オフラインまたはダイヤルアップ接続で作業中の Outlook 2007 クライアントが OAB にアクセスする場合に使用する配布方法です。Web ベースの配布では、OAB の生成後、クライアント アクセス サーバーによってこのファイルがレプリケートされます。

    important重要 :
    既定では Web ベースの配布が有効になっており、これ以上の構成は必要ありませんが、OAB 配布ポイントの SSL (Secure Sockets Layer) を有効にすることをお勧めします。詳細については、「オフライン アドレス帳の配布に対して SSL を要求する方法」を参照してください。

  • パブリック フォルダの配布   これは、オフラインまたはダイヤルアップ接続で作業中の Office Outlook 2003 以前のクライアントが OAB にアクセスする場合に使用する配布方法です。パブリック フォルダの配布では、OAB 生成プロセスにより、ファイルがいずれかのパブリック フォルダに直接配置され、続いて Exchange ストア レプリケーションによって、データが他のパブリック フォルダ配布ポイントにコピーされます。パブリック フォルダの管理は、Exchange 管理シェルを使用して行われます。詳細については、「パブリック フォルダの管理」を参照してください。

Outlook を実行しているクライアント コンピュータは、OAB の更新を定期的にチェックし、ダウンロードします。OAB 生成が実行される時間を変更する方法については、「オフライン アドレス帳の設定を表示および変更する方法」を参照してください。

ここでは、OAB に対して実行される管理タスクの一覧と、タスクの実行に役立つトピックへのリンクを示します。特に記載のない限り、これらのタスクは Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用して実行されます。

  • オフライン アドレス帳を作成する方法
    既定では、メールボックス サーバーの役割をインストールすると、"既定のオフライン アドレス帳" という名前の Web ベースの既定の OAB が作成されます。この既定の OAB にはグローバル アドレス一覧 (GAL) が含まれています。ただし、追加の OAB を作成して、メールボックス データベース、または共通の属性を共有するユーザーのセットに、その OAB を関連付けることができます。これにより、ユーザーがダウンロードする OAB のサイズを小さくすることができます。OAB を作成するときに、OAB に含めるアドレス一覧を定義します。アドレス一覧の詳細については、「アドレス一覧の管理」を参照してください。

    note注 :
    Exchange Server 2003 と共存している場合、既定のオフライン アドレス帳は作成されません。Exchange 2003 には、"既定のオフライン アドレス一覧" という名前の既定の OAB があります。

    Exchange 管理コンソールを使用してこのタスクを実行する場合は、オフライン アドレス帳の新規作成ウィザードを利用して OAB の作成と初期化を行います。Exchange 管理シェルを使用する場合は、New-OfflineAddressBook コマンドレットを使用します。ただし、Exchange Server 2007 と Exchange 2003 の共存シナリオでは、どちらのバージョンの OAB を生成するかを決定する必要があり、この場合 Exchange 管理シェルを使用して OAB のバージョンを指定する必要があります。この場合は、Exchange 管理コンソールのオフライン アドレス帳の新規作成ウィザードを使用することはできません。

  • オフライン アドレス帳の設定を表示および変更する方法
    OAB は、Exchange 管理コンソールの [オフライン アドレス帳] タブに表示されます。また、組織に Exchange 2003 サーバーが含まれており、以前に OAB の配布方法としてパブリック フォルダを使用していた場合は、これらの OAB オブジェクトもこのタブに表示されます。

    note注 :
    Exchange 2003 と共存している場合、既定のオフライン アドレス帳は作成されません。Exchange 2003 には、"既定のオフライン アドレス一覧" という名前の既定の OAB があります。

    Exchange 管理コンソールを使用して OAB 設定を表示または変更する場合は、OAB を選択し、操作ウィンドウで [プロパティ] をクリックします。Exchange 管理シェルを使用する場合は、OAB 設定の表示には Get-OfflineAddressBook コマンドレットを、変更には Set-OfflineAddressBook コマンドレットを使用します。

