スタンバイ クラスタの使用

 

Microsoft® Exchange クラスタのすべてのノードが同時に失われた場合は、クラスタ全体を回復する必要があります。クラスタ全体の回復には、スタンバイ クラスタを使用できます。クラスタ全体を回復する手順には、スタンドアロン Exchange メンバ サーバーを回復する手順と同じ手順が多数含まれています。メンバ サーバーの復元方法の詳細については、「Exchange メンバ サーバーの回復」を参照してください。

標準的な Exchange クラスタ回復の実行

クラスタ内に存在するノードの全コンピュータのバックアップまたは Microsoft Windows® バックアップがない場合でも、クラスタ全体を回復できます。この種の回復を試みるには、Exchange データベースのバックアップが必要です (または、クラスタのいずれかの共有ディスク リソースに、変更されていない Exchange データベース ファイルとトランザクション ログ ファイルが存在する必要があります)。また、クラスタ構成に関する十分な情報レコードがなければなりません。クラスタ情報の記録方法については、「サーバー クラスタに関するレコードの保持」を参照してください。

important重要 :
クォーラムを復元せずに、クラスタの情報レコードを使用してクラスタ全体を再構築する方法については、マイクロソフト ヘルプとサポートにお問い合わせください。この種の回復に必要な手順は、上級の管理者向けのものです。また、上級の管理者であっても、このクラスタ回復方法を検討するのは、他の方法が利用できない場合だけにしてください。

クラスタ全体の回復戦略を実行する場合、最初に回復するノード ("最初のノード" と呼ばれます) は、ノードのバックアップ セットを作成したときにクォーラム ディスク リソースが所有していたノードである必要があります。最初のノードを回復させたら、すべてのクラスタ リソースを確実にオンラインにします。クラスタ リソースがオンラインになったら、新しいノードや待機回復ノードを挿入したり、引き続き他の障害発生ノードを回復または再構築したりすることができます。

次に、クラスタの最初のノードを回復する "サーバーの復元" 方法と "サーバーの再構築" 方法について詳しく説明します。

  • サーバーの復元   "サーバーの復元" 方法を使用して最初のノードを回復する場合、1 つ以上のクラスタの共有ディスク リソース (クォーラム ディスク リソースや Exchange データベースなど) を復元する前に、全コンピュータのバックアップ セットを復元する必要があります。これらの共有ディスク リソースを復元する方法の詳細については、「共有ディスク リソースの復元」を参照してください。クラスタの最初のノードがすべてのクラスタ リソースをオンラインにできる状況になったら、新しいノードや待機回復ノードを挿入したり、引き続き全コンピュータのバックアップ セットからノードを復元したりすることができます。
  • サーバーの再構築   "サーバーの再構築" 方法を使用して最初のノードを回復する場合、クォーラム ディスク リソース (必要な場合) を回復する前に、Windows バックアップ セットを復元する必要があります。Windows バックアップ セットを復元すると、クラスタ サービスが開始され、クラスタ内のオブジェクトが障害発生以前と同様に表示されます。クラスタ情報を表示するには、クラスタ アドミニストレータを使用します。Exchange をインストールしてから (/disasterrecovery スイッチは使用せず、通常のインストールを実行します)、Exchange データベースのバックアップを復元します (利用できる場合)。クラスタの最初のノードがすべてのクラスタ リソースをオンラインにできる状況になったら、新しいノードや待機回復ノードを挿入したり、引き続きバックアップ セットからノードを再構築したりすることができます。
    important重要 :
    クラスタ ノード回復手順の一部として Exchange をクラスタ ノードにインストールする場合は、/disasterrecovery スイッチを使用せずに Exchange セットアップを実行してください。/disasterrecovery スイッチは、クラスタ化された Exchange サーバーではサポートされていないため使用できません。

回復のためのスタンバイ クラスタの使用

Exchange のスタンバイ クラスタは、次の要件を満たす Windows Server クラスタです。

  • ハードウェア構成と、Windows のバージョン、Exchange のバージョン、ソフトウェア更新プログラムを含むソフトウェア構成が、運用環境の Exchange クラスタと同一である。
  • Exchange プログラム ファイルをインストール済みで、しかし Exchange 仮想サーバーは未構成である。
  • 運用環境クラスタのすべての Exchange 仮想サーバーがオフラインのときにのみ使用できる。

スタンバイ クラスタは、Exchange クラスタ全体が失われたときに回復するために使用したり、Exchange クラスタのサイト復元ソリューションとして使用したりできます。運用環境クラスタからスタンバイ クラスタに Exchange 仮想サーバーを転送する際は、運用環境クラスタ内のすべての Exchange 仮想サーバーを移動する必要があります。運用環境クラスタ上では Exchange 仮想サーバーがまったく実行されない状態にする必要があります。

note注 :
この処理は、Windows Server™ 2003 上で実行している Exchange Server 2003 クラスタに対してのみサポートされます。ここで説明する処理は、Exchange 2000 Server および Exchange Server 5.5 には適用できず、これらではサポートされません。

運用環境クラスタからスタンバイ クラスタへの Exchange 仮想サーバーの移動の詳細については、「運用環境の Exchange 2003 クラスタから Exchange 2003 のスタンバイ クラスタにすべての Exchange 仮想サーバーを移動する方法」を参照してください。