アドレス一覧について

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2007-02-01

アドレス一覧は、受信者およびその他の Active Directory ディレクトリ サービス オブジェクトの集合です。それぞれのアドレス一覧には、ユーザー、連絡先、グループ、パブリック フォルダ、会議、その他のリソースなど、1 つ以上の種類のオブジェクトを含めることができます。アドレス一覧を利用すると受信者とリソースを整理できるので、必要な受信者やリソースを簡単に見つけられるようになります。アドレス一覧は動的に更新されます。したがって、新しい受信者が組織に追加されると、その受信者は自動的に適切なアドレス一覧に追加されます。

次の図に示すように、Outlook 2007 などのクライアント アプリケーションには Exchange によって提供される使用可能なアドレス一覧が表示されます。

Outlook 2007 で表示されるアドレス一覧

アドレス一覧は Active Directory に格納されます。したがって、ネットワークとの接続を解除したモバイル ユーザーは、サーバーに格納されているアドレス一覧との接続も解除されます。ただし、ネットワークとの接続を解除しているユーザーのために、オフライン アドレス帳 (OAB) を作成することが可能です。OAB は、ユーザーのハード ディスク ドライブにダウンロードできます。多くの場合、リソース節約のため、OAB はサーバーに格納されている実際のアドレス一覧の情報のサブセットになります。詳細については、「オフライン アドレス帳について」を参照してください。

note注 :
Exchange 2007 と Exchange 2003 が共存するシナリオの場合、グローバル アドレス一覧 (GAL) オブジェクトとアドレス一覧オブジェクトは、Exchange 2003 または Exchange 2007 のいずれかを利用して編集できます。Exchange 2007 で編集するには、Exchange 2003 オブジェクトをアップグレードする必要があります。アップグレード後のオブジェクトは、Exchange 2003 では編集できません。

既定のアドレス一覧

クライアント アプリケーションを使用して受信者情報を検索する場合、使用可能なアドレス一覧から選択することができます。GAL などのいくつかのアドレス一覧は既定で作成されます。Exchange 2007 には以下の既定のアドレス一覧があります。組織に追加された新規のユーザー、連絡先、グループ、会議室は、自動的にこれらのアドレス一覧に追加されます。

  • すべての連絡先   このアドレス一覧には、メールが有効な組織内の連絡先がすべて含まれています。メールが有効な連絡先とは、外部の電子メール アドレスを持っている受信者です。メールが有効な連絡先の情報を組織内のすべてのユーザーが利用できるようにするには、その連絡先を GAL に含める必要があります。メール連絡先の詳細については、「受信者について」を参照してください。
  • すべてのグループ   このアドレス一覧には、メールが有効な組織内のグループがすべて含まれています。メールが有効なグループとは、大量の電子メール メッセージおよびその他の情報を効率よく送信するために作成された受信者のグループです。電子メール メッセージがメールが有効なグループに送信されると、そのグループのメンバ全員がメッセージのコピーを受け取ります。メールが有効なグループの詳細については、「受信者について」を参照してください。
  • すべての会議室   このアドレス一覧には、会議室として指定されている組織内のリソースがすべて含まれています。会議室とは、クライアント アプリケーションから会議出席依頼を送信することによってスケジューリングできる、組織内のリソースです。会議室に関連付けられているユーザー アカウントは無効になります。アドレス一覧にリソース メールボックスを追加する方法については、「アドレス一覧にリソース メールボックスを追加する方法」を参照してください。リソース メールボックスの詳細については、「受信者について」を参照してください。
  • すべてのユーザー   このアドレス一覧には、メールが有効な組織内のユーザーがすべて含まれています。メールが有効なユーザーは、Exchange 組織外のユーザーを表します。メールが有効なユーザーは、ぞれぞれ、外部電子メール アドレスを持っています。メールが有効なユーザーに送信されるメッセージはすべて、この外部電子メール アドレスにルーティングされます。メールが有効なユーザーはメール連絡先に似ていますが、メールが有効なユーザーは Active Directory ログオン資格情報を持ち、リソースにアクセスできるという点で異なります。メールが有効なユーザーの詳細については、「受信者について」を参照してください。
  • 既定のグローバル アドレス一覧   このアドレス一覧には、メールが有効な組織内のユーザー、連絡先、グループ、会議室がすべて含まれています。Exchange では、セットアップ時にさまざまな既定のアドレス一覧が作成されます。GAL は、その中で最も一般的なアドレス一覧です。既定では、GAL には Exchange 組織内のすべての受信者が含まれます。つまり、Exchange がインストールされている Active Directory フォレスト内のメールボックスが有効なオブジェクトまたはメールが有効なオブジェクトは、すべて GAL に含まれます。GAL では、使いやすいように、オブジェクトが (電子メール アドレス順ではなく) 名前順に並べられています。詳細については、「グローバル アドレス一覧の管理」を参照してください。
  • パブリック フォルダ   このアドレス一覧には、組織内のパブリック フォルダがすべて含まれています。アクセス許可によって、フォルダの参照と使用が可能なユーザーが特定されます。パブリック フォルダは Exchange を実行しているコンピュータに格納されます。パブリック フォルダの詳細については、「パブリック フォルダの管理」を参照してください。