  • オフライン アドレス帳生成プロセスを別のサーバーに移動する方法
    OAB の生成とは、Exchange によって OAB が作成および更新されるプロセスです。OAB の生成処理では、Exchange は新しい OAB ファイルを生成し、そのファイルを圧縮してローカルの共有に格納します。
    Exchange 管理コンソールを使用してこのタスクを実行する場合は、オフライン アドレス帳の移動ウィザードを利用して生成した OAB を別のサーバーに移動します。Exchange 管理シェルを使用する場合は、Move-OfflineAddressBook コマンドレットを使用します。

    important重要 :
    Exchange 2003 サーバーおよび Exchange 2007 サーバーを所有している混合環境のトポロジを持つ組織では、パブリック フォルダの配布が有効であれば、Exchange 2003 サーバーまたは Exchange 2007 サーバーから OAB を生成することができます。ただし、Exchange 2003 から OAB を生成すると、機能性が失われます。

  • オフライン アドレス帳を削除する方法
    ユーザーまたはメールボックス データベースにリンクされた OAB を削除すると、そのユーザーに対して新しい OAB を割り当てるまで、受信者は既定の OAB をダウンロードします。既定の OAB を削除する場合は、別の OAB を既定の OAB として割り当てる必要があります。既定の OAB を変更する方法の詳細については、「既定のオフライン アドレス帳を変更する方法」を参照してください。
    Exchange 管理コンソールを使用して OAB を削除する場合は、OAB を選択し、操作ウィンドウで [削除] をクリックします。Exchange 管理シェルを使用する場合は、Remove-OfflineAddressBook コマンドレットを使用します。

  • 既定のオフライン アドレス帳を変更する方法
    既定では、メールボックス サーバーの役割をインストールすると、"既定のオフライン アドレス帳" という名前の Web ベースの既定の OAB が作成されます。ただし、既定の OAB として、Exchange 組織内の任意の OAB を設定できます。この新しい既定の OAB は、新たに作成されるすべてのメールボックス データベースに関連付けられます。既定の OAB は組織内で 1 つしか設定できません。既定の OAB を削除した場合、Exchange が自動的に別の OAB を既定の OAB として割り当てることはありません。手動で別の OAB を既定の OAB に指定する必要があります。
    Exchange 管理コンソールを使用して既定の OAB を設定する場合は、OAB を選択し、操作ウィンドウで [既定値として設定] をクリックします。Exchange 管理シェルを使用する場合は、Set-OfflineAddressBook コマンドレットを使用します。

  • オフライン アドレス帳仮想ディレクトリを作成する方法
    OAB 仮想ディレクトリは、OAB の Web ベースの配布方法で使用される配布ポイントです。既定では、Exchange 2007 がインストールされると、インターネット インフォメーション サービス (IIS) の既定の内部 Web サイトに OAB という名前の新しい仮想ディレクトリが作成されます。組織のファイアウォールの外から Outlook に接続するクライアント側のユーザーがいる場合は、外部 Web サイトを追加できます。また、Exchange 管理シェルで New-OABVirtualDirectory コマンドレットを実行すると、ローカルの Exchange 2007 サーバー上の既定の IIS Web サイトに OAB という名前の新しい仮想ディレクトリが作成されます。

    note注 :
    Exchange 管理コンソールを使用して OAB 仮想ディレクトリを作成することはできません。Exchange 管理シェルで New-OABVirtualDirectory コマンドレットを使用する必要があります。
    note注 :
    それぞれのクライアント アクセス サーバーには、1 つの仮想ディレクトリしか含めることはできません。

  • オフライン アドレス帳仮想ディレクトリを削除、再作成、再接続する方法
    OAB 仮想ディレクトリを削除すると、Web ベースの配布を使用した OAB は、OAB 仮想ディレクトリへの接続を失います。仮想ディレクトリを作成し直した後は、Web ベースの配布を使用する各 OAB の設定を編集し、この OAB 仮想ディレクトリに再接続するように設定する必要があります。OAB の設定を編集する方法の詳細については、「オフライン アドレス帳の設定を表示および変更する方法」を参照してください。
    Exchange 管理コンソールを使用して OAB 仮想ディレクトリを削除することはできません。Exchange 管理シェルで Remove-OABVirtualDirectory コマンドレットを使用する必要があります。

  • オフライン アドレス帳にアドレス一覧を追加または削除する方法
    OAB は、その OAB に含まれるアドレス一覧に基づいて生成されます。ユーザーがダウンロードできるカスタム OAB を作成するために、OAB にアドレス一覧を追加したり、OAB からアドレス一覧を削除したりすることができます。
    Exchange 管理コンソールを使用してこのタスクを実行するには、OAB のプロパティ ページを開き、[アドレス一覧] タブを使用します。Exchange 管理シェルを使用する場合は、Set-OfflineAddressBook コマンドレットを使用します。

  • オフライン アドレス帳のダウンロードのために受信者を準備する方法
    組織内で複数の OAB を使用する場合は、どのユーザーがどの OAB をダウンロードするかを決定する必要があります。どの受信者がどの OAB をダウンロードするかを指定するには、次の 2 つの方法があります。

    • 受信者ごとに指定   Exchange 管理シェルで Set-Mailbox コマンドレットを使用して、OAB を受信者のメールボックスにリンクすることにより、受信者がダウンロードする OAB を指定できます。受信者単位レベルではパブリック フォルダ データベースを指定することはできません。メールボックスを作成する方法の詳細については、「新しいユーザーのメールボックスを作成する方法」を参照してください。

      note注 :
      Exchange 管理コンソールを使用してこのタスクを実行することはできません。Exchange 管理シェルで Set-Mailbox コマンドレットを使用する必要があります。

    • メールボックス データベースごとに指定   Exchange 管理コンソールまたは Exchange 管理シェルを使用して、OAB をメールボックス データベースにリンクすることにより、受信者がダウンロードするパブリック フォルダ データベースおよび OAB を指定できます。メールボックス データベースの詳細については、「ストレージ グループとデータベースの管理」を参照してください。

  • オフライン アドレス帳の配布に対して SSL を要求する方法
    既定では、Exchange 2007 を実行しているコンピュータにクライアント アクセス サーバーの役割をインストールすると、Exchange サーバー上の既定の IIS Web サイトに OAB という名前の仮想ディレクトリが作成されます。
    Exchange 2007 セットアップで使用できる既定の自己署名入りの証明書は、OAB を使用している Outlook 2007 や Outlook 2003 クライアントでは動作しません。代わりに、クライアント コンピュータのオペレーティング システムに信頼されている証明機関 (CA) によって作成された有効な SSL 証明書を使用する必要があります。クライアントが信頼する CA の有効な SSL 証明書をインストールする方法の詳細については、「証明機関からサーバー証明書を取得する方法」を参照してください。
    OAB の既定の Web サイト上、または OAB 仮想ディレクトリをホストしている Web サイト上のクライアント アクセス サーバーと共に使用する有効な SSL 証明書を取得したら、SSL を要求するように Web サイトを構成できます。クライアント アクセス サーバーによってホストされているすべての Web サイトについて SSL を有効にすることも、OAB 仮想ディレクトリについてのみ SSL を有効にすることもできます。
    OAB の SSL を要求するには、IIS マネージャを使用するか、Exchange 管理シェルで Set-OABVirtualDirectory コマンドレットを使用します。Exchange 管理コンソールを使用してこのタスクを実行することはできません。

  • オフライン アドレス帳を更新する方法
    OAB を作成したり OAB の設定を変更したりした後は、OAB の生成プロセスが終了するまで、変更はユーザーに適用されません。このプロセスを完了するには、OAB を更新する必要があります。
    Exchange 管理コンソールを使用してこのタスクを実行するには、OAB を選択し、操作ウィンドウで [更新] をクリックします。Exchange 管理シェルを使用する場合は、Update-OfflineAddressBook コマンドレットを使用します。

    note注 :
    OAB のサイズに応じて、プロセスが完了するまでに数分から数時間かかります。新しいコンテンツはプロセスが完了するまで使用できません。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。