カスタム アドレス一覧

Exchange 組織には、多数の受信者を含めることができます。しかし、すべての受信者を既定のアドレス一覧にまとめると、一覧が非常に大きくなることがあります。そうならないようにするため、カスタム アドレス一覧を作成して、組織内のユーザーがより簡単に検索対象を見つけられるようにすることができます。

たとえば、2 つの大きな事業部がある企業で、1 つの Exchange 組織を使用しているとします。1 つ目の事業部は Fourth Coffee という名前で、コーヒー豆の輸入販売を行っています。もう 1 つの事業部は Contoso, Ltd. という名前で、保険引受業務を行っています。ほとんどの日常業務に関して、Fourth Coffee の従業員と Contoso, Ltd. の従業員が連絡を取り合うことはありません。したがって、従業員が同じ事業部内の受信者を見つけやすくするため、Fourth Coffee と Contoso, Ltd. にそれぞれ 1 つずつ、2 つのカスタム アドレス一覧を新たに作成することができます。同じ事業部内の受信者を検索する場合、このカスタム アドレス一覧を利用して自分が所属する事業部に限定されたアドレス一覧のみを選択できるようになります。受信者が属している事業部がわからない場合は、両方の事業部の受信者全員が含まれている GAL を検索するという方法があります。

また、階層アドレス一覧と呼ばれる、アドレス一覧のサブカテゴリを作成することもできます。たとえば、マンチェスターのすべての従業員を含むというアドレス一覧と、シュトゥットガルトのすべての受信者を含むアドレス一覧をそれぞれ作成することができます。さらには、"マンチェスター" のアドレス一覧のコンテナ内に、マンチェスターの研究開発部門に勤務するすべての従業員を含む "研究開発" という名前のサブカテゴリを作成することができます。

アドレス一覧を作成するためのベスト プラクティス

アドレス一覧はユーザーにとって便利なツールですが、十分な計画を立てずにアドレス一覧を作成すると、フラストレーションの原因にもなりかねません。アドレス一覧がユーザーにとって役に立つものにするため、以下のベスト プラクティスを考慮してください。

  • 多くのアドレス一覧を作成しすぎて、ユーザーがどの一覧で受信者を検索したらよいか迷うことがないようにします。
  • ひと目見ただけで、どのような種類の受信者が含まれているのかがわかるような名前をアドレス一覧に付けます。アドレス一覧の名前がわかりにくくなってしまう場合は、作成するアドレス一覧の数を抑え、GAL を使用すれば組織内のあらゆる受信者を検索できるということをユーザーに通知します。

アドレス一覧の作成方法の詳細については、「アドレス一覧を作成する方法」を参照してください。

Exchange 2007 で強化された機能

Exchange 2007 のアドレス一覧では、次のような機能強化が図られています。

  • 受信者更新サービスへの依存の解消   以前のバージョンの Exchange では、受信者更新サービス (Exchange System Attendant サービスのコンポーネント) によって Active Directory 内のアドレス一覧および電子メール アドレスが更新されていました。Exchange 2007 では、電子メール アドレスおよびアドレス一覧に加えられた変更が直接 Active Directory に適用されます。そのため、アドレス一覧に変更を加えると、受信者更新サービスによって更新が実行されるのを待つことなく、すぐにその変更を Active Directory ユーザーとコンピュータで確認することができます。
  • 既定のフィルタの簡素化   Exchange Server 2003 および Exchange 2000 Server では、アドレス一覧をフィルタ処理するためのグラフィカル ユーザー インターフェイス (GUI) が複雑であり、数百のプロパティを含む入れ子になった一覧を含んでいました。Exchange Server 2007 では、最も一般的なフィルタが既定のフィルタとして定義され、簡単でわかりやすいフィルタ制御を備えています。
  • OPATH フィルタによるカスタム フィルタの構築の容易化   既定のフィルタでは解決できない高度なフィルタ要件が必要な場合、管理者は、Exchange 管理シェルで OPath フィルタ構文を使用して定義されるカスタム フィルタを作成することができます。OPath は、オブジェクト データ ソースをクエリするために設計されたクエリ言語です。詳細については、「受信者フィルタを使用してアドレス一覧を作成する方法」を参照してください。
  • 受信者のプロパティのフィルタ処理   Exchange 2007 では、受信者の種類を使用して、コマンドの結果にフィルタを適用できます。たとえば、Get-UserGet-RecipientGet-MailboxGet-MailUserGet-ContactGet-MailContactGet-GroupGet-DistributionGroup、および Get-DynamicDistributionGroup コマンドレットはいずれにも、Filter パラメータがあり、これを使用することで、コマンドで取得するユーザーやグループを指定できます。Set-AddressList コマンドレットまたは New-AddressList コマンドレットと組み合わせることにより、フィルタ文字列を使用して取得する一連のユーザーまたはグループを指定できます。この種類のフィルタでは、オブジェクトの構成や属性は変更されません。変更されるのは、コマンドから返されるオブジェクトのセットだけです。受信者コマンドでフィルタを作成する方法の詳細については、「受信者コマンドのフィルタの作成」を参照してください。
  • アドレス一覧に変更を適用するタイミングのスケジュール設定   Exchange 2007 では、アドレス一覧に対する変更をいつ適用するか指定することができます。また、タスクを実行する期間を指定することもできます。詳細については、「アドレス一覧を編集する方法」を参照してください。

詳細情報

アドレス一覧の詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。